14/05/16 17:03:14.35 DZ/OAR7w0
「それで達也さん、先生の誤解は解けたんですか?」
「ああ、まあ、一応ね」
「一応?」
美月の示した短い疑問の声に、達也は気が進まない風な表情と口調で説明を付け加えた。
「手抜きじゃないと理解はしてもらえたよ。
その代わり、転校を勧められたが」
「転校!?」
「そんな、何故です!?」
血相を変えて叫んだのは美月とほのかだが、他の三人も似たような顔をしていた。
「第四高校は九校の中でも特に魔法工学に力を入れているから、俺には向いているんじゃないか、ってね。
もちろん断ったが」
ホッと胸を撫で下ろした二人と、憤慨を顕にする二人。
前者が美月とほのか、後者がレオとエリカ。
尚、残る一人は内面の窺い知れぬポーカーフェイスを維持していた。
「……実技が苦手だから、実技が出来なくても良い学校に行けってのは、学校として自己否定じゃねえのか?
成績が悪くてついて行けない、ってんならまだしも、達也は実技でも合格点はクリアしてるじゃねえか」
「目障りなんでしょ。
下手すりゃ、センセイたちより達也くんの方が魔法について良く知ってるから」
「少し落ち着けよ、二人とも」
放っておくと何処までも燃え上がってしまいそうな勢いだったので、達也は消火活動に着手した。
「レオの言う通り、例え赤点ギリギリであっても落第しなきゃ強制もされないんだから実害は無いって。
もしかしたら、本当に善意だったのかも知れないしな。
まっ、だとしたら、随分と無神経な善意ではあるが。独善というヤツだ」
達也がサラリとした口調で綴った辛辣な評価に、義憤に燃えていたはずの二人がたじろぐ。狙い通りの冷却効果ならば中々に深謀と言えるだろうが、残念ながら今回は結果的に、という色合いが濃かった。
「でも、そもそもの前提が間違ってる時点で教師としてダメだと思う」