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■あの人は今 元72代横綱 稀勢の里 萩原寛さん(47歳)
2034年、大相撲春場所千秋楽。 それをテレビで見つめる男がいた。
15歳で将来を嘱望され鳴戸部屋へ入門した、萩原寛さんだ。
「あの頃は若かったですね(笑)」若き日を回想する萩原さんは、どこか寂しげだ。
「未だに当時の夢を見ることがあるんですよ。千秋楽結びの一番で、俺が勝利して全勝優勝する夢を」
萩原さんは30歳の時に取り組みの影響で左胸に大怪我を追い、二年間リハビリを続けたが
結局完治することはなく、引退に追い込まれた。
今はちゃんこ屋を営む傍ら、地元の少年相撲のコーチを勤めている。
● 暖簾の屋号の文字は弟弟子の元大関高安の手によるものだ。
「いらっしゃい」。牛久駅東口から歩いて20分。
「ちゃんこ 瞬き」のえび茶色の暖簾をくぐって店内に入ると白いまわしを頭に巻いた萩原寛さんの元気な声に迎えられた。
「去年の4月にオープンしました。暖簾の『瞬き』という文字は高安さんに書いて
いただいたものだし、開店に合わせてスポーツ紙やテレビでも取り上げてもらった。
おかげで、県外から足を運んでくださるお客さんが多かったのはうれしかったですね」
●とはいえ、その分、プレッシャーも大きかったという。
「ちゃんこ好きは飛行機に乗って本場・両国まで食べ歩きに出かける時代でしょ。
ボクが修業した両国の老舗『割烹 吉葉』のものは醤油がベースなのが特徴だから
田子ノ浦部屋のような秘伝のニンニク味噌ベースだと信じ込んでる元ファンにはモノ足りないようなんです。
それで怒られちゃったこともあるけどそれも修業のうち。我慢、我慢です」
●かつてのライバルで協会所属の元大関琴奨菊の秀ノ山親方について尋ねると…
「知ってます?優勝回数は僕の方が多かったんですよ?