08/11/05 00:41:56
【講演】「メディア・ビオトープを育む:地域社会とメディアリテラシー」
◆愛知淑徳大学現代社会学部専任講師・小川明子氏
○ 東京パッチワーク
私たちは、どこに住んでいても、たぶん三重でも、東京には憧れみたいなものが根強くあるだろうと思うのですが、それが具体
的に何なのか、なんだかよくわかっていません。そこで、一つ目に、写真というメディアをツールとして使いながらその憧れの中
身を体験的に分析してみる「東京パッチワーク」というワークショップについてお話しします。
これは私がゼミ旅行でふと思いついて始めた課題です。ただ東京に行くだけだと、普通の観光旅行になってしまうなと思ったも
のですから、せっかくの機会なので身体化された私たちの東京ってどんなものなのかということに気づいて欲しくて始めました。
私たち日本人は、歴史的に都(みやこ)指向というのが非常に高いです。それに、メディアは、特にまた最近加速しているんです
が、東京一極集中を強めていて、ほとんどの情報が東京から、あるいは東京で編集されて届きます。関西大学の黒田先生というか
たがおっしゃっていますが、そんな中で私たちはテレビの舞台、これがドラマであってもニュースであっても、「テレビの世界と
いうのは東京だ」ということが当然のように染み付いているわけです。
また、同様に、私たちは都市空間としての東京にものすごい憧れのイメージがあったりします。特に男の子に多いんですけど、
東京に行くと代官山あたりで芸能人に会えるんではないかと、いまだに頑なに信じていたりするんですが、そんなわけではないで
すよね。東京といっても現実はそんな華やかな世界ばかりでは当然ありません。
そこでイメージどおりの東京、自分が「あっ、これがイメージの東京だった」という東京と、それから「意外だった」あるいは
「これが現実の東京なのか」というふうに感じた東京とを、その場で写真に記録してもらう。その中から、名古屋に帰ってきて10
枚を選んで、「私の見た理想の東京、そして現実の東京」というタイトルでプレゼンテーションしてもらうということをしました。