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続き>>914
しかし、金融機関の空前絶後の利益に貢献した立役者の面々は
法外な報酬を先取りして悠々自適の生活を送っている。宴(うた
げ)のツケを支払うのは、実体経済の悪化に伴う失業と、ドル安
と表裏一体の原油高・食料高による生活費の圧迫で塗炭の苦しみ
を味わう貧困層である。
危機の根因を復習しよう。規制の緩い証券化商品というデリバ
ティプ(金融派生商品)を粗製乱造し、規制の対象外の私募ファ
ンド(ヘッジファンド)相手の新手の証券業務で銀行と証券会社
(投資銀行)が暴利をむさばった揚げ句、銀行にリスクが集中し
て表れていることが問題なのだ。
歴史をさかのぽれぱ、基軸通貨のドルが金本位制の縛りを解か
れて価値基準としての機能を劣化させ、大恐慌の反省で構築され
た厳格な金融制度の骨抜きが始まったのはくしくも同じ一九七〇
年代であった。米国は九九年の金融現代化法で銀行・証券分離の
旧銀行法を葬り去った。基軸通貨国の特権に胡座(あぐら)をか
き、苦し紛れのなし崩し的な自由化とモラルハザードが重なった
古典的な問題に目新しい要素は見当たらず、どうすべきかは明ら
かだ。
しかし、新帝国にも擬せられる米王朝に「王様は裸」と諌言(
かんげん)する忠臣はいない。米国が問題の根源にメスを入れる
かどうかは危機の深度次第だろう。(渾沌)