08/12/27 00:00:17
クリスマス。
カティ・マネキンはパトリック・コーラサワーと待ち合わせした場所に向かっていた。
カティ「一時間前、か…早く来過ぎたかな」
コーラ「大佐~~~」
カティ「!?」
待ち合わせ場所で脳天気に手を振る、コーラサワーがいた。
信じられん、アイツが先に来ているとは……
コーラ「今来たんですか?いやァ、奇遇ですね~俺も今来た所なんですよ~」
肩に雪が随分積もっている…。予想するに、大分前から待っていたのか…
カティ「…この馬鹿者が」
コーラ「何か言いました?」
カティ「いや、何でもない……でも、嬉しい…かな」
しかし呟きは幸か不幸か、コーラサワーには聞こえていなかった。
そのコーラサワーはニコニコしながら振り向く。
コーラ「晩飯、食い行きましょ?イイトコ知ってるんですよ~」
カティ「え…わ、私の為に…そ、そんな……ポッ」
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30分後、カティはトーキョーを見渡せる、超高度の場所に居た。
ネオン、車の光、イルミネーション、それぞれがトーキョーの夜景を彩っている。
カティ「………何だ、ここは?」
コーラ「何、ってトーキョータワーの見学エリアっすよ」
ボカッ
カティ「この馬鹿!フランス料理か何かの予約でもしてくれているのかと思えば……」
コーラ「痛……弁当作ってきたんですよ~景色を肴に食べましょ?」
カティ「む……確かに、小洒落た食事よりは手料理の方が嬉しいがな……」
コーラ「はい、大佐の分。いただきま~すパクパク」
カティ「いただきます……ん、美味しいな」
コーラ「でしょ~エヘヘ。頑張った甲斐があったぜ!」
ボカッ
カティ「調子に乗るな!……綺麗な…夜景だな」
コーラ「痛たた…ヘヘ、昔から嫌な事があったらここにきて景色を眺めてたんすよ。
まるで大きな人間になったかのような気分が味わえて…すっぱり忘れられる…」
カティ「コーラ……」
箸を休め、コーラを見つめるカティ。
コーラの横顔にはどこか、寂しそうな色があった。
コーラ「だから、大佐も嫌な事があったらここに来るといいっすよ」
オレの元に来て、とは言わないのだな……馬鹿者が…
コーラ「ま、もちろん、オレの所に来てくれてもいいっすけどね~」
カティ「……///」
ボカッ
素直になれない自分に腹がたつ。
本当は嬉しい筈なのに。今すぐにでもその胸に飛び込みたいのに。
持って生まれた気質によるヤマアラシの、ジレンマ。
後編に続く