08/12/24 00:10:30
「これは問題だ」
「どれが問題なの？」
クリスマスイブである。
お正月に神社にお参りをしてお盆にゃ先祖をお迎えする御国、経済特区日本はさすがに懐が深い。
様々なものを取り込んでそれを解体・再構成して自分とこの文化にしちゃう能力は世界アリー、
じゃない世界ひろしと言えどもここくらいのもんであろう。
なお、起源がどーのとがなりたてるのとはまた別のお話である。
「子供らのサンタクロースへのお願いを知ったか」
「弟か妹が欲しい、ってんでしょ」
「そうだ」
「オッケー、日本で一番男女が寝所を共にする夜、それがクリスマスイブ！ バッチこいよ」
「そーいう話をしてんじゃない」
さて、セイエイ家にもクリスマス。
この家庭にして、ちゃんと居間にクリスマスツリーが飾られているのは感心するところである。
「これを見ろ、ツリーを」
「……何これ」
「短冊だ」
そう、セイエイ家のツリーには、通常の飾りの他に色紙で作られた短冊が多数、吊るしてあった。
「『母さんの出番が増えますように』『父さんのセリフがもっと増えますように』……えーと、サンタへのお願い？」
「あいつら、七夕と勘違いしていないか」
勘違いするわけおまへんがな。
あんたらの子にしては出来すぎな二人なんでっせ。
ほれ、今夜もより大きなクリスマスケーキと七面鳥の丸焼きを求めてお隣へ行ってますがな。
向こうさんもここのところ胃が痛くなるような日々が続いているから、きっと歓迎されてますでしょうな。
まあ流石にある程度したら帰ってはくるやろうけど、ほれ、やっぱり家族同士で過ごさんとあきまへんからな。
「こんなお願い、正直私らじゃどーしようもないじゃないの」
「うむ、口惜しいが。だが、子供らは俺達二人の、いや俺達だけではない、キャラ全員の活躍を祈っているということだ」
「だからそんなの監督か脚本家に……それより、応えることが出来るお願いから片付けていこうよ」
「……具体的には？」
「最初のお・ね・が・い。そーれ♪」
「ストップ！ 俺がガンダムだ！ 全年齢対象につき却下！」
「うまくいけばこれがクリスマスプレゼントになるじゃない？ 十月十日後に」
刹那の涙雨は夜更け過ぎに雪に――変わらんわなあ。
性なる夜、もとい聖夜に冷たい風が吹く。
嗚呼メリー・メリー・クリスマス。