08/12/10 23:38:40
奥さんはピリピリしていた。
いつもしてんじゃねーかとか、ほほうあの日ですかとか、そういうツッコミはあっても脳内でさらっと流していただければ幸いである。
「……」
で、触らぬ神にタタリなし。
セイエイ家の主である刹那・F・セイエイは、そんな奥さんに対して放置作戦を取っていた。
下手に声をかけりゃあどんな台詞の速射砲が返ってくるかわかりゃせんからである。
なお、子供らはとっくに風を喰らってお隣に退避しているのはもうお約束。
「ちょっと」
「……」
が、いくら刹那の方でノータッチを方針としていても、向こうさんから関わってくる分にはどうしようもない。
何と言うか、やたらと吠えている野良犬がいるから別の道を通ろうとしたが追っかけてくるとでも例えればいいのか。
「ちょっとー!」
「……」
刹那、あくまで無視。
ここで迂闊に相手をするくらいなら、ダース単位のメメントモリに立ち向かった方がまだ被害が少なかろう、てなもんである。
「聞ーけーやーコーラー!」
「ふんがぐぐぐぐ」
ああ、とうとう奥さん実力行使。
刹那に跳びかかると、思いっきりアイアンクロー。
鉄の爪こと故フリッツ・フォン・エリックが見ていたら「オー、グゥレイトー」と評していたかもしれない見事な決まりっぷりである。
「どういうこと、ねぇどういうことよ!」
「ふんががが、何が」
「何が、じゃないわよ! ここまで私の出番がほとんどないじゃない!」
「……知るか、監督か脚本家に言え」
「やっと長めの台詞つきで出たと思ったら、あのにぃにぃズの仇と一緒じゃない! どーなってんの!」
「だから知らんというのに」
奥さん、アニメの方でも放置プレイだったのに相当お冠状態らしい。
下手すりゃ二期は某炭酸パイロット以上の影の薄さで進んできたわけで、まぁ気持ちもわからないでもない。
「あの戦闘狂! 私がぶったおーす! 見てなさいよ!」
「……あいつは敵が多いからな、競争率高いぞ。かく言う俺もあいつを倒さんと多分主人公として先に進めん」
戦争大好き、アリーさんは何せ刹那、ティエリア、ロックオン弟(本人は流していたが)と因縁がある。
しかもリボンズが後ろ盾、もしかしたらこの先、どんどんと「おらー見つけたぞカタキー」という奴を増やしていく可能性大である。
「ここから! ここから私のターンなんだからねっ!」
「知らんがな」
しかしあと十数話ですべてに決着がつくのか、と不安で大きく溜め息をつく刹那であった。