08/11/26 00:46:11
―その日、悪魔が復活する―
《出撃する！タートル002、003遅れをとるなよ》
《タートル002、了解！》
《タートル003、了解であります》
全天周囲モニターがシステムオールグリーンの表示を示すと、無機質だった内壁部分は辺りの景色を鮮明に映し出した。ポコチンは全身に粟立つ高揚感を抑えきれずにいた。
モニターからオペレーターの発進シークエンスに移行するアナウンスが流れる。
【発進準備、ポコチン、モッコリーニ、クサイはそのままオートでカタパルトに。カウントダウンに倣いクラウチングでスタンバイ。発射・射出角度よろし。ハッチ開きます。発進どうぞ！】
《タートル001ヘビーデーモン、ポコチンイきまーす！》
加速するカタパルトの鉄が擦れて火花が飛び散る。クラウチングスタイルから徐々に姿勢を正し、タートルフォースは空中でフォーメーションを取った。
クサイのヘビーデーモンにはEWACが搭載されており、それにも増して機体の大きなモビルスーツを見つけるのは容易だった。
「十時の方向にブラックエンペラーの残骸と思われる機影を確認。熱源反応ありません。」
クサイはタートルフォースに逐一細かな詳細データを送信する。
モッコリーニはデータに目を通していたが、腑に落ちず総毛立っていた。
何かが、おかしい。
クサイは機体をブラックエンペラーの前に着陸させると、大きな機体を小突きながら確認する。
「迂闊だぞ！クサイ、止めろ！」
クサイを制したのはモッコリーニではなくポコチンだった。
「大丈夫ですよ、もうガラクタで…」クサイが喋る途中、突如クサイのヘビーデーモンにケーブルが絡み出した。
ケーブルは完全にクサイの機体を繭のように包み込んだ。
「な、なんだ！？」
繭が、ヘビーデーモンを溶かす。心なしか取り囲んでるケーブルの繭が脈を打つように大きくなっているように見える。
「だ、脱出装置が反応しない！た、助け」
モニターが死に、操縦桿も引けず、クサイは完全にパニックに陥った。
「クサイじっとしていろ。その化け物から貴様を引きずり出す。」
ポコチンは繭目掛けてビームライフルで狙撃した。
上手くコックピットの近くを打ち抜いたポコチンは、素早くクサイを引きずり出した。
ヘビーデーモンを覆っていた繭は、ミミズのようにのたうち回っている。