【人革連】司令【浜田賢二】at SHAR
【人革連】司令【浜田賢二】 - 暇つぶし2ch246:通常の名無しさんの3倍
08/06/03 00:03:17
よかろう、その異名の由来を聞かせてやろう。
あれは私がまだ少年の頃だった。
私は古ぼけた猟銃を一丁持って吹雪うずまくウラルの山中へと登っていった。
家には腹を空かせた妹と弟が十人も待っている。
両親は出稼ぎに出ていて、弟妹たちを守ることができるのは私しかいない。
凍てつくような雪嵐の中、私は狩りのポイントでひたすら待った。
かれこれ三日は経っただろうか、私の前に輝くような白い毛の狼が現れた。
一瞬、私は思ったものだ、これは幼き頃に祖母から聞いた山の守り神ではないのか、と。
白狼と私は対峙した。
気遅れしたら負けだと思った。
そして私は引き金を引いた。

見事白狼をしとめた私は弾む足取りで雪をかきわけ自宅へと戻った。
肉はとれないだろうが、毛皮をはいで売ればかなりの金になるだろうと思った。
それで食糧を買えばいいのだ。
「待たせたな!」と私は家の扉を開けた。
弟妹たちも喜んでくれるはずだ、この獲物を……。

……弟妹たちは両親とテーブルで分厚いステーキを食べていた。
聞けば、両親が賭博で一発当てたとのことだった。
父は言った、「お前は妹と弟をほったらかしてどこへ行っていたのか」と。
母は言った、「もう少しお兄ちゃんとしての自覚を持って」と。

私は再び扉を開けて雪降る中走り出した、涙とともに。



あの毛皮は売っていない。
私の実家に今でも飾ってある。
何人かが「買うぞ」と申し出てくれたが、すべて断った。
そして私にひとつの渾名がついた。
「売らぬの白狼」という渾名が。


それがいつのまにかなまって「ウラルの白狼」に変わった。
ま、そういうわけだ。


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