08/05/11 21:59:48
GJ!
ついにあれを使うのか…
マクロス的展開を期待
201:通常の名無しさんの3倍
08/05/11 21:59:55 7nTz63Za
GJ
なんか、アスランからグレミー(ry
ここでミーアが(ry
202:通常の名無しさんの3倍
08/05/11 22:03:23
ミーアがついに立つ!
203:通常の名無しさんの3倍
08/05/11 22:51:18
GJ
アスランとシンwガトーやコウ、ジュドーやグレミーになって忙しいですね
204:通常の名無しさんの3倍
08/05/11 23:05:14
GJ
アスランの策が上手だったんだろうが…Gチームしょぼいな、トラース相手に何しに来たんだか
リアルタイム変化のドロシー人形にもフォーメーション勝ちできた奴らが・・・
205:通常の名無しさんの3倍
08/05/12 05:46:06
GJ
本当に前哨戦で出張って戦死しちゃったイザディアが生きてたら……
……それはそれで、ガンダムチームとやりあってただけかw
独善ではあるけど凸ではない、そんなアスランもいいなぁ
そして特にヴィジョンもなく未来を勝ち取ってどうすんだ、シンw 少しは考えろw
ムウ逝ったか……え?死んだ?戦後処理誰がやんの?
206:通常の名無しさんの3倍
08/05/12 06:52:09
ユウナがいるだろ。
207:通常の名無しさんの3倍
08/05/12 09:23:53
マクロス展開かw
83のコウとガトーの台詞の応酬からZZのジュドーとグレミーのやりとりにつないだのはニヤリとさせられたなぁ。
208:通常の名無しさんの3倍
08/05/12 10:00:00
>ミンメイアタック
歌っても何の効果もなく戦闘継続って展開なら指示する
異星文明ならまだしも人間同士の戦争が歌で止まるわけがない
209:通常の名無しさんの3倍
08/05/12 10:09:54
え、ビルゴやトーラスを稼働不能にするんじゃないの?
イメージ的にはミンメイアタックというよりむしろ
『ホゲ~~~~~~』とか『ボエ~~~~~~~』でわ…ん、誰か来たかn(ツーーーーー
210:通常の名無しさんの3倍
08/05/12 10:28:09
いや、連合は降伏して、攻撃してきているのはコーディネーターだから、止まる可能性が非常に高いぞ。
嫌な話だが、ラクスの歌にはコーディネーターの精神に干渉する作用があるという公式設定があるからな。
ラクスの歌を反復的に聞いていたコーディネーターの脳には既に条件反射が学習されていて、
非常に近い声質を持つミーアの声を聞いても、鎮静作用を持つ脳内物質を分泌する可能性が高い。
また、種死世界のコーディネーターにとって、ラクスは非常なカリスマである事を忘れてもいけない。
ただの歌手が歌ったって、戦争はとまらんだろうさ。
だが、復活したキリストが戦争停止を叫んだら、止めるキリスト教徒は沢山いると思うぜ。
ミーアは偽者だが、それを表明するまでの間は広い範囲で戦争が停止するだろうさ。
211:通常の名無しさんの3倍
08/05/12 11:19:39
そんな展開は死ねばいいと思う
212:通常の名無しさんの3倍
08/05/12 11:42:25
自分の趣味の押し付けは良くないぜ。
そうじゃないなら、もっと言い方って奴があるはずだ。
本当に嫌なら、何も言わずにここを出て行けば良いだけの話だしな。
まあ、IJの主戦力はビルゴ、主構成員はコーディネーターだから、
普通に考えればアレが止まると同時にラクスの歌が聞こえてくれば、戦意を喪失する奴が多いだろうな。
213:通常の名無しさんの3倍
08/05/12 11:45:38
嫌なのが沸いて来る悪寒・・・
〆なんだからやめてよね
214:通常の名無しさんの3倍
08/05/12 12:33:38
色々言うのは、全部終わってからでも遅くないさw
なにしろあと2話だからな
215:通常の名無しさんの3倍
08/05/12 18:43:22
種関係で『公式設定』ほど二階窓から捨ててしまえなゴミもないわけだが。
いくつかのSSや、あるいはTVもかもだが確かにラクスの歌声に比喩でなく
物理的に洗脳音波作用があったり、あるいは実はチャーム能力付きミュータント
だったりといったパターンもあるにはあるが、少なくとも本作じゃ違うでしょ…
216:通常の名無しさんの3倍
08/05/13 00:32:21
マクロスwww
でも燃えるなぁ。
217:通常の名無しさんの3倍
08/05/15 00:28:58
保守
218:通常の名無しさんの3倍
08/05/16 00:23:47
保守っ!悪いな、一回は一回だ。
219:通常の名無しさんの3倍
08/05/17 23:39:13
保守
220:通常の名無しさんの3倍
08/05/18 16:45:06
保守るぜ~俺に保守させるとみ~んな埋めちまうぞ~
221:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
08/05/18 21:52:42
投下したいんですが、69話は通常の倍以上の文量があります。
長文投下するのと、素直に1話増やして分割するのどっちがいいですかね?
222:通常の名無しさんの3倍
08/05/18 21:57:35
長文でOK
223:通常の名無しさんの3倍
08/05/18 22:34:16
長文カモンカモ~ン!
224:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
08/05/18 23:18:30
では、長ったらしいですが投下します。
225:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
08/05/18 23:19:33
周囲に巨大な岩塊が幾つも浮いている。巨大といっても、それはあくまでモ
ビルスーツや艦艇の大きさと比較してであり、広大にして膨大なる宇宙におい
て、それらは所詮小石程度の大きさでしかない。
地球が肉眼でハッキリと見える宙域に漂うそれらの岩塊は、かつてプラント
と呼ばれた一つの残骸。ユニウスセブン、血のバレンタインが起こった地にし
て、テログループによって地球へと墜とされるはずだった墓標。ザフトが砕き、
そのまま放置されていた岩塊群であるが、現在この宙域において激しい戦闘が
繰り広げられている。
そう、破竹の勢いで進撃を続けるインフィニットジャスティスに対し、世界
統一国家軍の残存兵力は戦線を後退させ、いつの間にかユニウスセブンの跡地
とも言うべき場所が主戦場へと変わっていたのだ。前大戦から考えれば、ここ
はまさに始まりの地。全ての因縁が、憎悪が、対立がぶつかり合って、今日ま
で続いた戦い。それは、この場所から生まれたと言っても過言ではないはずだ。
その主戦場において、二機のモビルスーツが激しく、そして雄々しい姿を見
せつけながら一騎打ちを繰り広げている。
「世界統一国家軍は、地球はあんたに対して敗北を認め、降伏した! それで
もあんたは地球を壊すって言うのか!」
大振りの斬撃が繰り出され、必殺の威力を持った一撃がジャスティスに迫る。
ジャスティスはビームシールドを展開すると、相手の攻撃を受け流すように斬
撃の軌道を逸らす。
「シン、地球育ちのお前にはわからないんだ。地球に住むナチュラルなんて、
この宇宙の害虫でしかないということが」
ビームライフルを突きつけるジャスティスだが、デスティニーはバルカン砲
を連射し、ライフルを持つ右腕を衝撃で弾く。
「アスラン―!」
すかさずジャスティスの蹴りが飛び、爪先のビームブレイドがデスティニー
を掠める。シンは歯を食いしばると、再び構えるジャスティスのビームライフ
ルを機体の左手で掴んだ。
「俺はあんたほど人類に失望してなければ、絶望もしちゃいない! 人は、や
り直せるはずだ!」
ビーム砲がライフルを破壊し、アスランは舌打ちしながら残骸を投げ捨てる。
「無理だな。その前にナチュラルとコーディネイターは、互いに互いを滅ぼす
さ。人類の歴史は戦いの歴史だ! 敵がいる限り、戦いはなくならないんだ
よ!」
前大戦時、アスランは戦いを、戦争を止めるために、世界を平和にするため
に必死で戦った。しかし、彼が掴み取った平和は、一年と少しで脆くも崩れ去
った。
「失敗しても、転んでも、それでも起ち上がって前に進む。それが人だ!」
シンの叫びが、アスランに響く。だが、彼にとってそれはビジョン無きロマ
ンチズム以外の何物でもない。
「だったら、俺を倒してそれを証明してみろ! シン・アスカ!」
第69話「運命の歌姫」
226:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
08/05/18 23:21:10
別の場所においても、モビルスーツ同士の激しく、そして苛烈な戦闘が行わ
れていた。
「仮初めの和平など、所詮は虚構に過ぎなかった。少しの刺激を与えるだけで、
この世界はまた戦争を行った。何故だと思う!」
サトーは叫びながら、機体のビームサーベルを振り上げてレオンに斬りかか
った。ブルムもまたビームサーベルを引き抜き、これに対応する。
「軍人が戦争の意味を問うとは、ナンセンスだな!」
レオンのビームサーベルが、ブラックリーオーのビームサーベルと激しくぶ
つかり合う。出力は互角、だが、パワーならばレオンに分がある。
「貴様が軍服をまとっていたのは、国を守るという誇りがあったからだろう
に!」
「その誇りをくれたのがプラントなら、奪ったのもプラントなのだ! 妻と娘
を奪った血のバレンタイン……あんなことを行った地球と、クライン派は手を
取り合った!」
技量でいえば、驚くべきことにブルムとサトーのそれは拮抗していた。いく
ら歴戦の戦士とはいえ、異世界の機体をここまで操るには相当の努力が必要だ
ったろう。イザークやディアッカのような天才ならばともかく、サトーは単な
る武人に過ぎない。
「そんなプラントやクラインのために戦う者たちに、私は負けん!」
「守るさ。守るために戦う、それが騎士だ!」
マシンキャノンが火を吹き、ブラックリーオーの機体が衝撃に揺れる。サト
ーは距離を取ると、ドーバーガンを構える。
だが、ブルムの反応は砲撃よりも早かった。
「遅いなぁっ!」
機体を加速させ、敵機に急接近したレオンは、その太い両腕でドーバーガン
の砲身を掴み取った。
「ぬぅんっ!!」
「なっ!」
メキメキと音を立て、ドーバーガンの砲身が潰されていく。決して柔らかい
わけではない、チタニュウム合金が折れる。
「なんという揚力……!」
「小細工はそろそろ抜きにしようではないか」
「どういう意味だ?」
「男と男、戦士と騎士、互いに意地があるのなら、体と体でぶつかり合って、
そいつを押し通せばいいのだ!」
潰して引き千切ったドーバーガンの砲身を捨て去ると、ブルムは距離を取っ
てビームサーベルを構えた。小技も小細工も必要ない、一対一の真っ向勝負。
「貴様も戦士ならば、一騎打ちの真髄を見せつけてみろ!」
その言葉に、サトーの体は痺れを覚えた。
「……真っ向勝負か。良いだろう、叩きのめしてくれる!」
こちらもビームサーベルを引き抜き、突きの構えを取る。
静寂が訪れた。深遠なる宇宙、まるでこの二機の時間だけが止まってしまっ
たかのような、刹那の時。
先に動いたのは、サトーのブラックリーオー。
227:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
08/05/18 23:22:20
ブルムは、僅か一瞬、常人では気づかないであろう一瞬、遅れた。
「とったぁっ!」
レオンがビームサーベルを振り上げたまさにその時、ブラックリーオーのビ
ームサーベルがレオンの右胸部を貫いた。そして、そのまま機体を斬り裂き、
右肩から右腕を斬り飛ばした。
「勝った、勝ったぞ!」
サトーは歓喜の声を上げた。異世界の騎士に、自分よりも強い男に、自分は
今勝利した。まだ終わってはいない、我々は、インフィニットジャスティスは
戦える!
「いや……終わりだ!」
衝撃がブラックリーオーの機体を打ち砕いた。
サトーは何が起きたのか理解できなかった。彼に分ったのは、一撃でコクピ
ットが破壊され、自分が残骸に押しつぶされようとしていることだった。
「ガ…ハッ……」
血塊が、口から吐き出された。ノーマルスーツごと、コクピットとともに身
体を砕かれた。
「拳、だと」
そう、右胸部を貫かれ、右肩から右腕を斬り飛ばされた瞬間、ブルムはレオ
ンの左拳を、ブラックリーオーのコクピットに叩き込んだのだ。勢いある拳の
一撃が、たった一発でコクピットを砕いた。
肉を切らせて、骨を断つ。以前、ロッシェがとったのと同一の戦法を、ブル
ムも使ったのだ。そして、その効果は絶大であった。
「これも、国を裏切り、世界に反旗を翻した者への……報いか」
消えうせる意識の中、サトーの頭に思い浮かんだのは愛していた妻や娘のこ
とではなく、彼が担ぎ上げ、彼の期待に応えて戦ってくれた少年の顔だった。
「アスラン、ザラ。後は、あなたに任せます。どうか、パトリック・ザラの、
われらの遺志を……」
ブラックリーオーの機体が動作を停止した。コクピットを破壊され、もはや
動くことのなくなった機体を、レオンに乗るブルムは静かに見つめている。
「相手が悪かったな。俺は、二度死ぬつもりはなかったんでな」
その言葉を聞く者も、答える者もこの場にはもういなかった。
デスティニーのビーム砲がジャスティスを襲う。アスランはこれをビームシ
ールドで受けきった。
「大した防御力だよ、まったく」
始めは満足に戦えるかとも思っていたのだが、今や自分が確実にシンとデス
ティニーを押しているという自覚がアスランにはあった。デスティニーの力は
確かに強い。性能も、そしてパイロットであるシンの実力も自分に匹敵するほ
どにまで成長している。
だが……
「相性が悪いみたいだな、俺とお前では!」
アスランのジャスティスが徹底的なまでに近接格闘戦に拘って強化されたの
に対し、シンのデスティニーはどう見ても拠点攻略用の局地戦兵器だ。戦艦や、
大型モビルスーツなどには絶大な効果を発揮するだろうが、単体の一騎打ちに
は武装の大きさからして不利なのだ。無論、シンの実力を持ってすれば並のモ
ビルスーツやパイロットなど一瞬で蹴散らせるが、今彼と戦っているのは当代
きっての英雄アスラン・ザラだ。容易に勝てる相手ではない。
228:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
08/05/18 23:23:59
「それでも、俺はあんたを……アスラン・ザラを倒さなくちゃ、超えなくちゃ
行けないんだ!」
自分のような優秀でもなく、他者より優れているところがあるわけでもない
コーディネイターが、万が一にでも英雄を倒すことが出来れば……あるいは人
は、それに希望を見出してくれるのではないか。
「愚かな、そんなものは夢だ。愚か者が見る、虚構に過ぎない!」
あろうことかビームシールドを武器に、デスティニーへと攻撃を仕掛けるジ
ャスティス。
「夢を見て何が悪い! 人が一歩前を踏み出すには勇気がいるんだ!」
そう、俺は……俺はそんな人たちの……
「勇気となって、その人たちの背中を押してやりたい!」
ビームシールドで強引にアロンダイトを押し戻されながらも、シンは歯を食
いしばってその場で堪える。
「ならば、今すぐ全人類に英知を希望を与えてみたらどうだ! お前は出来も
しないことを、きれい事を並べてほざいているだけだ」
「あんたを倒してから、そうさせてもらうさ!」
減らず口を応酬しながら、二機が激突を繰り返している。理想を捨て、彼な
りの現実を見据えて覇道を突き進む男と、理想を捨てず、勇気を振り絞って正
道を歩く男の、真剣勝負。
彼らの周囲には幾つか有人機もいたのだが、戦いに割っては入れるような状
況ではなかった。ただ、メインカメラに激しさを増す光景を焼き付け、周囲に
向かって送り続けている。何分、何時間経ったのか、時間の感覚すら彼らには
なかった。
互角と断言しても差し支えのない二人の死闘は、そう簡単に終わるものでは
ないかに見えた。だが、彼らの戦いに対し、ルナマリア・ホークが介入したこ
とで事態は一転した。
「シン、アスラン!」
ルナマリアは別に、二人の戦いに横やりを入れるつもりはなかった。単純に、
二人の所在を確かめるべく接近しただけなのだろう。しかし、シンは彼女が援
護をしに来たと勘違いをしてしまい、こう叫んだ。
「ルナ、来るな!」
その叫びは、結果としてルナマリアが彼らに近づきつつあるといことをアス
ランにも教えることになってしまった。緊迫した状況下で、アスランはルナマ
リアの存在に大きく舌打ちをした。
「ルナマリアか……女如きが男同士の戦いに割ってはいるな!」
とんでもないことを叫びながら、アスランは機体を反転してルナマリアの乗
るインパルスへと迫った。
「よせ! アスラン!」
シンの制止を振り切り、ジャスティスはビームサーベルを構えてインパルス
へと飛び込む。インパルスはビームライフルを斉射してこれを迎撃するが、そ
の程度ではジャスティスを止めることは出来なかった。
「相変わらず射撃が下手だな、君はっ」
ビームサーベルとビームブレイドの連撃が、瞬時にインパルスを斬り裂いた。
ボディや脚部を斬り裂かれ、コクピットたるコアスプレンダーが剥き出しにな
る。
229:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
08/05/18 23:25:11
「そんな―!」
ルナマリアは悲鳴に近い声を上げた。コアスプレンダーは、現在飛行能力に
以上を来しているため、脱出することが出来ない。このままでは、殺される!
だが、アスランはすぐにルナマリアを殺したりはしなかった。なんと、彼は
コアスプレンダーを抱えるとそのまま宙域から離脱を計ったのだ。
「ま、まてっ!」
慌ててシンもその後を追う。砲撃したくても、ルナマリアを盾にされては困
るし、あるいはアスランの狙いはそれなのかも知れなかった。
加速を続ける二機であったが、アスランはユニウスセブンの残骸の中でも一
際大きい岩塊を見つけると、そこに降り立った。後を追うシンも、機体をそこ
に着地させる。
コアスプレンダーを左脇に抱えるアスランは、ビームサーベルを持つ機体の
右手をデスティニーに突きつけた。
「シン、ルナマリアの命が惜しかったら武器を捨て、投降しろ」
コクピットの中でルナマリアと、そして言葉を投げかけられたシンが衝撃に
震えた。
「アスラン……あんたはどこまで腐ってやがる!」
「何とでも言え。俺は覇道を歩いている。正々堂々の勝負なんて、これ以上し
ていられるか」
視線でモビルスーツが壊せるならば、シンは百回でもジャスティスを破壊し
ていただろう。シンは、操縦板に拳を叩き付けると、デスティニーのアロンダ
イトを地面に投げ、ビームブーメランも取り外した。
「シン、私に構わないで!」
死の恐怖に怯えながらも、気丈にルナマリアは叫ぶ。だが、シンには彼女を
見捨てることが出来なかった。
「馬鹿な奴だな。ルナマリアを見捨てて戦い続ければ、俺に勝てたかも知れな
いのに。そんなに仲間の命が大事か?」
「仲間だからじゃない。誰のものであろうと、命はかけがえのないものだ。例
えアスラン、あんたみたいな屑野郎の命でもな……」
吐き捨てるように言うシンと、嘲笑するアスラン。アスランにとって、シン
の言い分など甘ったれたガキの戯言でしかなかった。
「それで自分が死んだら何の意味もないな。良いだろう、ルナマリアは見逃し
てやる。けど、その代わり……」
アスランはビームサーベルを構える。シンはそれに対し、動きを見せようと
しない。
「その代わり、お前の命は俺が貰う!」
コアスプレンダーを抱えたまま、ジャスティスが走り出す。どうすることも
出来ない、シンが覚悟を決めた。
その時だった―
アンカーランチャーが、ジャスティスの左腕に打ち込まれた。衝撃に、アス
ランは思わずコアスプレンダーを落としてしまう。
「だ、誰が!?」
あり得ぬ方向からの攻撃に目をやるアスラン。
そこにいたのは…………
230:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
08/05/18 23:27:01
「お前が正しいかなんて俺はどうでも良い。ただ一ついえるのは、今のお前が
堪らなく醜い悪党に成り下がりつつある、それだけだ」
ボロボロの機体。修理も満足に行われていない、その機体をアスランは、そ
してシンは見覚えがあった。
「ストライク……スウェンか!」
弾き飛ばされたコアスプレンダーをキャッチしながら、シンが叫んだ。スウ
ェンは答える間もなく、機体を飛ばし、デスティニーの手からコアスプレンダ
ーを奪う。
「こいつは俺に任せろ。お前はそこにいる小悪党を、さっさと倒せ」
『ちょ、ちょっと私は―』
スウェンは、抗議するルナマリアを連れてそのまま離脱した。一瞬の攻防劇
に、アスランは唖然としてしまったが、すぐに我に返った。
「くそったれ!」
頭部の2連装近接防御機関砲と、胸部のCIWSを連射してデスティニーが地面に
投げた武器を撃つ。ビームブーメランは弾き飛ばしたが、大剣のビームソード
は……
「アロンダイトォォォォォォォォオッ!!!!」
寸前のところでアロンダイトを掴み取ったデスティニーが、大剣を勢いよく
振りかざし、剣先を突きつけるように構えを取った。
「アンビデクストラス・ハルバートッ!!!!」
迎え撃つべく、ジャスティスもまた二刀のビームサーベルを連結させた、最
強の双頭刃形態を取る。
『ハァッ!!!』
同時に叫ぶとともに二機が正面へと飛び出し、縦と横の一閃がそれぞれ交錯
しあう。デスティニーは片翼を斬られ、ジャスティスは頭部のアンテナを斬り
落とされた。
振り向き様に二機は中空へと跳び上がった。
「くらえっ!」
ジャスティスからグラップルスティンガーが発射され、デスティニーへと迫
る。シンはパルマフィオキーナでこれを吹き飛ばすと、高エネルギービーム砲
でジャスティスを狙い撃つ。
アスランは素早い動きでこれを避けると、さらに斬りかかろうとするデステ
ィニーに急接近し、グリフォンビームブレイドでビーム砲の砲身を叩き斬った。
シンはパーツをパージし、前方に加速して距離を取る。同じくアスランも前
方に飛び出してから、機体を旋回させる。
「ウォォォォォォォォォォォォォォォォォオッ!!」
「ハァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!」
二機が激突し、地面へと落下する。
ともに胸部を破損したが、デスティニーが膝をついたのに対し、アスランの
ジャスティスは地に足を着けて立っている。
「おのれ、この程度の損傷……!」
破損箇所を庇いながら、アスランが呟く。
機体を奮い立たせながら、シンのデスティニーがアロンダイトビームソード
を構え直した。それを見て、アスランもジャスティスのアンビデクストラス・
ハルバードを構える。
231:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
08/05/18 23:28:11
「シン、お前は弱者だ! お前は弱いからこそ、力がないからこそ、そうやっ
てきれい事並べることしかできない。だが、俺は違う。俺は覇道を突き進む、
強者なのだから! そんな俺が、お前なんかに負けるものか!」
叫び、轟き、アスランとジャスティスが飛び出した。
「そうだ、俺は確かに弱い。あんたみたいに自分の実力に自信も持てないし、
英雄なんて大層な異名を持ってもいない。だけど、だからこそ俺は!」
その時シンの脳裏に掠めたのは、一人の少女の姿。それはかつて、彼に勇気
と、強さを取り戻させてくれた、大切な存在。
「弱いからこそ、心だけは、強く生きていきたい!」
翼を広げ、大剣を振り上げたデスティニーがジャスティスに立ち向かう。
二機の距離は、至近であり指針。
「勝負だ、アスラン・ザラ!!!」
シンの叫びと、
「来い、シン・アスカ!!!」
アスランの叫びが、真っ向から激突する。
『オォォォォォォォォォォォォォォッ!!!』
互いの魂を揺らす覇道と衝撃が、ぶつかり合う大剣と双頭刃を通して二人に
伝わってくる。アロンダイトの刀身に、ビームサーベルの刃が叩き付けられ、
激しい鍔づり合いを起こす。
威力は互角―いや、
「ウァァァァァァァァァァァァッ!!!!!」
シンの斬撃が、アロンダイトの一撃がアスランのジャスティスを斬り破った。
ジャスティスはアンビデクストラス・ハルバードごと、その機体を弾き飛ばさ
れた。
「嘘、だ……」
勢いよく地面に叩き付けられる機体の中で、アスランは呆然と声を出した。
全身全霊を込めたはずの一撃が、跳ね返されたとでも言うのか。慌てて機体を
起ち上がらせようとするアスランだが、機体の軋む音が響く。今の一撃は、必
殺となってジャスティスの機体を破壊していた。
「俺が、シンに、シンなんかに」
まだだ、まだ終わってはいない。この上は、ビルゴを呼び寄せてでもこの場
を切り抜けなくてはならない。
アスランはビルゴを呼び寄せようと手を伸ばし、ある異変に気がついた。何
か、微かな声のようなものがコクピットに響き渡ってくる。
「なんだ、これは」
外部チャンネル。アスランは、声が流れるチャンネルに合わせると、音量を
一気に上げた。
「ミーアの、歌声……?」
232:通常の名無しさんの3倍
08/05/18 23:28:40
支援
233:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
08/05/18 23:29:28
その頃、主戦場では奇跡が起こっていた。見た者全てが、それを奇跡という
意外に形容できなかった。
「ビルゴが、動きを止めていく」
世界統一国家軍側のパイロットが、呆然と呟いた。突然、綺麗な歌声が全自
動通信で流れ込んできたかと思うと、次々にビルゴが動きを止めていったのだ。
この歌声、この世界に生きる者ならば、大抵の人間が知っている。
「何故だ、何故ビルゴの制御が出来ない!」
ウルカヌスにおいてもこの異常事態に混乱が起きていた。ラクス・クライン、
いや、ラクス・クラインの偽物と思われる存在の歌声が線上に響く中で、彼ら
の主戦力たるビルゴがこちらの命令を受け付けず、機能停止を始めているのだ。
操作も命令もできずに、彼らは立ち尽くしている。
ザフト軍は終結が近いことを悟っていた。
スコーピオ率いるビルゴ部隊もまた、この歌声が流れるとともに飛来した光
り輝くモビルスーツの前に機能を停止してしまったのだ。
「ラクス・クラインの歌が戦闘を止めている……?」
スウェンとともに帰還したルナマリアは驚きを隠せないと言った風に呟くが、
スウェンには異なる見解があった。だが、今のところはルナマリアが思うよう
な事実が重要視されるのだろう。
一機のモビルスーツが、翼を煌めかせながら戦場を飛び続ける。
歌姫の歌声に乗せられて、青く輝く粒子が戦場に舞い、モビルドールが一機、
また一機と行動不能に陥っていった。これこそが、ガンダムアクエリアスが持
つ機能、対MD用電子戦装備アンチMDシステム。
半径100km以内に存在する全てのモビルドールにコンピュータウイルスを送
信し、機能障害を引き起こし、活動能力を奪うこの兵器は、まさに支援用のモ
ビルスーツだからこそ持っている秘密兵器だった。ロッシェは戦場を飛び回る
ことで制限範囲を無くし、戦場にいるモビルドールというモビルドールを駆逐
していった。動けなければ、ただの人形でしかないのだから。
「それにしても、本当に良い歌声だ……」
彼のコクピットにも流れる歌声、ミーア・キャンベルが歌う歌も、全ての戦
場に、全世界に向けて発信されている。アクエリアスの機能を知らなければ、
人はミーアの歌によってビルゴが動きを止めていると思うだろう。
ロッシェの狙いは、まさにそれだった。
「アクエリアスを使えば、ビルゴを止めるのは簡単だった」
だが、ロッシェはそれだけでは何の意味もないと感じていた。ただビルゴの
動きが止まるだけでは、敵は抵抗を止めないだろう。
そこで、殊更に劇的な効果を狙ってロッシェはミーアの歌を選んだ。相手の
戦意を、根本から打ち砕き、引き抜くような力を、ミーアに求めたのだ。
その効果は、絶大だった。
「戦いを決するのは、兵士じゃない。ミーア、君のように心の底から平和を願
い、それを歌という形にして送り出せる人が、必要なんだ」
遅れて戦場に到着したガンダムチームも、目の前で起きている光景に目こそ
疑わなかったが、衝撃を憶えていた。
234:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
08/05/18 23:31:16
「凄いな、あんな特殊能力があったのかよ」
対モビルドール用兵器を搭載していたとは、さすがのデュオも考えていなか
った。
「恐らく、あの兵器でビルゴの動きを封じてエピオンが殲滅するという戦略だ
ったのでしょう。何せ、兄弟機ですから」
カトルの言葉に全員が頷く中、トロワが提案をする。
「とはいっても、あるいは一時的な効果かも知れない。再起動の危険性がある
ことだし、今の内に全機破壊しておくべきだろう」
「動かぬ人形ほど歯ごたえのない敵もいないが、賢明な判断だろうな」
ガンダムチームはそう言いながら各自ビルゴを殲滅するために飛び立つが、
ここで彼らは一つの失敗をしている。誰か一人、一機だけで良いからウルカヌ
スの制圧に向かうべきだった。彼らがそれをしなかったのは、もちろんビルゴ
が再起動する危険性を重要視したことと、ウルカヌスにはもう戦力など残って
いないと判断したからだった。
勝敗は、決した。どちらが勝ったわけでも、負けたわけでもない。だが、勝
利できなかった、その時点で、アスランは負けを悟らざるを得ないのかも知れ
なかった。
倒れたまま動かぬジャスティスに、シンのデスティニーが歩み寄った。
「アスラン、あんたの負けだ。潔く降伏しろ」
シンがすぐにアスランへトドメを刺さなかったのは、彼の口から敗北を宣言
させ、インフィニットジャスティスの抵抗を止めさせる必要があったからだ。
もう戦いは終わっている、これ以上、人が傷つくことはないはずだ。
「俺は……」
絞り出すような声で、アスランが呟く。彼の瞳には、まだ強い輝きがあった。
「俺はまだ、敗者になるわけにはいかない。俺はそんなに、諦めが悪くない!」
アスランが機体を動かし、無理矢理飛び立たせた。
「アスラン、あんたはまだ―!」
ジャスティスが支援空中機動飛翔体ファトゥム-01を切り離した。ハイパーフ
ォルティスビーム砲を撃ちながら、ビームサーベルを展開してデスティニーへ
と突っ込んでくる。
「こなくそっ!」
砲火を受けながらもアロンダイトで受け止めるデスティニーだが、その威力
と衝撃に機体と刀身が揺れた。
それでもその場に踏ん張り、シンは何とかファトゥムを斬り裂いた。
「アスランは!?」
見ると、ジャスティスはウルカヌスの方へと飛び去っていく。
「くそ、待て!」
追いかけようとするシンであるが、機体が言うことを訊かない。度重なる戦
闘による損傷が、機体の自由を奪っていたのだ。
「このままじゃ」
焦るシンであったが、その機体を、別の機体が支えた。驚いてシンがメイン
カメラを向けると、オデルのアスクレプオスがシンのデスティニーを支えてく
れてくれている。
235:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
08/05/18 23:32:26
「シン、良くやったな」
「オデルさん……」
「みんな見ていた。お前の勝ちだ、お前はアスランに勝ったんだ!」
勝った……? オデルに言われても尚、シンには実感が沸かなかった。無我
夢中だった。ただ、自分の想いをさらけ出して、アスランにぶつけただけだ。
「お前の想いが、お前の意思がアスランを打ち破ったんだ。胸を張って、ミネ
ルバに帰ろう」
「で、でも、アスランはまだ!」
「大丈夫だ、もうウルカヌスには戦力なんて残っていない」
事実のはずだった。インフィニットジャスティスは、ウルカヌスにある全て
のビルゴⅡを戦場に投入していた。それらは全てロッシェの手によって自由を
奪われ、今現在ガンダムチームによって破壊されている。
だが、彼の知らない、またガンダムチームの気付いていない兵器が、戦場に
は残されていた。
損傷し、満足に飛ぶことも出来ない機体を動かしながら、アスランはウルカ
ヌスへと急いでいた。空中分解してもおかしくないほどに損傷した機体は、ア
スラン・ザラがシン・アスカの前に敗北した、確かな証拠と言えなくもない。
「どうして、どうしてこんなことになった……」
コクピットの中で、アスランは呟いている。
こんなはずではなかった。圧倒的なビルゴの力を持って敵を壊滅させ、地球
を制覇し、プラントでの覇権を樹立する。心強い友と、多くの仲間、彼らと手
を取り合い、覇道を歩み続けるはずだった。
だが、ディアッカ・エルスマンが死に、イザーク・ジュールが死んだ。かつ
ての友、キラ・ヤマトに至っては自ら手を下してしまった。メイリン・ホーク
は彼の元を去り、いつの間にか、アスランは一人になっていた。
「俺は……」
アスランはそれでも、戦意を失ってはいなかった。彼は、自分には責任があ
ると思っていた。
その責任とは、一体どんな、そして誰に対してなのか。
「決まってる。これまで倒し、殺してきた全ての人間と、覇道を歩むと決めた
自分自身にだ!」
故に、アスランは勝者とならねばならない。どんな手を使ってでも、例え最
後の一人になろうとも、戦い続けなければならないのだ。
眼前に迫るウルカヌス。その周囲には、アクエリアスによって強制的に機能
停止させられたビルゴⅡが何機も漂っている。アスランは、その中から目的の
機体を見つけた。
赤く、そして巨大な機体は見たところ傷一つついてはいなかった。
「俺はまだ負けない。俺は弱者にも、敗者にもならない!」
コンソールを操作し、コードを入力していく。
入力されたコードは……
―56WI―
236:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
08/05/18 23:33:22
プリベンター巡洋艦へと帰還したロッシェは、機体の王宮整備と補給を済ま
せる中、ハワードにある注文を付けていた。
「ジェネレータの出力を弄って、ビーム兵器も使えるようにしろだと?」
「あぁ、システムとのリンクを切れば、ビームサーベルぐらいは使えるように
なるはずだ」
「出来ないことはないが、もう掃討戦だけのはずだ。そこまでする必要が……」
「あるさ。あるから頼んでいる」
あるのかと問いかけるハワードに対し、ロッシェはあると断言した。ロッシ
ェは、自分がもう一度だけ出撃する必要があると確信していた。
そんな彼の元へ、ミーアが駆け寄ってきた。
「ロッシェ、さっきの歌、あたしの歌、どうだった!?」
抱きつくように飛び込んでくる彼女を、ロッシェは優しく抱きかかえた。
「良かったよ、良かったに決まってるさ。他でもない、君の歌だ」
「ありがとう。これで、戦いは終わるのね……」
興奮による震えを隠せないミーアであったが、ロッシェは小さく首を振った。
「残念だが、私にはまだやり残したことがある」
「えっ、やり残したこと?」
世界統一国家軍は敗北を宣言し、インフィニットジャスティスはその主戦力
を失った。この状況下にあって、戦闘は終わったと思うのが普通であるはずだ。
少なくとも、ロッシェともう一人だけを除いて誰もがそう思っていたはずだっ
た。
「ほんの些細な、野暮用ともいえるものだ。だが、それだけに譲れないもので
もある」
ロッシェは、視線をミーアからアクエリアスへと移した。ミーアは直感的に、
それが何を意味するのか気付いた。
「まさか、まだ戦うつもりなの?」
「……あぁ」
「どうして? だって、もう敵なんて!」
叫ぶミーアの口を、ロッシェがそっと指で塞いだ。
驚いたように、ミーアが眼をパチクリとさせる。
「ミーア、私は馬鹿で愚かな男だ。本来なら君に愛しされる資格などない、つ
まらない男なんだ」
指を離して、ミーアに背を向けるロッシェ。ミーアはその背に手を伸ばすが、
届かない。
「奴は私に手袋を投げてきて、私もそれを受け取った。ならば、最後の最後に
は白黒ハッキリさせる必要がある」
出会いがどうであるとか、始まりが何であったかなど関係ない。刃を突きつ
けられ、こちらも突き返した。
理由など、その程度で構わない。
「決着を付けに行く。この世界に対してのケジメを、私はつける」
奴もきっと、それを考えているはずだ。
ならば、私も剣を取らなくてはいけない。
「そうだろう? アスラン・ザラ―」
237:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
08/05/18 23:34:23
スコーピオが、ゆっくりと再起動を始めていく。
モビルドールとしてではない。モビルドールシステムを封じられた以上、動
くことはあり得ない。だが、スコーピオにはアクエリアスと同じく、ある機能
が備わっていた。それは、特殊な解除コードを入力することで機体を変形、有
人型のモビルスーツとして起動させることが出来るのだ。
「俺は戦う。最後の一人になったとしても、俺の命と魂を、俺が英雄として生
きる全てを賭けて!」
モビルスーツスコーピオ、パイロットは英雄アスラン・ザラ。
アフター・コロニー最大最強の機体と、コズミック・イラ最強の戦士がここ
に合わさった。
無論、その光景はガンダムチームの知るところとなる。
「スコーピオだと!」
ヒイロが彼にしては珍しく焦りの声を出した。スコーピオは、かつて彼が倒
したはずの機体だったからだ。
「恐らく、予備パーツを元に組み立てたのだろうが……あれがいるとはな」
軽く唇を噛みしめながら、トロワが呟いた。あの機体は、一機だけでコロニ
ーすら破壊できるだけの力を持った強大強力なモビルスーツだ。前回は、モビ
ルスーツパイロットとしては何の取り柄も才能もない狂信者が乗っていたから、
何とか早期に倒すことが出来たが……
「異世界の人間といっても、英雄と呼ばれているほど男です。早く止めなけれ
ば、大変なことに」
「おい、スコーピオもそうだけど、ウルカヌスの様子がおかしいぞ!」
デュオの叫びに、一同がモニターを確認する。見れば、ウルカヌスが突如急
速前進を始めたのだ。
「まさか、あれを地球に落とすつもりか?」
険しい目つきで五飛が問いかける。その問いに対する答えを、誰もが口にす
るのを拒んでいた。
どちらにしろ、止めなくてはいけないのは事実だが。
「スコーピオを破壊して、ウルカヌスも止める。それしか方法はない」
ヒイロが機体をウルカヌスへと飛ばし、残る機体もそれにならった。その姿
を、遠くからアスランが確認する。
「来たか、異世界の邪魔者どもが!」
アスランの叫びに呼応するかのように、ウルカヌスのハッチから二十機ほど
の機体が飛び出してきた。
「おい、ビルゴⅡは全部出払ったんじゃなかったのかよ!?」
驚きの声を上げるデュオだが、機影を確認したカトルが愕然とした。
「あれはビルゴⅡじゃない……ビルゴⅢ、ビルゴの最終形態です!」
切り札は最後の最後まで取っておく。古典的な戦術を、アスランは守ったに
過ぎない。だが、この局面にあってその効果は絶大であると言わざるを得ない。
さすがのガンダムチームも、これを突破するのは簡単ではないのだ。
「常に相手の先手を打ち、翻弄する。それが俺の、アスラン・ザラの戦術だ!」
ビルゴⅢで倒せるとは思えないが、時間を稼げればそれでいい。弱ったとこ
ろを自分で倒すのも良いし、その前にウルカヌスが地球へ落ちれば、こちらの
勝利だ。
「勝利は俺の手の中にある……最後の勝者は、俺なんだ!」
シンに負けたがどうした、たった一度の敗北、いくらだって挽回は出来る。
何回負けようとも、最後の時点で勝っていれば問題はない。
238:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
08/05/18 23:36:07
「ならば、その手ごと貴様の勝利を斬り落としてやろう」
声は、アスランの背後から響いてきた。
華麗で、優雅とさえ思うその声に、アスランは機体を振り向かせた。
目に映るのは、青く輝き、翼を広げる機体。
「ロッシェ・ナトゥーノか」
「そうだ。アスラン・ザラ、お前を殺しに来た」
アクエリアスは右手に一本のビームサーベルを持っていた。ウイングゼロの
予備であり、出力はリーオータイプのそれと桁違いだった。その剣先を、真っ
直ぐとアスランの乗るスコーピオへと突きつける。
「何故だ……何故、異世界の人間が俺の邪魔をするんだ」
「なに?」
「お前らにとって、この世界など何の関わり合いもない、こんな世界がどうな
ろうと知ったことではないはずだ! なのに何故、命を賭けてまで戦いを挑ん
でくる!?」
彼らにとって、この世界が許せないものだからなのか? 価値観の差違か、
それとも主義主張の違いか。だが、どんな理由にしても異世界の人間である彼
らが、ロッシェが自分を否定し、世界を否定することな出来ないはずだ。
そんな資格、あるわけが……
「確かに、私にはこの世界を否定する理由も、権利も、持ち合わせてなどいな
い。お前の言うとおり、心の中ではどうなろうと構わないとさえ、思っている
のかも知れない」
「だったら、何故お前は俺の前に立ちはだかり、剣を向ける!」
邪魔をするな。邪魔をしないでくれ。
後少し、後少しで夢が、覇業が達成する目前なんだ!
「しかし、私にはお前と戦うだけの確かな理由が三つある」
「理由だと……」
「そうだ、私が騎士として、男として貴様に剣を向けるだけの理由だ!」
それは一体、なんだ。俺はこの男に、何をしたというんだ?
呆然と、そして唖然とするアスランは、さらに愕然とする羽目になる。
「お前は私の友人、ハイネ・ヴェステンフルスを殺した!」
「ハイネ……?」
アスランにとっては既に懐かしさすら感じる名前が、ロッシェの口から出さ
れた。
「私に手袋を投げ刃を突きつけてきたのもお前で、そして……」
そして、最後に―
「私が愛する少女、ミーア・キャンベルに涙を流させた! 貴様はそれだけで
万死に値する! 故にアスラン・ザラ」
アクエリアスが、ビームサーベルの剣先を向ける。
「私は貴様を倒す! 誇りと、矜恃と、私を騎士とする全てをかけて! 貴様
を倒す!」
言葉に、アスランは圧倒されそうになった。強い口調で叫び出された言葉は、
アスランの鼓膜を衝撃波のように打った。
「な、なんだそれは! お前は、お前は私怨で俺と戦おうというのか!?」
ロッシェがアスランに刃を向け、一騎打ちの決闘を申し込む理由。それは、
ハイネの死と自身のプライド、そして愛する少女のためというアスランにして
みればどうでも良い、ロッシェの個人的な恨みに他ならなかった。
239:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
08/05/18 23:37:20
「だからこそ、私はこの世界で貴様と戦うことが出来る!」
主義でも主張でもなく、まして思想ですらない私怨だからこそ、異世界の人
間であるロッシェはアスランに剣を突きつけることが出来る。
「貴様が世界征服を仕様が、覇業を成し遂げようとしったことか! ハイネの
無念を晴らし、ミーアに涙を流させた代償を貰い受ける。それだけだ!」
「ふざけるな! そんな下らない理由で、この俺がやられてたまるか!」
二機の、大きさが全く違うモビルスーツが激突した。ドーバーガンを撃ち放
つアクエリアスだが、A.S.プラネイトディフェンサーを装備するスコーピオは
これを完全に防御し、ディフェンサーごとアクエリアスに体当たりをした。巨
大な猛牛の突撃にも似たタックルに、パワーのないアクエリアスが吹き飛ばさ
れる。A.S.プラネイトディフェンサーはメリクリウスに装備されていたものよ
りも遥に強化、大型化された鉄壁を超える防御壁だった。
「力こそパワーというわけか。技も性能も必要としない、純粋な力……」
あるいはガンダム以上とも思われるスコーピオであるが、ロッシェは逃げも
隠れもしなかった。
「目の前にいるのが敵ならば、斬り倒すだけだ。私はそうやって生きてきた」
別に、ロッシェはアスランのことが嫌いなわけじゃない。恨んではいるが、
嫌いになるほど相手のことをよく知らないし、あるいは出会い方さえ違えば、
こうなっていなかったとさえ思う。
だが、現実はそうはならなかった。
ロッシェはアスランを倒す。倒して、心に区切りをつけなければ行けない。
「……お前は俺の前に立ちはだかった壁で、相容れぬ存在だ。ならば、斬り裂
いてでも俺は前に進む! 俺の覇道を!」
二刀のビームベイオネットサーベルをスコーピオが展開する。ガンダムタイ
プでさえも一撃で両断する高出力のビームサーベルである。
「そうなこなくては、戦い甲斐がないないというものだ!」
互いに、全ては前に歩き、進むために。
二人は戦い、決着を付けなくてはいけない。負けなど許されず、どちらも自
分が負けるなどと思っていない。
「ハァァァァァァァァァアッ!!!」
アクエリアスのビームサーベルが、スコーピオの脳天へと振り下ろされる。
しかし、二刀のビームベイオネットサーベルはその一撃を弾き返した。
「柔いっ!」
素早く斬り込まれた反撃は、アクエリアスのドーバーガンを斬り飛ばした。
ロッシェは使い物にならなくなった砲身をスコーピオに叩き付けるように切り
離す。
ビームベイオネットライフルが連射され、アクエリアスはシールド防御をし
ながら距離を取った。
「逃がすかぁっ!」
スコーピオの機体が開き、三十発ものマイクロミサイルがアクエリアスへと
迫る。
「逃げる? 誰が逃げるものか!」
アクエリアスの両腕から放たれたヒートロッドが縦横無尽に動き、ミサイル
の全てを叩き落とす。ロッシェにすら出来るかどうかわからなかった、既に神
技に近い芸当だった。
240:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
08/05/18 23:38:32
「そこだ!」
ヒートロッドが伸び、スコーピオのコクピットを一直線に狙う。メリクリウ
スシュイバンを貫き、イザーク・ジュールを死に至らしめた一撃。
「甘い!」
スコーピオは右腕のクローでヒートロッドを掴み取ると、ビームベイオネッ
トでそれを引きちぎった。
「やるな! だが、しかし!」
もう一対のヒートロッドが、スコーピオに振りかざされた。アスランはA.S.
プラネイトディフェンサーでこれを弾き返そうとする。赤熱するヒートパワー
が、鉄壁を超える防御を揺るがした。
「さすがに、固いな」
機体を急加速させ、懐に入り込もうとするロッシェ。アスランはそれを見越
して、敢えて果敢に突撃をする。パワーならばスコーピオの方が圧倒的に上で
あり、勢いで押し切ることが可能なのだ。
「お前に俺は倒せない!」
二刀のサーベルで斬り込まれ、防御したのにもかかわらずアクエリアスの機
体はウルカヌスの外壁へと叩き付けられた。そこに追い打ちを掛けるように、
マイクロミサイルが撃ち込まれていく。外壁とともに機体を砕かれるような真
似を、ロッシェはしなかった。咄嗟に機体を滑らせ、攻撃を避けたのだ。
「トドメだっ!!!」
スコーピオが突っ込んでくる。ロッシェは機体を翻すと、闘牛士が牡牛の突
撃を避けるかのようにスコーピオの突撃を回避した。外壁へと衝突したスコー
ピオは、自身のミサイル攻撃で脆くなった外壁を砕いてウルカヌス内部へと突
入してしまう。
「あんな程度で死ぬ奴ではないな……良いだろう、ウルカヌスの中で続きとい
こうではないか」
ロッシェは呟くと、アクエリアスもウルカヌスへと突入させた。
「いかん、このままウルカヌスが地球へ落下でもしたら―」
ウルカヌスの落下速度とコースを計算していたハワードは、その目標地点が
紛れもなく地球であること知って焦りを隠せないでいた。
「ハワード、仮にあれが落ちれば」
「地球は滅亡する。あれに積んでいる大型の核融合炉もさることながら、あの
質量の衛星が落ちるだけで、地球は終わりだ」
オデルの問いに、絶望的な答えを返すハワード。
「オデル、お前は再出撃してガンダムチームの支援をしてくれ。あれを破壊す
るには、ガンダムの力が必要だ」
「わかりました」
「それと、ロッシェは今どこに―」
その時オペレーターから、ロッシェのアクエリアスの現在位置を知らせる報
告が届いた。
「ウルカヌス内部だと!?」
「スコーピオの反応も内部に……恐らく、戦っているのではないかと」
「馬鹿が、もし奴が早急にスコーピオを倒せなければ」
ハワードはそこで言い淀んだ。側にミーアがいることを思いだしたからだ。
ミーアは、真剣な表情でハワードに問うた。
241:通常の名無しさんの3倍
08/05/18 23:38:52
支援
242:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
08/05/18 23:39:48
「倒せなかったら、どうなるんですか?」
「最悪、あいつが中にいようが、ウルカヌスを破壊することになる」
事実を前に、ミーアは取り乱したりも、非難したりもしなかった。
ただ一言、彼女の知りうる事実を告げる。
「なら、大丈夫です。ロッシェは勝ちます、絶対に」
ウルカヌスの内部において、スコーピオとアクエリアスの戦闘が激化しつつ
あった。狭い通路を破壊しながら戦闘を続ける二機は、周りに人がいようと何
あろうと一切関係ないと言わんばかりに、ただひたすらに刃を交えていた。
アスランのスコーピオにも、ゼロシステムが搭載されている。彼はイザーク
・ジュールのようにシステムに飲み込まれることもなければ、ディアッカ・エ
ルスマンのようにシステムを拒絶し、排除されることもなかった。システムは、
ただひたすらに彼に勝利を見せつけていた。
「でぇやぁっ!」
スコーピオの左腕がアクエリアスへと叩き込まれる。アクエリアスはヒート
ロッドを伸ばし、その左腕を巻き付けると攻撃の軌道を変えた。
「そしてっ!」
ヒートートパワーが炸裂し、A.S.プラネイトディフェンサーごと左腕が切断
される。
「ちくしょうぉっ!」
ビームベイオネットサーベルを振るい、ヒートロッドを斬り裂くアスラン。
腕の一本ぐらい、くれてやる!
「やってくれたな!」
アクエリアスがスコーピオに飛びかかり、メインカメラを殴り付けた。歪む
メインカメラをものともせず、スコーピオはアクエリアスを床に叩き付けると、
その機体を踏みつけた。
「潰れろぉっ!」
巨体の重量がアクエリアスへとのし掛かる。ロッシェは機体の全出力を出し
切る勢いでこれを支え、払いのけた。
即座に体勢を立て直す二機は、互いにビームサーベルを構えて睨み合う。
「お前には負けない……異世界の人間に、この俺が、アスラン・ザラが負ける
わけにはいかない。俺は勝って、今度こそ英雄として」
スコーピオがビームサーベルを振り上げる。
「貴様に勝つ……異世界だろうと、どこであろうと、私は常に騎士として、一
人の人間として」
アクエリアスが、ビームサーベルを突き出す。
『生きる資格が欲しい!』
二人が最後の激突をする瞬間、
「PXシステム―起動!」
アクエリアスに急遽搭載されたPXシステムが、起動した。
PXシステムは、ゼロシステムと違いパイロットの機体シンクロ率を底上げし
て瞬間的にフルパワーを出させるシステムといわれている。反応速度、反射速
度が格段に上がり、スポーツ選手で言うところの「周囲がゆっくりと見える」
といった現象に近い速さを得ることが出来る。
243:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
08/05/18 23:41:23
逆にゼロシステムは、システムが人体の脳その物を刺激し能力を強化し、人
体限界を超えた稼動を行わせることが出来る。さらに、システムが収集した情
報を分析し、「確実に勝利するため」の予測や指示を与え、相手の攻撃が繰り
出される前に倒すことが出来る。
つまり、この異なるシステムを搭載した二機の戦いは、極端に言えばどちら
が速く、先に攻撃を仕掛けるかで決まっていた。
「正面から斬り裂く!」
ビームサーベルを振り上げ、スコーピオが突撃する。
「真っ向から貫く!」
ビームサーベルを突き出し、アクエリアスが突撃する。
アクエリアスがスコーピオの、ゼロの速度を超えたとき、勝負はついた。
ゼロシステムが導き出した予測を元に、スコーピオがビームベイオネットサ
ーベルで敵機を叩き斬るよりも速く、アクエリアスのビームサーベルは敵機の
左足を貫いていた。そして、えぐり取るように足を斬り飛ばした。
ゼロシステムよりも僅かに、PXシステム方が早かった。システムによって強
化されたアスランと、システムによって内なる力を全て出し切ったロッシェ。
崩れ落ちる機体の中で、アスランは今度こそ、自身の敗北を悟っていた。
「一思いに……殺せ」
片足を切り飛ばされただけである。戦おうと思えば、まだ戦えるはずだった。
しかし、アスランは戦意を完全に喪失していた。油断も余裕も何もない、シン
の時と同じ全身全霊を込めた一撃だった。それを、二度も破られたのだ。
「そうだな。そうさせて貰う」
私怨で戦っていると言い切るロッシェは、シンのように先のことも後のこと
も考えていない。ビームサーベルを手に、スコーピオへと歩み寄っていく。
だが…………
「通信? 誰だ、一体」
しつこく通信を警告する音が鳴っているのに今更気付いたロッシェは、回線
を繋いだ。
『ロッシェか、お前今どこにいる』
オデルだった。かなり緊迫した声である。
「ウルカヌスの中だ。今、アスランを倒した」
『……そうか。なら脱出ついでに、ウルカヌスの核融合炉を破壊してくれない
か?』
「核融合炉? なんのことだ」
『中にいるお前はわからないかも知れないが、ウルカヌスは今、地球へ落下す
る軌道を取っているんだ。外からの砲撃を行う予定だが、念のために核融合炉
も破壊してくれ』
そういう理由か。ロッシェは眼前に横たわるスコーピオを見る。惨めにも地
面に突っ伏して、動くことすらしようとしない。
「用が出来た。悪いが私はここの核融合炉を破壊しに行く」
「俺を……殺さないのか」
「お前は倒した。このまま弱者として、負け犬としてウルカヌスとともに爆死
でもするが良いさ」
ロッシェは言い捨てると、そのまま核融合炉室へと向けて機体を飛ばしてい
った。
244:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
08/05/18 23:42:20
「負け犬か……ハハ、俺は負け犬か」
乾いた声で、アスランは笑い出した。空笑いだった。
ウルカヌスの外ではガンダムチームが勢揃いして、ツインバスターライフル
を構えている。ウイングゼロの持つそれに、ガンダム五体分の力を合わせて撃
つことで、ウルカヌスを跡形もなく消し去ろうというのだ。だが、それをする
にはロッシェが核融合炉を破壊し、砲撃の前に脱出する必要がある。
タイムリミットは近い。
「本当にモビルスーツの砲撃程度であれが破壊できるんでしょうか」
ミネルバにおいて、アーサーが不安そうな声を上げていた。問われたタリア
にしてみても、彼と同じ気持ちであった。
「信じるしかないわ。彼らが失敗すれば、地球はお終いよ。もしもの時のこと
を考えて、ミネルバも援護射撃の用意よ」
ザフト艦隊も世界統一国家軍の艦隊も、ともに一斉砲撃の準備は出来ている。
砲撃で砕けるとは思っていないが、今からメテオブレイカーの用意も出来ない
し、それしか方法がないのだ。
パイロットたちにも出撃準備を告げる命令が出ていたが、レイを除いてミネ
ルバの機体はとても出撃できる状況ではなかった。特にルナマリアが酷いもの
で、インパルスが大破したばかりかコクピット内で軽傷を負って、スウェンに
付き添われて医務室に行った。
「このぐらいどうってことないわよ。インパルスなら別パーツがあるんだから、
出撃ぐらい」
「砲戦仕様のパーツがない以上、無理はするな。シンとレイに任せておけばい
い」
といっても、デスティニーにしたところでビーム砲を破壊されてしまったの
でほとんど出来ることはなかった。ただ、外でことの成り行きを見守るしかな
かった。
「ハァ……まあ仕方ないとは思うけど」
ルナマリアはため息付きながら、医務室を見回す。
そして、違和感に気付き始める。
「あれ……?」
その声に、スウェンも医務室内に目を向ける。彼は、すぐに気付いた。ルナ
マリアが起ち上がり、医務室の隅々を確認する。
「ねぇ、私の妹は、メイリンはどこ?」
アクエリアスが、ウルカヌスの核融合炉の前に降り立った。
「こいつを破壊すればいいわけか……しかし、どうやって破壊したものかな」
射撃武器の類は全て破壊されてしまったし、となれば少し危険だがビームサ
ーベルを突き刺すしか……
「チッ、こんな時に!」
唐突に、アクエリアスが持つビームサーベルの輝きが失われた。無理にビー
ム出力にジェネレーターを切り替えたせいか、消耗が激しかったようだ。アク
エリアスにはバルカン砲などの小火器はない。
245:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
08/05/18 23:43:19
「残すは、自爆装置か」
もしくは、ここから脱出するという手もある。核融合炉を破壊するのは、あ
くまで安全を期してのことだ。無理に破壊する必要は、ないはずだ。
「だが、万が一が起こったとき、私にその責任は取れないからな」
ロッシェは、彼の帰りを待っていてくれるであろう少女の顔を思い浮かべる。
あぁ、残念ながら彼女の元へ帰ることが、出来そうにない。
「異世界の騎士ロッシェ・ナトゥーノ、ここに命を散らす、か。墓碑銘として
はイマイチだな」
苦笑し、自爆コードを入力するためにロッシェが手を伸ばしたときである。
突如後方からスコーピオが爆進をしてきた。壁に機体を激突させながら、危な
っかしい勢いで核融合炉の前に現れる。
「アスラン……貴様、まだ」
ハッキリ言って不味い状況である。今のアクエリアスは丸腰で、ロッシェに
出来ることと言えば自爆して核融合炉の爆発に巻き込むことぐらいしかできな
い。だが、仕留め損なえば。手負いとはいえ、スコーピオが強力なモビルスー
ツであることに変わりはない。もし、プリベンター巡洋艦辺りに自爆特攻でも
敢行されたりしたら……
「ロッシェ・ナトゥーノ、俺は負け犬にはならない」
意外な言葉が、アスランの口から漏れてきた。
「貴様、そんなことを言うためにわざわざ来たのか? 動けるのなら、脱出す
れば良かったものを」
呆れたように言うロッシェだが、アスランはそれを振り払った。
「俺は弱者じゃない。俺は強者だ! 覇者だ! 英雄なんだ!」
スコーピオが機体を引きずりながら、ビームベイオネットサーベルをスコー
ピオが出現させる。思わず身構えるアクエリアスだが、既にアスランにはロッ
シェの姿など見えていない。
「俺は、強くなってみせる。誰よりも強く、どこまで強く! 俺は死なない、
俺は勝利者なのだから!」
機体を飛ばして、スコーピオが核融合炉にビームベイオネットサーベルを突
き立てた。ロッシェが半ば本気で慌てて機体を飛ばし、脱出する。
爆発が起こった。核融合炉が爆発し、スコーピオごと核融合炉室が崩壊して
いく。しかし、さすがはスコーピオ、ガンダニュウム合金の塊といったところ
か、この大爆発を受けても尚、ギリギリコクピットは無事であった。
もっとも、パイロットのアスランは瀕死とも言うべき傷を負っていたが。
「どこで、俺は間違えたんだ。一体、どうして」
消えゆく意識の中で、アスランは呟き続ける。
引きずり出るようにコクピットから落ちて、アスランはウルカヌスの地面に
その身体を横たえた。身体が、動かない。
「死ぬのか……俺は」
ふいに、アスランの目の前が暗くなった。死が訪れたのか? 違う、目の前
に影が出来たのだ。誰かが、彼の前に立っている。
一体、誰が―
「メイリン…………?」
信じられない光景が、居るはずのない人間が、そこにいた。メイリン・ホー
クが、彼を裏切り、彼が切り捨てた少女が、そこにいた。
246:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
08/05/18 23:44:53
「アスラン、あなたはもう少しだけ優しい人になるべきだった」
メイリンは、アスランの前に膝をつくと彼の身体を抱きかかえた。メイリン
の身体は、暖かかった。
「あなたが周囲に対して、少しでも優しく振る舞えていたら、あなたはもっと
多くの物を得られたんだと思う」
「優しさ……?」
「だって、優しくもない人のために誰も戦いたいなんて思わないもの」
ならば何故、どうして君は戻ってきた―?
アスランの問いは口にこそ出なかったが、メイリンにはハッキリと伝わって
いた。
「好きだからですよ。私は、あなたのことが好きなんです。あなたが私を嫌い
でも、私はあなたに恋して、愛して……あなた一人をここで死なせることなん
て、あたしには出来ません」
思えば、ちゃんとした告白をメイリンはまだしていなかった。こんな場所で、
こんな状況で、メイリン・ホークは、アスラン・ザラに愛の告白をしていた。
でも、これを逃せば、もう一生出来そうになかった。
「メイリン、君は馬鹿な女だな……」
「良く言われます。お姉ちゃんと違って、私には何の取り柄も才能もありませ
んでしたから」
笑うメイリンの笑顔は、どこまでも輝いて見えた。
アスランは自分の頬が生温くなるのを感じていた。彼は、いつの間にか涙を
流していた。
「俺も、ただの馬鹿だよ。君もそう思うだろう、メイリン……」
「もう待てない。バスターライフルを発射するぞ」
ヒイロが非常な決断を下したとき、ミーアが抗議の声を上げた。
『あと五分、五分で良いから待って!』
「無理だ、あと45秒でレッドラインを超える。それ以上は外から砕いても破片
が地球に落ちる恐れがある」
『そんな……!』
通信を切った。ヒイロだって出来れば待ってやりたいが、ロッシェ一人のた
めに地球を危機に晒すことは、やはり出来ない。
「恨みたければ恨め。恨まれることには、なれているつもりだ」
呟くと、ヒイロはモニターに映る他のパイロットたちに目配せをする。彼ら
もまた無表情だったり、心苦しそうな顔をしているが、辞めようというものは
いなかった。
「―発射!」
ツインバスターライフルが放たれた。ガンダム五体分のパワー込めたバスタ
ーの砲火が、ウルカヌスへと直撃した。誰もが目を見張る中、その破壊力を持
ってウルカヌスを砕き散らしていく。
レイクイエムやジェネシスの比ではない。一度見れば、一生目に焼き付いて
離れないであろう光が戦場を照らした。
「終戦の祝砲……かな」
デスティニーのコクピットの中で、シンが呟いた。
247:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
08/05/18 23:47:18
これで、全てが終わる。長かった、シンにとって本当に長かった戦いが、今
まさに終わろうとしてる。
「あれは?」
爆発し砕け散るウルカヌスの中から、一機のモビルスーツが飛び出してきた。
青い翼を広げて、光の粒子を散らしながら漆黒の宇宙に舞うその機体は……
「ロッシェ、ロッシェの機体よ!」
ミーアが声を上げた。傷つき、ボロボロになりながらも、ロッシェ・ナトゥ
ーノは生きていた。
彼は、コクピットの中で静かに息を吐いた。
戦いは終わった。ユニウスセブンにおけるテロ事件から始まり、インフィニ
ットジャスティスの蜂起へと発展した全ての戦争が、ここに終結した。誰が勝
者でも、誰が敗者でも構わない。そんなもの、後から決めたって良いはずだ。
だが、今は…………
「ハイネ、終わったよ。私は、勝ったぞ」
今は亡き友人に、哀悼の念を捧げよう。
つづく
248:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
08/05/18 23:49:48
第69話です。
分割するべき量だと判ってはいるんですが、
70話完結という数字の区切りの良さ取りました。
さて、メイリン・ホークのラストを考えていたとき、
彼女をどうするかは最後まで悩んでました。
というのも、思いついた構図がまんま種死ラストの
デュランダルとタリアだったんですよね……
まあ、それはそれでいいかなと思って決断しましたが。
本編は次回で最終回ですが、規制が廃止されたのか
今回はスムーズに投下が出来ました。
最終回はこれから書きます。
後、最終回のあとがきで今後についても書きます。
では、多分週末になると思いますが、次回で最終回、
皆さんよろしくお願いします。
249:通常の名無しさんの3倍
08/05/19 00:14:28
乙&GJ!
最初アムロとシャアがいたようだが気にしないぜw
250:通常の名無しさんの3倍
08/05/19 00:38:58
GJ!
ただ……、どーもなー、アスランやらサトーの言葉が一切合財子供の駄々や逆恨みにしか聞こえないから
対手であるシンやロッシュまで小さく見える。
251:通常の名無しさんの3倍
08/05/19 00:50:10
>にしか聞こえないから
つーか実際その通りだろ?
252:通常の名無しさんの3倍
08/05/19 01:26:33
GJでした。後1話頑張って下さい。
シンがまたジュドーやアムロになった気がしたが何ともなかったぜ
253:通常の名無しさんの3倍
08/05/19 02:51:09
GJ!
ロッシェが男前過ぎてたまらんです(*´Д`)
254:通常の名無しさんの3倍
08/05/19 03:43:16
>>250
人間なんてそんなもんだよ
255:通常の名無しさんの3倍
08/05/19 10:45:17
っていうか、引用し過ぎなんだよ。過去のガンダム名台詞から
だから、なんかやたらと戦いが安っぽく感じる
あーゆーのは本当に時々やるからいいのに…
256:通常の名無しさんの3倍
08/05/19 12:27:32
>>255
まったくもってその通り。
257:通常の名無しさんの3倍
08/05/19 14:25:51
>>248
誤字発見
>ヒートートパワーが炸裂し、
258:通常の名無しさんの3倍
08/05/19 14:34:24
>だったら、俺を倒してそれを証明してみろ! シン・アスカ!」
ボンボン版のシン?
259:通常の名無しさんの3倍
08/05/19 17:39:33
最後に融合炉破壊する意味がわからん
ゼクスとアスランじゃ動機が違うのになんで同じ行動になるんだ?
シチュエーション当てはめる為にキャラの性格を無視してる
260:通常の名無しさんの3倍
08/05/19 20:30:30
融合炉破壊→爆破で道連れ→こちらも死ぬけど勝ち。
わかりにくいけどウルカヌスを止めるのではなく、
敵を倒すため、負け犬にならないため暴挙に出たんだと。
261:通常の名無しさんの3倍
08/05/19 21:07:32
その行動自体が負け犬の証だと思うが。
つーか、アスランって自分が何で支持されて、何で力で圧倒できたかを最後まで分かって無かったよ。
全部借り物で「アスラン・ザラ」という人間には何にも無いということを自覚してなかった。
262:通常の名無しさんの3倍
08/05/19 21:20:27
戦略的にはウルカヌス落としたほうが勝ちだろ
263:通常の名無しさんの3倍
08/05/19 21:46:28
こけにされたから一矢報いたかったんだよ
264:通常の名無しさんの3倍
08/05/19 22:37:17
まあ、アスランだし
キラと同類だし
土壇場でトチ狂ってもおかしくない
265:通常の名無しさんの3倍
08/05/19 22:52:21
まあ、何がイヤかって最後の最後までWが持って行った所かな
Wキャラに対して種キャラが一矢報いた描写なんて殆どないの
266:通常の名無しさんの3倍
08/05/19 23:12:19
まあ話の構造上、Wキャラが常に上から目線だったのは確かだな
本当に必死に戦って傷ついてるのは敵も味方も種キャラばかりで、Wキャラが全くもって他人事(事実そうなんだが)ってのがどうにも…
そのくせ肝心なところで美味しいとこ持ってくのは大抵Wキャラってのが全体通して見た、個人的な印象
267:通常の名無しさんの3倍
08/05/19 23:16:19
ごひを敵にするとか工夫するべきだったな
268:通常の名無しさんの3倍
08/05/19 23:17:19
終わりに近くなってきてクレーマーが現れて盛り上がってまいりました
269:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 00:01:36
戦い自体はシンvsアスランで終わってた。
ロッシェはおまけみたいなものだし、アスランのあれは悪あがき。
パワーバランスを考えるとW勢が苦しみ、傷つくってのが難しいからなぁ。
270:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 00:31:02
最後ロッシェ対アスランにしたかったなら寧ろシン対アスランがいらなかったような
ラストバトル前に負けてるとか幾らなんでも小物すぎて盛り上がらないだろ
271:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 00:33:39
天上にいる奴らは天上のフィールドで戦った
ロッシェとアスランの決闘に水をさしたりはしていない
別にこれでいいじゃないかw
272:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 00:38:48
天上にいる奴らが妙にしたり顔で、
しかも中途半端に干渉してたから反発食らうんだと思うんだ
異世界に干渉してはならないとか言ってたけど、
ビルゴとかウラカヌスが凸の所に渡ったのがそもそもあいつらの過失じゃん?
273:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 00:41:18
最終回予想でもしようぜ
主立ったキャラは死んだけど
274:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 00:45:22
>>272
ウルカヌスは大半のクロスよろしく、説明不可能な現象で異世界に飛ばされて、
それをたまたま連中が拾っただけだしなぁ……
放置してたのが問題といえば問題だけど、カトルとかもまさか異世界に消えるとは
思ってなかったんだろ。
275:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 01:34:48
>>272
そこまで作品世界にのめり込んでマジ怒りしてもらえると作者の人も本望だと思いますの
276:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 04:00:03
俺は接近戦仕様なんで運命相手に相性が良いです、と言った舌の根も乾かぬうちに
接近戦でのつばぜり合いで、運命が勝ちますた。という展開に少し冷めちまって、以降の流れに盛り上がれなかったな。
ミーアの歌に見せかけて、隠し機能でMD停止とかは良かったと思うんだがなあ…
277:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 04:28:31
取り回しのいいビームサーベルをわざわざ連結なんかさせちゃったのが敗因かもw
278:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 09:03:39
格闘戦に強くても、一発の破壊力はデスティニーの方が上だし
まともに正面からぶつかればジャスティスが不良だろ。
279:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 09:32:39
上から目線とかおいしいとこ取りとか意見あるけどさ、俺的にはGチームってこんなに無能だったか?
って印象の方が強いわ、どの機体に搭載されたゼロシステムもえらくちんまい性能だし
スゥエンとルナの絡みだけが楽しみ
280:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 10:12:21
「アロンダイトォォォォォォォォオッ!!!!」
「アンビデクストラス・ハルバートッ!!!!」
吹いたw、なんだこの唐突な必殺技合戦はw
>>249
グラハムもいるよねw
281:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 10:13:43
無能ではないけど万能でも全能でもないだろ。
まあ出したのは良いけど活かし切れてないって印象だな。
282:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 10:15:22
>>280
そのシーンはおそらく福田繋がりのオマージュだと
283:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 10:23:07
なんかファンが凄い過激なんだろうか、Wは。美味しい所取りだろコレっていうのと
無能過ぎるっていう相反するクレームが見える。
284:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 11:14:14
相反してはいない
展開的に無能だけど、クライマックス的な意味で美味しい所は取って行く
あえて言うなら、揚げ物をしている時に油に火がついた時に止めないで
家が火事になってから消し止めているって感じ
外から見てると、「おお、火消しが活躍している」と思えるけど
神視点だと「いや、火事になる前に消せよ」と思う
285:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 11:22:04
ファン心理としては展開的に有能で、見せ場は一歩ひく方が
嬉しいよな
286:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 11:24:15
ストーリーってそんなのばっかりな気がするんだがな。最初にこうしていればとか、
あの時こうしていなかったから、とか。結局どんな話の運びにして欲しかったのよ?
俺は単に、またシンが主役取られたってがっかりしただけなんだがw
287:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 12:36:21
>>285
良いねぇそういう裏役的渋さがWの連中には似合うわ
288:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 12:41:09
W-Dとの兼ね合いもあったから極端にシンを主人公にもできなかったしね~
明確な主人公を決めないスタンスが仇になったな
289:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 13:12:15
なんだこの流れ。
290:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 14:53:27
やっぱり強制IDが必要なんじゃね?
複数を装えたつもりで感極まって一人で何度もイッちゃってるけど
自演スキルの鍛錬にはちっともなってないし。
291:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 17:07:23
お前ときたらまた平日の真昼間から自演して(ry
292:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 19:08:48
ただ、最後の最後にやっちまった感があるのは事実
最終回はエピローグ的な物だろうし、もう盛り上がりようがない
293:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 19:27:33
なんか作者さんに「書くな」と言わんばかりの流れだな
294:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 19:56:40
>>293
終了ギリギリになって、いきなり分際わきまえない態度のでかい乞食が
したり顔で講釈たれ始めるのはよくあることだ。
最後の最後をうまくまとめさせず失速させて、何かを成し遂げたかのような
オナニー快感に浸りたいんだろう。
295:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 20:11:01
……何かやっちまったか? 実に盛り上がった、いい最終回だったじゃあ無いか
しかもキチンと完結させたわけだし、あと一話残ってるけど
296:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 20:19:43
>>295
馬っ鹿触るなよ自演がばれたからって逆シンスレにまで遠征する類の池沼だぞこいつ
297:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 22:09:20
まあ不満が無いわけではそれなりに楽しかった
完結しそうなのも素晴らしい
298:通常の名無しさんの3倍
08/05/21 00:34:19
できればね、ときたのトンデモ漫画をそのまま使って欲しくはなかったな
ガンダムの力集めて超破壊力のバスターライフルとかw
299:通常の名無しさんの3倍
08/05/21 01:06:39
それは当時リアルにガキでボンボンファンでそこん所に痺れてた俺に対する挑戦か?
300:通常の名無しさんの3倍
08/05/21 01:37:03
自演だったのかなぁ…と読み返してみた
あれ? なんか俺の書き込み、組み込まれてない?
ゴメンなさい。面白かったのですよ?
ただ、議長とかがあんまり小者になっていたので
それがずっとしこりで悔しかったのでつい書き込んでしまったのですよ
あと一話なら、そういうこと言い出しても大丈夫かなぁって…ホント、ゴメンなさい
301:通常の名無しさんの3倍
08/05/21 01:58:03
完結する。
それだけですごいと思うのだ。
302:通常の名無しさんの3倍
08/05/21 03:33:01
そうだよ。世の中にどんだけ中途半端に書き散らされたSSもどきがあると思ってるんだ。
面白いんだから贅沢言うのはなしだぜ。
303:通常の名無しさんの3倍
08/05/21 09:39:44
完結までたどり着いた数少ないクロス長編の中でも、
XとのひとつとZとのひとつでは最終戦決着と同時にCEから消滅し、
阿部さんスレだと「いい男に不可能なし」で全ては片付いてしまうため
平行宇宙間の行き来に論理的な解明がなされた例は未だなかったと思う。
今回初めてハワードの研究である程度明かされることになるのだろうか。
304:通常の名無しさんの3倍
08/05/21 10:19:38
>>300
自演乙
305:通常の名無しさんの3倍
08/05/21 18:51:14
>>303
ゼロがあれば好き勝手に行き来できるんですね、ゴメンです
306:通常の名無しさんの3倍
08/05/21 19:01:25
ラストがまんまW
ヒイロの性格が別人と言える存在でもう少し口調を本編と似せて欲しかったかな
ガンダムチームじゃなくバスターライフルだけあれば良いとも言える展開だった
307:通常の名無しさんの3倍
08/05/21 19:20:59
>>302
そう言う言い方は好きじゃないな
308:通常の名無しさんの3倍
08/05/21 21:33:31
そろそろTV版とのクロスが見たい
敵機撃墜してアヒャ笑いしてた頃のヒイロとか、ゼロシスでトチ狂ってるカトルとか、エレガントだけど訳の分からんトレーズとか
309:通常の名無しさんの3倍
08/05/21 21:34:00
>>306
ヒイロのキャラソンに言ってるみたいだww
310:通常の名無しさんの3倍
08/05/21 21:38:42
>無能ではないけど万能でも全能でもないだろ。
>まあ出したのは良いけど活かし切れてないって印象だな。
生かしきったら簡単に終わっちゃうからじゃね?
俺は異世界だからこそ「強い自省」という形で制限を加えていると考えてるけどね
だからこそ、ロッシェも『私怨』という形でアスランに挑んでいるわけだし・・・
こんな風に考える俺って実は異端?
311:通常の名無しさんの3倍
08/05/21 22:05:53
いや、そいう描写があれば嬉しい限りだという話だろ
312:通常の名無しさんの3倍
08/05/21 22:09:35
ただ、それってほとんどのクロス小説否定してるよなぁ
大抵はクロス側が種世界を断罪するのが主流だし
異世界人だから関わるべきじゃないって、クロスの意味がないじゃん
313:通常の名無しさんの3倍
08/05/21 22:13:12
多くが、種世界の改変要素としてクロス先を用いているから、多かれ少なかれそう言うことになるよな……。
314:通常の名無しさんの3倍
08/05/21 22:25:04
ここまでアスランが凄いんだか凄くないんだかわからないのも……
悪党としてはジブリールに見劣りし、小物としては議長に及ばず
中途半端すぎだ
315:通常の名無しさんの3倍
08/05/21 22:41:06
タイトルになっているロッシェがここで活躍せんでどうすんだ。
316:通常の名無しさんの3倍
08/05/21 22:49:44
ロッシェのことじゃないだろ、Gチームの方だ
ロッシェは本編でたいした活躍してないキャラだから活躍がなくてもそういうキャラだからと納得できるからな
317:通常の名無しさんの3倍
08/05/21 22:52:13
Gチームは空気読んだんだよ
318:通常の名無しさんの3倍
08/05/21 23:25:33
空気読んでるシーンが欲しかったねぇ
319:通常の名無しさんの3倍
08/05/21 23:36:39
作者もGチーム登場させたことは失敗だと思ってるだろうよ
多分、1話で出す方向で書いてしまったから引っ込みがつかなくなったんだよ
320:通常の名無しさんの3倍
08/05/21 23:46:19
>>318-319
自演はもう良いから
さすがにここまで連続すると気分悪い
321:通常の名無しさんの3倍
08/05/22 00:41:12
正直自演自演言ってる奴の方がうざい
322:通常の名無しさんの3倍
08/05/22 01:09:15
>>=318>>319=>>321
今日はよそにチクりに行かないのかw
323:通常の名無しさんの3倍
08/05/22 01:16:01
いやあ予想通りの盛り上がりに、作者もニヤニヤでしょうw
324:通常の名無しさんの3倍
08/05/23 21:00:43
PK
325:通常の名無しさんの3倍
08/05/24 07:14:02
作者あと1話頑張れ
326:通常の名無しさんの3倍
08/05/24 09:36:09
しかし歌姫完結したらここも寂れるだろうなー……
327:通常の名無しさんの3倍
08/05/24 09:51:42
小説書けもしないくせにケチばっかつける
カスの集団スレはここでつか?
328:通常の名無しさんの3倍
08/05/24 10:16:46
そんなこと言ったら競技の採点者は皆選手と同じ程度に出来なければならなくなりますが
329:通常の名無しさんの3倍
08/05/24 10:19:04
>>328
そういうなら是非とも高得点を付けたくなる様な素晴らしいSSを書いてもらおうか
330:通常の名無しさんの3倍
08/05/24 10:26:23
>>327
わけ分らん。
331:通常の名無しさんの3倍
08/05/24 10:32:32
最終話が上がったらしばらくこの板ともおさらばだな
332:通常の名無しさんの3倍
08/05/24 11:18:12
今日は土曜だから早くて明日だな
333:通常の名無しさんの3倍
08/05/25 01:06:20
んー、どうしよう。歌姫と同じくらいに連載しようと思ってたのだが先に終了してしまうとはorz
最終回の後、何日後位が余韻を邪魔しない時期だろうか?
334:通常の名無しさんの3倍
08/05/25 01:29:46
いまから投下するといいと思う
335:通常の名無しさんの3倍
08/05/25 01:43:42
今から投下しちまいなよ
336:通常の名無しさんの3倍
08/05/25 13:31:06
いっそのこと最終回の投下をしばらく遅らせるとか。
まあ、最終回で終わりではないけど。
337:通常の名無しさんの3倍
08/05/25 22:43:40
>>336
それはひょっとしてギャクで言ってるのか?
338:通常の名無しさんの3倍
08/05/25 22:49:52
自分が余韻に浸りたいならその後で
違うなら出来上がってからで良いんじゃね
完結出来そう?
339:通常の名無しさんの3倍
08/05/26 01:49:08
>>338
一応書き溜めは前から進めている。が、ちょっと中盤話が膨らみ過ぎて風呂敷を小さくしてるのに四苦八苦してるorz
余韻に浸りたい派でぶっちゃけ最終回投下がありそうだから
今すぐってのは予想してなかったorz
取り合えずギャグを大盛りに含めたプロローグを今書いてるがどっちみち最終回後かもorz
340:通常の名無しさんの3倍
08/05/26 02:02:53
おk
最終回が終わっても、期待しながら保守してる
341:通常の名無しさんの3倍
08/05/26 08:55:23
書くのなら完結させて欲しいってのが本音。
すっげー面白い作品だけど途中で終わってしまうとすげー悲しいし。
342:通常の名無しさんの3倍
08/05/26 10:40:09
プロローグとすごい長い設定で
手付かずのほうがマシだよな
343:通常の名無しさんの3倍
08/05/26 12:29:25
>>342
設定厨はまじ勘弁
設定だけやたら書く→本編始まらない→新作展開
→併せて設定変更→本編始まらない
の無限コンボならすまんがチラシの裏になってなる
今回はその心配はなさそうなんで楽しみにしてる
344:通常の名無しさんの3倍
08/05/26 17:30:49
銀髪碧眼のヒイロ登場!!!!!!!
345:通常の名無しさんの3倍
08/05/26 18:06:37
…わからん。想像も出来ない
というか、そう言われて想像したのが
某テイルズの主人公だった俺ってなんだろう…
346:通常の名無しさんの3倍
08/05/26 18:09:14
すれ違っただけで「ヒイロ様・・・(ポッ)」
おそらくランクはSSSだな(普段は力を抑えてるのでBランク)
347:通常の名無しさんの3倍
08/05/26 18:17:11
>>344-345
俺はゼンガーさんを思いついたが緑川だっけか。声。もっと渋かった様な
>>343
……ごめん。一話だけ設定というか時系列の説明回が入る予定orz
クロスでも誰かがやってきたシリーズじゃないからどこかで説明せんと。
ただ、エピローグは説明はそんなに入れない予定。ただ、逆に意味不明になるかも知れんが。
348:通常の名無しさんの3倍
08/05/26 18:24:01
頼むから、シンジ様とかU-1とか、そういうのだけは勘弁な。
349:通常の名無しさんの3倍
08/05/26 18:57:52
>>347
>>343が言ってんのは設定だけが先行して本編やらない奴のことだから気にすることないでしょ
350:通常の名無しさんの3倍
08/05/26 19:46:11
>>348
銀髪と聞けばやはりその辺を連想するかw
351:通常の名無しさんの3倍
08/05/26 20:41:54
でも流派東方不敗に弟子入りするヒイロは有り
何しろ商業でやっちまってるから
352:通常の名無しさんの3倍
08/05/26 21:41:32
銀髪のオッドアイ(ry
憂いを秘めながらも絶望していない(ry
微笑が(ry
353:通常の名無しさんの3倍
08/05/26 22:09:53
ああ、なるほど。それ系か…
他人に無関心だが(ry
生まれ持った宿命が(ry
こうですね! わかります!!
354:通常の名無しさんの3倍
08/05/26 22:40:51
>>351
無双かwww
以前からヒイロならGガンの世界でも生きていけるとは言われていたが
本当にやってしまったスタッフに乾杯
355:通常の名無しさんの3倍
08/05/26 23:33:10
ネオギャラクティックオメガウイングデスガンダム HP6500000 EN∞
ウイングガンダムゼロカスタムが全宇宙の生命から怒りや憎しみのエネルギーを得て堕天使となった機体。
全てを飲み込むような闇を連想させる漆黒の翼が特徴。この機体の動力源であるダークエンジェルエネルギーは1㌧㌘でブラックホールエンジンの消滅エネルギーの1028倍の破壊力がある。
かつて神が封印していたが 祐一の「みんなを守りたい」という想いによって目覚め、魔族の力を制御できるようになった祐一が自分であみ出した魔呪錬金術で修復された。
パイロットは魔族の力を全開放した相沢祐一。なお、サポートパイロットとして女神の祝福を受けた相沢紫苑が同乗している。
邪神に身体を乗っ取られた氷上シュンの、デビルパーフェクトHiνゴッドガンダムヘルとの激闘後、祐一により封印された。
ゴッドホーミングビームマシンキャノン(P)(B) 8000 射程1~12 弾65536
ゴッドビームサーベル(P) 8500 射程1
ハイメガロングゴッドビームサーベル(P) 9500 射程1~8 気力120
ブラックフェザーダークファンネル 12000 射程1~20 気力130
ツインファイナルゴッドスペースバスターライフル(M) 15000 射程1~22 気力140
ツインファイナルゴッドスペースバスターライフル 17000 射程1~22 気力130
356:通常の名無しさんの3倍
08/05/27 00:00:38
混じってる。エライ勢いでU1になってるよ、それw
せめて
ウイングガンダムゼロカスタムが全宇宙の生命から怒りや憎しみのエネルギーを得て堕天使となった機体。
全てを飲み込むような闇を連想させる漆黒の翼が特徴。この機体の動力源であるダークエンジェルエネルギーは1㌧㌘でブラックホールエンジンの消滅エネルギーの1028倍の破壊力がある。
かつてトレーズが封印していたが ヒイロの「リリーナを守りたい」という想いによって目覚め、ゼロの力を制御できるようになったヒイロが自分であみ出したエレガント的な何かで修復された。
パイロットはエレガント的な何かを全開放したヒイロUI。なお、サポートパイロットとして女神の祝福を受けたドロシーが同乗している。
邪神トミノに身体を乗っ取られたゼクスの、デビルパーフェクトHiνゴッドガンダムヘルとの激闘後、ヒイロにより封印された。
ゴメン、無理だった
357:通常の名無しさんの3倍
08/05/27 00:06:15
>>355みたいなのを作るのが設定厨なのか?てっきり、
「グレミーの反乱時、戦いに加わらなかったニュータイプ兵。後にチベットでクエス=パラヤと出会っている」とか、
「νガンダムの試作量産機で、両肩に2基のインコムを装備。視線誘導とAI制御によりファンネルに近い機動を再現できる」とか、
とにかく設定こねまくってる連中かと思ってた
358:357
08/05/27 00:09:13
すまん、色々間違ってる上にWが入ってない。Wだと……メテオの6人目とか?
359:通常の名無しさんの3倍
08/05/27 00:14:13
すまん。世界観を混ぜ合わせる為に歴史などの時系列を組み合わせて整合性を取らせるってのは設定厨かな?orz
それが、駄目だったら設定厨になるわorz
360:通常の名無しさんの3倍
08/05/27 00:20:06
設定厨がどうした?
少なくとも設定を活かしきった作品なら問題は無い。
そしてあえて言おう。
設 定 大 好 き だ !!
361:通常の名無しさんの3倍
08/05/27 00:20:50
>>355はどう見ても設定厨じゃなくてネタだろwwwwww
362:通常の名無しさんの3倍
08/05/27 00:22:21
っくそ! 俺の邪気眼が暴れだしてきやがったぜ……
363:通常の名無しさんの3倍
08/05/27 00:22:39
>>351
これ↓だろ
URLリンク(www.geocities.jp)
このシナリオ書いた奴正気か
364:通常の名無しさんの3倍
08/05/27 00:52:42
ザクⅡでハイパーモードやる人もいるからなぁ
365:通常の名無しさんの3倍
08/05/27 01:04:42
シャイニングアッガイが好きだ
366:通常の名無しさんの3倍
08/05/27 01:53:08
ウイングアッガイ作ってウイングガンダムを100%修理したとかw
367:通常の名無しさんの3倍
08/05/27 08:02:13
>>設定厨
やたらめったら機体やパイロットに細かい設定つけたり、機体や装備の解釈だけを延々と書き殴って言って偉そうに講釈垂れといてそこで止まってる○級○○見たいな奴のことでない?
368:通常の名無しさんの3倍
08/05/27 08:27:50
>>363
師匠、人の話聞いてねえwww
369:通常の名無しさんの3倍
08/05/27 08:50:07
プロローグだけの自慰SS作者は
もううんざり(T▽T)
370:通常の名無しさんの3倍
08/05/27 11:40:07
俺もネットが普及してないときに
まさにチラシの裏にヘンな機体のスペックを書いて
書いた後に恥ずかしいーーと思って破り捨てたりしたが
今は堂々とそれを出すって神経が分からん。
371:通常の名無しさんの3倍
08/05/27 17:30:49
取り合えず、プロローグ書けて今、誤字修正中。
んーと、運命の歌姫さんが今夜なければ、投下してOKかな?九時位を目安に。
後……まぁ、早めに暴露しておこう。ネタに関して以外は
ガチで一機だけ壮絶に馬鹿な機体が出る予定orz
372:通常の名無しさんの3倍
08/05/27 17:42:53
>>370
今は簡単にネットに晒せるので
恥ずかしいと思った後で破り捨てようとしても時既に時間切れということが多い
373:通常の名無しさんの3倍
08/05/27 18:55:53
>>372
変な機体を考える
↓
考えてるうちにハイになっていく
↓
ハイになって客観視できなくなる
↓
見直さないままネットにさらす
↓
テンションが通常にもどる
↓
今頃になって見直す
↓
恥ずかしさにのた打ち回る
要は常に平常心と客観性は欠かさないようにしよう、って話か。
374:通常の名無しさんの3倍
08/05/27 19:09:29
>>371
本当は、一昨日終わるつもりだったんだけど、
手を加えている内に平日になってしまったので金曜投下予定。
375:通常の名無しさんの3倍
08/05/27 21:30:27
失礼。ちょっと誤字修正が間に合わないorz 10時に投下します。一応5分前に確認も打ちますね。
376:通常の名無しさんの3倍
08/05/27 21:46:25
>>375
あんた赤頭巾だろ
377:赤頭巾 ◆sZZy4smj4M
08/05/27 21:50:45
>>376
そうですよ。新人スレは後、もう一話投下したらちと、書き溜めとルート変更の為休止。
こっちで少し揉まれたいと思って此方に投下しようと思ってます。
駄目でしょうか?(汗
378:通常の名無しさんの3倍
08/05/27 21:53:39
>>377
やっぱなぁ。文体で丸分かりw
是非投下をお願いします。
379:通常の名無しさんの3倍
08/05/27 21:58:50
有名な人?
新人スレいったことないや。
380:赤頭巾 ◆sZZy4smj4M
08/05/27 22:07:10
>>378
む。やっぱ解り易いかな。すいません
>>379
特に有名って訳でもないよ。今回先入観無く評価して欲しいのもありますから
前の作品読んでなきゃ駄目って訳でもありませんし(汗
では、五分後に今日から投下させていただきます。
ただ、ちと書き溜めや生活の問題もあり2~3週間に一回ペースの投下になると思います。
プロローグは今回ネタのつかみとして3~4レス分はパロディ色の強い悪ふざけになってるので
本編のみ見たい人は3~4レス目まで飛ばして下さい。
以下注意事項
・Wと種の世界観混同SSです。そこら辺の説明も作中でゆっくりしていくので御付き合い下さい。
・中盤、一機だけ超絶アホな機体が出ます。ご容赦を
・今回グロは禁止の方向で頑張ってみたいと思います。そういうの期待してた方すいませんorz
381:赤頭巾 ◆sZZy4smj4M
08/05/27 22:12:28
英雄の種と次世代への翼
エピローグ「枯れた種と憂鬱な死神」
「CE7X―火星圏。その地球から遠く離れた星の戦局は混迷を極めていた。
ラクス・クライン議長が率いるプラント統一軍は火星の併合戦争を進めたのは2年前。
しかし、突如現れたマーシャン政府の中から卓越されたMS戦闘スキルを持った仮面の軍人ゼクス・マーキスが
火星の人員からサンクスキングダムナイツを結成。多くの志願兵を集めていた。
数年前コロニー独立運動ですさまじい戦果を上げた五機のガンダムパイロット達も参加して
一時は調停まで持ち込む事に成功する。しかし、プラントは卑怯にも調停中に
その当時の政治代表だったら女王リリーナ・ドーリアンとゼクス・マーキスを謀殺。
同席していたカガリ・ユラ・アスハと共に、平和を話し合うべき場でそこを血と人の焼ける匂いで終わった。
それを機にプラント政府は一年の停戦と言う名の次の戦争の為の準備期間を設け、次こそは火星統一を夢見た所だった。
「もう少しで火星も統一出来るねラクス」
「そうですわね、キラ。これで……これでようやく長い戦いが終わるというもの。カガリさんの犠牲も無駄にしてはなりません」
「それはどうかなラクス・クライン!」
「な、君は!?」
5人のガンダムパイロット達を倒し、敵の最終要塞へと乗り込むプラントの勇士達。
勝利を目前としていた局面であり、ラクスや統一軍のエース、キラ・ヤマトは最後の出撃を控えていた。
しかし、その緊張と期待に溢れていた時間を突然の割り込まれた通信により、空気ががらりと変わってしまう。
彼女等が乗るアークエンジェル級旗艦メタトロン。そのメインモニター画面へと突如現れたのは銀色の仮面を着けた男だった。
そう、その仮面こそ一年前、五機のガンダムパイロットと共に戦場を駆け抜けた男ゼクス・マーキスの仮面その物だった。
更にラクスたちに衝撃が走る。要塞からあらわすその姿はかつて死闘を繰り広げたゼクスの愛機。
それに瓜二つと言う程でもないが赤くエネルギーを噴出している翼に大きな剣の柄の様なバックパックを着けている点以外は
中世の甲冑鎧をモチーフにした様なデザインだったトールギスに酷似していた。
「この独立国家マーシャンはゼクス・マーキスが居る内は勝手にさせん!」
「な、馬鹿な。ゼクスは確かに殺し……いや、死んだ筈!」
「ゼクス・マーキスは不滅さ! 火星の為に何度でも蘇る!」
「な、この声は……くっ、解らないのか! それは戦争を悪戯に長引かせるだけだ!」
「あんたらに占領されれば地獄だ。俺はこのプリペンド・ウィンドウのコードネームの名に賭け、地獄の業火を消し去ってくれる!」
「ラクス。あいつは俺がちゃんとけじめを……話をつける。出撃許可を!」
「解りました、アスラン。ゾディアック・ジャスティス・ガンダム発進させて下さい」
勇ましく語るその声に何人かは聞き覚えがあった。
それに真っ先に反応したのはプラントのエース、アスラン・ザラは自らの愛機であるMSを発進を願い
そのまま、戦艦から送り出される。一部、マーシャンコロニーからの新技術を使った新型機は
どこがゾディアックなのかはよく解らないが、最初のジャスティスガンダムの後継機は
どこら辺がインフィニテッドだったのかよく解らないので割愛する。
火星をバックに戦場の前でにらみ合う二機。二人がこうやって対峙するのはヤキン・ドゥーエ以来だった。
ゼクス・マーキスと名乗った男をアスランも彼を知っており、彼もアスランを知っている。
通信を開けば、アスランはなんの遠慮も無く本人の名を告げた。
382:赤頭巾 ◆sZZy4smj4M
08/05/27 22:14:58
「やめろ、シン! 名前を騙り、絵空事の正義を語り、何になるって言うんだ!
戦争はヒーローごっこではないと俺は教えた筈だ!」
「時に生きていく人の為には英雄が必要なんですよ、アスランさん!」
「戦って、傷ついて、また泣きたいのか!」
「それで掴める明日があるなら、何度だって戦って、傷ついて、泣いてみせます!
どいて下さい。俺は倒さなきゃいけない相手がいるんです!」
「お前は何故、学習しない! 今度は誰に踊らされている? 目を覚ませ!!!」
激昂するアスラン。既にそのMSの手にはサーベルが握られていた。
対峙するゼクスを名乗るシンのトールギスもその手には奇妙な槍とも思える長い柄と発生させるビーム
縦に伸ばしたピラミッドの様な四角錐を形成した白兵武器と思われるモノを展開していた。
見た事も無い規格ではあったのか白兵特化兵装なのか、それともデスティニーガンダムの様な
あらゆるレンジに対応したMSなのか瞬時には判断できなかったモノの
アスランは相手が懐に入らない様にけん制射撃を伺おうとしていたが―それは出来なかった。
「な、ビームが消えた!?」
「うぉぉぉっーーーー!」
「馬鹿な!? サーベルが押し負ける!? どんな出力を遣って!」
「コレはアルテミスの傘を応用したA.R.I..S(アルミューレ・リュミエール・インポッシブル・スピア)! そんな柔なビームはきかない!」
「な、こんな事が……俺が一撃で。くっ……強くなったなシン」
「その言葉、味方の内に聴きたかったです」
「ははっ、味方なら一生言わないだろうな……頑張れよ」
「アスランさん……はいっ!」
まるで中世の騎士達の馬上決闘の如く、相手のトールギスは相手の胸倉へと槍を突き立てていった。
無論、アスランはそれを射撃で迎撃しようとするが、先ほどまで槍の様に細長かったそのビームの塊は
つぼみから開く花の様に展開し、回転をして前面へと押し出る盾へとその姿を変貌させる。
ビームは弾かれてたことで射撃を諦めて、サーベルで相手を露払おうとするが
今度は再びピラミッド型へと戻った4面のビームの幕は槍へと姿を変えて
相手のビームサーベルをへし曲げるかの様にして、相手のコックピットへを貫いていた。
元々強力なビーム砲ですら弾き返す防衛システムを攻撃に使ったのだから
たかがMSのビームサーベル如き曲げるのは容易かった。
シンは最後、僅かに交わした会話でもアスランという人をいまいち理解出来なかったが
その言葉だけは素直に受け取ろうと思っていた。しかし、その刹那アスランの乗っていた……えーと、なんだっけ?
取り合えず、ジャスティスの後継機は爆散する。
「誰だ!?」
「ふん、アスランを倒したのは褒めてあげるよ。シン……いや、ゼクス・マーキスさん」
「キラ・ヤマト! お前との一騎打ちでこの戦争に決着を着けてやる!」
「それを受ける根拠は? このまま全軍で君を潰しても良いんだよ?」
「俺が倒れたら全面降伏する様に他の皆には言っている。余計な血は流させない!」
「騎士道精神ってのは好きじゃないけど受けようか。
で、くって掛かる理由は? 戦争で僕達に負けた事を根に持っているのかい?」
「違う! 俺は今、このマーシャンの人達の為に戦っているんだ!
このデスティニ-・トールギスは、俺達マーシャンの運命と供にある!」
「そんな勝手な運命。僕は受け入れられないな! このデストロイ・フリーダム・ガンダムで自由にさせてあげるよ」
「……酷い名前ですね。完璧悪役ですよ」
「う、うるさいな! コンセプト元のMSを足した名前なんだから仕方ないだろ! アスランのよりマシだ!」
383:赤頭巾 ◆sZZy4smj4M
08/05/27 22:17:21
アスランのよく解らないジャスティスの後継機の爆煙が晴れる。その目の前にはとても巨大な機体が聳え立っていた。
通常のMSの3~4倍はあろうかと思える巨体にシンは息を呑んだ。
それは確かに見慣れたある意味キラ・ヤマトの象徴ともいえる機体、フリーダムガンダムだった。
しかし、そのサイズははるかに巨大化しており、本来付けられていたマルチロックの射撃武装は
一門一門に陽電子砲が搭載されていた。こんな物をまともに相手をしていたら戦艦どころか
一戦力が纏めて落とされてしまうほどの威圧感と戦力をを安易に想像させてくる。以前、対峙した
デストロイガンダムだけでもやっかいだったのに、それがキラ・ヤマトが搭乗しているという事実に恐怖が背筋を通る。
だが、その恐怖を振り払うかの様にシンは機体を相手へと突進させていく。
「行くぞ、最初からクライマックスだ! エネルギー最大出力、リミッター解除! ミラージュコロイド開放!」
「な、質量を持った残像だと!? ミラージュコロイドの残像機能は完成していたのか!?
だが、ただの陽電子砲一門如きじゃこの機体の装甲は破れないよ!」
「ミラージュコロイドは最初からデスティニーに搭載されてましたよ!!!
陽電子出力収束率120% 流石、ドクターJだ。試作段階だった陽電子砲のサーベル化がこんなに安定している!」
「ふぉふぉっ当然じゃい。さぁ、消し(↑)飛ばしちまいなぁ(↓)」
なぜか途中、妙なイントネーションの入った老人の声が脳裏を過ぎった。
そして、シンの機体は光の翼を広げながらもデスティニーから搭載されていたが
目立った描写をされていなかったミラージュ・コロイドからなる残像で相手のロックオンをかく乱したまま
巨体の懐へと突っ込んでいく。それと同時、背中に背負っていた剣の柄の様なバックパックを取り外し
自らのMSの手でそれを握り締める。直接エンジンと繋がれている電力と
下手をしたら自らの全長と同じ位のサイズがあるその装備からは
まるで宇宙を貫き、そのまま天元突破してしまいそうな巨大な雷の剣が目の前に出現した。
「な、陽電子砲でどこを……い、いやコレは違う!?」
「喰らえ、約束されし勝利の剣! 雷光衝撃(ライトニング・インパルス)っぉぉぉぉっ!!!」
「くっ、この位置ではラクスが……させるかぁっ、デストロイ・ハイマット・バーストぉぉっーーーー!」
「キラ負けないで! 私の想いが貴方を守ります!」
「ちょ、ラクス! その台詞は駄目だよ!? って、あああああーーーーっ!!」
キラのえーと長いな、省略! 要するにでかいフリーダムは天高くそびえた剣に対して陽電子砲の一斉射撃をするが
懐に入り過ぎた相手に対して射角が合わず、上手く狙い撃てないでいた。
ラクス・クラインはヒロインとしてはあるまじき死亡フラグ発言により
法則から逃れる事は無く、デスティニー・トールギスの放つ雷で作られた柱の様な一撃と共に
その斬撃の露とMSと戦艦ごと消えた。二人の結末は死因:死亡フラグ発言による変化した運命を辿っていったとなる。
「―勝った! 見ているか、ステラ、レイ、艦長、ついでに議長! 俺は! 俺はぁ―勝ったよ!」
そして、プラント統一軍は指揮官とエースを失ったことにより烏合の衆と化し
火星改めて独立国家マーシャンを地球政府に認めさせる事に成功した。
長かった戦いは終結し、火星圏と地球とプラントは平和になりましたとさ。
めでたし、めでたし
384:通常の名無しさんの3倍
08/05/27 22:19:19
初っ端から壮大?な夢オチのヨカーンwwww
385:赤頭巾 ◆sZZy4smj4M
08/05/27 22:19:32
―ってのはどうよ。名付けて『逆襲のシン・アスカ―運命の翼編』 いやー、これは楽しい!」
「 あ り え ん(笑) 無しだろ普通に考えて」
「えーーーー、どうしてよ?」
コレより上に書かれたシンが数年後辺りでする武勇伝を勝手に捏造していたヨウラン・ケントに対して
光の速さを超える突込みを返す。その言葉の主、ザフトの”元”エースパイロット、シン・アスカは
ため息を吐きながら長々と聞かされた話により、疲労の色を滲ませつつも苦笑いと怒気を孕んだ口調で言葉を返す。
ヨウランは前から時々発言が遠慮が無い事もあったのは解っていたが、流石に今回は長過ぎた様だ。
此処は月軌道を演習している艦隊、俗にジュール隊と呼ばれるMS部隊の駐留する衛星基地。
アーモリーワン襲撃からその後、雪崩れ込んだ戦争から一年後、この二人は当初ミネルバが就航する予定だった
月軌道を巡航・駐留する部隊へと合流する事に相成った。連合とプラントとの関係も表立っての戦争は無くなり
彼等達軍属は平和なら平和なりの仕事として、演習に終始する毎日を過ごしていた。
「いや、訳が解んないよ。何だよそれ。つか、突っ込みどころがあり過ぎるぞ」
「えー、そうか?」
「なんで俺がマーシャンの英雄に成り代わってるのとか
アスハの姫様とえーとマーシャンのリリーナ様だっけか? その辺りを勝手に謀殺するなとか
デスティニー・トールギスとか何だよその恥ずかし機体とか、そのA.L.I.Sって兵装は何なのかとか
後、ガンダム作った有名な博士がなんでにそんな芸人みたいなイントネーションなのかとか
アスランさんの扱いが適当過ぎるとか……そもそも、アスランさんそんな嫌いだったのとか、あーー、全然足りない!」
「突っ込みは鋭いがちょっと今回は長いな。んで、誤解がある。まず、アスランさんはどーでも良いが」
「いや、それはそれでひどいな」
「A.L.I.Sに関しては連合のハイペリオンガンダムって機体が使ってるらしいぞ。ま、そんな名前はついてないが」
「それ本当かよ? 取り合えず、駄目!駄目! 全然駄目だ!」
「ちぇっ、面白いと思うんだけどな」
まるで長寿ドラマ番組の様な長台詞の突込みを噛まずに言い終えた後、それを律儀に返す
自分に絶望し、頭を抱えているシン。ヨウランの言葉をはいはいと適当に受け流す事が何故出来ないか自問する。
ちなみに、ヨウランンの言うハイペリオンは連合の機体であり、連合とプラントの関係が良好になったからこその情報でもある。
その位、この一年で色々な事が変わっていた。ラクス・クラインがプラントの統治を掻っ攫い議長へと就任。
これが民主主義的な投票での就任なのか、軍事的恫喝なのか、詳細は彼らにとってアンタッチャブルなので気にしなかったが
それでも色々な影響が出ていた。ロゴス解体から地球各地は経済が混乱し、厭戦感情と各国政府への不満が爆発。
プラントからも独立が認められた後、連合に対して軍縮提案が出されており、正に踏んだり蹴ったりな地球だったり
オーブも戦争からの再建でアスハの姫様は走り回ったりと”此処”の外は目まぐるしく、人と時間が動いていた。
「つーかさ? あの歌姫様が議長になったとはいえ、シン!
このままじゃ情けなさ過ぎるぞ。此処は男を上げる為に反逆のシン・アスカとしてだな」
「逆襲じゃなかったか? さっきの」
「気にするな。俺は気にしない」
「……懐かしいなレイの口癖。俺はそういうのはいいよ。世界は平和ってのは言い難いけどさ。
少なくとも何かを倒す戦争から、戦争を起こさない為の戦いをしてる訳だし」
「完全に燃え尽き症候群だな。いっそ、白髪になりやがれ!」
「此処ではそれ位が丁度良いさ。けど、この年で白髪はやだなぁ……って、痛いから止めろって!」
386:赤頭巾 ◆sZZy4smj4M
08/05/27 22:22:33
ヨウランは立ち上がり、シンの肩を手でそれぞれ左右を持ちながらも叱咤激励したいのか
疲労困憊している相手を揺さぶり、余計に気分を悪くさせたいのか解らないまま、言葉を続けるが
シンはそれを右の耳で聞いて、左の耳で吐き出しているかの様に無関心な様子だった。
途中今は亡きレイ・ザ・バレルの台詞を真似たりと彼なりに色々と気を遣っている様子ではあったのだが
至って効果は無く、むしろ逆にセンチメンタルな空気を作ってしまう。
更に言葉を返して髪の毛を引っ張ろうとするが当人のリアクションは薄かった。
シン・アスカは戦争時の気性の荒さはすっかりと見る影を失せていた。
まるで牙を抜かれた獣の様に、惰性と共に繰り返す演習と食事と睡眠と言う名の日常を過ごした。
それでも給料をを貯めて、オーブで花屋でも始めると決めたらしく、植物の育て方を学び始めたらしい。
が、それは知り合いから見れば、この間まで部活動に精を出していた熱血少年が
急に老人になって盆栽弄りをし始めたかの様に感じていた。
職場が同じヨウランはそれを心底心配していたのは、シンにもある程度は理解出来ていた。
「爺にしか見えないぞほんと……あの後、世界を平和を守る為に一緒に頑張るって言ってたろ、この赤服エリート!」
「守ってるだろ。月の軌道を」
「シンーー! お前、完全に飼い殺されてるの自覚してるか?」
「うん……ま、こういうゆっくりした時間も良いんじゃないか?」
「お、シーン。居た居たぁー、ちょっと来てくれー」
「ん? 艦長が呼んでる……なんだろ? 通信じゃなくてわざわざ探すなんて。取り合えず行って来る」
「シン! まだ、話は終わってないから!」
「解ってるよ。また、後でなぁ」
突如、二人の会話を割り込むかの様に、彼らの直属の上司であるアーサー・トラインは
通信も使わずに散歩がてらなのだろうか。直接シン達が休んでいたロビーへと足を運んできた。
それに応じた……まるで息子の嫁からお昼が出来た事を告げられて、リビングへと向かう老人の様な友の背中を
何も出来ない自分を悔しさを感じたまま、ヨウラン・ケントはその背中を見送っていた。
シンが見えなくなった後、壁を殴る音、その拳の痛みに絶叫する悲鳴などが彼の耳に届く事は無かった。
387:赤頭巾 ◆sZZy4smj4M
08/05/27 22:24:50
―宇宙のとある航路、ピースミリオン内ロビーにて
「……はぁ、やだやだ」
「どうした?」
「いや、今回の任務さぁ。トロワも大変だよなぁ」
「そうか? ミッションレベルはそんなに高くないが」
「やー、ヒイロは兎も角、お前と俺は大変だろ?」
宇宙要塞と言われても遜色ない巨大な戦艦ピースミリオン。その巨大な半月上の機影を
宇宙に漂わせている中、ガンダムデスサイズヘルカスタムのパイロット、デュオ・マックスウェルは
ロビーに置いてあるソファーに寝転がりながらもお凸に手を当てたまま
左右へと何度も寝返りを繰り返してた。その様子に特に感知する事をもそもそもする発想の無かった
ガンダムヘビーアームズ改のパイロット、トロワ・バートンに声だけぶつけていく。
トロワからすれば、デュオの言葉が非常に不可解だった。
今、彼らはあるミッションを遂行中なのだが、彼らからして見れば、それは今までの激戦とは
比べ物にならない位、難易度の低いミッションではある。解り易く言えば楽勝だ。
ただ、問題はミッションの難しさではなく、デュオにとって精神的な負担が大きい事を意味している。
おかげで今はこうやってソファーに齧り付いて、全身でグロッキーさを表現している。
「そんな事は無い。確かに、あまりやった事の無い任務だが項垂れるほどではない」
「そもそも、お前項垂れる事あるのかよ?」
「……該当する記憶は無かった」
「そうだな。それじゃ、そもそもお前に愚痴った俺が馬鹿だったよ」
「理解は出来ていないが、カウンセリングを受ける事を勧める」
猫の様に背を丸めながらも拗ねたままソファーで寝転がるデュオに
トロワは一言告げただけで、瞑想だが何を思っているかわからない状態へと戻る。
あまりの生真面目なトロワの一言に大きくため息を吐いてる最中
デュオは鬱憤がたまり過ぎて、頭をかきむしりそうになる衝動を溜め込んでいた。
だが、そんなことしたらほんとに精神科医のカウンセリングルームに連れて行かれそうな事が
長年の付き合いから解っていたのでそれをじっと我慢する。
そして、その片方はギスギス、もう一人は無の境地と言う全く異なった空気に一瞬、首を傾げたまま
ロビーに入り、歩み寄ってきたルクレツィア・ノインは普段の冷静な顔つきから僅かに訝しげな
雰囲気を滲ませながらも二人に話しかけてくる。
「デュオ、トロワ、どうした? というか任務中だろう?」
「あぁー。俺は即効で追っ払われたよ。流石に艦の中じゃ安全だろうし」
「俺も同じだ。レディーのプライベートと言う奴らしい」
「ま、まぁそれはそうだが、大丈夫か?」
デュオはソファーに突っ伏したまま片手だけを上げて宙を掻き混ぜる様に返事を返す。
トロワはその様子が理解出来ないのか肩を僅かに竦めながらもノインの方を見つめていた。
その視線に応えたのか、デュオの昏倒っぷりが流石に目に余っているのか解らないが
心配そうに言葉を向けると、待ってましたと言わんばかりに起き上がってノインにすがる様に
顔を近づけさせる。げっそりというほどではないが、ノインからは中々体調の悪そうな顔色は見て取れた。
また、その危機迫った表情と行動からは何事かと深刻そうな顔つきへと変わっていく。
確かにここ数年は平和になっていた事とデュオがコロニー出身だったとはいえ
慣れない任務と合わせて、艦での長旅というのは堪えているということだろうか?と言う懸念が彼女にはあった。