もし勇者シリーズがC.E.世界に来たらat SHARもし勇者シリーズがC.E.世界に来たら - 暇つぶし2ch■コピペモード□スレを通常表示□オプションモード□このスレッドのURL■項目テキスト346:660 ◆nZAjIeoIZw 08/06/18 23:19:02 携帯用バイク――全高四七センチ、全長八〇センチ、重量二〇キロ。搭乗者に合わせて百分の一ミリ単位でシートとレバーが微細に角度を変え、風防を務める半楕円形のフードがスライドしてマユの目の前に展開する。 搭載された小型バッテリーによって時速八〇キロで三六時間の連続走行を可能とし、最大時速三二〇キロを誇るミニ・モンスターだ。バッテリーのみで稼働する為排気音や排煙が発生しない点も注目すべきだろう。 マユの体格に相応しい鋼の暴れ馬は、乗り手を時速七〇キロに引き込んで勢いよくモーターを回転させて発進する。 マユは、望遠モードのツールが告げる状況を理解し、やばっと声を洩らす。ヴァルデマール金貨の持ち主が逃げ出したのはガイスターの襲来もあるが、それとは別の賊に狙われたからであった。 しかもあの慌ただしい逃げっぷりからして、金貨を手に入れる寸前までいっているらしい。マユはハンドルを握りしめてミニバイクを時速二百キロに加速させた。 「駆けよ、トロンベェ!」 遊園地のジェットコースターにでも乗っているようなノリで、マユは独逸語で「竜巻」を意味する言葉を口にして、一気にリムジンとその護衛の車両と、それを追う一台のジープ目掛けてミニバイクの機首を巡らした。 ジープとリムジンの護衛車両との間で盛大な銃火が応酬されているのを見て、マユは右太もものホルスターに収納した銃を意識した。 十六連発のオートマチックタイプの麻酔銃には、地球上のあらゆる生物に効果のある特製麻酔弾『スリーピング・ビューティー』を装填済みだ。 対人戦闘を想定したボディ・アーマーの分厚い生地も、問答無用で貫く特殊加工したタングステンの針から体内に投与される麻酔薬は、一切の副作用なしで安らかな眠りを十二時間ほど約束する。 ど、と地面に着地する衝撃は驚くほど少なく、マユは襟元にある通信機でサンダルフォンの艦長に連絡を入れた。 “自分達とは別の賊、たぶんトレジャー・ハンターがお宝を狙って持ち主を追っている”、と。 マユからの連絡を、艦長はそのままダイノガイストにつなげ、新たな指示を待った。マユには甘い傾向のあるダイノガイストがどう言った指示を出すか、多少興味はあった。 アガメムノン級部分の格納庫で、歪な玉座にかけたダイノガイストは、意外にもマユにそのまま金貨を追うように指示を出した。 『マユにはそのまま追わせろ。シンとアルダも傭兵共を黙らせるのだ』 「それで本当によろしいので?」 これは艦橋の艦長だ。万が一を考えてマユの援護を出さなくてよいのか? と暗に聞いている。 『構わん。今のマユならその程度はこなせる。追っているトレジャー・ハンターが例の奴らでなければ取り逃がしはせん』 「了解」 マユの事を信用しているのか、それとも失敗してもどうでもよいと考えているのか、艦長はモニターの向こうのダイノガイストをしばし見つめたが、やがて通信を切った。 一秒前までダイノガイストの恐竜顔が映っていたモニターを見てから、やがて艦長は小さく笑った。それを、隣のコンソールに下半身を埋めてサポート中のテレビロボが、画面に『?』マークを浮かべた。 なぜ笑ったのか? という意味だ。 「いや、なんなんだかんだ言って、あの娘の事が気になるのだなと思ってな」 艦長は見たのだ。ダイノガイストの尻尾が上下に振られて床を叩いているのを。それは苛立たしさを表す動作と言うよりは、マユの事を心配して無意識のうちに行った動作の様に思えた。 それに気付いてなんだか微笑ましい気持ちになり、つい笑みを浮かべてしまったのだ。 「思ったより宇宙海賊も悪くなかったな」 不意に、艦長――ナタル・バジルールにそう言われたテレビロボは、当たり前だ、とばかりに右の触手を左右に振った。 さて、現実の方で後問題なのは、宝を追っているのが『例の奴ら』かどうかと言う事だった。 「がんばれ、マユ」 艦長は、一人宝を追うマユに、せめてもの声援を送った。 ――続く 次ページ最新レス表示レスジャンプ類似スレ一覧スレッドの検索話題のニュースおまかせリストオプションしおりを挟むスレッドに書込スレッドの一覧暇つぶし2ch