もし勇者シリーズがC.E.世界に来たらat SHAR
もし勇者シリーズがC.E.世界に来たら - 暇つぶし2ch2:通常の名無しさんの3倍
08/04/01 22:56:01
即占拠されてガイスターの前線基地になるプラント

3:通常の名無しさんの3倍
08/04/01 23:02:40
どこからか情報仕入れてきたホーンガイストがクライン派のファクトリーから色々と盗み出そうとする。
んでもって、盗むのに失敗して一緒に来ていたアーマーガイストが腹いせにファクトリーの施設を壊して逃亡。
世界中にファクトリーの存在が暴露する。


4:通常の名無しさんの3倍
08/04/01 23:05:33
  ,'::.::l.:: |.::.::.:/.::.::.::/.::.:/-―.:/.::.::.::.:}.::.::.::.ヽ.::..::ヽ⌒`く´  !! ̄`丶ー‐- 、
  |.::.::!.::.|.::.::,'.::.::.::/:´/.::.::./.:/.::.::.:: /.::.:}.::.::.:|.: !.:iハ      !!    \  \
  |.::.::!.::.|/{}.:.::.:,'::./::x=<//.::./:/.::.:/!.::.::.:j.::.!.:i|リ /    リ` 、     \   \
  |.::.::!:く  八.::.: :/ィう刃!ヾ ////!:::/`ト.::.::/.::.!.:i| {   {  ヽ、  \     ヽ.   ヽ
  |.::.::|.::.∨:)ヘ :イ|!{.ト::jrj  ´   ノ=k. !.::./.::./:://│      \  ヽ  \ \  '.
  |.::.::|.::./く:):ヽl:| 込zソ      f刃ハV:/::.:/j//' l |   ', ヽ´ ̄ヽ │    ヽ } │
  |! .::|: レ:((: ノl:l .:.::::::::      ,ヾ.ソ /-イ/ ´/┼トj ∧ ∨ {\ ∧ !    Ⅳ !|
  \:.|〈: :ノ(::}l:|      -, :::.:,'.::.:イ  │∧从| \ ∨ 价f心Ⅵ    l|コ 八
   `7.〈.::.∨ ::|           イ.:: {. | l │ly价、ヽ  ヾ {ト::::r'ハ}|      |   ヽ
    _入:_}_ .::.::.:|、\    _, <!::|.::. ヽ! ',  Ⅵハ:::r}     込少' !  ∧/l    ヽ \
   〃   ̄ `\|:::`く ̄`丶i:、::. !::| ::.::. |\{\ トゝj少,     :.::::::.: / / ノ !  \   ヽ
  /        \/     \:! j ::.::.::|  \ ヾj.::::.:  r ,     // T゙{   ',    ヽ
. /    ∠ 三二ニ\       ヾ!、.::/     ゝ _        /  _,|八  ヽ
/   / /     `ヽ、      /,ニ二\    /个ト   .__, イ 二ニ--┘\  \
    / /           \   (7'´/⌒‐ヘ    ヽ( \   </ ̄ ̄ ̄`丶/\  ト、
  / //           }    / (/⌒\ ',    \( >'´        \. ヽ } \

5:通常の名無しさんの3倍
08/04/01 23:57:16
このスレの趣旨って勇者シリーズの初期限定なの?

6:通常の名無しさんの3倍
08/04/02 00:58:30
>>5
どうなんだろなその辺。
ガイスターにプラントとかそのへん襲わせる方が想像しやすいけどな

7:通常の名無しさんの3倍
08/04/02 02:02:00
保守


8:通常の名無しさんの3倍
08/04/02 08:43:22
保守

9:通常の名無しさんの3倍
08/04/02 09:25:58
むしろC.E.の『人類の宝』であるラクスを攫うとか?

ただ、ジェイデッカーが絡んだ場合、ラクスの歌声がフォルツォイクロンにある
ハーメルンシステムを刺激して、超AIロボ全てを洗脳してしまいそうだがw

10:通常の名無しさんの3倍
08/04/02 09:46:12
マイトガインとかはブレサガの乗りで登場しそうだな。

11:通常の名無しさんの3倍
08/04/02 09:49:02
個人的にはガイスターがラクス攫ってくれた方がCEの世界的には平和になるんでわ?

12:通常の名無しさんの3倍
08/04/02 10:47:47
下手こくと、ガイスターが洗脳されてラクシズ入りしかねん

13:通常の名無しさんの3倍
08/04/02 11:01:28
>5
時期的にもただのおちょくりでしょ。軽く調べた程度の知識で書いて見ました的な。

14:通常の名無しさんの3倍
08/04/02 19:16:30
>>12
いや、ダイノガイスト様なら大丈夫だ!

15:通常の名無しさんの3倍
08/04/02 19:53:56
NJ影響下の地球はエネルギー資源問題解決の為、移動・輸送手段はALL鉄道へ



クルーゼ< だからドリルはとれといったんだ

16:通常の名無しさんの3倍
08/04/02 23:10:20
プテラガイスト辺りがフリーダムとかジャスティスとかを改造してくれないかな。
鉄橋とか見たいに。
そして、カイザーフラッシュで動けなくしてカイザーブレードでぶった切るとか。

17:通常の名無しさんの3倍
08/04/03 06:53:45
>>15
アズラエル財閥が鉄道運営に手を出すんですね>< わかります。

18:通常の名無しさんの3倍
08/04/03 12:02:08
保守

19:通常の名無しさんの3倍
08/04/05 08:47:51
保守

20:通常の名無しさんの3倍
08/04/06 09:29:14
保守


21:通常の名無しさんの3倍
08/04/07 11:33:30
保守

22:通常の名無しさんの3倍
08/04/08 08:48:03
保守


23:通常の名無しさんの3倍
08/04/09 20:42:17
保守

24:通常の名無しさんの3倍
08/04/09 21:15:20
個人的にはシャランラとラクス、どっちが無軌道っぷりが上か勝負を見たいな

つか、流石に連合もザフトもラクシズもワルザック協和帝国軍に勝てそうにない気がする

25:通常の名無しさんの3倍
08/04/10 11:14:38
ソレスタルビーイング対カイザーズ対宇宙警備隊対伝説の勇者対勇者特急隊対ブレイブポリス対レジェンドラの勇者対ダグオン対GGG

26:通常の名無しさんの3倍
08/04/11 12:12:10
保守

27:通常の名無しさんの3倍
08/04/13 15:30:04
保守

28:通常の名無しさんの3倍
08/04/14 22:45:35
保守

29:通常の名無しさんの3倍
08/04/17 20:13:13
『となりのダイノガイスト』

 ぴちゃぴちゃと音を立てる水滴に打たれ、ソレは目を覚ました。辺りは暗く、『薄暗く』さえない。目の前を誰かがよぎっても、気付く事はないだろう。ざあ、ざあ、と潮騒の音が大きく小さく引いては打ち寄せる音がする。海の近くなのだろう。
―どこだ? ここは。 
 ぴくりとも動かぬ四肢をもどかしく思いながら、ソレは視線を周囲に向けた。闇。闇。闇―そして一筋の光。
 たった一筋の光が、ソレのいる闇を切り裂き、ニンゲンが素足で歩いたら血を噴きだしてしまいそうなほど鋭く尖った岩肌を照らし出していた。
 どうやら岩盤と岩盤が折り重なって出来た空隙に、ソレは自分の体を横たえているようだった。光は、重なり合った岩盤に出来たわずかな罅から差し込む唯一の灯りのようだった。
―おそらく地下、だろう。
 体内のエネルギーをわずかに消費して、差し込む陽光や大気、体の下の岩盤の成分を分析すると、彼がしばらく身を置いたあの星のモノと一致した結果が出る。

―動かん。身体も捨てられんか。

 忌々しい。本来、有機物や無機物で構成された肉体をもたぬ筈のソレは、今は鋼の肉体と言う名の檻に捉われていた。一刻も早くエネルギーを補給し、この肉体を再構築するか、肉体から離れても行動が可能になるまで待つしかない。
 口惜しい。宇宙にその名を限りない恐怖で知らしめたソレからすれば、ただこうして牢獄を思わせる地下で、ただ傷を癒す事の身に時を掛けるのは屈辱であった。
 だが、事実体を休める以外に選択肢はあり得ず、心に湧き起こる怒りをそのままにソレはわずかに差し込む陽光からエネルギーを補充して周囲の岩盤や塵、イオン、浮遊分子などを集め、それらの物質の分子配列を変えて自らの肉体の傷を塞ぐ糧とする。
 それは、蟻が巨城をその牙だけで崩そうとするような、途方も無い作業ではあったが、ソレは躊躇なく行う忍耐も兼ね備えていた。そして忍耐を支えるのは怒りであった。屈辱であった。誇りであった。矜持であった。
 かつて宇宙最強を謳われた己が、このままどこともしれぬ地下で朽ちるなど、断じて有り得ぬ。例え千度生まれ変わろうとも一度として受け入れる事の出来ぬ無様であり、結末だ。
 だから、ソレは気が遠くなり、思考さえも鬱陶しくなるような時間を覚悟して、自分の体を癒し始めた。ゆっくりゆっくりと、長い長い旅の様に。


 自らも岩盤の一部となり果てたと錯覚するほどの時間がたち、ソレはこの闇と岩の牢獄の中にいる“命”が自分だけではない事を知った。
 生命活動、というよりは肉体の復元作業に差しさわりの無い程度にエネルギーを使い、センサーを起動させれば岩壁をかさかさと走る小型の爬虫類や、蜘蛛の足が立てるか細い音も拾えるし、何日も聞いていた潮騒のわずかな違いを聞き取る事もできるようになっていた。
 変化もわずかずつではあるが生じていた。普段、肉体の修復に使用するエネルギーの消費量が一定のラインを超えると強制的に眠りに着くように設定した肉体に流れ込むエネルギーの量が、わずかではあるが増したからだ。
 麻痺しつつあった感性が刺激され、ソレはセンサーの感度をほんの少しずつ上げる。
―無数の生命反応。それに膨大な量のエネルギー……。これは、ニンゲン達か。
 記憶の中に埋没していた虚弱な生命の名を思い出し、ソレは久しぶりに心が動くのを感じた。あの、ちっぽけで矮小で、何万人集まろうともソレに傷一つ付けられないだろう哀れな弱者達。
 だが、ソレの求める宝をいくつも生み出した貴重な生き物でもあった。ソレとは違い、柔らかく脆い肉の体を持つニンゲン達。どうやら、ソレが眠りについている間に、地上の世界は大きく変わっていたらしい。
 自分の体に流れ込むエネルギーがわずかに増したのも、ニンゲンの築き上げた文明が消費するエネルギーがわずかに零れ落ち、それをすくいあげたからの様だった。
 ニンゲン達の恩恵に預かるような真似にはひどく抵抗を覚えたが、ソレは一時の事と感情を殺し、また緩慢に眠りにつき始めた。
 太陽に身を投げた筈の体は、まだ十分に回復しているとは言い難かった。
―ニンゲン。憐れなほどに弱い、生き物。だが……
 ソレの脳裏に浮かんだのは、この闇の時の中で何度も反芻した宿敵の言葉。

『大事なのはコウタだけではない!! この宇宙に生きるすべての命が大事なのだ!』

『どんなに小さくとも命は宝だ! たとえそれが貴様のような悪党の命であってもだ!!』

 であるならば、命こそが宝であるならば、
―ニンゲンすべてもまた、宝か。
 そして、ソレは再び眠りに着いた。

30:通常の名無しさんの3倍
08/04/17 20:15:42
 それからも何度か怠惰な覚醒と深い眠りを繰り返し、ソレはニンゲンの世界の変化を感じ続けた。時がたつほどにソレに流れ込むエネルギーは増え、ソレは遠くない日に、再び宇宙最強の強者として蘇る自分の雄姿を思い起こし、小さな感慨に耽った。
 もっとも、ニンゲンに比べてかなり幅の広い限りある命を持つソレにとっての遠くない日というのは、ニンゲンからすればとてつもない数字になるが。
 いずれ蘇った暁には捕らえられた部下達を救いだし、自分を打ち倒した宿敵と再び剣を交えるのだ。そして宿敵を倒し、敗北の屈辱を注ぐ事が出来た時こそ、真に自分は蘇る事が出来る。
 そう、この■■■■■■■様の復活の時だ……。
 
 ずっとそこに身を置くソレ以外には、微細な変化を感じ取る事が出来ない世界に、大きな変化が訪れたのは唐突だった。
 眠りに着いている間稼働させていたセンサーの捉えた動体反応と熱源反応、生命反応にゆっくりと目を覚ましたそれは、長い事ねぐらにしていたこの牢獄に近づいてくる一人のニンゲンに気付いた。
 子供、と呼ばれるニンゲンの幼態だ。子供と言う存在に、不意にソレは宿敵にコウタと呼ばれていたニンゲンの子供を思い出す。思えば、あの子供こそがソレと宿敵との戦いの鍵を握っていたのかもしれない。
―馬鹿な。ちっぽけなニンゲンの、更に弱々しい子供などが。
 否定する自分と、しかし、と肯定する自分。あまりにも自分らしくない。迷いや躊躇などおよそソレの生において無縁のものだ。ソレは欲しいと思えば力づくで手にいれ、気に入らなければ思うがままに破壊してきた。
 そしてソレの行いを阻める者など広大無辺な宇宙といえども居やしなかった。神とやらに救いを求める者もいた。自分達の知恵と技術で挑んできた者もいた。あるいは敗者同士で手を組みあい、挑んできた者達もいた。
 すべて打ち倒した。すべて打ち砕いた。すべてさらなる敗北の泥に塗れさせた。ソレの向う所に敵は無く、阻める壁は無く、多少の困難はむしろそれを打ち破った時の快楽を得る為の刺激剤だった。
 唯一、ソレをこのような境遇に追い落とした宿敵達を除いて。
―…………。
 そこまで考え、ソレの思考は沈黙を選んだ。最初は、自分さえ姿を現わせばどうと言う事も無く倒せた相手であった。だが、戦いを重ねるにつれ力を増し、遂には自分と互角の力を持つになった宿敵。
 宿敵が力を増していった理由の一つが、あのコウタという子供だったのではないかという思いがソレの思考の片隅に、ずっと長い事あり続けていた。
 ソレの沈黙を破ったのは、刺し恵む陽光よりもさらに強烈な光を認めた時だった。人工の灯り。どうやらニンゲンの子供がこの牢獄の近くにまで来たらしい。
 打ち寄せては砕ける波のしぶきでも浴びたのか、きゃ、という小さな声がした。ニンゲン同士なら可愛いと感じる幼子の声であった。ソレにはさしたる感慨も浮かばない。
―ニンゲンのメスか。少女、とかいう分類だな。
 聞こえてきた声を分析し、収集し蓄積していたニンゲンのデータと照合し、そう判断する。地球周期でおおよそ十歳前後。性別雌。
 久方ぶりに、自分以外に明確な知性と意識を持った生命の接近に、我知らずソレの思考も活発さを取り戻していた。
 視覚センサーの彼方をライトの灯りが何度もよぎり、徐々にニンゲンの子供が近づいてくる。波の音にまぎれてしまう小さな足音も、ソレの聴覚に相当するセンサーが拾い上げていた。
 凹凸の激しい足元に、かなり苦労しているらしいが、小さな冒険のつもりなのか零れる悲鳴は随分楽しげだ。
 そして、そのニンゲンの子供が、ソレが体を横たえている牢獄に入った唯一の罅に気付き、体を乗り出して自分の足元を手に持ったライトで照らしだした。罅は最も太い所で幅六十センチ、長さは五メートル近い。
 牢獄の中を白々と照らし出していた光が、ソレのちょうど視覚センサーに当てられた。陽光以外の灯りを、ソレは眩しいと感じた。おかしな話だ。自動的に光量を調節し、視覚センサーに異常を来たさない様にしていると言うのに。
「きゃあ!?」
 ひときわ大きな声が、ソレが身を置く牢獄に反響した。ニンゲンの子供がソレに気付き、驚きの声を上げたのだ。ソレは、ニンゲンの子供を見た。ちょうどソレが体を横たえている位置から、数メートル上にニンゲンの子供がいるため、ソレが見上げる形になる。
 つぶらな瞳に、長い茶色の髪をピンクの細いリボンで括った華奢な雌だ。赤いスカートに、白のブラウス。その上にジャケットを一枚羽織っていた。ニンゲンすべてがそうだが、特に子供と言うのは良くもあれで生きていけると思うほど小さく弱々しい。

31:通常の名無しさんの3倍
08/04/17 20:16:38
「きゃあ!?」
 ひときわ大きな声が、ソレが身を置く牢獄に反響した。ニンゲンの子供がソレに気付き、驚きの声を上げたのだ。ソレは、ニンゲンの子供を見た。ちょうどソレが体を横たえている位置から、数メートル上にニンゲンの子供がいるため、ソレが見上げる形になる。
 つぶらな瞳に、長い茶色の髪をピンクの細いリボンで括った華奢な雌だ。赤いスカートに、白のブラウス。その上にジャケットを一枚羽織っていた。ニンゲンすべてがそうだが、特に子供と言うのは良くもあれで生きていけると思うほど小さく弱々しい。
「きょ、恐竜の……ロボット?」
 おれの事か。とソレは思う。そういえば今の自分が三つある姿の内、アジトで長い事選んでいた恐竜の形態である事を、久しぶりにソレは思い出した。ニンゲンの子供が持つライトが、ソレの傷ついた体を順々に照らしだす。
 ティラノサウルスよりは映画の中に出てくる二足歩行の怪獣に似た胴体と、胴体に比べれば小さな前足、頭部にある鶏冠か反り返った刃の様な金色の角。恐竜らしからぬ、なぜか背に負った―ひしゃげている―二門の砲身。
 その体を横たえ、背を丸めているソレに、ニンゲンの子供は目をまんまるに見開き息を飲んでいた。そんなに自分が珍しいのか、それともよほど自分が傷ついた姿をしているのか。
 どちらにせよ、まるで見世物の様でソレは不愉快だった。だからだろうか。自分が見世物などではないと主張する気になったのは。久方ぶりに言葉を発し、会話をしてみたいと言う欲求に駆られたとは微塵も思っていない。
『恐竜のロボットだと? それはおれの名前ではない』
「ひゃっ! しゃ、喋った!?」
 びくりと、体を震わせるニンゲンの子供の様子がひどく愉快なものに見える。本来肉体を持たぬソレからすれば、有機物で構成された際に変化するニンゲンの表情の変化と言うものは判別するのが難しいが、目の前の子供の驚きの様子は手に取るように分かった。
『小娘、貴様名前は何と言う?』
「マ、マユ。マユ・アスカだよ? 貴方はなんて言うの? 恐竜さん」
『おれか? おれ様は、ダイノガイストだ!』
 長い長い眠りに着いていたソレは、久方ぶりに口にする自らの名を、傷つきながらも変わらぬ威厳に満ちた声で、誇らしげに告げるのだった。

32:通常の名無しさんの3倍
08/04/17 20:22:34
はじめましてこんばんわ。ここではこういったSSというのはOKなのでしょうか?
投下する前に聞くべきだったと、あとになって気付いたもので、事後承諾の形になって申し訳ないです。

33:通常の名無しさんの3倍
08/04/17 22:34:24
>>29-31
おお、まさかダイノガイスト様とマユのコラボとは…GJ!

34:通常の名無しさんの3倍
08/04/17 22:50:41
期待age

ダイノガイストの心情とかが見事に描かれてて久々にいいもの見させていただきました!
しかし、CE世界の人間(特にラクシズとか)を見た時のダイノガイストの反応も楽しみである…
何か、コウタとの落差を感じそうな気が…

35:通常の名無しさんの3倍
08/04/17 23:29:34
>>29-31
GJの一言に尽きるな。
ダイノガイスト様がくるとは

36:通常の名無しさんの3倍
08/04/17 23:31:15
ちなみにコレ書いた作者様は、現在スパロボinC,E板またはスパロボinC,E避難所にて連載中です。



37:通常の名無しさんの3倍
08/04/18 03:07:48
我らが宝、ダイノガイスト様を追いかけて俺参上!

38:通常の名無しさんの3倍
08/04/18 21:37:20
同士たちに出会えて感激だ!!
実は自分も最終回後のダイノ様が種死世界に現れるSSを考えた事がある。
そしてシンの壁となって、知らないうちにシンの成長を促す存在になるという
話だったんだが、文才が無い、どう考えてもラクシズ蹂躙、そして結局ダイノ様
をたたえるSSにしかならない為、お蔵入りにしてしまった。
本当、職人さん達がうらやましい。

39:通常の名無しさんの3倍
08/04/18 22:19:54
ゴルドランをストフリ無双以上のレベルであっさり倒したウサリンの火力があればCEなんざ
シャランラ一人で十分だろう
さらにやりたい放題のウサリンMk-Ⅱなら文句ない

40:通常の名無しさんの3倍
08/04/18 22:51:41
基本性能考えたら、強化合体した勇者なら大抵のMSは倒せるだろうな。

41:通常の名無しさんの3倍
08/04/18 23:24:13
つーか、∀とかXとかGとかWとか、スペオペレベルの技術持ちとか一能で最強とか、ヒーローがかってるのなら兎も角、その他のMS相手なら単体勇者で充分だろ。
下手すると、ダグテクターでも倒せそうだ。

42:通常の名無しさんの3倍
08/04/19 00:43:14
>>41
とりあえず、ガインショットも普通に効くだろうな

43:通常の名無しさんの3倍
08/04/19 02:42:14
子供の頃に見たという“思い入れ”のせいか、どうしても強過ぎるくらいの強さで捉えちゃうんだよな。
なので一歩踏み外すと即蹂躙SSになっちゃうという……。
毎度毎度最終回近くになるとボロボロになったり力尽きたりするのも見てたはずなんだけどな……。

44:通常の名無しさんの3倍
08/04/19 02:52:36
けど、話にも拠るけど、勇者シリーズの宇宙からの侵略者と、ガンダムシリーズの技術とで比べると、
∀クラスでもない限り侵略者の技術レベルのほうが遥かに高いからね。


……ただ、初作のファイバードで刷り込まれているから、宇宙からの侵略者が大半なイメージがあるけど、
実際には地球圏の勢力と戦ってる話も多いんだよな。

45:通常の名無しさんの3倍
08/04/19 04:30:09
ブレサガから公式最後の勇者バーンガーンでも持ってきてみるかな。
ガガガ除く勇者シリーズ全部入っているから上手く話を組み立てれれば面白いと思うんだが。
CE71なら勇者側、侵略者陣営、地球連合、ZAFT、オーブの5だい勢力のひしめき合う群像劇みたいなのになればいいんだが。
文才がなくて全然かけないけど。


46:通常の名無しさんの3倍
08/04/19 17:45:20
谷田部三部作のときは子供向けと思ってみてなくて
アニメ雑誌で取り上げられるようになったマイトガインから見始めた俺は邪道ですか?

47:通常の名無しさんの3倍
08/04/19 18:24:10
>>46
いんじゃね?
俺もリアルタイムではエクスカイザー~マイトガインはたまにしか見ず、
ジェイデッカーから本格的に見始めたわけだし

エクスカイザー~マイトガインも後々になってレンタルビデオや再放送、DVD-BOXで見たけど

48:通常の名無しさんの3倍
08/04/19 20:24:45
>>29-31
ダイノガイストの一人称はワシだろ

49:通常の名無しさんの3倍
08/04/19 23:38:57
>>48
いや、「俺」または「俺様」で合ってる
記憶してる限りではダイノガイストは自分の事を「儂」と言ってなかったと思う

50:通常の名無しさんの3倍
08/04/20 00:09:29
ホノトだ最終回で「俺様」って言ってる
ワシはメガトロンだったな

51:通常の名無しさんの3倍
08/04/20 20:20:52
>実際には地球圏の勢力と戦ってる話も多いんだよな。
マイトガイン、ジェイデッカー、ゴルドランあたりか。

マイトガイン勢(ガードダイバーはちょっと不安)とゴルドラン勢はガンダム相手でも余裕で勝てそうだけど
メイン武装がライフルと警棒なジェイデッカーはマックスキャノンが無いと厳しいかも知れんな。
デュークファイヤーとビルドタイガーは大丈夫そうだが。
シャドウ丸は…どうしよう?

52:通常の名無しさんの3倍
08/04/20 21:52:36
>>51
ああ見えてジェイデッカーは初期装備だけで軍の最新兵器(可変戦闘機)を倒してたりするが

シャドウ丸は…たしかにきついよな
基本戦闘能力は低い方だし
あと、何気に航空(航宙)能力に関して言えば、ジェイデッカーは全勇者シリーズ中最高スペックを誇る
合体後はデフォルトで全員飛行できるし、(理論上は)補給無しで地球~土星(木星だっけ?)を往復出来るし

53:通常の名無しさんの3倍
08/04/20 21:58:22
ジェイデッカーは大気圏離脱できる推力あるぜ。

54:通常の名無しさんの3倍
08/04/21 00:18:17
>>53
それを言っちゃ、大抵の勇者ロボは大気圏離脱出来る推力を普通に持ってるが
ただ、航宙能力に関して言えばブレイブポリスが異常なんだが
ガオガイガーでも、木星まで行くのにESミサイル使ったし

ダグオンは単独で大気圏離脱入出来るのってサンダーダグオン、ライアン、ガンキッドだけだったな
スーパーファイヤーダグオンも大気圏離脱したところでボロボロになっていったし
…ジェノサイドとやりあってたから、内部崩壊起こしてたのかもしれんが

55:通常の名無しさんの3倍
08/04/21 01:41:09
まあ、それ以前に。あの心優しいブレイブポリスに戦争をやらせたくない
と思うのだが。
あいつら、人間と自分らの命比べたら、やっぱり人間のほうが重いとか
いってくれるやつらだし。うあ、思い出しただけで泣けてくる。

56:通常の名無しさんの3倍
08/04/21 02:03:25
流れ読まずにすいません。『となりのダイノガイスト』なんですが、朝あたりに投下させてもらってもいいですか?

>>55
その意見はすごくわかる。ブレイブポリスに限らず勇者シリーズだからこそそうあってほしいというか。
やっぱり根本的に戦争の道具じゃないってのと人間よりも人間らしい心があるからかな。

57:通常の名無しさんの3倍
08/04/21 02:57:59
カモン、カモン、カモーン。

58:通常の名無しさんの3倍
08/04/21 07:00:28
『となりのダイノガイスト』 <2>

「ダイノ……ガイスト?」
『そうだ。忘れるなよ、小娘』
 呆然と、マユは目の前の壊れかけた恐竜のロボットが告げた名を呟き返した。ダイノガイストにとっては、本当に長い事他者に言われる事の無かった自分の名であった。
 思えば、常に自分の周りにいたプテラガイストやホーンガイスト、サンダーガイスト、アーマーガイスト、コウモリ達もおらず、たったひとりの孤独の中では自分と言う存在の定義さえも曖昧になりがちだった。
 通常の生命体、たとえば人間なら百回発狂してもおかしくないほどの孤独と闇の中を、ダイノガイストは耐え続けてきたのだ。
 ダイノガイスト、と何度も小さな唇を動かして呟くマユの様子に、とりあえずダイノガイストは満足した。
 本当に他者と言葉を交わすのは久しぶりの事だ。本来なら取るに足らぬ筈の小娘を構う気になったのも、これまでの環境の影響だろう。
 何度かダイノガイストの名前を呟いてから、マユは右手に持ったペンシルライトでダイノガイストの恐竜を模した体を照らし出し、何度もその姿を食い入るように見つめていた。
 罅の入っていない所を探すのが難しいほど、ダイノガイストの装甲は傷つき、一部は太陽の熱によって融解し、赤と黒が混ざり合って溶けたチーズの様に固まっている。
 長く伸びた尾も半ばほどまでしか無く、四本の足もきちんと指が揃っている物は一つとてない。ダイノガイスト自身は痛みを感じる事はないが、それは見る者からすれば例え無機物であっても痛々しさに目を背けても仕方の無い惨状であった。
 じっと自分を見下ろすマユの瞳を、まっすぐに見返し、ダイノガイストは目の前の小娘が何を思っているのかと、少しだけ疑問に思った。
 自分の素性を知る者ならば、宇宙最悪レベルの悪党を捕らえる絶好のチャンスとばかりに、宇宙警察や宇宙警備隊にでも通報する所だろうが、果たしてこの星ではどうなのだろうか?
 そもそもこの星が、自分が思う地球であるのか? という疑問を、この時すでにダイノガイストの心は抱いていた。
 ダイノガイストは宇宙最強を謳うになんら恥じる事無き強者であると同時に、戦闘能力に見合う豪胆さと、それなりの明晰さを持っている。
 長すぎる眠りにいささか頭の回転は鈍っていたが、収集し続けているこの星の情報からは、かつてダイノガイストがいた頃に比べ―仮に地球だとして―自然環境の劣悪な汚染や、核分裂を抑制する人為的なジャミングの様な物が施されている事が分った。
 少なくとも自分がいた間の地球はこんな状態ではなかった筈だ。
 そもそも宇宙空間で自ら太陽に身を投げた筈の自分が、なぜ半死半生の状態とはいえ惑星の土の下に身を横たえていたのか。そんな現状の始まりの答えさえ得てはいない。
 もっとも、奪われるくらいならばと自ら絶った命が、今まだ自分の手にある以上は、現状に甘んじるつもりなどダイノガイストには微塵も無かった。
 どうして自分がこのような所で命を長らえたのか、と言う疑問を解決する気持ちもあるにはあったが、それ以上に捕らえられた部下達の安否と、全宇宙の宝を自らのものにすると言う目的を果たす意思の方がはるかに強かった。
 生死の天秤が動くその時でさえも自らの信念を貫きとおす意思の強さこそが、ダイノガイストを最強たらしめている重要な要因なのだろう。
 ともかく、ダイノガイストはあまり期待こそしてはいなかったが、目の前の少女から自分が身を休めているこの星の情報を聞き出すつもりにはなっていた、と言う事だ。いずれ完全に再起するその日までの、長い道のりの第一歩、という所であるだろうか。
 そして、ダイノガイストの関心をこの時一心に集めていたマユは
「たいへん!」
 と小さな口を大きく開け、可愛らしい声を洞窟の中一杯に響かせた。それはまあ、大変だろう。目の前に三十メートル近い、傷だらけとはいえ恐竜の姿をしたロボットがいるのだ。
 これが大変でなくて何が大変であろうか。
 一方でダイノガイストはマユの叫んだ『たいへん!』を、指名手配されている宇宙海賊ガイスターの御頭である自分を知っているからか、と考えた。
三〇〇年の活動期間で荒らした星の数は三百近い。銀河規模で高度に発達した文明の惑星国家もあったから、宇宙に進出し他天体の生命と交流を持つレベルの文明ならば宇宙海賊ガイスターの蛮名は広く知れ渡っているはず。
 本来肉体を持たぬエネルギー生命体のダイノガイストの物理的な形状は、すぐに変えられるものである為に逮捕する事に関してはあまり意味を成さないが、その名はあまねく宇宙に知れ渡っている。
 だが、この時のマユの言った『たいへん!』は大きくダイノガイストの予想を外れていた。

59:通常の名無しさんの3倍
08/04/21 07:03:31
「恐竜さん、じゃなくてダイノガイスト、ひどい怪我してるよ!」
『なに?』
 確かに、今の自分のダメージはこの肉体を得てから最も深刻なものだ。仮初の、しかも機械仕掛けの肉体ではあるが、痛覚や五感などといった有機生命体ならではの諸感覚も備えている。
 今はメカニズム化した肉体構造を操作して、痛みを遮断している為、ダイノガイストには自身の体に対しては、意志に反してぴくりとも動かない事への苛立ちばかりがある。
 だから、マユの口にしたひどい怪我してるよ、などと言われても言葉の意味の理解が数瞬遅れた。
 この小娘、おれの体を心配しているのか? 訝しげな思いと同時に、マユが自分の名前に反応しなかった事を分析する自分もまたいた。とはいえ『ダイノガイスト』の名よりも、この姿の凄惨さに、マユの注意が言った可能性もある。
 もう少し、ダイノガイストはマユを構う事にした。
 岩盤の割れ目の縁で足を止めたマユは、くりくりと良く動く瞳でダイノガイストの体を何度も見返していた。
 手に持ったライトは、その視線に合わせてダイノガイストの体の上を行き来する。それらの行為が、マユの異物の混じらぬ労り故とまでは分からぬが、少なくとも害意があっての事ではないと、ダイノガイストはマユのさせるがままにした。
「どうしよう、お医者さん呼んで来なくちゃ。あ、でもロボットなら人間のお医者さんじゃだめだ、どうしよう、ねえ、ダイノガイスト、痛くない? 平気?」
『一度に喋るな。お前の声は耳に響く』
 厳密に言えばダイノガイストに耳に値する帰還は無いが、言葉のあやというものだ。
 壊れたラジオかテレビの様にこちらが口を挟む隙の無い、早口で捲くし立て、一人で慌てて勝手にうろたえるマユの様子を、滑稽なものを見るのと煩わしく感じるのが半分ずつ。
 とりあえずは煩わしく感じる方が勝り、ダイノガイストはいかにも億劫な調子でマユの言葉を止めた。
『医者など要らん。おれの体をニンゲンなぞに易々と触れさせるつもりはない』
「でも」
『ならば、よく見ろ。おれの体はおれが直しているのだ』
「?」
 明滅する恐竜を模した頭部の目の輝きに誘われるように、マユの眼は一番自分の近くにあるダイノガイストの左前肢に注がれる。
 周囲を支える岩盤と違い、細かなパウダー状の砂の上に力無く投げだされたダイノガイストの左前肢の周囲に、ほんのささやかな光が薄靄のように現れる。
 すると、かろうじて目を凝らして見える程度ではあったが、ダイノガイストの装甲に刻まれていた罅が、傷ついた装甲から伸びた新たな装甲に、わずかばかり埋められた。
 その代わりに周囲の砂も装甲に埋められたのと概ね同じ質量が消えていたが、そこまではマユの目には映らない。
 はっきりと分ったのは、目の前の壊れかけ、いや壊れた恐竜ロボットの言う通り自分で自分の体を治しているらしい。
 転んだりして出来た傷も、放っておけばもすぐに直るようなものなのかな? とマユは思った。
 周囲の物質の分子配列を操作して自分の体の構造材として再構築している、などと言われても分るわけも無い。その辺はダイノガイストにも何となくさっしが着いたので、細かい説明はしなかった。
 要するに傷は自分で治せるとマユに伝わればよいのである。
「でもでも、ほんのちょっとしか治ってないよ? 本当に大丈夫、痛いのは嫌じゃないの? マユだったらすごく嫌だよ」
 お前と同じにするな、とダイノガイストは思ったが口にするつもりにはなれなかった。無垢な少女の気遣いも、話を進める上では邪魔物でしかない。
 要らぬ気遣いよりもこちらの質問に早く答えさせようと言う意識の方が強い。
 それに今マユがダイノガイストに向けているような、見返りを全く求める様子の無い、他者から向けられる労りと言うものは、これまでのダイノガイストの人生(?)に縁があったものではない。
 エネルギー生命体と、炭素形生命体である人類との根本的に相容れぬ感性の差と言うのがある。
 それに、ダイノガイストにとっては憐れみというものは弱者が、優位にある者から向けられる一種の恥辱という認識もある。己が弱者であると言う認識など、欠片ほどもないダイノガイストからすれば、マユの言葉も心地の良いものではなかった。
 最も、今の自分が確かに第三者から見れば、強気の言葉など死に行く前の精一杯の自己満足を満たす為の虚勢としか映らぬ、というのもある程度は自覚していた。
 そのような境遇に身を落す事への屈辱と怒りも。

60:通常の名無しさんの3倍
08/04/21 07:06:30
 地球人の子供と言うものは、非論理的でその場の自分の感情を優先し、後先を考えずに行動して周囲に不協和音をもたらす傾向にある。
 何時だったかプテラガイスト辺りが仕入れてきた地球人の生態に関する知識を、埃に塗れた記憶の棚から引っ張り出して、ダイノガイストは徒労の様な気もする質問を始めた。
 得られるものがあるのか、とダイノガイストには珍しく自信が無かった。なので質問は極めて単純なものにした。

―この星の名前は?
マユ:地球だよ。
―ガイスター、宇宙警察、ダイノガイスト、エクスカイザー、聞き覚えのあるモノはあるか?
マユ:宇宙警察ならお兄ちゃんの見てるテレビで言ってた。特撮ヒーローっていうんだって。
―地球では異星人との交流・接触はあるのか?
マユ:宇宙にコーディネイターの人達が住んでるプラントならあるよ。羽根クジラの化石ならあるけど……
―コーディネイター?
マユ:うんとねえ、お母さんのおなかから普通に生まれてきたらナチュラルで、おなかの中に居る時に、おまじないをかけてもらったらコーディネイターなんだって。マユはコーディネイターだよ。
―おなかの中から生まれてくる? どうやって子を作り生むのだ?
マユ:う~んと、マユも分んない。ただ、コウノトリさんが赤ちゃんを運んできて、神様の選んだパパとママに赤ちゃんを預けるんだって。ママがそう言ってたよ。

 価値の無い情報と判断したのか、理解が出来なかったのかダイノガイストはここでしばし沈黙した。
 まあ、彼の宿敵も生命体に寄生する悪質な云々と、地球人の生態に関しては派手に誤解したので、ダイノガイストの反応も当然といえば当然であった。
 ただ。命=宝、という言葉が常に頭の片隅にある様になったダイノガイストからすれば、自分自身で命を作り出し、育むと解釈できない事も無いマユの言葉に、おかあさんなる存在が、宝を生み出す者である、という間違ったとも言い切れない認識を芽生えさせていた。
 命が宝であるなら、自分の命を持って子供を育む“おかあさん”は、確かに宝である事は間違いない。
 ともかく、この様な一問一答形式で二人の話は進み、差し込む日差しが夕暮れの色を帯びて来た時、マユは帰りが遅くなるとお兄ちゃんに怒られると言い出した。
 話をしている間、ダイノガイストが傷を痛む様子や気にする素振りを見せなかった為、マユはダイノガイストの言う通り、傷は問題ないらしいと認識したようだ。
「それじゃあね。また来るから!」
 鈴を転がすような軽やかな声と差し込む夕陽よりも輝く笑みを残して、マユは家に帰って行った。
 別に来なくていい、と喉まで出かかったが、折角の情報源をみすみす手放す事も無いと思いなおし、ダイノガイストは無言で翻るマユの背を見送った。
 子供は誰もがあのように忙しないものなのか、と起き抜けで回転の鈍い頭にはやや答える相手に、ダイノガイストは疲れの様なものを感じていた。
 マユから聞き出した情報を整理しながら、エネルギー節約の為の眠りに移行する。意識が暗黒に陥るまどろみの中で、ダイノガイストは、

―もし、次あの小娘が来たら、テレビを持って来させよう。それとダイノガイストではなくダイノガイスト『様』だと、教えてやらねば……

 と思いながら、ゆっくりと眠りに着いた。

61:通常の名無しさんの3倍
08/04/21 07:08:25
以上になります。お目汚し、失礼しました。

62:通常の名無しさんの3倍
08/04/21 17:31:17
こんなアホみたいなスレじゃなくてもっと他の所に投下したら?

63:通常の名無しさんの3倍
08/04/21 21:38:00
SRWスレで『外伝的にはいいが、本編に絡めるのはちょっと……』という読者の意見を尊重し、
総帥はこのスレに投下なされました。

……余計な心配かもしれないけど、2つも平行して大丈夫かなぁ。

64:通常の名無しさんの3倍
08/04/22 09:06:40
まあこっちは息抜きみたいなもんだろう
ビアンSEEDほどキャラ数が多かったり、入り組んでる話じゃなさそうだし

65:通常の名無しさんの3倍
08/04/22 11:51:34
勇者好きへの嫌がらせで建てたようなスレなんか使うなって意味かと。

66:通常の名無しさんの3倍
08/04/22 14:41:40
初代>>1が適当に立てた糞スレがいつの間にか
何代も続く良スレになるなんてよくある話で

67:通常の名無しさんの3倍
08/04/22 16:43:11
次スレが建つとしたら『もし勇者シリーズがガンダムの世界に来たら』に変わってるだろうな。

68:通常の名無しさんの3倍
08/04/23 16:41:55
とりあえずGJといっておく。ダイノガイスト様、順調に
人間に対してフラグを立てられていらっしゃる。
次はシンが登場するのだろうか。

君ん家に、宇宙海賊いる?

69:通常の名無しさんの3倍
08/04/23 20:04:48
ダイノ様を越える漢を見たことが無い俺は、世界が狭いのかな。

70:通常の名無しさんの3倍
08/04/23 21:40:58
>>69
つーか勇者シリーズではそうそういないだろうな
神秘の力とかそういったのに一切頼らず、最終決戦に挑んだ悪役もこの方ぐらいだし

71:通常の名無しさんの3倍
08/04/24 01:59:37
ドライアスもアレだけど部下思いなんだよな・・・ダ・ガーンのピオレッツェもいいと思うけど

つガルバトロン(ビーストウォーズⅡ)

部下思いで弟想い、裏切りの代名詞であったスタースクリームですら感服
目的が力による宇宙平和

つメガトロン(マイクロン第1期)

スタースクリーム戦とかまじカッコヨス、最後がダイノガイストともろかぶる

72:通常の名無しさんの3倍
08/04/24 11:58:53
ウルフガングがエグゼブに反乱する前に部下三人を逃がすシーンも良かった

73:通常の名無しさんの3倍
08/04/24 17:33:51
イッヒ、リーベ、ディッヒのことか
懐かしすぎる

74:通常の名無しさんの3倍
08/04/24 19:42:46
おお!!確かに彼らも芯の通った漢であった。こんなキャラがCEにもいたら・・・

75:通常の名無しさんの3倍
08/04/24 20:08:16
ウォルフガングは最初は部下思いとは真逆に近い感じだったけど、
部下思いになるまでの過程ががっつり描かれてたからな
ドライアスも部下思いだけど、基本的に部下が有能だから、ダイノガイスト様ほどの印象は残らないんだよな…

逆に部下を平然と切り捨てる悪役はエグゼブ、フォルツォイク親子、トレジャー皇帝辺りか?

76:通常の名無しさんの3倍
08/04/26 01:23:11
しかしエクスカイザーの演出見ると福田も悪くはないと思うんだ・・・
種のモモタロス戦はまぁよかった・・・しかし何で死は・・・

せめてアスランVSシンをエクスカイザーVSダイノガイスト戦みたいにしてくれれば

77:通常の名無しさんの3倍
08/04/26 03:33:29
現実に疲れて磨耗していってしまうのさ、そして最後にかつて抱いた理想さえも見失うんだ。

78:通常の名無しさんの3倍
08/04/26 19:01:01
演出では確かに良い腕をしている。しかし、性格が酷すぎる。

79:通常の名無しさんの3倍
08/04/26 20:06:58
あちこちでさんざん言われてるな
一コンテマンで終わっていれば、もしく高橋良輔みたいな脚本畑出身の総監督の下
アニメーションディレクターに徹していれば腕のいいアニメ製作者として賞賛されて
生涯を終えられただろうにとw

80:通常の名無しさんの3倍
08/04/26 20:31:33
野球ではよくあるよな
名選手を監督やコーチにしたらヘボだとか
あとは軍隊で優れた小隊~大隊レベルの現場指揮官が昇進して
連隊や師団を率いたら駄目駄目とか

81:通常の名無しさんの3倍
08/04/27 19:35:11
俺は『嫁と組んだ状態の監督』と『ビッグマウスっぷり』に対しては否定的だけど
『サイバーTV版の頃の監督』と『演出』としての腕はむしろちゃんと評価してる。

82:通常の名無しさんの3倍
08/04/27 22:29:56
>>76
演出と監督は別ということだ。

83:通常の名無しさんの3倍
08/04/28 16:18:10
ただ日本のアニメ業界の出世コースは

演出→監督
作画→漫画家・監督
脚本→作家

こういう流れが出来上がってるからな

84:通常の名無しさんの3倍
08/04/29 01:04:58
『となりのダイノガイスト』 <3>

 どこまでも広がる闇の世界に、奇跡の如く存在する青い星から空を見上げれば、白い光が慎ましく、静かに降り注ぐ夜であった。
 青く染まる星の大気と無窮の闇とを隔てた先にある、荒涼殺伐とした岩石ばかりの広がる世界―月。生命の息吹は無く、草木も花も水も動物も存在しない筈の世界で、虚空に吸い込まれては消えゆく音があった。
 きぃいいん、と水晶の鈴を天上の音楽家が楚々と鳴らしたような、どこまでも高く澄んだ音。また、きぃいいん、きぃいいん、と聞く者のいない虚しい調べが重なる。
 否。それは調べでは無かった。魂まで揺さぶるかの如き美しき音は、静謐な月の宮で、地上の人々に気付かれぬよう密やかに集った天上人達の開いた、演奏会の調べでは無かった。
 見る者も無く、聞く者とていない世界で、三つの刃が打ち合される度に、その音は虚しく、銀河の果てまで届くように生まれては消えて行く。
 刃の一つは巨大な、それを携えた鋼の巨人の身の丈にも届こうかという金色の両刃剣。
 それと重なり合い、拒絶し合い、弾き合う二つの刃はさながら三日月の如く優雅に弧を描く長刀二本。
 人類の手によって汚染された大気の存在しない月の地上で、限りなく明瞭に映る世界に、幾筋も剣の軌跡が描かれている。描かれた軌跡の数を数える者がいたならば、この戦いがもう随分と長い事続いていると、数える事に疲れを覚えるに違いない。
 金色の剣を携えるのは、胸に勇ましき獅子の顔を持った鋼の巨人。右上段に構えたその姿は、大地に根を張ったかの如く不動。切っ先まで満ちた意思は澄んだ清水の如く清澄。戦いの場にあってなお、どこか優しさを感じさせる、そんな不思議な巨人だった。
 対して銀に輝く二刀を魔鳥が翼を広げたように構えるのは、無骨な古めかしい戦甲冑を思わせる黒の巨人だった。両の側頭部から凶暴な角度で反り返る角。対峙するだけで恐怖に体が竦むほどの威圧感。
 姿も滲む雰囲気もまるで正反対の二体の巨人が、この夜天に輝く月の園に鳴り響く音の演奏者達であった。
 交わす言葉は無い。何よりも雄弁なのは両者の機体から陽炎の如く立ち昇る不可視の闘志であった。如何なる者も割って入る事を許さぬこの二体だけの為の戦場であり、神聖不可侵の決闘なのだ。
 三十メートルを悠々と超える巨人達の対峙する距離はおよそ七十メートル。互いが一歩に全力を乗せれば、闘志を乗せた刃が交錯するのに必要な時間は刹那の単位だ。
 両者の体がわずかに前傾し沈んだ。踏み出す一歩の為に必要な動作であった。痛々しいまでに地肌を晒す大地に足首まで沈め、大地を蹴った踏み込みは爆発にも似ていた。
 風あらばそれを切る両者の剣の凄まじさが、烈風となって吹き荒れただろう。黒鎧の巨人―ダイノガイストの左胸部から右腰へと抜ける上段からの一撃。星達の見守る中、冷酷なまでに美しい輝きと共に描かれる、三日月の弧の鋭さよ。
 獅子を胸に抱き、竜の力と一つになった偉大なる巨人―グレートエクスカイザーに襲いかかる二振りの銀刃。首狩り台の刃よりなお冴え冴えと輝く刃は、左右下方からグレートエクスカイザーの胴を斜めに横断し、四分割すべく迸った。
 共に触れる者全て、有象無象の差別なく切って捨てる魔剣であった。
 星の灯りが月の大地に落とした両者の影は、瞬間的に互いの位置を変えたかの様な唐突さで形を変えていた。グレートエクスカイザーが踏み込んだ位置にダイノガイストが。ダイノガイストが一歩を刻んだ位置にグレートエクスカイザーがいた。
 あまりにも速く、当事者である二人をしても明確には理解しえぬ一瞬の攻防であった。初めて、二人が声を出した。共に苦悶の呻きを。
「くっ!」
「ぬう!」
 見よ。グレートエクスカイザーの左上腕から肩までを裂いて奔る斬痕の鋭さを。あまりの斬撃の凄まじさに、切断面は鏡の如く研ぎ澄まされ、血潮の代わりに発する紫電を精妙に映し出していた。
 そして今一度見よ。はるか月の大地の彼方に、旋回しながら深々と、その刀身の半ばまでを埋めたダイノガイストの愛刀を。グレートエクスカイザーの一撃はダイノガイストが右手に握ったダイノブレードを奪い、左腰から太腿にまで走る傷を与えていた。

85:通常の名無しさんの3倍
08/04/29 01:06:23
 背を向けあった二人は奇しくも全く同じタイミングで振り返り、己が宿敵を見据える。憎悪も怒りも悲しみも愛もなにも無く、二人は新たな構えに移行した。
 見るも無残に左手をだらりと下げたグレートエクスカイザーは、右手一本で大剣を握り直し、必殺の大剣に肩をまたがせた。身体の捻りと右手の抜き打ちにも似た振り抜く動作で片手一本によって生じる、パワーとスピードの不足を補うつもりなのだろう。
 左足の自由を奪われ、右足のみの踏み込みを強要されたダイノガイストは、左手に残った長刀を両手で握り直し、右下段後方に切っ先を流した。左肩を前に出し、体の姿勢を沈める。残された右足の踏み込みに全てを賭けた一刀限りの勝負。
 陽炎の如く立ち昇っていた両者の闘志は、既に燃え盛る大火へと変わっていた。傷を負って尚激しさを増すのは、目の前の相手にだけは負けられぬと言う己の誇り、いや意地であろうか。
 しかしその答えを出す思考を、既にこの時両者はしていなかった。それさえも、今この場では余計な不純物でしかなかった。
 ダイノガイストの思考と感情をかろうじて言葉にするならば、
 必ず斬る。
 必ず殺す。
 必ず倒す。
 必斬、必殺、必倒。
 プテラガイストもホーンガイストもアーマーガイストもサンダーガイストもコウモリも、ガイスターの部下たちでさえこの時ダイノガイストの思考からは取り除かれていた。
 己の身さえ振り返らぬ絶対の、打倒の意志。それがダイノガイストの四肢を満たし、精神を満たし、有り余る闘志は両手に握り直した愛刀の切っ先、いや原子核にまで充溢する。
 今この一時は金では代えられぬ、宝以上の宝。グレートエクスカイザーとの死闘は、それほどにダイノガイストを昂らせた。積年の怨念。敗北の屈辱。よぎるものは数多あった。
 だが、それらは全て闘争の場に相応しくないと一瞬で切り捨てられ、ダイノガイストの精神から消え果てる。
 この場に居合わせればあまりの重圧に人間ならその場に昏倒するか、息を荒げて膝を吐くほどの両者の集中の念の凄まじさよ。だが、何事にも終わりは来る。来るのだ。やはり、というべきか二人が踏み出した一歩は秒瞬の狂いなく同時。
「オオオオオオッ!!」
「ハアアアアアッ!!」
 吠えた。人間がいくつも作り出した幻想の中の巨人達も、戦を前にすればかくの如く雄たけびを上げたのだろうか。震える大気が無い筈の月の世界はしかし怯えに震え、生命の息吹を感じさせぬ岩ばかりの大地は恐怖を糊塗するように地鳴りを立てた。
 再びの踏み込み。両者の足が離れた月の大地は砂状にまで砕け陥没していた。一歩の為に凝縮された力の凄まじさを、小さなクレーターがなによりも証明しよう。
 右足のみの一歩であるのにもかかわらず、ダイノガイストの速さは神がかったものだった。即ち神速。切っ先がかすかに月の大地を掠め、驚くほど鋭利な斬痕を残して走り、やがて虚空に躍り出て、勇壮な獅子を目掛け振われた。
 グレートエクスカイザーの右手一本から振り下ろされた大剣は、その輝きの美しさと圧倒的な威力を思わせる凄絶さに、最初から生存を諦める他ないと悟らせる凄まじさで振われた。
―エクスカイザー、今度こそ、おれ様の……!!

 勝利だ、と叫ぶダイノガイストの思考は、しかし三刃の協和音にも似た、澄みきった鈴の音の様な声に遮られた。
「遊びに来たよ、ダイノガイスト様!」
 夢の終わりを悟ったダイノガイストは、メインカメラである二対の瞳に、にこにこと満面の笑顔を浮かべるマユ・アスカを映し出した。
 長い眠りの間、幾千幾万と繰り返してきたシミュレーションの結果は、中断の影響で不明と出た。わずかな怒りを感じたが、それを吐き出す気力は無く、ダイノガイストは人間が良く着く溜息に似たものを胸の中に感じた。
 ダイノガイストとマユ・アスカの邂逅から数日が経過していた。周囲の大人達か『お兄ちゃん』にダイノガイストの事を話すかと思われたマユであったが、自分とダイノガイストだけの秘密にしたい、という欲求を覚え誰にもダイノガイストとこの洞窟の事を内緒にしていた。
 ダイノガイストからすれば、マユがこの場所を誰かに話したとしても、多少エネルギーを消費するが、洞窟の罅を分子操作で埋めるなり光学的な迷彩を施してなにも無いように見せる事は出来たから、あまり問題視していなかった。
 一方のマユは、普段は学校があるし、また友達も多く毎日この秘密の洞窟に顔を出す事は出来なかったが、できるだけ時間を作って一人ぼっちの恐竜ロボットの所へと通っていた。

86:通常の名無しさんの3倍
08/04/29 01:08:00
 その内に、ダイノガイストに“様”を付けて呼べ、と言われた時も深く考えず簡単に了承した。
 どことなく威厳や風格みたいなものを持っている相手だし、マユ自身の幼い感性が様を付けて呼ぶ事に抵抗を覚えなかったからだ。
 今日が人間達の言う一週間という区切りの中で、休日にあたる事をダイノガイストは思い出し、マユの姿を眺めた。いつものブレザー姿ではなく、新緑の色彩が目にも鮮やかなワンピースとピンクのヘアリボンだ。足場の悪さを考慮し足元はスポーツシューズだった。
 腰まで届く長い、若いを通り越して幼いマユの長髪は、ピンクのヘアリボンで後頭部で一つにまとめられている。いわゆるポニーテールだ。髪の毛の生え際の遅れ毛が、年に似合わぬ艶を醸し出していた。将来の成熟が危険なほどに約束された片鱗であった。
 そのケの無い人達でも、百人中百人が思わず微笑む様な可愛らしい年相応の装いであったが、ダイノガイストに人間のファッションやそれに対する関心は備わっていない。ここら辺はやはり根本的な生命体としての在り方の違いによる。
 鬱陶しいような、それでいて、姿を見ないとそれはそれで物足りないような、なんとも名状しがたい評価を、ダイノガイストはマユに与えていた。
 大体決まった時間に姿を見せ、薬にも毒にもならないような話をしては帰って行くマユが、自分の生活(と言ってよいかは判断に困るが)の慣習の一部になりつつある事が、どうにも馴染めずにいた。
 雌伏の時を孤独に耐え過ごす覚悟と忍耐は持っていたが、一度孤独から離れてみると折角の交流相手をみすみす手放すのは惜しい気もして、ダイノガイストは結局マユの来訪を拒みはしなかった。
 えい、と小さな声を出してマユは洞窟の罅からダイノガイストの横たわる砂場に飛び降りた。途中までは危なっかしい足取りで岩場を歩き、一メートルほどの落差を飛び降りる。
 一度、飛び降りてからよじ登るのにのろくさしているのを見かねたダイノガイストが、階段状になる様に岩場の分子を削り取ったから、今では上り下りは随分楽な筈だ。
 差し込む陽の光だけでは人間のマユが視界を確保するのには不足だが、この秘密アジトに持ち込んだライトを手に取り、すぐにスイッチを入れた。
 ライトに照らし出されるダイノガイストの体は、相変わらず傷だらけではあったが、良く見れば確かに罅は減り、欠け落ちた装甲は埋まりつつあった。内部の構造が露出している部分も減っている。
 それから、丁度砂場に投げ出したダイノガイストの目と正面から向き合う位置に突き出た、四角い岩の上に家から持ってきたクッションを置いてマユは腰掛ける。
「今日はどんなお話をするの?」
 ダイノガイストが自分がどれだけ宇宙中の文明に恐れられた存在であるかを、端的に語る為にこれまでの海賊行為を聞かせたのだが、かえってそれが裏目に出てしまいマユが会いに来る度に話をせがまれる様になってしまった。
 五体が無事ならさっさとこの場から居なくなっている所なのだが。
 一刻も早く体が治らないものかと、ダイノガイストは考えていた。まるで元気の塊のように休む事を知らないマユの相手は、眠りから目覚めたばかりの状態でするのは、いささか疲れを感じさせる。
 なので話をずらした。別にマユの相手をするのが煩わしかったからではない。多分。
『それよりも言っておいたモノは持ってきたか?』
「え? うん、一応持ってきたけど、壊れてても本当にいいの? 映らないよ」
『構わん。見せろ』
 ダイノガイストに促され、マユは肩から下げていたルーズバックの中身を取り出した。厚さ五ミリの20インチサイズのテレビである。
 アスカ家が随分昔にお世話になっていた頃の品で、物置で眠っていたこれをダイノガイストの命令でテレビを探していたマユが発見し持ち寄ったのだ。

87:通常の名無しさんの3倍
08/04/29 01:08:48
 岩にもたれかかせるようにテレビを置かせ、マユに下がる様に告げる。
 本来エネルギー生命体であるダイノガイストを始めとしたガイスターは、狙った宝が物理的に質量や体積が巨大なものになると、必然的に物理的干渉能力を求められる。こう言った場合に、今の様に無機物を媒体にしてその時々に応じた仮初の肉体を得てきた。
 肉体は破棄すればいいわけだが、手に入れたお宝はそうはいかない。多くのモノは闇の商人たちや好事家達に売りさばき、貨幣に変えるなり、あるいは物々交換を行うなりするが、中にはガイスターのメンバーやダイノガイストが手放すのには惜しいと思うものも、当然ある。
 そう言った品物は信用の置ける相手に預けるか、宇宙各所に持つアジトに保管する、あるいは、常に持ち歩くかという選択肢が発生する。携帯する事を選んだ場合エネルギー生命体である彼らでも収納と携帯が可能な入れ物やトランスポーターなどが必要とされる。
 ダイノガイストの場合は、彼自身が発するある種の波動を感知して常に周囲の亜空間としてダイノガイストに追従する空間そのものだ。適当に取りだすものをイメージしてこれまた適当に虚空に腕を突っ込むなりすれば、望みのものを取り出せると言うわけである。
 ダイノガイストは四肢を満足に動かせない為、収納空間に望みのモノを出すよう命じた。媒体は、空気の振動による音声では無く、エネルギー生命体の主な交感の為の機能である、テレパスだ。
 はたして、マユとダイノガイストの中間程の空間から、ラグビーボールの形に似たメカニズムらしきものがドサリと砂場に落ちる。ダイノガイスト配下のプテラガイストの発明品エネルギーボックスである。
 どこから出したんだろう? これってなあに? と顔に書いてあるマユを無視してダイノガイストはそれをマユが持ってきた壊れたテレビに取りつけるように告げた。といってもテレビの画面にぺたっと押し付けただけだったが。だが、それでもとりあえずは起動する筈だ。
 エネルギーボックスはマユの目の前でまるで魔法のようにテレビを取りこみ、その姿を変えて行く。
 うわあ、と感嘆のため息が零れ落ちた時には、画面が暗黒で満たしていたテレビは移動の為の、触手のような脚部と、間接の代わりである球体に棒を差し込んだ二本の腕を持ったロボットの出来損いの様な姿に変わっていた。
 材料が壊れたテレビ一つだから、サイズも小さいままだ。ダイノガイストが見るにはいくらなんでも狭隘に過ぎた。そこらへんはおいおいなんとかしてゆくかと、ダイノガイストはとりあえず棚に上げておく。
 以前にプテラガイストが作った試作品をコウモリ辺りが拾ってきて、気まぐれに放り込んでいたものだ。完全に機能はしないが、まあ、退屈を紛らわすのにはいいだろう。それに、ダイノガイストにもマユにテレビを購入するだけの資金力がない位は分かる。
 すごーい、というマユの声を他所に、ダイノガイストはテレビロボに適当に電波を受信して画面に映すように命じた。
 地上で流れるニュース番組の方が、マユよりは現実的な情報を手に入れられると踏んだからである。それに、秘密基地で設置した大型モニターを毎日飽きる事無く見つめていた四人の部下達の姿が、影法師の様にダイノガイストの思考の片隅でちらついていた。
 だが、テレビに映し出されたのは、ダイノガイストが想像していたものとある意味でかけ離れ、しかし今後の行動に大きな影響を与えるものだった。マユが、映し出された光景に息を飲む。
 それは、マユから聞かされたこの星で起きている戦争の光景であった。このオーブ首長連邦国の了解ギリギリで行われている戦争。ダイノガイストは知らなかったが、争う片方は宇宙に浮かぶ砂時計―プラントの人々が結成した自衛民兵組織ザフトのザラ隊。
 ザラ隊の猛攻を受け、白亜の船体から黒煙を噴き上げているのは、オーブ所有のコロニーヘリオポリスで建造された最新鋭の戦艦アークエンジェル。
 史実に置いてマユ・アスカが短い生涯を終える、ほんの数か月前の事であった。

88:通常の名無しさんの3倍
08/04/29 01:12:08
深夜にこっそり投下。記憶が曖昧なところがあって、間違えてないか不安です。
傷の直し方やら、いろいろと捏造が多いです。不快に思われる方もいらっしゃるかなと思いますが、どうかご容赦を。

誤字報告「オーブ首長連邦国の了解ギリギリで~~」
   →「オーブ首長国連邦の領海ギリギリで~~」でした。他にもあるかも……。

89:通常の名無しさんの3倍
08/04/29 13:25:06
GJ! お疲れ様です。勇者シリーズなのにまるで剣豪小説のような描写。
すげぇ。ダイノガイスト様、まだツン状態。デレるのは何時なのかしら。
続き待ってます。

90:通常の名無しさんの3倍
08/05/01 02:57:12
部下もアホだったよな・・・

栄養ドリンク飲んでパワーアップとか紙幣の価値知らず捨てたり
マネキンのズラはずれて仰天したり

91:通常の名無しさんの3倍
08/05/02 11:40:57
このスレ、イイ!!!
ダイノガイスト様最高!!!!

92:通常の名無しさんの3倍
08/05/02 18:15:24
まあ、俺は読まずにスクロールしてるんだけどな。

93:通常の名無しさんの3倍
08/05/04 01:29:09
マユを守るため連合と戦うダイノ様か…結構絵になりそうだな

何でブレイブシリーズ復活しないんだろうなぁ

94:通常の名無しさんの3倍
08/05/04 12:55:23
ク○ゲーだったから
タカラはとっととバンナムに版権売れよ

95:通常の名無しさんの3倍
08/05/04 18:14:51
版権売ったって使われるのはガオガイガーだけってオチが見えてるからそんな事はしなくて良い。

96:通常の名無しさんの3倍
08/05/05 00:58:29
>>95
そんなオチねーよ。

97:通常の名無しさんの3倍
08/05/07 01:24:48
ムゥさんがセブンチャンジャーに乗ってラウと相打ちになるのですね

98:通常の名無しさんの3倍
08/05/07 10:09:50
違うぞ!

生き残ったラウとレイが、海賊船長に乗って実はラスボスだった生きていたアル・ダ・フラガに


『宇宙海賊!イーザックブラザーズ!』

99:通常の名無しさんの3倍
08/05/11 14:30:29
いまだゴルドランがオレンジと同じ声優とは思えん

100:通常の名無しさんの3倍
08/05/11 18:35:36
それを言ったら他にも色々・・・。

101:通常の名無しさんの3倍
08/05/11 21:54:52
>>99
だったら殺生丸様はどうなるんじゃぁぁぁぁぁぁぁい!!

102:通常の名無しさんの3倍
08/05/12 00:22:27
>>99
俺だってデッカードが某少コミの美形敵役(両刀)だって知った時には驚いた

103:通常の名無しさんの3倍
08/05/12 00:54:29
あえて言おう。

気  に  す  る  な。

それができないならその場のノリと己の気合で乗りきれ!!

104:通常の名無しさんの3倍
08/05/12 08:36:06
良スレ発見。

105:通常の名無しさんの3倍
08/05/12 20:13:30
ダイノ様が、CEで暴れまわるSSを待っているのは自分だけかな。

106:通常の名無しさんの3倍
08/05/12 20:14:05
ダイノ様が、CEで暴れまわるSSを待っているのは自分だけかな。

107:通常の名無しさんの3倍
08/05/12 20:15:15
あれ、2度もかきこんじゃった。失礼。

108:通常の名無しさんの3倍
08/05/12 20:18:19
ダイノ様はアジトでどっしり構えててイザって時だけ出てくるのが良いから
あんまりウロチョロして欲しくないんだよな

109:通常の名無しさんの3倍
08/05/12 23:26:34
突然だが、現在このスレで連載されているSSを倉庫に保管し、
このスレが落ちた後でも読めるようにしたいと願う読者はこのスレにはいるか?

保管に賛成か、反対か答えてほしい。

ちなみに自分は賛成だ。続きも読みたいと願っている。

110:通常の名無しさんの3倍
08/05/13 00:53:58
私も賛成

111:通常の名無しさんの3倍
08/05/13 01:58:56
マユが殺されそうになって「見てはおれぬわ(それドライアス)」って叫んで
乱入するんですね、そうですね・・・

そういやダイノ様の中の人結構な齢なんだね、しかしエクスカイザーが空気王か

112:通常の名無しさんの3倍
08/05/13 20:28:29
私も保管を希望します

113:通常の名無しさんの3倍
08/05/14 23:35:38
>>109
賛成

114:通常の名無しさんの3倍
08/05/17 17:01:42
ダ・ガーンたちが復活したのが、原作の地球じゃなく
C.E.時代の地球だったら、間違いなく人類に絶望してたな

その上、コーディネイターの技術の結晶だとか
ナチュラルがコーディネーターを滅ぼすための切り札だとか誤解され
連合&ブルーコスモス、ザフト双方から攻撃される、と・・・

115:通常の名無しさんの3倍
08/05/18 00:36:35
こんばんわ。『となりのダイノガイスト』を一時頃に投下してもよいでしょうか?

116:通常の名無しさんの3倍
08/05/18 00:48:08
お待ちしております、総帥。

117:通常の名無しさんの3倍
08/05/18 00:59:45
『となりのダイノガイスト』 <4>
 
 オーブ首長国連邦の、とある島のとある住宅街のとある住宅にて―。
 小鳥のさえずりが耳に心地よい、爽やかと言う他ない晴れ渡った青空の朝だった。
 ねむい目をこすりこすりしながら、二階の自分の部屋から一階のダイニングに降りてきたこの家の長男坊―シン・アスカが鼻をくすぐるなんとも食欲をそそる匂いと、耳に聞こえる音に、はっきりと意識を覚醒させた。
 包丁が刻む軽快なリズムは耳からそっと忍び入り、記憶野を刺激してシン少年の脳裏に朝ご飯のイメージを鮮明に描かせる。既に出来上がった汁物の香りは、色こそ付いていないが濃厚な香りでもって鼻の奥の粘膜を刺激し、少年の胃の腑に空腹を覚えさせた。
 じゃあ、と弾ける油の音は狐色に焼き上がった肉類や魚類を想起させ、朝からたっぷりと用意された食事を約束している。
 今日は何だろう? とこれだけで機嫌が良くなったシンは、台所で仲良く肩を並べている母と妹の姿を見た。
 母はともかく妹が一緒に台所に並んでいるのは珍しい光景だ。カラフルなバンダナで髪をまとめ、デフォルメされたヒヨコのアップリケのエプロンを付けて、終始笑顔の母の指導を受けて、包丁片手に悪戦苦闘しているらしい。
 今日はマユも一緒に作っているのか。年の離れた妹を可愛がる典型的な兄であるシンは、妹が自分の為に朝ご飯を用意してくれているのだと思うと、思わず鼻歌を歌いたくなるほど機嫌を良くした。訂正する、いささか平均的な『兄』より妹思いが強すぎるようだ。
「おはよう、母さん、マユ」
「おはよう、シン」
「おはよう、お兄ちゃん」
 椅子を引き、自分の定位置に腰かけて、テーブルに両肘をつきながら料理を作る二人の姿を眺める。
 昨日はこんがり狐色のトーストと新鮮さが一目で分かる生野菜のサラダに、コンビーフ入りのスクランブル・エッグと胡椒を効かせた分厚いハムステーキ。それにマスク・メロン半個と搾りたてのグレープフルーツジュースだった。
 やや量はあるが、焼き加減、分量、温度と満点と分かる品々はどんな寝ぼスケや胃腸の弱い人間でも満足の舌鼓を打てる調理だった。
 台所に並んだ食材や匂いからして、オーブに強く根付いた旧極東地域―日本系統の食事であるらしい事は察しがついた。オーブの公用語のひとつは日本語だ。
「今日はマユが母さんと一緒に作ってるのか。メニューはなに?」
「違うよ、お兄ちゃん。マユはお弁当作ってるの」
「弁当? どこか出掛けるのか」
「うん。お友達と一緒に」
 期待が外れた失望を隠さないシンの声に、マユはそれとは正反対の、明るさに満ちた声で返した。こんな、他愛の無い、けれど当たり前の幸福に溢れた日々を送ってほしいと万人が思わずにはいられない声だった。
 失望に彩られていたシンの表情も、愛すべき妹の嬉しさと期待が満ち溢れている声を聞いて、ま、仕方ないかと微苦笑に変わった。マユが楽しそうにしているなら朝ご飯くらいどうって事は無い。
「ほらシン。顔を洗って来なさい。貴方の分の食事はもう用意してあるから」
「は~い」
 母親にせっつかれ、シンはけだるい返事一つをしてから立ち上がり、洗面室に向かって歩き出した。
 それにしても、あんなに嬉しそうなマユの声は今まで聞いた事が無いな。そう、心の中でぽつりと呟いた。マユの声や表情には、今までシンが目にした事、耳にした事の無い感情が含まれていた。その感情が何なのか、シンが理解するのは随分先の話になる。
 
 四方を希薄な闇に覆われ、時が止まっているかの様に微動だにせず蹲っている、周囲の闇よりも深い漆黒の竜がいる。天に羽ばたく為の翼は無いが、大地を踏みしめ己こそが世界の覇者であると告げる為の足と頭と尾は健在だ。
 今は力なく投げだされた足も、かつては踏破出来ぬ大地など無く、行く手を阻む者全てを踏み砕き、蹴散らしてきた凶悪な武器だった。
 砂地にわずかに沈む両の前足の先端で、果てがないかと思われる闇に差し込む、たった一筋の陽光を反射し、仄白く輪郭を露にする鋭い爪は数多の獲物を手に掛け、肉を、骨を、鋼を、命を引き裂いてきたに違いない。
 この世のありとあらゆる獣も、一度食いつかれれば抗う事など出来ぬと見える、歯の並びを見よ。一本一本が戦場に向かう直前の様に研ぎ澄まされた槍穂の様だ。触れれば、その手は瞬く間に血潮で朱に染まるだろう。
 創造力の豊かなものならば、その歯の並びの煌めきに、肉の塊にまで切り刻まれ咀嚼される己を想起し、血の気を引かせて顔色を青い物に変えるだろう。
 全身を奔る無数の罅から流れる血潮は無く、苦痛の呻きも無いが明らかに死の寸前まで傷ついたと見える鋼の恐竜―ダイノガイスト。

118:通常の名無しさんの3倍
08/05/18 01:01:22
 今の姿のモデルとした、数千万年前の地球の覇者である恐竜でさえも怖じ気づきそうな凶暴な並びの歯の間に、差し込まれるものがあった。そして、この場にそぐわぬ愛らしい声も。
「はい。ダイノガイスト様。あ~ん」
『…………』
 目下ダイノガイストの唯一の意志疎通相手である、現地の少女マユ・アスカだ。普段はピンクのヘアリボンで纏めた栗色の髪を編みあげ、袖無しの白い上衣と黒いジャンパースカート姿だった。
 にこにこと言う言葉がまさしく似合いのマユの笑顔は、氷雪吹き荒ぶ厳冬に、思わず枯れきった花も咲き綻んでしまうような可愛らしさがあったが、それを惜しみなく向けられたダイノガイストは、もし人間だったら眉を八の字に寄せているに違いない苦い沈黙で答えていた。
 二対の瞳は、マユが手に持った小さなフォークとその先にあるウィンナーを映していた。横半分に切り、斬り目を十字に切って焼き、まるでタコみたいに切り口を広げた赤いウィンナー、いわゆるタコさんウィンナーだ。
 ダイノガイストの思考は、目の前、というか自分の歯の間に差し込まれている物体が人間の食物であると言う事は理解していたが、何故それが、自分に差し出されているのか。また、マユの言う『あ~ん』という唸り声とも違う言葉の意味が分からない。
 たぶん、これを食えという意思表示なのだろうが、それにしても『あ~ん』とはいかなる表現か。頭を捻っても埒が明かないので、仕方なく聞く事にした。ちょっぴり嫌そうだ。
『何の真似だ?』
「なにって、こんな所じゃあ食べるものないでしょう? ダイノガイスト様はお腹空かないの?」
『空腹は感じん。おれに食事の必要はない』
「ダイノガイスト様は機械みたいだけど、この間自分で傷を治していたし、生き物みたいな所もあるからお腹がすいたりしないのかな? と思って持ってきたの」
『お前が作ったのか?』
「うん。お母さんと一緒に。今日友達と出掛けるって言って作ってもらったの。嘘吐いちゃったかなって思ったけど、ダイノガイスト様の所に行くんだから嘘でもないかな?」
 つまりは自分(ダイノガイスト)=友達、という事か? 
『……』
「ダイノガイスト様の分なんだよ? だから、あ~ん」
 また、ずい、と小さなマユの手に握られたフォークの先のタコさんウィンナーが差し込まれた。マユの右手首までがダイノガイストの口の、わずかな空隙に差し込まれている。
 もし歯と歯とが噛み合ったら、達人の振るった日本刀の切れ味でもってマユの手首を切断してしまうだろう。
 この場面だけを切り取って誰かに見せたら、百人中百人が危ない! と思うだろう。何人かは右手を噛みちぎられるかそのままパクリといかれるマユをイメージして、卒倒しそうだ。
 マユの考えとパッと見のシュールさはまた別として、ダイノガイストが経口で人間などの生命体と同じ食事を取った場合、実の所問題は無かったりする。
 それどころか食事によって得られるエネルギーを低効率でしか活かせない人間と違い、ほぼ百パーセントの効率で活用できる位だ。
 もっとも、マユの用意した量ではさしたる、それこそ腹の足しにもならない。
『その“あ~ん”というのはなんだ?』
「知らないの? こう、食べるときに口を開けるとあ~ん、てなるでしょ? だから、『あ~ん』」
「……」
 まあ、食ってやっても良いか、とは思っていたのだが、なんというかマユの言う『あ~ん』に対して決してそれをやってはいけないような気がした。それをしてしまったら自分の中の何かが崩壊してしまうような気がしたのだ。
 威厳とか、尊厳とか、多分そういう迫力とか『格』に関係した何かが。
 だから、ダイノガイストは頑なにマユの『あ~ん』を拒んだ。さして意地になるような事でもないのではなかろうか? とも思うのだが、やはりこれだけはやってはいかん、という本能の警告が強い。
 その内に、マユの語彙も強めになる。
「はい、あ~ん」
『……』
「あ~ん」
『…………』
「あ~ん!!」
『……………………………………』
 そのやりとりを、洞窟の片隅ですっかり忘れられているテレビロボが、やれやれだぜ、とばかりに触手みたいな腕を器用に竦めていた。
 エネルギーボックスが試作品だったせいか、妙な個性か人格めいたものを手に入れてしまったらしかった。

119:通常の名無しさんの3倍
08/05/18 01:03:51
 で、
『…………』
 ダイノガイストがちょっぴり口を開き、マユがそこに両掌位のちいさなちいさなお弁当箱から、フォークで突き刺したミートボールを落とした。型で作った花びらの形をしたおむすびもついでに落とす。
 どでかい恐竜の口の中に片腕を突っ込む少女と言う、傍から見たら心臓に悪い光景が出来上がっていた。マユが腕を引っ込ませるのと同時にダイノガイストの口が傍目には分からない位上下左右に動く。
 巨躯に比べればあまりにもちっぽけな量の食物を、一応噛んでいるのだ。どういうわけか、今の肉体を構築したダイノガイスト自身にも分からないが、この体の有する味覚に相当するセンサーは人間のモノと極めて近い。というかおんなじである。
 大多数の人間が上手いと感じる食べ物ならダイノガイストにとっても美味であり、逆にまずいと感じる食べ物ならば、これまた等しく不味いと感じる理屈だ。
 であるならば、マユの母親はなかなか料理上手であるらしく、ダイノガイストは口に入れた分を飲み込み終えると、黙って口を十数センチだけ開く。もっとよこせ、の合図だ。
それを見てマユはどういうわけか嬉しそうに、お弁当箱の中身を次々とダイノガイストの口の中に放り込んで行く。
「ねえ、ダイノガイスト様、美味しい?」
『不味くはないな』
「ええー、絶対美味しいよ。お母さんのお料理、マユ大好きだもん。お母さんと一緒に作ったんだから、美味しく出来てるよー」
『お前一人で作れるようになってから文句を言え』
「む~」
 ぷう、とマユの林檎色の頬が膨らみ、小さな造りの唇が突き出される。小鳥の啄みにも似た動作は、幼い少女の精一杯の反抗の証だったが、ダイノガイストはこれっぽっちも意に介した様子はなく、また口をちょっぴり開いた。
 これでもマユの手を間違って噛んだりしないようそれなりに注意を払っていたりする。
 結局、マユは目の前の銀の槍穂が開いて、その中の空洞が覗けばお弁当箱の中身を差し出すのだ。ある意味亭主関白的な関係を構築しつつある一体と一人だった。
『…………? どうした』
 折角開いてやったと言うのに、マユはお弁当箱を両手で胸に抱えたまま動かない。訝しんだダイノガイストへの返答はこうだった。
「もうないもん!」
 美味しいと言ってもらえなかったのが悔しくて、ちょっとだけ拗ねた調子でマユがそう言って、ぷい、と顔を背けた。ぷんすかとでも表すべきか、怒った様子はそれだけダイノガイストの賛辞を期待して居たのだろう。
 面倒な奴だ、とダイノガイスト。そもそも何で自分がこんなちっぽけなニンゲンの子供の相手などしているのだろうか? 
 中身はサンダーガイストと同じ―いや、あちらの方が幼稚か? ―位だから適当にあしらうにしろ言い包めるにしろ、大した労力は要らないから気にはならないが。
 普段、マユの来ない日などは朝・昼・夜と一日三回、テレビロボに重要と思える情報だけを記録させて確認して後は熟睡を貪るだけだから、余計にマユとの交流が印象深いのかもしれない。
 あるいは、ひょっとしてひょっとしたら得難い時間だと、無意識に感じているのかもしれなかった。
 それは、意志の交流と現地の生命体の慣習や情報を得られるという意味でカ、それとも?
 とはいえ、こういう何故? という問答の答えはこのような境遇に陥った自分自身そのものであり、そうさせた宿敵となる。
 地球を見下ろす世界で行った一騎打ちに敗れ、もはや逃げる事も抗う事も叶わずと悟った自分が、己れの矜持を貫きとおす為に自分自身の死を選んだのだ。
 その果てに、地球によく似た星の地下で、半壊どころか九割がた壊れた状態で生を拾ったのも、真っ向から実力でぶつかり合い敗れた結果である以上、すべては自分自身が負うべき責任だ。
 それ故にこの状況で感じる恥辱も、怒りも、復讐の念も、何もかもが自分自身の所為なのだ。それを理解するが故に、今のダイノガイストは誰よりも、宿敵エクスカイザーよりも敗れた自分自身が許せない。
 そんな自分が、エクスカイザーの様にニンゲンの子供とこうして交流を持ち接しているのは、ダイノガイストでなくとも皮肉めいたものだと思うだろう。自分で自分の行動を理解できない。
 それがもどかしくもありどこかくすぐったいのだ。おまけに、そう不愉快ではないときている。
(なんなのだ。まったく……)
 結局、一度拗ねたマユはぷんすかぷんすかと頬を膨らませたまま、以前ダイノガイストが形を整えた階段をダンダン、と音を立てて登っていく。一応、怒ってるんだよ、というアピールである。
 このまま放置した場合とここでフォローを入れた場合とを考え、ダイノガイストは後者を選んだ。

120:通常の名無しさんの3倍
08/05/18 01:06:16
『マユ』
「……」
 ぴた、と面白い位に階段を昇り切ったマユの足が、ダイノガイストに声を掛けられた途端停止する。よく訓練された軍隊の行進みたいに整然とした止まり方だった。実の所、声をかけてもらうのを今か今かと待っていたのだろう。
『どうせ食うなら美味いものがいい。次はもっと美味く作って持ってこい。そうしたら食ってやる』
「…………ふん、だ!」
 マユは遂にダイノガイストを振り返る事無く、肩を怒らせたまま外に出て行ってしまった。振り返らないのは、その顔に浮かぶ抑えきれない笑顔を、ダイノガイストに見せない為だとはダイノガイスト本人には分からない。
 どうしてこうも面倒なのだろうか、とダイノガイストが最近やたらと溜息を吐きだした。洞窟の片隅で、どこから拾ったのか真白いハンカチを片手で振りながらマユを見送っていたテレビロボが、こちらを向いた。
『なんだ?』
 睨むダイノガイストに、テレビロボは自分の体のどこかにハンカチをしまってから、触手を器用に折り曲げて人間の肘関節を真似て、このこの、正直じゃないね、とばかりに突き出し始めた。
『…………』
 何かムカついた。


 流れ込むエネルギーは、地球の奥深くで滾る溶岩の流れの様に灼熱の感覚をダイノガイストに与えている。マユにテレビを持ってこさせる数日前から、先端に削岩機を取り付けた千分の一ミクロン単位のケーブルを、ある施設へと向けて伸ばしていた。
 ダイノガイストのセンサーの索敵範囲内で最も大きなエネルギーが発生している地下施設だ。この国の電力を賄っている地熱発電施設が目標だった。
 このオーブとか言う国の情勢をマユが持ち込んだテレビロボを通じて知るにつれて、ダイノガイストの経験と、歴戦と言う言葉も霞む戦士の直感が、目に見えず、鼻で嗅げず、耳で聞けぬ、肌に触れ得ぬ、闘争の気配を察知していた。
 この島国に向けて生と死が肩を組みあい、暗い死の世界のぽっかりと空いた穴の上に渡された綱の上を歩きながら葬々曲を歌っている。
 まもなくこの美しく平和を過信した島国を襲う、死神の列を迎える為の前祝いとばかりに暗く低く、呪うような旋律と共に。
 生に選ばれた者は綱の上を無事渡る事が許され、死に愛された者は共に暗く冷たく深い冥府の穴へと落ちて行くのだ。
 死の抱擁を受ける者と生の祝福を受ける者を分けるのはなんだろう。Fの名を持つ神の加護か。
 もっとも、そんな繊細な感傷に浸る感性はダイノガイストにはない。身を捕らえられたこの岩とわずかな生命と晴れぬ暗闇、一筋だけの光明だけしかない牢屋に、まもなく戦火が及ぶとほとんど確信していた。
 その時の為に、今はこの不自由な体を一刻も早く動くようにしなければならない。分からぬが分かる。エネルギー生命体故の超知覚か、それとも精神に刻んだ数多の破壊と闘争の記憶が、ダイノガイストに警告を発している。
 再び雄々しくも禍々しく、手に刃を持って立ち上がらねばならぬ時が近いのだと。分るのだ。
 何日も何日もかけ、いまや忍耐と言う言葉が常態かしているダイノガイストは、地熱発電施設に到着したケーブルを慎重に操る。
 先端の削岩機―ドリルを四方に展開して発電機の一つに取り付け、電力供給が減っている事に気付かれぬよう、ほんのささやかな量を吸い取り始める。
 花が長い事秘していた花弁を開くようにドリルの先端が、四方に開きその中にあった三つの鋭い針が覗く。発電機をまるで豆腐でも指す様に貫いた針から、徐々に地熱を利用して生み出された電力が千分の一ミクロンのケーブルを通じ、ダイノガイストの冷たい巨躯へと流れ込む。
 これと似たような事を、たとえば街頭に通されたケーブルや風力発電施設、太陽光発電の設備などにも行い、半径数キロ以内にある電力をわずかずつ集めていた。塵も積もれば山となる。
 それを行う為に浪費したエネルギー量は馬鹿にならなかったが数日で十分な見返りを得られるだろう。
 ダイノガイストはわずかずつ力に満たされてゆく体に、久方ぶりの愉悦を感じ、低く唸りを上げた。天界の神々と雌雄を決する戦いを前にした魔界の軍団長の如く、異様なまでの威圧感を含んだ声だった。
 幾年か幾十年か。時の流れさえ忘却しそうなほどの束縛からの解放と、破壊の渇望が、ダイノガイストの魂の鼓動を、少しずつ強く、熱いものへと変えていた。

121:通常の名無しさんの3倍
08/05/18 01:08:46
 電力奪取にも使ったケーブルを利用する形でこの国の軍事関係と思われるネットワークに介入し、介入の痕跡を決して残さぬよう臆病なほど慎重に、そして大胆にハッキングを行っている。
 その結果この世界の主力兵器は今の所、ザフトとかいう宇宙に根拠地を置く人間勢力の作り出した人型の兵器であるらしい。
 モビルスーツとかいうもので、サイズはホーンガイストやプテラガイストらと同じ位だ。人間が用いている武器と同じものをスケールアップしたものを装備しているようだ。
 ダイノガイストも検知した、謎のジャミング―ニュートロン・ジャマーの影響で誘導兵器が使えなくなったため、モビルスーツの様な有視界戦闘を考慮した兵器が発展したらしい。
 最初は自分の様に無機物にエネルギー生命体が取り憑きでもしたのかと思ったが、MSの数と実体を知るにつれてあくまでも人間が乗り込んで操縦するものだと分った。
 性能はさして脅威と言えるものではない。MS自体歴史の浅い代物でダイノガイストの目から見てもまだまだ稚拙で、その分発展性のある兵器であったが、自分と比べれば取るに足らぬ代物だ。合体する前のエクスカイザー達の方がまだ歯応えがあるだろう。
 だが、それもダイノガイストの体が完全な状態であったらの話。今のようやく四肢を動かし立ち上がれる程度になった状態では、その取るに足らぬ代物でさえもやっかいな強敵と成り得る。
 ハッキングを繰り返すうちに、『ジン』や『シグー』と言う量産機よりも性能が飛び抜けたGAT-Xナンバーシリーズとかいう機体や、このオーブで開発・生産されているM1とかいうMSの存在も知った。
 実体弾よりも強力なビーム兵器を装備したこれらの機体は、今のダイノガイストには無視できる相手ではなかった。最も、そのM1の量産の為に費やされるエネルギーが膨大であり、その内のいくらかはダイノガイストの体を癒す助けになっているのだが。
 一刻も早くこの体を癒す。でなければ本来敵ではないような雑魚共にさえ手こずる歯がゆい思いをしなければなるまい。
 ただ、ダイノガイスト自身がこの星の、ザフトとか地球連合とかいう勢力と争う必要性はないが、戦士としての本能か海賊としての気質故か、ダイノガイストはこの星の人類との戦闘も想定し、傷の癒しに専念していた。
 傷を癒したら、まずは自分がこの宇宙のどこにいるかを確認しなければなるまい。星間文明の威光が届かぬ途方も無い未開拓の星系かもしれないが、宇宙には表には知られぬ未開の星で得た代物で富を築いた者達は腐るほどいる。
 栽培禁止の麻薬、輸出入禁止の動植物、持ち出し禁止の極めて危険な鉱物、最も強く禁じられている生命体の奴隷売買などなど。
 宇宙に燦然と輝く筈の法の拘束力が及ばぬ未開の暗黒世界で繰り広げられる欲と背徳と邪悪なネットワークは、光と正義を重んじる連中のそれとは比較にならぬほど広い。
 前科は無いが宇宙最悪最強の宇宙海賊ガイスターの首領であるダイノガイストの顔が、そういった世界でどれほど効力を発揮するかはいうまでもない。ただし、宇宙の宝は全て自分のモノ、というスタンスである為、裏世界における敵もまた腐るほどいたが。
 兎にも角にも、まずは傷を治し、部下達の居場所を突き止めて救出してやり、然る後に宿敵エクスカイザーと改めて剣を交わす。これを打ち破った暁にはかつてと同じ様に宇宙を荒らし回り、すべての宝をこの手にする。
 これがダイノガイストの目下の行動方針であった。
 装甲から装甲が生まれ、断ちきられたコードが蠢き繋がり合い、全身にくまなくエネルギーが満たされてゆく感触を心地よく感じるダイノガイストの脳裏に、ふとこの星で出会ったちっぽけな少女の姿思い浮かんだ。
 自分がこの星を去る時、マユはどう反応するのだろう? 一度この星を去ればもう二度とある事はあるまい。もともと有り得ぬ出会いだったのだ。かつてのガイスター時代に戻れば、わざわざこの星に立ち寄るような用事もあるまい。
『くだらん』
 小さく吐き捨て、ダイノガイストは肉体の修復に専念すべく強制的に眠りに落ちようとした。だが上手くは行かなかった。
 メモリーにあるマユの姿が、電源を落としたカメラアイに焼きつけられた様に浮かんでは消え、浮かんでは消えていたからだ。その表れては消えゆく幻の中のマユは、眩いまでに輝く笑顔だった。
 そんなダイノガイストの様子を、突き出した岩の一つに腰掛けていたテレビロボが、やれやれとばかりに肩を竦めて見守っていた。

122:通常の名無しさんの3倍
08/05/18 01:10:12
以上です。あとちょっとで終わりにする予定です。よろしければお付き合いください。
それでは、お邪魔しました。

123:通常の名無しさんの3倍
08/05/18 01:23:09
そういやガイスターってブレイブシリーズで珍しく宇宙からきたのに地球侵略する気ないんだよな

しかしGJ

124:通常の名無しさんの3倍
08/05/18 15:10:24
宇宙から来たオーボスはただ地球を壊して遊びたかっただけ。
侵略よりタチが悪いぜ。

125:通常の名無しさんの3倍
08/05/18 16:14:44
最後の台詞から考えると死にたかったみたいだが

126:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 02:23:07
この作品、中篇なんだ。ううむ、大暴れするダイノガイスト様を
見て見たいのに。オツです

127:通常の名無しさんの3倍
08/05/20 18:47:29
乙、とダイノガイスト様がおっしゃっている!

続き期待してるよー

128:通常の名無しさんの3倍
08/05/24 20:20:29
>>90
個人的に一番笑ったのが「獏は人間の夢を食う」という伝説を鵜呑みにして
動物園のマレーバクの餌をぶんどってきたアレ

129:通常の名無しさんの3倍
08/05/25 02:13:01
ガオガイガーって結構異端視されているよな・・・

130:通常の名無しさんの3倍
08/05/26 04:16:39
>>42
と言う事はホイコーローとかカトリーヌビトンやショーグンミフネ配下のロボットでさえ単体ではMSより強そうだな
でも勇者特急隊って宇宙適応が少ない以外はかなり厨設定的強さを持ってるんだよね
実在の鉄道をモチーフにして地球内の敵どころか基本的にヌーベルトキオシティで戦ってるのに

エネルギー資源が枯渇していて電力だけで戦ってる所なんかはCE世界に合いそうだ

131:通常の名無しさんの3倍
08/05/26 06:58:47
マイトカイザーはマントル貫通して地球の裏側まで行った

132:通常の名無しさんの3倍
08/05/26 09:37:44
マイトガインも一応宇宙に進出してはいるけどな。
ドリル特急とロコモライザーの重連のケツにブースター付けて無理矢理…

133:通常の名無しさんの3倍
08/05/26 20:54:05
>>132
グレートマイトガインと轟龍は単独で大気圏を離脱できる
その代わり、物凄くエネルギーを消耗するが

>>52でも言われてるが、ジェイデッカー組の推力や航空能力は異常w

134:通常の名無しさんの3倍
08/05/27 01:32:34
ジェイデッカーは警察ロボの癖して軍の最新鋭部隊蹴散らしているしな・・・
あれだけだろブレイブシリーズ唯一の純地球製の勇者ロボ、ブレサガではダグオンと並んで強かったわ

マイトガインの敵キャラも結構えげつない事やっているんだよね、ミフネとかカトリーヌとか

135:通常の名無しさんの3倍
08/05/27 10:15:11 qwgWBup0
納豆風呂

136:通常の名無しさんの3倍
08/05/27 14:21:10
>134
ブレサガ2ではマックスキャノンの威力が低いので使いづらかったと記憶している。
ドリル常備で必殺技も高威力なSライナーダグオンを代わりに使ってた。


137:通常の名無しさんの3倍
08/05/28 17:59:13
>>129
ガガガは基本的に二号機ロボットの乗り換えやグレート合体がない(TV放送時)
弱くはないのだが相手がチートで圧倒的なパワーで粉砕!があまりない
勇気をエネルギーに変える
スポロボででしゃばり過ぎた
信者まじうぜぇ

大まかにこの五つが異端とされてる
俺はガガガ好きだけどまじ信者うぜぇ…

138:通常の名無しさんの3倍
08/05/28 23:49:48
種厨とどっちがうざいの?

139:通常の名無しさんの3倍
08/05/29 06:38:18
最初はメカ設定とかが細かくて逆転にもちゃんとした手順があって面白かったけど
途中からザ・パワーとか超展開で何でもアリになって萎えた

140:通常の名無しさんの3倍
08/05/29 13:05:32
>138
一応シリーズ内での論争だから
どこにでも沸いてきて何にでも絡んで来るガノタよりははるかにマシだろ。

ガガガの場合、ガガガだけ好きって連中の他の勇者への無視っぷりが腹立つな。

141:通常の名無しさんの3倍
08/05/29 19:14:54
>>139
スーパーロボット後半にはよくある事だ気にするな
でもそれがなきゃ勝てないチート敵だからなぁ
ザ・パワーも最終的に敵も使い出すし

ゾンダーメタルってストレスを力に変換するらしいが種キャラにおいて最もストレス抱えてるのは誰だろうか

142:通常の名無しさんの3倍
08/05/29 19:17:01
まずラクスとキラは除外だな。

143:通常の名無しさんの3倍
08/05/29 21:36:27
種の初期キラはある程度ストレス抱えてそうだがな
一般人からMS乗って友達のアスランと同胞のコーディと戦わなきゃいけなくなり、
必死に戦うもフレイのおとんは撃墜されシャトルがデュエルに打たれて爆散しトール死亡
フリーダム乗ったあたりから除外かな

144:通常の名無しさんの3倍
08/05/30 00:23:19
アズラエルやジブリールみたいな野心家とか、執着心が強いと
ストレス溜まりそうだな。

パトリック・ザラも、妻の死やアスランの裏切りで
暴走気味だったし。

145:通常の名無しさんの3倍
08/05/30 02:16:38
ガガガは敵ロボが揃ってショボイんだよなぁ・・・

ゴルドランまではライバル的ロボあったけど・・・
いまだ家にドライアスはあるんだぜ、ファイバードは捨てちゃったけど

146:通常の名無しさんの3倍
08/05/30 14:07:53
ガオガイガーは勇者シリーズとして見た場合、超ツールが蛇足だ。これほど浮くものは無いと思う。
特にディバイディングドライバーとイレイザーヘッド。
市街地への被害を防ぐって名目は理解できるけど、正直超空間を形成してまでやる事か?って思う。

他の勇者だったら「住民避は難済み」って前提で済まされる事に対して、およそ子供番組にそぐわない専門用語を並べてまで拘る必要性を感じない。

147:通常の名無しさんの3倍
08/05/30 18:54:34
龍兄弟の中国語での変形、技名とか竜姉妹のプライムローズの月とかも他から見たら浮いてるな。

148:通常の名無しさんの3倍
08/05/30 22:17:16
GGGは裏でやってた3部作の人が監督で、ファイバードの声なゴエモンに視聴率で負けてるからのう。


149:通常の名無しさんの3倍
08/05/30 23:12:34
>>146
そーか?むしろ未知の敵に対して何時何処で何をしてくるかわからん敵に専用バトルフィールド作るディバドラと
エネルギーを大気圏外に出すイレイザーは当時の俺はスゲーと思ってたが
イレイザーなかったら石油タンクのゾンダーで終わってたかもしれんし

たしかに技名とか浮いてたけどさ!

150:通常の名無しさんの3倍
08/05/31 00:05:31
>>149
作中での話ならね
そのすごさは確かに純粋にロボットアニメとして見ればすごい面白いんだけど
SF的なアイテムや設定の濃さは勇者シリーズの他の作品に比べると浮いてるってことでしょ

151:通常の名無しさんの3倍
08/05/31 01:55:54
むしろ竜姉妹は「少し・・・頭冷やそうか」をやるべきだった。
そういや竜シリーズって無双の島左近の人がやっていたんだ・・・すげぇな

エクスカイザーもファイバードもダ・ガーンも民間人がいる大都市のど真中でドンパチしていたような・・・


ところでエルドランシリーズはあり?

152:通常の名無しさんの3倍
08/05/31 11:03:04
>>151
白の魔王の憑依ですね、わかります
てか時期的に無理だろwガガガ終わってからなのはシリーズだぞw

エルドランも勇者に入ってもいいんと思うがどうなんだろ

153:通常の名無しさんの3倍
08/05/31 11:17:13
SF的な観点からするとむしろジェイデッカーの方が評価高いけどな
小難しい設定はなくとも、センス・オブ・ワンダーという点においては随一だろう

154:通常の名無しさんの3倍
08/05/31 15:25:52
ダイノガイスト様・・・

155:通常の名無しさんの3倍
08/05/31 18:15:19
ジェイデッカーは長官だったか司令官だったかが
やたら自分の趣味に走って楽しげだったのが
印象に残ってる。

156:通常の名無しさんの3倍
08/05/31 23:14:59
警視総監な
趣味にも走ってるが職務にも全力なんだぜ
あんな親父になりたいようななりたくないような

157:通常の名無しさんの3倍
08/06/01 10:45:25
とりあえず独身は貫く必要があるなw

158:通常の名無しさんの3倍
08/06/01 10:55:05
ガオガイガー放送当時のホビージャパンを読んでたら
ガオガイガーの紹介ページがあって、こんな事が書かれてた。

放送開始当初から圧倒的な支持を受けてる本作品は
「勇者シリーズなんてどうせお子様向きだろ?」などという人にこそ見てもらいたい。
かつてTVの前で胸躍らされた『熱血ロボットアニメ』がそこにあるはずだ!

なんかガガガだけファンの言い分と、ガガガだけファンの嫌われる理由がこの3行に凝縮されてるな。

159:通常の名無しさんの3倍
08/06/01 11:06:12
勇者に限らずアニメは大抵子供向け
それが分からないのが信者クオリティ

160:通常の名無しさんの3倍
08/06/01 12:00:54
最近は減ってきた感があるけどね

勇者シリーズ特に初期三作は純粋な子供向けの作品としてすごく質の高いイメージだな
高松三部作は純粋に見ても良いし裏読み深読みできる感じ

161:通常の名無しさんの3倍
08/06/01 14:42:52
>>146
ディバイディングドライバー使ったら背景描くのがスゲー楽になるだろ、あれはそのためのツール。

162:通常の名無しさんの3倍
08/06/01 20:37:12
>>161
それをいっちゃあ、おしめえよ

163:通常の名無しさんの3倍
08/06/03 15:03:19
さて、たまにはスレタイに合った話でもしようか。
『もしガオガイガーがC.E.世界に来たら』、やっぱりベターマンもセットでついて来るんだよな。
それって何か嫌だな。

164:通常の名無しさんの3倍
08/06/03 15:23:36
それは嫌だな、ベターマンが来るとキラがベストマン化しそう……。
或いは、キラもカナードたち同様失敗作として捨てられるか。

ただ、GGGが普通に来ただけだとベターマン関係ないぜ。
あれは、パピヨンがリミピッドチャンネルで繋がってただけだろ?

165:通常の名無しさんの3倍
08/06/03 18:27:02 Eup4zdZc
マイトが好きだ

166:通常の名無しさんの3倍
08/06/03 18:35:52
ベターマンとガガガは世界観が同じなだけでクロスとかはないしな

ガガガがCEに来ても勇者全般に言えることだが人間同士の戦争に手貸すと思えんしな
そもそもスーパーロボットだからリアル系のガンダムは勝てんし、共通の敵でもださないと難しい
ダイノ様のように第三者or悪役でないと話作るのは難しいわ

167:通常の名無しさんの3倍
08/06/03 22:38:03
>>166
FINALのドラマCDや小説版にベターマンのキャラが何人か出てたり覚醒人凱号とガオガイゴーの設定があったりするのはクロスには値しないのかな?

168:通常の名無しさんの3倍
08/06/04 00:40:29
矢張りCEとブレサガのクロスを考える時が来たか
そして運命は各世界のテクノロジーを取り入れて、本物の勇者となる

169:通常の名無しさんの3倍
08/06/04 06:43:05
>>167
いくら勇者好きでもそこまでマニアなのは知ってるのは果たしているだろうか

>>168
運命はどっちかと言うとダークヒーロー的な位置にいてほしいな

170:通常の名無しさんの3倍
08/06/04 10:43:17
いや、俺は167ではないが、
ベターマンの主人公達が在籍するクラスにオペレーターの牛山の弟がいるとか、
彼が兄の伝でミラーコーティングしたベニヤ板を大量に手に入れて学園祭にミラーハウスをやったとか、
アカマツの父が獅子王雷牙で、ベターマン最終回近辺で覚醒人が背負ってた透析機兼飛行ユニットは雷牙博士が作ったとか、
覚醒人凱号はその流れで作られたとか、主人公のケータとパピヨン・ノワールの母親にはとある関係があるとか、
ベターマンのドラマCD(だっけ?)で、その関連でパピヨンがアカマツを訪れているとか、
ベターマンにはガオガイガーでゾンダー化した人たちがモブで沢山出てきているとか、
ガオガイガーファイナルの最終回にアカマツ社員一同が出てきているとか、
そもそもTV版ガオガイガーファイナルにはベターマンが登場するとか、

……そのくらいだったら普通に知ってるぞ。

171:通常の名無しさんの3倍
08/06/04 17:04:05
>>170
そりゃ設定が知りたい人や本気で勇者が好きな奴限定で勇者はある程度しか見たことない人にはわからねーよ!
…俺も知ってるけど

172:通常の名無しさんの3倍
08/06/04 19:23:39
>>170-171
それでもクロスと言うより
サービスって感じがする、Z計画くらいになればクロスじゃない?

173:通常の名無しさんの3倍
08/06/04 20:37:27
寧ろCE世界のガンダムやらに超AI搭載したらどうなるんだろ
ストフリと隠者はフォルツォイクロン&ハーメルンシステム搭載型で

174:通常の名無しさんの3倍
08/06/04 22:09:34
擬人化スレの人格になるんじゃね
勇者シリーズの主人公達が身近にいれば勇者に目覚めそうだな

175:通常の名無しさんの3倍
08/06/04 23:26:12
このスレ的にはトダカさんの代わりに絶望の化身をシンと接触させるのもありかも。
勇者聖戦の出演者って結構種死に出てるんだね、声違うけどステラもいるしw

176:通常の名無しさんの3倍
08/06/05 03:54:46
ラクス陣営が勇者メカのコピー作成or強奪しても、
原作どおりのラクス陣営だったら脱走して戻ってきてくれそうなのが良いやな。

まあ、勇者世界なら、綺麗なラクスになりそうな気もするが。

177:通常の名無しさんの3倍
08/06/05 05:58:47
しかし何を間違ったかシャランラみたいになってしまうのであったー!!

178:通常の名無しさんの3倍
08/06/05 10:29:21
ひかりになれーですわー

179:通常の名無しさんの3倍
08/06/05 12:08:50
>168
それってデスティニーが勇者に見えるって事?

失礼な言い方になるが。「どこが?」と真面目に問いたい気分。

180:通常の名無しさんの3倍
08/06/05 17:18:19
ガオガイガーファイナルの後のJアークを羽クジラ的にして
ジョージ・グレンをつくったのはGGGのクルーの子孫とか
フラガ家は命の子孫とか
木星に行ったのはJアークの確保の為だとか
木星探査船に搭載した外骨格補助動力装備の宇宙服はガオガイガーとか勇者ロボの試作品とか
ガンダムにはGSライドが搭載されているとか
キラ・ヤマトには凱の細胞を解析して使われているとか(OSの書き換え楽勝)
ラクスがああなのは天然のゾンダーだからとか

 とか、どうだろう?

181:通常の名無しさんの3倍
08/06/05 17:50:26
>>179
169だが運命はどう足掻いても勇者系になりえんし勇者にも見えん
どっちかというと道化師に近い存在と俺は思う
ただの道化に終わるか物語を引っ掻き回す道化になるかは物語と乗り手次第ってことで

>>180
つまりキラは盟主王を差し置いて勇者王ボイスになり、原作のなよなよとした性格ではなく熱血バカに
そして仲間のためなら己を掛けてでも戦うわけですね
そしてラクスと敵対していくと…わかります
魔改造ってLvじゃねーぞ!

182:通常の名無しさんの3倍
08/06/05 20:40:59
>>180
とうことはフレイが大天使のブリッジ要員になってキラの要請に応じて毎週ガラス割りスイッチを毎回押すんだな。
そしてマリュー熱い叫びとともに承認をやってくれるのか。

183:通常の名無しさんの3倍
08/06/05 22:04:19
流れを切ってすいません。『となりのダイノガイスト』をあと一時間くらいで投下します。

184:通常の名無しさんの3倍
08/06/05 22:29:26
お待ちしております。

185:通常の名無しさんの3倍
08/06/05 22:41:45
マリュー「ファイナルフュージョン!承認っ!」
フレイ「行くわよ、キラ!プログラム、ドラァァイブ!!」
キラ「よっしゃあ!!!」

こうですか、わかりません!

186:通常の名無しさんの3倍
08/06/05 23:13:27
となりのダイノガイスト <5>

 マユの訪れと共に起き、他愛の無いおしゃべりに興じては持ってきた弁当やサンドイッチを平らげ、来た時と同じ笑顔で去って行くマユの背中を見送る日々が続いた。
 テレビロボから得られる一般市民向けの情報と、ハッキングによって得られるオーブ首長国連邦の秘匿している情報との擦り合わせという範囲に収まるが、ダイノガイストは客観的に今いるこの地球(仮)で繰り広げられる人類の戦争が、佳境を迎えつつあると判断した。
 宇宙の人造の植民地“プラント”の人間達が作ったモビルスーツを、地球側も開発に成功し、プラントをはるかに上回る生産力で数を揃え始めている。
 対立する両者のどちらにも属さずに、中立を謳うオーブも、自国の保身のために情報収集には熱心で、お陰でダイノガイストの手元に入ってくる情報もまあまあの代物だった。
 ニュートロンジャマーキャンセラーによって核に電力供給などの恩恵に預かれなくなった地球で、オーブは大きな被害を被らなかった数少ない国だ。
 さらに希少な大規模なマスドライバーを備え、建造途中で計画中止になった軌道エレベーターを利用した低軌道ステーション『アメノミハシラ』とあいまって地球連合諸国家やプラントに対する武器・弾薬を始めとした諸々の物資の輸出入で多大な利潤を貪っている。
 しかしオーブが富み栄える反面、ライフラインの壊滅による貧困や飢餓、疫病、社会レベルの衰退などで苦しむ近隣諸国からは羨望と嫉妬の感情を根強く持たれてもいた。
 ある意味では、このまま戦争が続いてくれればより一層旨味を貪る事の出来る立ち位置にあると言っても良い。
 もっとも、前代表であったウズミ某の掲げる国是や主張を鑑みるに、戦争継続を望む様な人物ではないらしい。
 ウズミの代からか、それともオーブが建国より掲げた理念かは知らないが、この国は他国への侵略、他国からの侵略などを行わない事を国是としている。今まで戦火に晒されなかったのもそのスタンスを頑なに貫きとおしたからだろう。
 と、ここまで考えてダイノガイストはどうでも良くなって、テレビロボにチャンネルを切り替えるように命じた。テレビ画面の中で声高々に演説していたウズミ氏は切り替わった娯楽番組に差し替えられて消えた。
 別にウズミ氏の掲げるオーブの絶対的な中立維持の思想を蔑むわけでも、また逆に尊ぶつもりもない。
 そも悪法善法によらず法と秩序によって成り立つ『国家』という枠組みそのものが、無法を働く宇宙海賊である彼にとっては敵以外の何物でもなかった。
 それにダイノガイスト個人がこれと言った政治的思想を持ち合わせているわけでもない。
 あるのは
『宇宙の宝は全ておれ様のもの』
 あるいは
『宝こそわが人生』
 と言った所か。
 また、宇宙レベルで活動していたダイノガイストや、その宿敵であったエクスカイザー達からすれば、宇宙進出において後進の未開惑星の、とるに足らぬ小国の政治的思想など鼻にかける価値も無い。
 エクスカイザーや宇宙警察、宇宙警備隊の面々ならばそれでも現地人たちの思想や歴史を尊重する事もあろうが、生憎とこちらは我欲のままに振舞い、自らを律するのは矜持のみの宇宙海賊ガイスターの首領様である。
 オーブのみならず地球連合やプラントがそれぞれに主張する大義や、戦争行為を正当化する詭弁も、等しく価値が無い。それこそ歯に詰まった食べかすを掃除する爪楊枝にも劣るのだ。
 聞いている分には暇つぶしにはなるが、という程度でもある。だから、というかやはりここで問題になるのはダイノガイストの肉体の修復状況である。
 本来は単独で大気圏離脱・脱出どころか惑星間航行までやってのける、現行の地球圏の技術からすればオーバーテクノロジーにも程がある性能なのだが、生憎と完璧と呼べる状態になるまではいま暫く時間がかかりそうだ。
 天井を分厚い岩盤に阻まれ、闇が重さを持ってそのまま押し潰してくるような錯覚を与える洞窟の中で、ダイノガイストは体が岩盤に当たらぬ程度に動かす。尾の先がわずかに左右に振られ、両前足の爪が開いては握りを繰り返す。
 思ったよりも反応が鈍い。それでも動かす度に壊れるのではないかと心配しなければならなかった頃よりははるかにましだ。MSが相手なら一、二度位は戦闘にも耐えられるだろう。

187:通常の名無しさんの3倍
08/06/05 23:16:03
 オーブ製MSであるM1生産の為に費やされるエネルギーを少量ずつ喰らう事で飛躍的に肉体の修復は進んでいる。そのプラス要因もあって、ダイノガイストはこれまでつつしんできたアクティブな思考もするようになった。
 例えば、これまでの臥薪嘗胆の日々で膿んだ鬱屈としたフラストレーションを爆発させたい、など。
 修復とエネルギーの補充がすんだら、一度体の具合を見る為にザフトか連合の部隊に仕掛けるのも悪くはないかもしれない。そんな風にダイノガイストが思う事もあった。
 ただ、何もかもする事は自分でやるしかないのが手間と言えば手間だ。自分の手足となるべきガイスターのメンバーはいないし、携帯空間に放り込んでいた試作型のエネルギーボックスも一個きりしかない。
 エネルギーボックスの量産もプテラガイストが残したデータがあるから可能と言えば可能だが目下優先度は低い。必然的に、ダイノガイストは諸々の事を自分自身で行わなければならない。まったく面倒な事だ。
『…………戦争か』
 今日もダイノガイストに会いに来たマユが、去り際にダイノガイストに向かって呟いた一言が、脳裏を過ぎった。
 十歳にもならない小さな女の子は、幼いからこそ周囲の大人の不安を敏感に感じ取り、それを打ち明ける相手にダイノガイストを選んだ。マユは言った。
「戦争になるの? お父さんもお母さんもお兄ちゃんも、誰も戦争なんてしたくないんだよ。……なのに。なんで戦争って、起きるの?」
 答える言葉はダイノガイストにはいくらもあった。思考形態、生物としての根幹的な差異、外宇宙・異次元からの侵略などなど。無限に広がる宇宙の多く無数の争いの種を内包し、これまでもこれからもその種は花開いて争いを生み続ける。
 この蒼い星とて弱肉強食の真理からは逃れられない。弱き者が強い者の糧になるのは、宇宙全般に通ずる真理だ。
 だが、この星の住人達の争いはなお凄惨だ。宇宙の歴史を顧みれば互い歯止めを欠いて争い合い、母星を失い種として絶滅してしまった例が山ほどある。今のこの地球も、それらの星と生命達と同じ轍を踏もうとしている。
 だが、いくらもある答えをダイノガイストは口にしなかった。ただ黙してマユを帰らせただけだ。
 この星に住む人類の命運に口を挟む義理も理由も無い。それはエクスカイザー達も同じだろう。むしろ彼らの方こそ、あくまでもその星の住人達自身で命運を左右するような事態には首を突っ込む事はあるまい。
ダイノガイストにとって地球人たちの争いは関与するべくも無い対岸の火事の筈である。筈なのだ。だが、その戦火がマユの身に降りかかるのならば、交わし合う殺意の鉾がマユに向けられたとしたら? 
その時、ダイノガイストはどうするのか? どうしたいのか? 
『チッ』
 こんな風に思い悩むのならば、マユとは出会わない方が良かったのかもしれない。ダイノガイストはそう思うようになっていた。

 そして、その日はやってきた。ダイノガイストが常と変らぬ眠りを貪っていた中、超直感的な何かに突き動かされ、メインカメラである恐竜の目に光が灯る。闇色の岩盤の向こうになにかいる。悪意と破壊の意志を乗せた何かが。
 戦争だ。マユと出会う前後から予感していた戦争の気配が実体を伴って遂に姿を見せたのだ。
―この塒ともオサラバする時が来たか。
 流石に本格的な装備を備えた軍隊がこの島に上陸するとなれば、ここで眠っているだけではその内見つかってしまうだろう。力押しで脱出する事も出来なくはないだろうが、その後何かと面倒な事になりそうだ。
 顎や手足を投げ出していた姿勢からわずかに身じろぎし、長い年月の間に層を成して降り積もった埃や灰をゆすり落とした。もうもうと立ち込める煙の中、長い時を費やして穿っていた海中に繋がる穴を分子配列の変換では無く自分の手足で行うべく動き始める。
 穴はダイノガイストの前方、海に面した岩盤の真下だ。暗闇が最も濃い部分だ。何とかダイノガイストが身を潜り込ませる事が出来る最小限の穴があいている。
 おそらく、オーブを取り囲んでいるのは地球連合軍だろう。テレビロボが傍受した通信にその名が挙がっていた。オーブ側は再三交渉の場を持とうとしているが連合側にその気はないらしい。
 また逆に地球連合に与する事を選んでもオーストラリア大陸のカーペンタリア基地からザフトの部隊が出撃してオーブに攻撃を仕掛けてきただろう。どの道、オーブは戦火に見舞われる以外の選択肢は無かったのだろう。
 戦火の被害を抑える選択肢もあったが、ダイノガイストの印象としてはあえてそういった選択肢をオーブの上層部は選ばなかったように思えた。

188:通常の名無しさんの3倍
08/06/05 23:17:02
 また適当に身を隠せる所を探さなければならぬかと考えていよいよ体を持ち上げようとした時、ダイノガイストはいつもより小走りでここに向かってくるマユの足音と熱紋を探知した。
 既にオーブ全域で避難が始まっているはずだ。こんな所に顔を出す余裕などあるまいに。
「ダイノガイスト様!」
『避難は始まっているはずだ。なぜここに来た?』
 ダイノガイストのやや冷淡とも言える声音の言葉に、家からずっと走りっぱなしで息を荒げたマユは、胸に手を当てて赤みの差した顔のまま、なんとか息を整えようとしている。その間も階段を降りてダイノガイストをまっすぐに見上げた。
 大きく息を吸ってなんとか荒ぐ息を飲みこんだ。
「あのね、もうすぐ戦争だって! 地球連合の、人達がねっ」
『それを言いに来たのか?』
「だって、ダイノガイスト様ずっとここから動けなかったんでしょ? ここだって危ないかもしれないし、そしたらって思って!」
 ああ、やはりそうか、そう呟く自分の声を、ダイノガイストは聞いた。マユはダイノガイストの身を案じてここまで走り続けてきたのだ。この少女にとって、ダイノガイストはそうまでする価値のある存在になっていたのだ。
『そうか。……安心しろ。その事はもう知っている。今からここを出る所だ』
「本当? 嘘なんかついたら嫌だよ」
『嘘ではない。お前こそ、家族と一緒にさっさと避難しろ。そろそろ、連合の連中が突き付けてきた時間の筈だ。家族とはぐれてしまったら、おれは問題ないが、お前には大問題だろう』
「そう、だけど。……ねえ、本当に大丈夫なの? ダイノガイスト様、ちゃんと動ける?」
『要らぬ心配だ。おれ様を誰だと思っている。宇宙海賊ガイスターの首領ダイノガイスト様だぞ』
 有無を言わさぬ力強いダイノガイストの言葉に、マユも多少不安を和らげたか、不安げに寄せていた眉間をほぐし、つぶらな瞳でダイノガイストを見つめ直す。
「うん。そう、だよね。ダイノガイスト様だもんね。大丈夫だよね」
『ああ。だから早く家に戻れ』
「……うん。ねえ、ダイノガイスト様」
 顔を伏せたマユが、揺れる瞳でダイノガイストを見上げ泣きそうな表情で口を開いた。
『なんだ』
「戦争が終わったらまた会える?」

 その答えを得て、マユはこの洞窟を去っていった。ダイノガイストは、おそらく最後になるだろうマユの姿を見送ってから、海中へとつながる道の削岩に勤しみ始めた。最後の最後でマユがダイノガイストに向けたのは、大粒の涙を流しながらの笑顔だった。
 ダイノガイストの答えが何だったのかは、言うまでもあるまい。
 地球連合軍艦隊の攻撃が始まったのはそれからわずか数時間後の事だった。
 国民の大部分は避難を済ませたようだが、ろくに猶予を与えられなかったオーブ政府からの通達や避難船の用意は遅れ、少数の国民がいまだ戦場となり果てたオノゴロ島やヤラファス島に取り残されていた。
 国土が狭隘なオーブでは既に本土が戦場になった時点で軍事的な敗北は明らかだが、それでもオーブ軍は押し寄せる連合軍と銃火を交わす事を選んだ。
 連合のストライクダガーに比べ、オーブのM1アストレイはより優れた性能を持った量産機と言えたが、その性能の差でカバーできる範囲を超えた物量で連合はオーブを攻め続けている。
 オーブ側にはアラスカ基地での友軍を巻き込んだ凄惨な茶番劇によって、連合を離脱したアークエンジェルの姿があり、搭載されていたストライクや、アラスカで合流したフリーダムと言うザフトの最新鋭MSもオーブ軍と共に戦っていた。
 特にこの時期、オンリーワンの決戦用MSとして開発された核動力のフリーダムの性能は圧倒的で、パイロットの超人的な戦闘能力と噛み合い単独で数十機以上のストライクダガーの戦闘能力を奪うほどだ。
 だが揚陸艇から次々と姿を見せるストライクダガー達はまるで尽きる様子はなく、性能は上でもパイロットのレベルは等しく低い錬度のオーブ軍は、数に押されて敗北の報告が国防司令部に続けて送られてきている。
 フリーダムやアークエンジェルの奮迅もあり、連合側は当初の予想を大きく裏切られる苦戦を強いられたが、やがて旗艦パウエルから出撃した三機の次世代GAT-Xナンバーが出撃し、戦線に加わると一挙に勝敗の天秤が傾いた。
 全身に火器を仕込み、まさしくその名の如き暴威をふるうカラミティ。
 MA形態からMS形態へと移行し、右手に持ったハンマーと言う特異な武器でM1を容易く砕くレイダー。
 笠の様な特異な装甲を被り、手に持った大鎌でオーブ軍艦艇の艦橋を無残に斬り飛ばしているフォビドゥン。


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