08/10/18 10:49:28 5z0AniO/0
放送にて呼ばれた名は9名。
「思わぬところで手間が省けた……」
思うままの言葉がつい口から漏れる。
しかし、予想以上の人数。
ブドーは焦燥を覚えすぐさま立ち上がり、センと理央へ向かい歩を進める。
あの二人だけは何としてでも自らの手で屠ってやるのだ。他の誰にもそれだけは邪魔はさせぬ。
歩きながらブドーが思うは、怨敵と認めた二人。
先程の場所から動いていない二人を見付けるのは容易かった。
だが二人の様子は怨敵と称するには無様な様子だった。
ブドーは落胆とも侮蔑ともつかない溜め息を漏らした。
焦燥に駆られ戻ってきてみれば放送の内容に落胆したのか理央は肩を振るわせセンは幼子のように膝を抱えて座り込んでいる。
「腑抜けたか!」
悔やまれるならば、何故這い上がろうとしないのか。
散って行った者の痛みを己の痛みとし、立ち上がろうとしないのか。
その怒りにも似た激情がブドーにライフルを握らせた。
「今のセンは翼を無くした鳥も同然」
一度、怨敵と認めたセン。
他の者に殺されるのであれば……。
◆
「そんな……。ウメコまで……」
さっきの夢。ウメコが言った『さよなら』あれが本当のことだったんだ。
俺は言い表しようのない脱力感に襲われその場に膝を抱えて座り込んだ。
そしてやはり消え去ったスワンさんも、死者として名を連ねていた。