スーパー戦隊 バトルロワイアル Part2at SFX
スーパー戦隊 バトルロワイアル Part2 - 暇つぶし2ch161: ◆MGy4jd.pxY
08/06/14 00:10:28 Q/3sMbKy0
刺すような視線を感じながら、真正面からジルフィーザを見据え、その問いに答えた。

「二人の、若い男と……」
「ならば、もう貴様に用はない」

ジルフィーザゆっくりと槍を降ろしティターンに背を向け立ち去ろうとした。

「誰を捜している?」
「弟を、我が末弟ドロップを捜さなければならん」

振り返ったジルフィーザは巨漢に似合わぬ小さな溜息を吐いた。

「なぜ襲ってきたのだ?」
「ティターンよ、お前が血と争いを好むとしたら、手を止めず殺していた。
ドロップの身を危険にさらす芽は刈り取らねばならん。
争いに乗っていないと確実にわかるまでは、迂闊にドロップの名を明かす訳にもいかぬ」
「弟の命を守る為か……」

ジルフィーザの表情から先程までの険しさが消えていた。
冥王の比類無い威圧感をぬぐい去った、家族の無事を渇望する兄の顔だった。
兄には弟妹を支える義務がある。
命を守る その決意の源となった芳香とオニイチャンとの出会いに思いを馳せた。

162:名無しより愛をこめて
08/06/14 00:11:09 dQbTWW1i0
 

163: ◆MGy4jd.pxY
08/06/14 00:11:19 Q/3sMbKy0
姿は違えど長兄たる者、その思いは同じ。

「オニイチャン……」

無意識に呟いた。
いつの間にか側へ戻って来ていたマーフィがスッとティターン背後へ身を隠した。
一瞬の間の後、ジルフィーザの怒声が鼓膜を打った。

「黙れ!オニイチャンだと…… このジルフィーザを愚弄するか!」

ジルフィーザが再び斬りかかってきた。
後ろへ退け反り辛うじて切っ先をかわす。

「ジルフィーザ、お前の事ではない!」

ティターンは言い放ち、右足に力を込め身構えた。
ジルフィーザはそれに答えず無言のまま槍を横へ払った。
来る。見切れぬ速さではない!
思った瞬間、ジルフィーザの槍が脇腹をとらえた。
体がくの字に折れ、激痛に脇腹が痺れティターンは堪らず膝を折った。
そのまま肩を掴まれ力任せに横へ薙ぎ倒される。
素早く立ち上がるも、上から振り下ろす槍から逃げ場はなかった。
両腕をクロスに構えウラノスとガイアの怒りを盾に受ける。

164:名無しより愛をこめて
08/06/14 00:11:42 dQbTWW1i0
 

165: ◆MGy4jd.pxY
08/06/14 00:12:43 Q/3sMbKy0
軽い、とばかりに弾き返し、回転を加えた槍裁きで攻防一体の構えをとる。

「愚弄などしているか。オニイチャンとは、俺に誰かを支えてみたいと思わせたトモダチなのだ!」
「……」

無言のまま、尚も槍を振るうジルフィーザをティターンは訝しむ。
一合、二合、絶え間なく打ち据えるジルフィーザだが攻撃に冴えが無い。
迫り合う槍の金音も、闇に散る火花も先程とは格段に相違がある。
じりじりと後退しながら、ジルフィーザの目を見据えれば、その顔には苦悶が浮かぶ。
だが、冴えが無いのはティターンも同じ。
何故か、きぐるみを着たように体が重く、見切れる攻撃もかわせずにいた。
ジルフィーザが威勢よく払った蹴りに、ティターンは横様に倒され、両者の距離が大きく開いた。
ティターンは上体だけを起こし、肩で息をつく。
両者とも力、速さ、戦闘能力の何もかもが落ちている。

「気付いたか……ティターンよ」
「うむ……」

ジルフィーザの問いに頷くと、ティターンはウラノスとガイアの怒りに気を集中し、穂先を上へ掲げた。
雷の集まる感触も熱も感じられ無かった。

166:名無しより愛をこめて
08/06/14 00:13:52 dQbTWW1i0
 

167: ◆MGy4jd.pxY
08/06/14 00:14:52 Q/3sMbKy0
両手を握り不安げに呟いた。

「一体どういう事なのだ」
「察しつかぬか、 我らに架せられしこの首輪に仕掛けがあると……」

ティターンは首輪をさすった。ジルフィーザは頷き言葉を続けた。

「能力を封じ込めば、力なき人間でさえも我らを縊り殺す事が出来る……
急がねば。竜族の血を引くと言え、ドロップはまだ赤子なのだ」

ジルフィーザはティターンを一瞥すると背を向けた。

「待て!俺も一緒に行こう。
赤子とあらば、捨ておくなど出来ない 。俺の見知った者たちもいる 。 その者たちの手を借りれば早い。
無論赤子に刃を向けるような真似などしない」


弟を思う、ジルフィーザは命の重さを知っている。
支え合う思いは繋がっていくのだ。

「好きにするがいい」

ジルフィーザは振り返りもせず先を行く。
ティターンは出しかけた右手やり場に少し困ったが、共に歩くマーフィの頭を撫でジルフィーザ後に付いた。
『握手をすると友達になれる』
芳香とオニイチャンの声を、頭の中で辿りながら。



168:名無しより愛をこめて
08/06/14 00:15:06 dQbTWW1i0
 

169: ◆MGy4jd.pxY
08/06/14 00:15:54 Q/3sMbKy0
【名前】冥王ジルフィーザ@救急戦隊ゴーゴーファイブ
[時間軸]:第1話前
[現在地]:H-8採石場 1日目 黎明
[状態]:2時間戦闘不可。
[装備]:杖
[道具]:確認済
[思考]
第一行動方針:ドロップを探す。
第二行動方針:ロンを殺す。

【名前】冥府神ティターン@魔法戦隊マジレンジャー
[時間軸]:Stage46(ン・マの依り代にされた)後
[現在地]:H-8採石場 1日目 黎明
[状態]:2時間戦闘不可。
[装備]:ウラノスとガイアの怒り、黒装束(虹の反物@轟轟戦隊ボウケンジャー)
[道具]:マーフィーK-9@特捜戦隊デカレンジャー、ディパック、支給品一式
[思考]
基本行動方針:命を守る
第一行動方針:ジルフィーザと共にドロップを捜す。
第二行動方針:スフィンクスを捜す。
備考:ティターンは虹の反物の特別な能力に気付いていません。


170:名無しより愛をこめて
08/06/14 00:17:17 dQbTWW1i0
 

171: ◆MGy4jd.pxY
08/06/14 00:19:44 Q/3sMbKy0
以上です。途中支援ありがとうございました。


172:兄!起つ ◆MGy4jd.pxY
08/06/14 00:25:03 Q/3sMbKy0
タイトル忘れていました。「兄!起つ」でお願いします。


173:名無しより愛をこめて
08/06/14 00:26:34 l9E3ljHY0
投下乙です。
兄、をきっかけにタッグを組むティターンとジルフィーザがよかったです。
マーフィーを守るために奮闘するティターンも彼らしい。
GJ!

174:名無しより愛をこめて
08/06/14 00:28:34 dQbTWW1i0
GJ!
ジルフィーザとティターンのぶつかり合い。どうなるかと思いましたが、結果は戦隊ロワで1,2を争う最強タッグの誕生に安堵しました。
冥府神と冥王、そして、オニイチャンと長男ジルフィーザの対比もお見事でした。

1点。細かい指摘ですが、
>>167
ティターンは出しかけた右手やり場に少し困ったが、共に歩くマーフィの頭を撫でジルフィーザ後に付いた。

「の」が抜けていることと、「。」の前にスペースが入っていました。


175:名無しより愛をこめて
08/06/14 00:32:20 1Bgl9Vn/O
>>172
GJです。
マフィーを守ろうとするティターンの優しさ、
ドロップの身を案じるジルフィーザの想いが切なかったです。
相変わらずま迫力のあるバトルもお見事でした。GJ!

176:名無しより愛をこめて
08/06/14 00:35:59 Q/3sMbKy0
感想と誤字の指摘感謝いたします。
相変わらずの初歩ミスが本当に申し訳なく思っております。

177:名無しより愛をこめて
08/06/14 00:54:36 +vBHeE9m0
投下乙です。
「兄」の共通項でタッグを組むティターンとジルフィーザ。
マーフィーとドロップを守ろうとする二人ですが、
傍から見れば怪人ペアなので、誤解されそうで不安……
GJでした。

178:名無しより愛をこめて
08/06/14 01:06:57 Q/3sMbKy0
重ね重ねお詫び申し上げます。

ティターンは出しかけた右手やり場に少し困ったが、共に歩くマーフィの頭を撫でジルフィーザ後に付いた。

ティターンは出しかけた右手のやり場に少し困ったが、共に歩くマーフィの頭を撫でジルフィーザ後に付いた。
でした。

179:お詫びの言葉もございません
08/06/14 01:20:12 Q/3sMbKy0
○マーフィー
×マーフィ                 orz


後日一時投下スレに誤字を含めたすべてを投下し直しておきます。


180:名無しより愛をこめて
08/06/15 18:11:25 48spXv9k0
>>154
タゴン、いやイフリートにも匹敵するとティターンは判断した。

タゴンではなく、ダゴンですが、
イフリートとの場所が逆じゃないですかね??

181:名無しより愛をこめて
08/06/15 18:56:35 meFkQehbO
>>180
純粋な戦闘力なら、ダゴンよりはイフリートの方が上なんじゃないだろうか。
ダゴンはいつも、2対1で戦ってた印象がある。
油断があったとはいえ、ネコミミ委員長一柱にやられてるし。

182:お詫びの言葉もございません
08/06/15 20:23:13 OTDHo7A40
大変申し訳ありませんでした。修正版をしたらばに投下いたしました。
指摘の他、気づいたところを修正し、
>>180氏の指摘も
ダゴンやイフリートにも匹敵する。 と訂正しておきました。




183:名無しより愛をこめて
08/06/16 06:41:23 +gM+6n56O
更新乙です!いつもありがとうございます。

184:名無しより愛をこめて
08/06/17 13:52:07 TW+S58DR0
それにしてもある程度、集団が出来てきたなー。
なんか、チーム名とか付けれそうだ。

185:名無しより愛をこめて
08/06/17 23:09:13 l+ftShzo0
今のところ3人以上のチームになってるのは、
ドギー、シオン、グレイ、恭介、さくらの時限爆弾チーム
ドロップ、ネジブルー、美希の凶悪3大マーダーチーム
シグナルマン、菜月、スモーキーの和みチーム
ティターン、マーフィー、ジルフィーザの怪物チームの4チームか
あとは瞬と纏、サーガインと裕作、明石とヒカル、蒼太とおぼろ、仙一とブクラテス、壬琴と菜摘とタッグが6組。
ロワって集団化するほど、バラける傾向があるから、これからこのチームがどこまで残るかが見ものかな。

186: ◆i1BeVxv./w
08/06/20 02:09:26 mXBGn1+u0
投下します。

187:ニアミス ◆i1BeVxv./w
08/06/20 02:09:59 mXBGn1+u0
 港町のそれなりに舗装された道を、ガラガラと音を立てながら進んで行く木造の台車。
 銀色のジャンバーを着た若い男が押す台車の上には身動きひとつしない金属製の人形が座っている。
「いやぁ、なんかこうしてると、昔見ていた時代劇を思い出すな。知らないか、手押し車に子供を乗せた侍の話」
「知らぬな。俺としてはこの屈辱的な有様を誰かに見られぬよう祈るのみだ」
 雑談を交わす男と人形。男の名は早川裕作。そして、人形の名はサーガイン。
 この二人が何故、某時代劇のような体勢で道を進んでいるのか。それは今より2時間ほど前。
 ドモンとの戦闘を終え、不意討ちを行おうとしたサーガインだったが、突如として全身の力が抜ける症状に襲われた。
 彼の金属質の身体は『クグツ』と呼ばれる操り人形のようなものであり、本体はクグツの頭の中で操縦している蟻のような姿をした身長30cmにも満たない小型の宇宙人である。
 通常は本体の動きをトレースして、まるで自分の身体のように扱えるクグツであったが、肝心の自分の身体を動かせなければ、丈夫な棺桶にしかならない。
 サーガインは症状が治まるまで、活動できないことを覚悟した。
 それを助けたのが裕作だった。
 最初は失恋のショックで動けないと勘違いしていた裕作だったが、別の要因で動けないことを知ると、近場から木材を収集し、支給品のフェンダーソードを使い、簡易的な台車を造り上げた。
 そして、それにサーガインを乗せると、その場からの移動を始めたのである。
(あの時出会ったのがこの男でなければ、危ないところであった)
 戦場で動けなくなる。これ以上の死亡フラグはない。そういった意味では裕作と出会えたサーガインは非常に幸運といえた。
(それにこの男、最初こそ単細胞かと思ったが中々侮れん。この台車、ネジを使わず、木と木の組み合わせだけで作られている。相当の技術力を持った男だ)
 発明家は発明家を知る。サーガインは本能的に裕作から同じ匂いを感じ取っていた。
 思わず裕作の顔を見つめるサーガイン。
「んっ?どうした、俺の顔に何か付いてるか?」
「いや、なんでもない」
 裕作に指摘され、サーガインは顔を背けた。それを見て裕作はあることに気づく。

188:ニアミス ◆i1BeVxv./w
08/06/20 02:10:25 mXBGn1+u0
「サーガイン、お前、身体動くようになってるんじゃないか?」
「そ、そういえば」
 つい今しがたまでは振り向くことさえ多大な労力を用いていたというのにそれが自然と行えていた。
 サーガインはゆっくりと拳を握り締めてみる。グッと力を入れれば、拳は熱を持ち、その強固さを増した。
「どうやら間違いなさそうだ。よっ!はっ!とっ!」
 サーガインは勢いよく立ち上がると、跳んだり、跳ねたりを繰り返し、自らの身体の調子を確かめていく。
 ほんの数分前と比べて、身体が嘘のように軽い。
「どうやらもう大丈夫のようだ、裕作殿」
「やったな。回復までおよそ2時間ってところか」
 取り出した時計を見ながら、裕作は神妙に呟く。
「しかし、一体これは……」
「たぶん、殺し合いを面白くするための一要素ってところだろうな。単純な力比べとかじゃなくて、どんな奴でもチャンスがあるようにしているってところか」
「だが、ドモンは平然と離れて行ったぞ」
「おそらくお前さんは特別なんだろ。機械仕掛けのその身体は普通に動くだけで人間には脅威だ。
 参加者にも色々なのがいたからな。元から標準以上の力を持っている奴にはキツイ制限が掛かるんじゃないか?
 詳しいことは他の奴からも聞いてみないとわからんがな」
 裕作の言っていることは推測に過ぎない。だが、これまでの状況を考えると、サーガインも同意見。当たらずとも遠からじといったところだろう。
 もはや裕作に、最初に抱いた単細胞というイメージはない。
 台車を作る技術力。回復までの時間を計る冷静さ。わずかな手がかりから分析を行う発想力。
 裕作は自らに並び立ちかねない恐るべき男だ。
(この男、要注意。脅威にならない内に始末しておくべきか?)
 サーガインの眼が怪しく光る。
(……いや、止めておくとしよう。また、動けなくなっても困るしな)
 この2時間、裕作は戦闘不能だったサーガインに一切手を出さなかった。
 裕作が殺し合いに乗っておらず、サーガインも殺し合いに乗っていないと信用している何よりの証だろう。
 要注意人物であることも、逆に考えれば、それだけ使える男ということだ。パートナーとしては申し分ない。

189:ニアミス ◆i1BeVxv./w
08/06/20 02:10:57 mXBGn1+u0
(首輪を解除し、ロンを打倒するまでは精々利用させてもらうことにしよう)
 不穏当な企てを知ってか知らずか、裕作はサーガインに進行の再開を促す。
「うむ。しかし、裕作殿には苦労を掛けた。その台車はもう不要ではないか?」
 これは単なる親切心から出た言葉だ。運送する必要がなくなった以上、台車はもう邪魔だ。
「いやいや。また動けなくなると困るし、それにこれはこういう使い方も出来るんだぜ」
 裕作はニヤリと笑うと、台車を前後逆に持ち、走り出す。そして、勢いを付けると、台車に飛び乗った。
 慣性の法則に従い、裕作を乗せて走る台車。道に軽く傾斜が掛かっていたこともあり、速度もそれなりに上がっていく。
「どうだ!こりゃ便利……っと、うわ!」
 だが、小石でも引っかかったのか、突如、車輪は止まり、裕作は放り出された。
 その光景を見遣り、
「……買い被り過ぎか?」
 サーガインはボソリと呟いた。



 幸いなことに台車は壊れず、裕作も軽いかすり傷程度で済んだ。尤も流石の裕作も懲りたのか、引き摺りながら台車を運んでいる。
 それでもサーガインが乗っていない分、二人の歩みは速まり、時計の短針が4を指そうとする頃、遺跡にまで二人は辿り着いていた。
「ふむ、遺跡エリアか。どのようなものかと思っていたが、中々に壮大な光景だ」
 暗く禍々しい雰囲気が場を支配していた。遺跡の中と外とでは明らかに空気の質が違う。
 天井は開き、新鮮な空気は絶えず入ってきているというのに、得体の知れない息苦しさはまったく打開されない。
「地図によると、このまま進むと迷宮部に入るようだが、探索するには骨が折れそうだ」
「同感だ。誰かいるかも知れんが、ここは迂回することを提案する。深雪殿も待っていることだ、探索は合流した後にしても問題はあるまい」
「深雪さん?もしかして、小津深雪さんのことかい?」
「ぬっ、誰だ!」
 突然、後方から聞こえた声に、サーガインは瞬時に反応し、両肩から剣を抜く。
 裕作もサーガインに並び、声が聞こえた方向に警戒の眼を向けた。

190:ニアミス ◆i1BeVxv./w
08/06/20 02:12:25 mXBGn1+u0
「驚かせてすまない。だが、ボクは君たちに危害を加えるつもりはない。知り合いの名前が出たので、つい気が逸ってしまったんだ」
 声の主がサーガインたちにゆっくりと近づいてくる。近づくにつれ、顕になっていく声の主の姿。
 優雅な物腰に、紺のジャケット。六四に綺麗に分けられた長めの茶髪に、優しげながらも力強い瞳。
「深雪殿の知り合いでその姿。もしや、お前がヒカルか?」
「そうです。やっぱり、あなたは深雪さんと会ってるんですね」
 たちまちヒカルの顔に笑みが浮かぶ。ヒカルにとっては、守らなければならない二人の片方の手がかりが見つけたのだ。
「うむ。互いに仲間の探索を行い、合流する約束になっている。深雪殿からは殺し合いに乗るような男ではないと聞いているが」
「勿論。ボクはブレイジェルの遺志を継ぎ、殺し合いを止めるつもりです」
 そのはっきりとした物言いと、深雪からの事前情報から、二人はヒカルが殺し合いに乗っていないことを確信する。
 サーガインは刀を納め、裕作は構えを解くと、ヒカルに手を差し出す。
「俺は早川裕作。宜しくな」
「ヒカルです。改めて宜しくお願いします」
 がっしりと握手を交わす二人。その光景を横目で見ながら、サーガインも自らの名前を名乗った。
「さて、じゃあ遺跡は迂回して、市街地に向かうとするか」
 軽い自己紹介を追え、早速深雪との合流場所へ向かおうと、遺跡から出ようとする裕作とサーガイン。
 だが、ヒカルは迷ったような顔をして、遺跡の奥を見ていた。
「どうした、なにか心配事でもあるのか?」
「……実は、ボクは今まで明石と一緒に行動していたんだ。覚えてないかい?一番最初に呼ばれて、ロンに啖呵を切った男のことを」
 ヒカルの問いかけに、裕作とサーガインは肯定の意思を示す。あれだけインパクトを残せば当然の反応といえるだろう。
「するってぇっと、明石もこの辺りにいるのか」
 ヒカルは顔を伏せ、首を振ると、東の方角を指し示した。
「彼は気になることがあると言って、一人で向こうに行ってしまったうよ」
 ヒカルはその時のことを思い出す。
 塔からの光景を元に港町へと繋がる道に辿り着いたヒカルはようやく本格的な仲間探しに移れることに安堵した。

191:名無しより愛をこめて
08/06/20 02:18:33 j7Dekomu0



192:名無しより愛をこめて
08/06/20 02:23:06 j7Dekomu0
しかし、明石は港町へと繋がる道ではなく、G3エリアへの道を進み始めた。
「待ってくれ、どこへいくつもりだ」
 当然、制止の声を掛けるヒカル。
「気になることがある。塔から見た時、向こうに祠のようなものが見えた。
 迷宮にはセオリーがあると言ったが、祠のある場所は知っている奴は行きやすく、知らない奴は行きにくいそんな場所にあった。
 妙な場所にあるとは思わないか?」
 平時なら耳を傾けてもいいが、ヒカルにとって、今はどうでもいい内容だった。
 出口を前にしていることが余計にヒカルの心をかき乱す。
「明石、優先すべきことは探索より仲間の捜索だ。そんなこと今は放っておいて一刻も早く進むべきだ。違うかい?」
「……なら少し待っていてくれ。すぐに確認してくる」
 そう言うと今度はヒカルが止める間もなく、明石は駆け出した。
 ヒカルは溜息を吐き、すぐに帰るといった明石の言葉を信じ、待つしかなかった。
 一応、今の今までヒカルは待っていた。しかし、それももう限界だ。
「どうする、待つか?」
 裕作の問いかけにヒカルは否定の言葉を口にする。
「……いや、行こう。明石はひとりでもなんとかする男だ。ここにはメッセージを残しておけばいい」
 グリップフォンにマジチケットを挟むと、ヒカルは呪文を唱えた。魔力を込められ、輝きを放つマジチケット。
 明石が来れば、メッセージを伝える仕掛けだ。
 ヒカルはその場にマジチケットを残すと、裕作らと共に歩き出した。一刻も早く、麗と深雪に会いたい。その一心だった。
 だが、ヒカルは気づいていない。彼らが去った10分後、マジチケットは光を失うと、弾けて消えた。
 能力制限。それは魔法使いたる彼には重く圧し掛かっていた。



 ヒカルと分かれた明石はG3エリアにある祠への道をひた走っていた。
 ヒカルの考えはもっともだった。一刻も早く戻るため、明石は速度を上げる。
 いや、それは理由の2割。8割は別の理由だ。
 ひとつ気づいたことがある。
 少なくともこの遺跡は実際に存在しているものなのだろう。
 素人がこの殺し合いのために適当にでっち上げたものではない。卓越した知識を備えた何者かが何らかの意図を持って設計したものだ。
 その意図に気づいた時、明石は走らずにはいられなかった。

193:ニアミス ◇i1BeVxv./w 代理
08/06/20 02:23:48 j7Dekomu0
 全ては明石の胸に宿る熱き冒険魂のため。
「この中だな」
 全力で走った甲斐もあり、程なくして明石は祠の前へと佇んでいた。
 祠にはその重要性を示すかのように、豪華な装飾と観音開きの扉が設けられている。
「さて、鬼が出るか、蛇が出るか」
 アクセルラーを使い、トラップがないことを一通り確認した後、明石は扉に手を掛けた。
 宝を確認するこの瞬間。カァーっと熱くなる瞬間だ。
 開かれる扉。その奥には黒いアンモナイトの化石のようなものが置かれていた。
 実際に眼にしたことはなかったが、存在が確認されているプレシャスは明石の頭脳に刻まれている。
 明石はそれが何か、瞬時に判断した。
「暗黒の鎧か。ハザードレベルは……予想以上だな」
 暗黒の鎧、ダイノアースからもたらされた禁断のアイテム。装着したら最後、永遠に戦い続ける凶戦士になってしまう呪われた鎧だ。
 明石はアクセルラーのカバーを回し、サーチモードからコマンドモードへと変形させる。
「ボウケンジャー!スタートアップ!!」
 アクセルラーのタービンを回転させることで、パラレルエンジンの力を宿したアクセルスーツを身にまとい、瞬時にボウケンレッドへと変身する明石。
 本来ならプレシャスの回収がボウケンジャーたる自分の使命。だが、暗黒の鎧は相当に危険なプレシャス。
 それにここにあるということはロンが殺し合いを促進させる目的で置いたものだろう。 
「これはここで破壊する!アクセルテクター!!!」
 ボウケンレッドの叫びに応じ、瞬く間に装着される銀色の鎧。
「デュアルクラッシャー!」
 続けて、左腕を掲げるとその手にはデュアルクラッシャー・ミキサーヘッドが握られる。
 ボウケンレッドは抱え込むようにデュアルクラッシャーを構え、暗黒の鎧を狙った。
「ミキサーヘッド!」
 引き金を引くと同時に勢いよく回りだす三つの銃身。後は対象を固める特殊光弾が放たれるのを待つだけだ。
 だが、ボウケンレッドにとって、想定外のことが起こった。

194:ニアミス ◇i1BeVxv./w 代理
08/06/20 02:26:03 j7Dekomu0
 アクセルテクターを装着しているというのに、勢いよく回転する銃身の反動が抑えられない。
「くっ、これは……」
 やがて、発射される特殊光弾。その反作用にボウケンレッドは弾き飛ばされ、遺跡の壁に叩きつけられる。
「どういうことだ、これは」
 幸運なことに発射された光弾は暗黒の鎧に命中したが、これではデュアルクラッシャーをドリルヘッドにしての使用は行えないだろう。
「アクセルテクター解除!」
 ボウケンレッドはアクセルテクターを解除し、胸部に納められた物を確認する。この症状、考えられる原因はひとつしかない。
「やはり」
 本来なら火竜の鱗が収納されているはずの胸部には、ご丁寧にも『残念』という文字が書かれた紙が入っていた。
「事前に抜いておいたというわけか。やるな、ロン」
 火竜の鱗がないアクセルテクターは、それなりに頑丈な鎧でしかない。デュアルクラッシャーの反動を抑えるには火竜の鱗が必須なのだ。
 恐らくそのことを知り、自分への嫌がらせのつもりで鱗を抜いたのだろう。
 だが、考えてみれば、今の時点で気づいたのは幸運といえるかも知れない。
(これは俺が持っておくとするか。少なくとも俺と同じミスをすることは防げるはずだ)
 ディパックにアクセルテクターを入れ、ボウケンレッドは改めて暗黒の鎧に向かって構える。
 デュアルクラッシャーに頼らなくても、破壊だけなら充分に可能。
「ボウケンボー!」
 頭部のライトによって、形作られる赤きマジックハンド。更に内部から刃から飛び出し、瞬時にボウケンジャベリンへとそのフォルムを変える。
 ボウケンレッドは、ボウケンジャベリンを天高く振り上げると、力強く振り回し始めた。
「うぉぉぉぉっ!!!」
 たちまち立ち昇る真っ赤な炎。そして、その炎はボウケンジャベリンの刃へとその力を宿した。
「ジャベリンクラッシュ!」
 叫びと共に袈裟懸けに振り下ろされた一撃は置かれた祠ごと、暗黒の鎧を切り裂く。
 刹那、暗黒の鎧は爆発に包まれ、この世界から消滅した。

195:ニアミス ◇i1BeVxv./w 代理
08/06/20 02:27:30 j7Dekomu0
「ミッション完了だな」
 満足気に煙を上げる祠を見遣ると、ボウケンレッドは徐に踵を返し、元来た道を走り始めた。
 ヒカルの元へと帰るためだ。
 スーツによって強化された肉体は、変身する前とは雲泥の差のスピードをボウケンレッドに与える。
 5分と経たない内にボウケンレッドは遺跡の出口へと辿り着いていた。
 しかし、辺りを見渡すが、ヒカルはどこにも見当たらない。
「先に行ったのか。せっかちな奴だ」
 自分のことを棚に上げ、ぼやくボウケンレッド。
「書置きのひとつでもしておいて欲しかったが……追うとするか」
 ボウケンレッドは変身したまま、南へと進んでいった。
 その道の先に誰もいないと知らぬまま。

196:ニアミス ◆i1BeVxv./w
08/06/20 03:23:07 mXBGn1+u0
【名前】明石暁@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task46後
[現在地]:G-2遺跡 1日目 早朝
[状態]:健康。ボウケンレッドに変身中。
[装備]:アクセルラー
[道具]:ラン様カード@爆竜戦隊アバレンジャー、アクセルテクター@轟轟戦隊ボウケンジャー
[思考]
基本方針:ミッションの達成(仲間と合流し、脱出する)
第一行動方針:南下して港町へと進み、ヒカルと合流する。
第二行動方針:ヒカルとの記憶の齟齬を解決する。

【名前】ヒカル@魔法戦隊マジレンジャー
[時間軸]:Stage35後
[現在地]:H-3港町 1日目 早朝
[状態]:健康。2時間魔法の使用不可
[装備]:グリップフォン
[道具]:月間宇宙ランド(付録なし)@激走戦隊カーレンジャー、ゼニボム×3@特捜戦隊デカレンジャー
[思考]
基本方針:ブレイジェルの遺志を継ぎ、殺し合いを止める。
第一行動方針:小津深雪との合流のため市街地へ。その間、早川裕作、サーガインと情報交換。
第二行動方針:小津麗の安全を確保する。
第三行動方針:ティターンに対して警戒。
第四行動方針:冷静すぎる明石に微妙な気持ちを抱きました。

197:ニアミス ◆i1BeVxv./w
08/06/20 03:23:40 mXBGn1+u0
【名前】五の槍サーガイン@忍風戦隊ハリケンジャー
[時間軸]:巻之四十三中(ガインガイン敗北後、サンダールに敗れる前)
[現在地]:H-3港町 1日目 早朝
[状態]:健康。クグツの胸部に凹み。
[装備]:巌流剣、ドライガン@忍風戦隊ハリケンジャー
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:ロンの打倒
第一行動方針:首輪を手に入れて、解除方法を模索する。
第二行動方針:しばらく裕作、ヒカルと共に行動。
備考:2時間の制限に気づきました。サーガインの場合、2時間制限中はまともにクグツを操縦できません。

【名前】早川裕作@電磁戦隊メガレンジャー
[時間軸]:34話後
[現在地]:H-3港町 1日目 早朝
[状態]:健康。
[装備]:ケイタイザー、木造の台車(お手製)
[道具]:フェンダーソード@激走戦隊カーレンジャー、火竜の鱗@轟轟戦隊ボウケンジャー、他1品
[思考]
第一行動方針:サーガインの力になる
備考:2時間の制限に気づきました。自分にも適用されることを予想しています。
 メガシルバーの変身制限時間は2分30秒のままです。

198:ニアミス ◆i1BeVxv./w
08/06/20 03:24:39 mXBGn1+u0
以上です。
途中の代理投下、ありがとうございます。
誤字、脱字、矛盾点、ご感想、他指摘事項などありましたら、宜しくお願いします。

199:名無しより愛をこめて
08/06/20 08:25:57 IWQO1iYcO
>>198
GJです!
裕作さんと、チーフの分析はさすがの頭脳派らしい分析力だと思いました。
離れ離れになった彼らの今後はどうなっていくのか?
今後の展開が気になります。
台車に放り出されるお茶目な裕作さんに爆笑しました。

200:名無しより愛をこめて
08/06/20 11:02:18 lL6hQbxQ0
>>198
遅ればせながらGJ!
熱き冒険魂を抑えられない明石。
ヒカルの気持ちの微妙なズレが心配なところです。
そして深雪の死を知らない彼らの今後は……
サーガインと裕作、二人の魅力を引き立てるやり取り、テンポよく読ませる構成力。
もう一度GJ!

ひとつだけ指摘させていただくと、>>190ヒカルのせりふの
「彼は気になることがあると言って、一人で向こうに行ってしまったうよ」

「彼は気になることがあると言って、一人で向こうに行ってしまったよ」
ではないでしょうか?






201:名無しより愛をこめて
08/06/21 00:14:56 VafjvlZS0
裕作さんが鱗持ってるのにーーーーー

まさか魔法のほうが不便だとは

202: ◆i1BeVxv./w
08/06/21 02:55:59 ScA+YyXS0
ご感想ありがとうございます。

>>200
ご指摘感謝です。
まとめサイト更新と合わせまして修正しました。

203:名無しより愛をこめて
08/06/21 11:16:17 TtlrAqmC0
投下乙です。
サーガインと裕作のコンビのやり取りが面白かったです。和みましたw
ヒカルとの合流ですが、放送が怖いグループですね。
明石とのすれ違い、今後どうなるか楽しみです。
GJ!

204: ◆MGy4jd.pxY
08/06/23 21:19:29 dfVG917vO
本文は9割完成、ですがタイトルと状態表が手付かずです。
頑張ったのですが、推考にかかる時間も入れるとおそらく今日中の投下は無理かと……
大変申し訳ありませんが延長させて下さい。

205:名無しより愛をこめて
08/06/23 21:34:53 qemrvbvp0
了解しました。
明日の投下を心待ちにしております。

206: ◆MGy4jd.pxY
08/06/24 23:58:50 BwcbRh4R0
遅くなりまして申し訳ありませんでした。
只今から投下します。


207: ◆MGy4jd.pxY
08/06/25 00:02:37 XQ2+ROsE0
「ヤバイよ~これからどうしよう。早くインフェルシアに帰りたいよ」
「……」
「あ~もう!ン・マ様が復活してたらあんな奴、ギッタンギッタンのメッタメタにしちゃうのに。ねぇ、メア」
「……」

いつもなら、メアの相槌が入る。
なのに、メアは黙ったまま。
バンキュリアが寂しさから身を二つに分けて以来、それぞれをナイとメアと呼び合い幾多の時を重ねて来た。
メアが返事を返さないのは、初めての事だった。

「メア?」

ナイはメアの顔を覗き込んだ。
メアは大きな目をギラつかせ、月明かりの下では漆黒に見える唇を噛んでいる。

「メア……」

ナイはそっとメアの肩を抱き寄せた。
ナイはメアで、メアはナイ、元々身体一つのバンキュリアなのだから、メアの抱いている不安はナイの本心。
ナイも同じ不安を抱いている。
でも不安に震えていても、状況は何一つ変わらない。
ナイは考えた。自分に与えられた称号の意味を。


208:名無しより愛をこめて
08/06/25 00:03:21 hguAVJwV0
 

209: ◆MGy4jd.pxY
08/06/25 00:03:51 XQ2+ROsE0
クイーンバンパイアーーーーそれが人々に畏怖され、自らのプライドの証でもある称号。

(そうよ、ワタシたちはクイーンバンパイア、妖幻密使バンキュリア)

気を奮い立たせたナイは、メアの手を握り無理矢理はしゃいだ声を出した。

「大丈夫だよ~アタシたち、不死身のクイーンバンパイアじゃん?」
「……だよね」

返事を返してくれた物の、メアの声はまだ沈んだまま。
ナイはメアの瞳を見つめ宥めた。
いつも通りの声で。

「ねぇナイ、さっき殺されたアイツいたじゃん」
「さっきの……あの黒いヤツ」
「そう、アイツの首輪取っちゃお!」
「……アイツの首輪~」
「そう、アイツの首輪取っちゃって~」
「取っちゃって~?」
「それを囮に、バカな参加者に味方のふりして近づいて」
「うん、うん」
「首輪を外す方法を探さして、こ~んな首輪、さっさと外しちゃお!」
「だね~。さっさと外しちゃお~、外しちゃお」
「だって、ワタシたちは妖幻密使!味方のふりなんて簡単」
「間単だよね~」

密使、それは密かに任務を遂行する使者。

210: ◆MGy4jd.pxY
08/06/25 00:04:33 XQ2+ROsE0
妖幻密使、それがバンキュリアに与えられたもう一つの称号だった。


ナイはメアの手を握り、二人寄り添いながら来た道を戻る。
真澄の骸に残る首輪を奪う為に。
ロンの片腕であるサンヨ、それに広間にいた憎たらしい魔法使い達、素のバンキュリアでさえも手強い者達。
制限下に於いてなら、なおの事『強敵』と呼べる存在。
それに打ち勝つ為に……
いや、それよりも何よりも自分自身の身を守る為に、まず首輪を外さなければならない。
これが首に有る限り、自分の生死はロンに左右される。

(ロン、アイツはヤバイ。もしかしたら、ン・マ様と同じぐらい……)

笑顔を浮かべながらも、ナイは背筋を走る悪寒を抑えられなかった。
ふと、メイは立ち止まり、慈しむようにそっとナイの首輪を擦った。
どうすればいい?
ナイは自分自身であるメアに問う。

「メア。首輪外した後、どうする?いつまでも、味方のふりするのもムカつくよね」
「ムカつく、ムカつく」
「そうだ、ロンに使えちゃうってのは?ハハハ……」
「アハハハ……」

ロンは、勝ち残った者の願いを叶えると言った。

211: ◆MGy4jd.pxY
08/06/25 00:05:18 XQ2+ROsE0
吸い付きたくなる、甘い蜜。
だが、甘い蜜には罠がある。
蜜で飼い慣らされても、首輪を嵌められたままであれば、生殺与奪はロン握られたまま。
最後の一人まで生き残れたとしても『元の世界に帰る』その願いさえ、叶えてくれる保証など皆無。
皆、蜜には寄ってくる。だが、その味が苦ければ離れて行くのが世の常。
ナイは視線を泳がせた後、首輪を擦るメアの手に手を重ね言った。

「なんてね。アイツ自分の仲間のサンヨってヤツにも首輪嵌めてたぐらいだし…あっ、もしかして」
「もしかして、サンヨが~」
「いらなくなっちゃったとか?」
「「ザマーミロ~」」

笑顔のメアにナイは満面の笑顔で答えた。

「アタシたちを吹っ飛ばしたサンヨ、もし今度あったら~」
「「やっちゃおうか!」」

バンキュリアはサンヨを嘲笑い、ロンに感じた恐怖を振り払った。

212:名無しより愛をこめて
08/06/25 00:06:02 ze+Kdw+O0
 

213: ◆MGy4jd.pxY
08/06/25 00:06:03 XQ2+ROsE0


『今度あったら』
今度とお化けは滅多に遭遇できない物。
そう言った観点から見ればナイとメアは非常に運が良い。
だが、真澄の屍体のある場所まで戻った二人は、実際に遭遇した『今度』という奴に目を剥いた。

「げ、ちょっとアイツ、まだいるよ?」
「まじ?」
「ねぇ、アイツもワタシたちと同じで、まだ制限解けてないよね……」
「解けてない。解けてない」
「良い事思い付いちゃったよ。メアがアイツ目掛けて催涙弾を打って~」
「うん、うん」
「アイツが泣いてる間にアタシが首輪を取って、メイが止めを刺す」
「それ、いいね~」

メアは銃弾を催涙弾に詰めかえた。
後一時間は、サンヨも制限時間内。
力が使えないならば、武器を持つ自分たちにも勝気はある。
残弾は銃弾が11発、催涙弾が5発、消滅の緋色と説明書のある弾が1発あった。
制限下の相手ならば催涙弾で視界を奪い、銃口の先端に光るナイフで刺し殺すのは難しくないように思う。
限りある予備の銃弾は出来るだけ取って置きたい。
一発たりとも無駄にはしたくなかった。

「完璧だよね」
「だよね~」

ナイとメアは木の影からサンヨの様子を伺う。

214:名無しより愛をこめて
08/06/25 00:06:27 ze+Kdw+O0
  

215: ◆MGy4jd.pxY
08/06/25 00:07:29 XQ2+ROsE0
闇の中で、こちらに気付いたサンヨの頭が動くのがわかった。

「やっちゃいな!」

サンヨが立ち上がった、ナイがそう思った時、メイがライフルの弾金を引いた。
ーーパン!
銃声と火花が闇の中に散った。
サンヨは一瞬仰け反り、打たれた胸を抑え低く呻き声をあげる。
白い煙がサンヨの上半身を包む。
そして煙の中で、のた打ち回りながら激しく咳込みはじめた。

「「やったね!」」

ナイとメアの歓声がハモる。
よろめきながら闇の中へ消えて行こうとするサンヨの大柄なシルエットを逃さず、メアは突進し先端のナイフで袈裟がけに切り付ける。
ナイフは刃を煌めかせ、本能的に顔を庇ったサンヨの右手を切り裂いた。
次の攻撃を避けようと後退したサンヨは、真澄の頭であった血溜まりに足を取られよろけた。

「前…ガ、見えな……いヨ」

サンヨはぎくしゃくと腕を動かし、じゃくじゃくと骨を砕き、血に滑る足取りで奇妙なピエロのダンスを踏んでいる。
ナイとメアは可笑しくて笑い転げた。

「キャハハハハ。大成功やったね!」
「早く首輪さがしちゃお!」
「オッケー!何これ、キモ~イ」

メアはサンヨを突き飛ばし、暗がりにしゃがんで、血溜まりの中の首輪を探す。

216:名無しより愛をこめて
08/06/25 00:08:04 ze+Kdw+O0
   

217:名無しより愛をこめて
08/06/25 00:08:26 hguAVJwV0
 

218: ◆MGy4jd.pxY
08/06/25 00:09:12 XQ2+ROsE0
横で、ザシュッザシュッとリズムを刻みながら、メアはサンヨの腕、肩、体へと執拗にナイフを突き立てる。
その度に催涙弾で焼かれた喉からサンヨの掠れた声が漏れた。

「あったあった、メア!あったよ!」
「おっ、やったね」
「ついでにサンヨの支給品も、貰っちゃお」

メアはサンヨのデイバックに手を伸ばした。
一瞬、真澄の防弾チョッキを思い出し手を伸ばしかけたが、血をたっぷり吸ったそれを着たいと思わなかった。

「なになに?『マジカルチェーン』と『デュエルボンドソード』……剣によって勝負が決した時にのみ、チェーンは解消する。だって」
「何、それ?」

メアは右手で剣を持ち、両側に腕輪が着けられた数メートルほどの長さの古びた鎖を左手でシャラシャラと振り回した。
ナイの視線が鎖に動き、ナイフの切っ先がサンヨから一瞬離れる。
その隙を突いたサンヨは蜥蜴のように地を這い、必死にそこから逃げようとした。
だが、行く手をナイが先回りし塞く。
遅れてメアがマジカルチェーンの片輪をサンヨの右腕に嵌めた。
メアが血で汚れた手を黒いスカートで拭いながら、ナイが銃口を向けながら、言った。

「おっと、逃がさないよ~」
「逃がさないよ~」
「さっきは、よくもふっ飛ばしてくれたよね」
「「せーの」」

ナイとメアは鎖の反対側を力任せに引っ張った。
つんのめるようにサンヨが立ち上がると、ぐるぐると真澄の周囲を回り勢いづいた所でパッと鎖を離す。
サンヨの身体はそのまま突進し、止まる事なく大木に叩き付けられた。

219:名無しより愛をこめて
08/06/25 00:09:41 hguAVJwV0
 

220:名無しより愛をこめて
08/06/25 00:09:48 qXpJ6jlK0
真澄じゃなくて、真墨では
支援

221: ◆MGy4jd.pxY
08/06/25 00:10:01 XQ2+ROsE0
サンヨは「グェッ」と、かえるのような一声を発し、そのまま仰向けに倒れた。
数メートル後ろから、ナイとメアはその姿に腹を抱えて笑っている。

「アハハ、弱っち~。だからロンにも見切られるんだよ」
「だよね~」

サンヨは倒れたまま、未だ掠れた声を搾り反論した。

「ロ…ン…がサンヨを、見……切るはずな…いヨ」

その言葉に二人は堪えきれずピョンピョンと跳ねた。

「まだ気付いてないよ、コイツ。おっかし~。じゃあなんでアンタも首輪を嵌められてんの?」
「そうそう」
「違うヨ……これは、ハンデヨ~」

サンヨはムクリと上体を起こした。
立ち上がろうと膝を突き、崩れ、手を突き、崩れ、そして四つん這いになりながらナイとメアから顔を背けず、起き上がろうとしている。

「サンヨは…何故だか死なない……不死身ヨ~」

酷くおどけた口調だった。
メアは自分の心が震えるのを誤魔化すよう、歪んだ笑みをサンヨに向けた。
ナイはライフルの催涙弾を黒い銃弾に詰め換えサンヨに狙いを定めた。

「アハハ、そんなの首輪がなければの話だって。
それに不死身なのは、アタシたちだけでいいよ!」
「「逝っちまいな~」」

メアがライフルの引金に指を掛けた。

222: ◆MGy4jd.pxY
08/06/25 00:11:01 XQ2+ROsE0
その時、右後方から誰かが駆け寄ってくる足音が聞こえた。

「誰?!……まさか、またロンが来たんじゃないよね」
「ないよね」

ナイとメアはライフルをそちらに向け、足音を追って走り進んだ。
後ろで鎖がジャランと音を立てた。
方向転換したナイとメアは顔を見合わせた。

「「何?!」」

四つん這いになったサンヨの手首の鎖がピンと張った。
サンヨの体がナイとメアが進んだ真逆、左後ろへ引きずられて行く。

「「え?」」

足音が遠ざかって行く。
繋がった鎖の先を持つのは背の高い男。
あちらはフェイント。
自分たちが真澄に仕掛けたような単純な手に嵌められたのだ。
ナイとメアは唇を噛んだ。

「ブクラテスさんが注意を引いて、俺が助ける。単純だけど引っ掛かってくれたね」


223:名無しより愛をこめて
08/06/25 00:11:45 ze+Kdw+O0
    

224: ◆MGy4jd.pxY
08/06/25 00:12:17 XQ2+ROsE0



「何コイツ~、ムカつく!」
「ムカつく!」
「で、アンタ変身もしないで助けにきたってわけ?変身しないの」
「しないの~」

二人は武器を手にニヤニヤと笑いながら挑むような視線を投げつける。
センは構えたままで、タクトのように人差し指を振る。

「それは君達だっておなじだろ?何か特殊な能力が在るはずだろうに、それを使わず武器で攻撃している。すなわち、一度能力を発揮して今は制限されている」
「さぁ、どうかな?ワタシたち、もうそろそろ2時間経つし~」
「経つしね~」
「2時間……へぇ、制限時間は2時間なんだ。思ったより短かったな。なら、俺はもう変身できるって訳だ」
「あっマズイ!言っちゃったよ」
「言っちゃったよ~」
「殺し合いに乗った上に、笑いながら嬲り殺しにしようなんて、宇宙警察地球署、江成仙一が許さない!」

センはSPライセンスを握り締めナイとメアに吼える。
形勢が不利と分かった途端、ナイとメアは違う違うとばかりに手を振った。

「ま、ま、待ってよ。何か勘違いしてない?ワタシたちはこの黒い奴の首輪を貰おうとしただけで~」
「殺したのはソイツ~」
「ソイツは広間にいたロンの片腕サンヨだよ。ほら、よく見てよ」
「何だって、ロンの片腕?」

センの傍らでうずくまっていたサンヨの体がぐらりと揺れた。次の瞬間サンヨはセンに襲い掛かる。
ナイが二人に向けてライフルを打った。
銃弾はサンヨの振り上げた腕に当たり、そのまま後ろへ昏倒した。

225:名無しより愛をこめて
08/06/25 00:13:28 hguAVJwV0
 

226: ◆MGy4jd.pxY
08/06/25 00:14:24 XQ2+ROsE0
こそこそと、ナイが近づいてマジカルチェーンの片側をセンの左腕に嵌める。
メアはデュエルボンドソードを右腕に握らせ、傍らにあったセンのデイバックを担いだ。

「ワタシたちは、まだ制限時間中だから~ソイツの事はアンタに」
「任せるよ~」
「剣によって勝負が決した時にのみ、チェーンは解消するんだって。さっさと~」
「「殺しちゃいな~」」

待て!センがそう言いかけたとき、サンヨがナイとメアに向かって駆けだしていた。
踏み止まろうとセンは踏ん張る。
SPライセンスのスイッチをチェンジモードにセット。
エマージェンシーを発声。その寸前、振り向きざまに放ったサンヨの回し蹴りがセンの側頭部を捕らえた。
ズンと脳天を突き抜ける衝撃、継いで背中に鈍く重い打撃。
SPライセンスがセンの手から滑り落ち、サンヨそれを蹴りで弾き飛ばす。
センはふらつく頭を押さえ、体制を立て直し、SPライセンスを取り戻そうとサンヨから距離をとる。
サンヨは鎖を腕に巻き付け距離を縮めてきた。
センが身を捩り、鎖を引き返した瞬間。腕がもぎ取られるかと思う力で強引に引っ張られる。
だが、この時を待っていたセンは身体の力を抜いた。
絶対的に力が上回っているのはサンヨ、同じ力で対抗しようとしても無理な話。
センが優っているのは洞察力と集中力。隙をついた一瞬の逆転を狙う。
引き寄せられる力を助走代わりに地面を蹴り上げる。
センの身体が空中で前方に回転し、重さとスピードを乗せた剣がサンヨの上腕を撫で斬る。
一拍置いて、ドサリとサンヨの腕が地に転がった。
その瞬間、二人をつなぐ鎖もシャンと音を立てて砕け散った。

227:名無しより愛をこめて
08/06/25 00:16:44 ze+Kdw+O0
    

228:◇MGy4jd.pxYさんの代理投下
08/06/25 00:21:46 hguAVJwV0
大きく息を吐き出し、呼吸を整えたセンは草むらに投げ出されたSPライセンスを探し始めた。
後でサンヨ斬られた片手を押さえ、ズズッと前に進んだ。

「……なんで、サンヨを殺さないヨ」
「警察官だから、人殺しはしない。まだ、裁かれていない者をデリートするのは僕の仕事じゃない」
「馬鹿な、男ネ~!!」

サンヨが猛った。力強く走り寄る足音に身をかわしたが遅い。
肩と右脚の内側を抱え上げられ、頭からその場に投げ落とされた。
鎖の繋がれていた方の肘を、全体重と恨みを乗せたサンヨの足が砕く。
そのまま坂道を転げ落ちるように体中に絶え間なく激痛が走る。
サンヨが一蹴り一蹴り毎に力を込め、加えながら蹴る、蹴る、蹴る、蹴る。

「そろそろ、オシマイにするヨ」
「ぐっ……残念ながら、打た…れ……強い…んだよ、俺は」
「ソイツと同じに頭を踏み潰してやるヨ」

言葉とは真逆に動きの止まったセンの頭蓋骨にサンヨの足が掛かる。

「そこまでじゃ!!センから離れねば貴様の命はない!!」

ブクラテスの声が響いた。
声だけだと強そうなんですね。ブクラテスさん。まさか助けに来てくれるとは……
沈みそうな意識の中でセンは思った。

「命びろいしたネ。その腕は、ロンに治して貰うといいヨ~。サンヨは、早くロンに首輪、外シテモラウネ」

サンヨが囁いた。とてもじゃないが良い夢は見られそうもなかった。


229:◇MGy4jd.pxYさんの代理投下
08/06/25 00:22:19 hguAVJwV0



「あのまま、都市へ向かうべきだったか……」

胎児のように体を丸め、口元から鮮血を流すセンの姿を目にしたブクラテスは心の底から後悔していた。
ブクラテスの切断された右腕の治療の為、二人は都市で病院を探すつもりでいた。
エリアの外れで見付けた探知機の反応は4つ。
4人とも全員が殺し合いに乗ったとは思えなかった。
様子を見に行くというセンに従いブクラテスは暗く見通しのきかない森へ反応を追って走りだした。
いくらか走り、木々ばかりの視界の先に揺れている人影が見えた。
銃声と共に、花火でも上がったような歓声が沸いた。
ダンスを躍るように揺れている大柄な影と、銃口を向ける女と俯せに倒れ頭の潰れた死体をまさぐる女がいた。
センは突然逆立ちし、また突然元に戻ると、大柄な者を助ける手筈と囮となった後、落ち合う場所をブクラテスに耳打ちした。
ブクラテスはその場所へは行かず、付かず離れずセンの反応を見失わぬよう距離をとった。
離れすぎれば、ブクラテスに近づく探知機の反応がセンの物かどうか判断が付かなくなる。
やがて反応は2つ別れ、戻ってきてみればセンの頭が、助けようとした者に砕かれようとしていたのだ。

「セン……誰か人を呼んで来よう。動くでないぞ」
「腕…一本…ぐら……い、大丈夫です。ブク…ラテスさんだって……」

センはそれだけ言うと目を閉じた。
ブクラテスは溜息と共に立ち上がり、草叢からSPライセンスを拾い上げセンの手へ握らせた。
弱々しくSPライセンスを握ったセンの姿に、ブクラテスは『センはもう利用できない』と思い至った。
今のセンは最初に出会った女と同じ、利用するどころか足手まといにすぎない。
だが、センのおかげで利用できそうな人物のあてはできた。
センの仲間、顔は知らずともセンと同じ着衣に身を包んだ人物ならば利用できる。
悪く、思わんでくれ。
これ以上ここに居るのはブクラテスにとって、最早時間の無駄でしかなかった。

230:◇MGy4jd.pxYさんの代理投下
08/06/25 00:25:28 hguAVJwV0


その気配に理央が気付いたのは、砂漠を抜け森に続く道を独り歩いていた時だった。
森の奥から怯えた女の気配を微かに、だが、確かに感じ取った。

「……まさか」

ドクドクと心臓を打つ鼓動の一拍ごとに、スワンに焼かれた亡骸、広間で無残に散った名も知らぬ男、バックを手にした美希、それをほくそ笑むロンの姿が沸き上がる。
最後に浮かんだのは門の向こうへ消えるメレの横顔と細い肩。
もし、メレに何かあれば……
理央の胸に、親を殺され、己の半生を狂わされた怒りをも越える熱く激しい怒りが渦をなし逆巻く。
理央は五感を研ぎ澄ませ気配を目指して駆け出した。

森の奥から二人の少女が何者かに追われるように生きを切らし、こちらに向かって駆けてくる。
理央の姿を見た二人は竦み上がり立ちすくんだ。
逡巡しているような二人に、理央が声をかけようとした時。
「た、助けて、ワタシたちサンヨってヤツに襲われて……」
「ヤツはどこにいる!」
「待って、アイツならもうどっか行っちゃったし……それより」
「ワタシたち~」
「味方になってくれる人を捜してて」
「貴様、何者だ?」
「アナタは、広間でロンに向かって行ってた。理央……様、ですよね」
「ですよね」

頼りなく自分に助けを求める二人の女。理央は不審な眼で少女を睨み据えた。
だが、理央の、その眼の奥に敵意はなかった。

231:名無しより愛をこめて
08/06/25 00:25:59 ze+Kdw+O0
  

232:◇MGy4jd.pxYさんの代理投下
08/06/25 00:26:35 hguAVJwV0


フゥ、上手くいったね、メア。
あの変な背の高い男に、制限時間のハッタリは効かないし、ばらしちゃうしでどうなるかと思ったけど上手く行って良かったよ~
森を出てすぐ、広間でロンとやり合ってた理央ってヤツ会ったのはびっくりしたけど……
とりあえずワタシたちを受け入れそうな感じだけど。
でも、いざという時は、あの背の高いヤツから奪った支給品のサイコマッシュで~メッロメロのフッニャフニャにしちゃって~
思い通りに動かせばいいよね、ねぇ?メア。




【名前】サンヨ@獣拳戦隊ゲキレンジャー
[時間軸]:ロンと一緒
[現在地]:B-8森林 1日目 黎明
[状態]:全身打撲、無数の刺し傷
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
第一行動方針:ロンの指示に従い、しばらく様子見。
第二行動方針:首輪を外してもらう。
備考
・伊能真墨の支給品はスワン製防弾チョッキ@特捜戦隊デカレンジャーでした。
・真墨のディパック、アクセルラー、その他諸々は真墨の死体と共に置き去りにされています。
・サンヨの支給品はデュエルボンドソード、マジカルチェーン@魔法戦隊マジレンジャーでした。
・制限が2時間であることを知っています。

233:◇MGy4jd.pxYさんの代理投下
08/06/25 00:28:23 hguAVJwV0
【名前】バンキュリア@魔法戦隊マジレンジャー
[時間軸]:Stage18(ブランケン死亡)後
[現在地]:D-8森林 1日目 黎明
[状態]:多少の打撲。ナイとメアに分離中。
[装備]:一つ目のライフル銃@魔法戦隊マジレンジャー
[道具]:予備弾装(銃弾10発、催涙弾5発、消滅の緋色1発)サイコマッシュ@特捜戦隊デカレンジャー支給品一式。
[思考]
第一行動方針:ロンから距離を取る。その後の行動については特に定めていません。
備考
・バンキュリアは首輪の制限を知りました。
・予備弾装に催涙弾や消滅の緋色が含まれているかは後の方にお任せします。
・制限が2時間であることを知っています。

【名前】江成仙一@特捜戦隊デカレンジャー
[時間軸]:Episode.12後
[現在地]:C-8森林 1日目 黎明
[状態]:左肘複雑骨折、全身打撲。
[装備]:SPライセンス
[道具]:なし
[思考]
第一行動方針:仲間たちと合流する
第二行動方針:気絶中。
備考
・センの支給品、バーツロイド@特捜戦隊デカレンジャーは破壊されました。サイコマッシュはバンキュリアの元へ
・制限が2時間であることを知っています。


234:◇MGy4jd.pxYさんの代理投下
08/06/25 00:29:17 hguAVJwV0
【名前】理央@獣拳戦隊ゲキレンジャー
[時間軸]:修行その47 幻気を解き放った瞬間
[現在地]:D-8森林 1日目 黎明
[状態]:健康。ロンへの怒り
[装備]:不明
[道具]:不明
[思考]
基本方針:殺し合いには乗らない。乗った相手には容赦しない。
第一行動方針:メレと合流する。
第二行動方針:この二人は……


【名前】ブクラテス@星獣戦隊ギンガマン
[時間軸]:第12章(サンバッシュ敗北)後
[現在地]:C-7森林 1日目 黎明
[状態]:右腕切断。簡単な応急処置済み。
[装備]:めがね
[道具]:首輪探知機。毒薬。切断された右腕。基本支給品とディパック
[思考]
第一行動方針:利用できる相手を捜す。
第二行動方針:センは足手まといになる。


235:◇MGy4jd.pxYさんの代理投下
08/06/25 00:29:54 hguAVJwV0
以上、代理投下完了です。

236: ◆MGy4jd.pxY
08/06/25 00:31:57 XQ2+ROsE0
代理投下ありがとうございました。


237:Nightmare ◆MGy4jd.pxY
08/06/25 00:32:55 XQ2+ROsE0
以上です。誤字脱字、矛盾指摘感想いただければありがたいです。
タイトルは Nightmare でお願いします。


238:名無しより愛をこめて
08/06/25 00:34:08 ze+Kdw+O0
投下乙です。
ナイとメアの狡猾さがうまかったです。
センちゃんピンチ。リオも今後の行方が不安になるような結末でした。
面白かったです。

239:名無しより愛をこめて
08/06/25 00:43:06 qXpJ6jlK0
投下&代理乙です。
ナイ・メアがさりげなく極悪な事をしているのが、いい感じです。
センちゃん、このままあっけなくやられてしまうかのか!?
ブクラテスの出方が気になります。

240:名無しより愛をこめて
08/06/25 01:06:45 hguAVJwV0
GJ!
制限に絡めとられ、傷を負ったサンヨとセンちゃん。
まともに戦えば決してひけをとらない二人がナイとメアに翻弄される様はロワならではでした。
同時にナイとメアと出会った理央にも暗雲が立ち込めている気がしてなりません。

ひとつ指摘ですが、バンキュリアの状態表の備考に予備弾の記載は不要かと思います。

241: ◆i1BeVxv./w
08/06/25 02:08:20 hguAVJwV0
さるさん規制が怖いですが、投下します。

242:ウメコはどこへ消えた? ◆i1BeVxv./w
08/06/25 02:08:58 hguAVJwV0
 高岡映士が様子を見に行くと言って、小梅の元を離れ、10分の時が流れた。
 小梅は岩場から顔を覗かせ、辺りを確認するが、映士が帰ってくる様子はない。
「う~~ん」
 映士は20分経って自分が戻らなければ、小梅にこの場から逃げろとも言っていた。
 しかし、ふと考えてみる。
 寝惚けていたため、ついつい『いってらっしゃい』と送り出してしまったが、危険が迫れば向かうべきは自分。百歩譲っても一緒に行くべきだったのではないか。
 なぜなら自分は地球署のスペシャルポリス。一方の映士は冒険者とは聞いたが、あくまで民間人だ。
「よし、追いかけよう!」
 決意すれば行動が早いのが小梅の長所だ。小梅は素早く身支度を整えると、映士を追い、走り出した。
 だが、それから一分も経たない内に―
「痛い!」
 足首に感じる鈍い痛み。
 小梅は失念していたが、彼女の足は捻挫中だ。再発した痛みに足を取られ、ディパックの中身をぶちまけながら盛大にすっ転ぶ。
「げふっ」
 砂浜に顔を突っ伏し、蛙を潰したような声を上げる小梅。
(そういえば、高丘さん……映士さんと初めて会った時も同じように転んだんだっけ……)
 小梅の脳裏に浮かぶのは映士との出会い。そして、今までの動向。
 わずかな時間であったが、映士が殺し合いに乗らない、強く、そして、優しい男だということは小梅にはもうわかっていた。
 彼のような男を死なせるわけにはいかない。
「小梅ちゃん、良い子強い子めげない子!」
 自分に喝を入れ、小梅は立ち上がる。足は相変わらず痛むが、気合を入れれば歩けないほどではない。
「待っててね、映士さん!」
 しかし、気合を入れて踏み出そうとした足は、眼前に広がる現実にピタリと止まった。
 ぶちまけた支給品があちらこちらに散らばっている。放っておくという手もあるが、ゴミのポイ捨てを放置して進むのはポリスとしての良心が咎めた。
「ま、待っててね、映士さん」
 もう一度、今度は少し弱気に同じ台詞を呟き、小梅は散らばった支給品の回収を始めた。
 時計に地図に名簿。ジャムパンにピザパンにコロッケパン。ペンとメモ帳に……
「あとは、あっ、あった」


243:ウメコはどこへ消えた? ◆i1BeVxv./w
08/06/25 02:09:22 hguAVJwV0
 それは小梅だけに支給された特別な支給品。小梅はそれを手に取った。



 一方、映士は微かに聞こえてきた声を頼りに、声の主が視認できる距離まで歩を進めていた。
 相手に気づかれぬよう、大きな岩の陰からわずかに顔を覗かせ、その姿を確認する。
 そこにいたのは一組の男女。白いオーバーコートを着た長髪の男性と、赤いツナギを着た短髪の女性だ。
「おーい!アンキロベイルス~!聞こえる~!」
「駄目キロ!聞こえないキロ!」
 ようやくはっきりと聞こえた声に、映士は不思議そうに首を傾げる。
 最初の声は赤いツナギの女性だ。それは口元を見ればはっきりと分かる。
 だが、次に聞こえた少年のような声はどこから聞こえてきたのだろうか。
 白いコートの男性は喋ったように見えないし、外面のイメージとは声が合わない。
(腹話術……?いや、あれはブレスから聞こえてくるのか?)
 女性の右手首に付けられたブレスには爬虫類を模したような細工が施されている。
 自分の手に着けられたゴーゴーチェンジャーが、この場で通信できないのは既に確認済みだ。
 そうなると、あれは意思を持ったプレシャスなのだろうか。
(もっと近くに……)
 より詳細に確認しようと、映士はその場からの移動を試みる。
「……菜摘、ゲキファンをよこせ」
 突然、男性は声を上げたかと思うと、女性のディパックから何かを取り出した。直前の言葉から考えると、それがゲキファンと呼ばれるものなのだろう。
 ゲキファンは男性が軽く振るとたちまち扇状に広がる。
(なんだありゃ?扇子みたいだが)
 不意にゲキファンを物珍しげに見詰める映士と男性の眼が合った。男性の眼にははっきりとした敵意が浮かんでいる。
「やべっ!」
「ふん!」
 男性は振りかぶると、映士がいる方向へとゲキファンを放った。映士目掛け、持ち手を軸に回転しながら真っ直ぐに飛んでいくゲキファン。
 映士は素早く岩陰から飛び出すと、身を低くして、地面へと転がった。
 ザシュっと、映士の上で何かを切り裂くような音がした。見れば岩肌の一部がゲキファンによって、見事に削りとられていた。
 その威力に唖然とする映士の視線を横切り、ゲキファンはまるで操られるかのように男性の手元へと戻っていく。


244:ウメコはどこへ消えた? ◆i1BeVxv./w
08/06/25 02:09:43 hguAVJwV0
「ふっ、中々便利な道具だ」
 嘲るように男性は呟くと、次は外さないと言わんばかりにゲキファンを再び構える。
「ちょっと待て、俺様は戦うつもりはねぇ!」
「信用できるか」
 話にならない。
 映士はボウケンシルバーへと変身するため、ゴーゴーチェンジャーに手を添えた。
「こら、やめなさい!」
 まるで行司が軍配で相撲取りを裁くようにゲキファンを持ち、火花散らす二人の間に女性が入る。
 先程、男性に菜摘と呼ばれた女性だ。
「壬琴、戦う気がない相手にこちらから仕掛けてどういうつもり?」
「そうキロ、短気キロ!」
「ちっ、うるさい奴等だ」
 憎まれ口を叩きながらも、壬琴と呼ばれた男性は渋々といった様子でゲキファンを懐に納めた。
 その様を見て、映士はホッと胸を撫で下ろす。どうやら菜摘は話が通じそうだ。
「あんた、助かったぜ。俺様は高丘映士。宜しくな」
「私は、イエローレーサー。志乃原菜摘っていうの。宜しくね!」
「イエロー……レー……サー?」
 聞きなれない単語に映士は顔をしかめる。だが、そんな映二の困惑を余所に菜摘は紹介を続けていく。
「あなたを襲ったのはアバレーサーの仲代壬琴。顔はちょっと悪人っぽく見えるけど、意外とお茶目な人よ。そして、この子が……」
「アンキロベイルスだキロ!」
 上顎の部分が動くと共に、ブレスから聞こえてくる少年のような声。まるで生きているかのようだ。
「これ、やっぱり生きてるのか?」
「ううん、これはただの通信機よ。他の仲間たちとは通信できないんだけど、アンキロベイルスとは通信できるみたいなの。
 私たちはこの海岸のどこかにいるアンキロベイルスを探しているところ。ねぇ、あなたも一緒に探してくれないかしら?」
「一緒に探せキロ!」
「ああ、いいぜ……と言いたいところだが、俺様の仲間と相談してからだな」
 ふと時計を確認すれば、岩場を離れてから20分近い時間が経っていた。
 あとわずかで小梅に逃げろと指示した時間になろうとしている。
「30分にしとけばよかったか?」
 映士はぼやくと、菜摘たちを連れて、小梅がいる場所を目指した。


245:ウメコはどこへ消えた? ◆i1BeVxv./w
08/06/25 02:10:11 hguAVJwV0
 歩くというよりは走るという速度での会話というのに、壬琴と菜摘は、映士と同じく息ひとつ乱さない。
(どうやら2人ともただの一般人というわけじゃなさそうだな)
 映士はまだ2人を信用していない。特に仲代壬琴は要注意だと考えていた。
 ゲキファンを投げた時に向けられた敵意は、常人が向けるそれとは明らかに違う。
 本当なら小梅との合流前に敵か味方なのかはっきりとさせておきたかったが、生憎、小梅には戻って来なかったら逃げろと伝えている。
 小梅を一人で逃がすことと仲代たちと合流させること、どちらが危険かを天秤に掛けた時、映士は自分の眼の届かない場所に行かれる方が危険だと判断した。
(まあ、仲代はともかく、菜摘の方に害はなさそうだし、大丈夫だろう)
 しかし、小梅といた岩場まであとわずかというところで、映士は異変に気づいた。
「!?、これは……」
 映士が眼にしたのは散乱した支給品。
 時計に地図に名簿。ジャムパンにピザパンにコロッケパン。ペンとメモ帳に、そして、悪魔をデフォルメした人形。
「なにこれ?」
 その光景に菜摘も訝しげな声を上げる。
 映士は直接確認したわけではなかったが、それらの支給品が小梅のものであると半ば確信めいた予感を抱いていた。
 ならば、肝心の小梅はどこにいったのか。
「ウメコー!どこにいるウメコーー!!返事をしやがれ!!!」
 もし近くに敵がいれば、相当に目立つ行為だが、今はそんなことに構っていられない。
 映士は咽喉が張り裂けんばかりに、小梅のニックネームを叫ぶ。
「ふっ、白々しいな」
 声を張り上げる映士の姿を見て、壬琴が不意に呟いた。
「なにぃ、どういう意味だ!」
「そのウメコとかいう女、お前が殺して、海にでも沈めたんじゃないのか?」
「壬琴!」
 菜摘が壬琴を制するが、壬琴は止まらない。
「ゲームに乗ってないことを証明する一番手っ取り早い方法は仲間を作ることだ。女、子供だとなおいい。
 ゲームに乗っている奴が弱そうな奴をそのまま放置している道理はないからな。
 だが、わざわざ行動を共にしなくてもそう思わせることもできる。今まで一緒に行動していたという嘘を吐けばいい。
 俺たちへの不意討ちに失敗したお前はそう考えたんじゃないのか?」

246:ウメコはどこへ消えた? ◆i1BeVxv./w
08/06/25 02:13:58 hguAVJwV0
「……ああ、そうかもな。だが、そりゃあテメェのことだろう!」
 襟首を掴み、映士は壬琴へと詰め寄る。怒りに血走る映士の視線を、壬琴は口元に笑みを浮かべながら、蔑むような眼で受け止める。
 一触即発。そんな空気が場に流れた。
 そんな中、先に眼を反らしたのは映士だった。
「どうした、怖気づいたか」
「うるせぇ!お前にどんなに挑発されようが、俺様は殺し合いには乗ってねぇ!
 それにこんな有様じゃあ、ウメコに何かあったのは確かだ。俺様はウメコを探す。お前と遊んでいる暇はねぇ」
 映士は踵を返すと、散らばった支給品を自分のディパックに詰め、一人で歩き出す。
「壬琴、いくらなんでも言いすぎよ!」
「そうキロ!」
 その後を菜摘が追う。壬琴はその後ろ姿を見つつ、辺りに気を配った。
(こちらを見ている奴は……いないか)
 映士と同じく、壬琴もまだ映士を信用していない。だが、小梅の行方不明の原因が映士にあるとは最初から思っていなかった。
 壬琴には今までの経験から善人と悪人の区別には自信がある。映士は多少ひねくれてはいるが善人の類に入る男だ。
 勿論、善人だろうと、我が身可愛さに殺し合いに乗るのが人間というものだが、そういう奴は大なり小なり『狂い』を眼に宿しているものだ。映士にはそれがない。
 壬琴の挑発は潜んでいるかも知れない誰かへのカマ掛け。
 争う様を見せれば、何らかの行動を起こすかと思ったのだが、どうやらそれはハズレだったようだ。
(何にせよ、ようやく面白くなりそうだ)
 壬琴はディパックを持ち直し、わずかな期待を胸にゆっくりと映士の後を追った。



(ビビィィィィィ~~!上手くいったデビ!)
 彼は暗闇の中でほくそ笑む。彼は自分の策略が上手くいったことがたまらなく愉快だった。
 小梅を自らの転送能力で飛ばし、映士に濡れ衣を着せる。
 映士が戻ってくるかどうかは多少ギャンブルだったが、見事仲間割れを起こすことに成功。結果オーライだ。

247:ウメコはどこへ消えた? ◆i1BeVxv./w
08/06/25 02:16:59 hguAVJwV0
(ビビィ~!この調子でどんどん殺し合いをさせるデビ!上手くいったらネジレジアを再興できるデビ!)
 彼がロンとした約束は特殊なものだった。支給品扱いである彼は最後の一人になり得ない。
 だが、もしこの催しをロンが望む形で終了させることに協力すれば、彼には願いを叶える権利が与えられる。
 そして、ロンの望む形とは殺し合いの果てに、誰かの優勝で終わること。
 必然なのか、偶然なのか、彼が優勝を望む者は参加者の中に一人もいない。
 彼はただ殺し合いが円滑に進むよう邪魔をすればいい。それで願いが叶うなら安いものだ。
(ビビィ~!頑張るデビ!)
 彼の名はビビデビ。Dr.ヒネラーが悪魔科学により作り出した生命体。そして、彼は映士のディパックの中で人知れず揺られていた。


【名前】胡堂小梅@特捜戦隊デカレンジャー
[時間軸]:最終回後
[現在地]:マップ上のどこか 1日目 黎明
[状態]:右足首を捻挫、手に軽い打撲。
[装備]:SPライセンス、拳銃(シグザウエル)、映士のジャケット
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:仲間と合流し、ロンを倒す。
第一行動方針:?

【名前】高丘映士@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task42以降
[現在地]:J-6海岸 1日目 黎明
[状態]:健康
[装備]:ゴーゴーチェンジャー
[道具]:ボウケンチップ、ビビデビ@電磁戦隊メガレンジャー、不明(確認済) 、基本支給品一式(映士、小梅)
[思考]
基本行動方針:仲間と合流し、ロンを倒す。
第一行動方針:ウメコを探す。
第二行動方針:ガイと決着を着ける。
備考:ウメコの支給品はビビデビでした。


248:◇i1BeVxv./w氏の代理投下
08/06/25 11:06:59 6hnslon30
【名前】ビビデビ@電磁戦隊メガレンジャー
[時間軸]:聖獣戦隊ギンガマンVSメガレンジャー後
[現在地]:映士のディパックの中
[状態]:健康。2時間の間、能力発揮不可。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:ロンに協力し、ネジレジアの復興。
第一行動方針:チャンスが来るまで人形のフリ。

【名前】仲代壬琴@爆竜戦隊アバレンジャー
[時間軸]:ファイナルアバレゲーム 死亡後
[現在地]:J-6海岸 1日目 黎明
[状態]:健康。菜摘に振り回され、若干調子が出ない?
[装備]:ダイノマインダー、ゲキファン@獣拳戦隊ゲキレンジャー
[道具]:基本支給品一式
[思考]
基本方針:コイン占いにより殺し合いには乗らないと決める。ロンを倒し、このゲームを破壊する。
第一行動方針:高岡映士に起こったことに興味。
第二行動方針:アンキロベイルスを探す。
第三行動方針:志乃原菜摘と共に行動。


249:◇i1BeVxv./w氏の代理投下
08/06/25 11:07:51 6hnslon30
投下終了。
誤字、脱字、矛盾点、他指摘事項、感想などがありましたら、宜しくお願いします。


250:名無しより愛をこめて
08/06/25 11:21:19 6hnslon30
投下乙&代理投下終了!遅くなって申し訳ありませんでした。

ウメコどこ行った!
そして、ウメコを思う映士が良かったです!
新たに登場したロンの刺客ビビデビ。
いやらしさがロンのミニチュア版のようで今後が楽しみです。
アバレーサーが定着した壬琴、菜摘の「意外とお茶目な人よ」には笑いました。
GJ!



251:名無しより愛をこめて
08/06/25 19:23:02 qD4emHao0
投下&代理投下 GJです!
遅くなりましたが、感想と疑問点をば
◆MGy4jd.pxY氏
圧倒的な力を持たないが故のナイメアの狡猾さが魅力的でした。
デュエルポンドでの戦い方は、頭脳派のセンちゃんならでは。
迫力のあるバトル描写にハラハラドキドキしました。
ナイメアの会話シーンは、別の意味でドキドキしましたw

疑問点ですが、センちゃんと戦った際に、サンヨの腕が地面に転がったと思ったのですが、状態表の記載にはないようでした。
もし、私の読み間違いだったら、申し訳ありません。

◆i1BeVxv./w氏
相変わらずの速筆、お見それしました。
本当にウメコはいったいどこへ!?
頑張るウメコがかわいらしかったです。
すっかり馴染んだアンキロベイルスと菜摘に和みました。
アバレーサー訂正する気は無いのね。仲代先生w
菜摘に振り回されつつも、冷静な仲代先生はかっこよかったです。

すみません。一点気付いた点を。
菜摘の状態表が抜けてしまっているようです。


252: ◆MGy4jd.pxY
08/06/25 21:46:10 9ADf8aQwO
感想そして指摘感謝致します。
いつもありがとうございます。
昨日受けた指摘はしたらばにて訂正しております。
そして確かにサンヨの右腕切断を記載しておりませんでした。
詰めが甘すぎました。失礼致しました。

253: ◆MGy4jd.pxY
08/06/26 12:14:27 9HvQ1FHX0
先ほど指摘箇所と状態表、誤字を訂正したものを仮投下スレに投下しました。
よろしくお願いいたします。

254:名無しより愛をこめて
08/07/01 12:05:36 2GV7cWGDO
まとめ氏更新おつかれさまです

255:名無しより愛をこめて
08/07/02 16:13:48 zwIch99W0
更新乙です!


256: ◆MGy4jd.pxY
08/07/06 14:17:13 NY/YHrDKO
大変申し訳ありませんが、延長をお願いできますでしょうか?

257:名無しより愛をこめて
08/07/06 15:03:12 IzMLIqseO
>>256
了解しました。
楽しみにお待ちしております。

258:名無しより愛をこめて
08/07/06 22:26:10 b9fy1R7J0
最近の戦隊が多いな

259:名無しより愛をこめて
08/07/06 23:01:53 1uBXp3oi0
あんまり古いの多くすると書ける人がいなくなっちゃうんで

260: ◆i1BeVxv./w
08/07/07 21:11:59 eDwjc/u70
投下します。

261:策略と疑問 ◆i1BeVxv./w
08/07/07 21:13:03 eDwjc/u70
「おーーーい!ローーーン!」
 日が昇り、光に照らされる森にサンヨの声が響き渡る。
 もう幾度同じ言葉を吐いただろうか。
 首輪を外してもらうため、懸命に声を張り上げても、一向にロンは反応を返さない。
 制限時間の2時間は過ぎ、当面の不安はなくなったとはいえ、また力を使えば、同じ不安に苛まれる。
 そうならないためにも、一刻も早く、ロンに首輪を外してもらわなければならないのだが。
「もしかして、あいつらの言ってた通り、サンヨ、ロンに見切られたのかヨ」
 ふと脳裏に不安がよぎる。サンヨを強襲したナイとメアが言った言葉。

―アハハ、弱っち~。だからロンにも見切られるんだよ―

 自分はロンの不死身の部分を司っている。だから、ロンに見切られるわけない。そう考えていた。
 だが、逆にロンが不死身に興味をなくしたとしたらどうだろうか?
 ロンは常日頃から退屈であることに辟易していた。
 もし、不死身でなくなる方法を見つけたのなら、サンヨを見切る理由にならないだろうか
「……そんなわけないネ。また、誰かにちょっかいかけてるに違いないヨ」
 サンヨは首を横に振り、自分の考えを振り払う。
 ロンの悪癖は知っている。ゲームの途中であっても、より楽しくなる方法を見つけたのなら、参加者への介入も厭わない。
 きっと今頃は誰かを駒にするために甘言を囁いているのだろう。だから、反応がないのだ。
 サンヨが知っている情報を総合すれば、そう考えるのが最も現実的だ。
「慌てることはないヨ。ロンが気づくまで、ゆるりと待つとするヨ」
 不安を押し殺し、手近な場所へと腰を下ろす。次の瞬間、聞き覚えのある声がサンヨの耳に届いた。
「その必要はありません」
 サンヨが声の聞こえた方を向くと、眼に映ったのはフードを身に纏った金髪の男の姿。
 紛れもないロンの姿だ。
「ロン、待ってたヨ~!さあ、早く首輪を外すヨ~!」
 捲くし立てるように喋り、ロンへと詰め寄るサンヨ。だが、そんなサンヨとは対照的に、ロンはゆっくりと言葉を返す。
「首輪を?何故ですか?」
 その態度に、ロンがナイとメアとのやり取りを聞いていなかったのだと、サンヨは判断した。
 サンヨはその時のことを簡単にまとめて話すと、首輪を外すように迫る。

262:策略と疑問 ◆i1BeVxv./w
08/07/07 21:13:53 eDwjc/u70
「ロン、とにかく首輪を外すヨ。サンヨにハンデは必要ないヨ。サンヨなら外しても大丈夫のはずだヨ」
「大丈夫なら、自分で外せばいいじゃないですか」
「何言ってるヨ。これはロンじゃなきゃ外せないはずヨ。サンヨが無理矢理外そうとしたら爆発しちゃうヨ」
 この首輪はロンが用意したもの。サンヨが外し方などわかるはずがないと言うことは分かっているはずだ。
 一体、ロンは何を言っているのか。長い眠りの影響で、まだ、寝惚けているとでもいうのか。
「……ふっ、冗談ですよ。少しからかってみただけです。ただ、やはり今は外すことは出来ません。あなたが言った通り、ハンデは必要ですからね」
 ニヤリと笑うロン。その表情を見て、サンヨはこれ以上の議論は無駄だと悟った。
 考えても見れば、ロンが自分の進言を聞いて、予定を変えるなどありえない話だ。
 しかし、どうしても確認をしておかなければならないことがひとつだけある。
「じゃあ首輪は外さなくていいヨ。でも、一個だけ確認ネ」
「なんですか?」
「ロンは不死身でいることをやめたいわけじゃないヨネ」
 サンヨにとっては核心に迫る質問。
 首輪は厄介だが、いざとなれば無理矢理引っこ抜くことも出来ないわけじゃない。
 凄く痛いだろうが、サンヨは不死身なのだから死にはしない。
 だが、この首輪が不死身を無効化するとしたら、その方法は執れないのだ。
「不死身?……な、何を言ってるのですか。大体、不死身でなくなる方法なんてあるんですか?」
「サンヨはロンの不死身の部分を司っているヨ。だから、サンヨを殺すことが出来れば、ロンは不死身じゃなくなるはずヨ。
 ロンはサンヨを殺す方法を見つけたんじゃないかヨ?例えばこの首輪とか怪しいネ」
 サンヨの言葉に、ロンは彼らしくもなく、動揺した姿を見せる。俯き、何事かブツブツと呟いている。
「どうかしたのかヨ?」
「い、いえ、なんでもありません。それより、今のことはあなたの考えすぎです。首輪はただのハンデキャップ。それだけです」
「ン………」
 サンヨはロンの眼を覗きこむ。ロンらしからぬ行動は自分の推測が当たっている証拠なのではないかと。
「………」
「………」
「そうネ。サンヨの考えすぎネ」

263:策略と疑問 ◆i1BeVxv./w
08/07/07 21:14:42 eDwjc/u70
 眼なんて覗いたところで、ロンの本音などわかりようもない。
 それに、ロンのことだ、サンヨの反応を楽しむために動揺しているように見せかけたのかも知れない。
 ロンの思惑が何にせよ、所詮、自分はロンのバックアップ。ロンの指示に従うしかないのだ。
(考えるだけ時間の無駄だヨ)
 諦めに似たサンヨの結論に、ロンは安堵したかのような溜息を吐いた。
「それじゃあ、サンヨはこれからどうすればいいヨ?まだ、様子見かヨ?」
「それなんですが、あなたのために一緒に行動する仲間を用意しました。今後は彼の指示に従って行動しなさい」
「ナ~カ~マ?」
「ええ、その名はシュリケンジャー。覚えていませんか。緑色をしたパワフルな男のことを」
「忘れたヨ~。でも、ロンは緑が好きネ」
 メレとシュリケンジャーを重ねるサンヨ。ロンはサンヨの指摘に少々顔を歪め、話を続ける。
「まあいいです。どの道、彼は常時変身した姿でいるわけではありませんからね。今は広間にいた時とはまったく異なる姿になってますよ。
 ですから、シュリケンジャーには、彼の方からあなたに話しかけるよう言っておきました。
 ラッキーなことに、シュリケンジャーはこの近くまで来ています。まもなく会えることでしょう」
 ロンは「とぅ」っと、掛け声を上げると、高くそびえる木の枝へとその身を移した。
「それでは私は帰らせてもらいますよ。サンヨ、あなたの健闘を祈ります」
 ロンは手で敬礼のようなサインを送ると、踵を返し、木々の枝を渡りながら、何処かへと姿を消した。
「ロンにしては珍しい帰り方ネ……まあいいかヨ。ロンの言うとおり、シュリケンジャーを探すヨ」
 不安が解消されたサンヨはどことなく晴れやかな顔で、西へとのっそりと歩き出した。



「不死身……まさか、そんな存在が……しかし、御前様の例も……」
 サンヨから数メートル離れた後、ロンは木陰へとその身を隠した。
 いや、既にその口から発せられる声はロンのそれではない。
 姿こそロンだが、その声は二十の顔を自在に使い分ける男の声。
 そう今までサンヨと話していたロンは天空忍者シュリケンジャーが変装していたものであった。
 目的はロンの手先であるサンヨから情報を引き出すため。

264:策略と疑問 ◆i1BeVxv./w
08/07/07 21:15:45 eDwjc/u70
 ロンの隣に鎮座し、名簿順に呼ばれなかったサンヨがロンの手先であることは最初から明らかだった。
 優勝を目指すシュリケンジャーにとっても、主催者の情報は仕入れておきたいところ。
 そのためのロンへの変装だったが、結果は予想を超えたものだった。
 シュリケンジャーはサンヨとの会話で得た情報を反芻する。
 まずは首輪の情報。無理矢理外せば爆発し、ロンしか外すことができない。
 また、サンヨにはこれが何らかのハンデを与えている。
 多少サンヨの言い回しが妙であったが、今は特に気にすることではないだろう。
 優勝を目指している限り、首輪はただの飾り。冷凍剣なら外せるかも知れないが、危険を侵してまで試す必要はない。
 次にロンは常に参加者たちを監視しているということ。
 サンヨは大声でロンの名前を叫んでいた。
 最初は広間へと通じる道が近くにあるのかと思ったが、サンヨの動きは一定せず、適当に歩いているようだった。
 そして、サンヨは自分の現状を話す時、その時の様子を「聞いてなかったのか」と訊ねていた。
 おそらく、常時盗聴していて、必要があれば好きな場所に出てこれるといったところではないだろうか。
 考えてみれば、不特定多数を動かそうというのに、まったく監視しないわけがない。
 それに参加者を様々な場所に飛ばせたのだ。好きな場所に移動するなど朝飯前だろう。
 だが、この情報も優勝を目指す限りシュリケンジャーにはあまり関係ない。
 問題は3つ目、サンヨが不死身であり、ロンもまたその恩恵で不死身であるということ。
 本来なら情報を引き出した後、サンヨは始末するつもりだった
 だが、もしこの情報が真実なら、この殺し合いは優勝という餌をぶら下げているだけのデキレースということになる。
 倒そうとしたところで返り討ちに合う可能性が高い。
 しかし、サンヨはこうも言っていた。

―ロンはサンヨを殺す方法を見つけたんじゃないかヨ?―

 少なくともサンヨにはデキレースということは知らされていないということがわかる。
 そして、同時にふたつの疑問が浮かんだ。

265:策略と疑問 ◆i1BeVxv./w
08/07/07 21:16:27 eDwjc/u70
 仮にデキレースだとすると、サンヨに知らせていないのは何故?
 仮にデキレースではないとすると、不死身でなくなる危険を侵してまでサンヨを参加させているのは何故?
 どちらにせよロンの真意がわかるまで、優勝を目指すのは保留にして置いた方がいいだろう。
 だが、シュリケンジャーも真意がわかるまで座するつもりはない。
 確認する方法は単純にして難解。サンヨを殺せるか試すことだ。
 自らの手で実行するのは止めたほうがいいだろう。
 どちらに転んでもいいようにサンヨは第三者。出来れば敵対する第三者に殺させるのが最適な手段だ。
 差し当たって重要なのはロンがサンヨと自分の合流を許すかどうかだ。
(もし、ロンが優勝したときの約束を守る気があるなら、サンヨをどう扱おうとも放っておくはずだ。
 逆にデキレースになることを望むなら、何らかの手を打ってくる可能性が高い)
 それはシュリケンジャーにとって一種の賭け。真相に近づき過ぎれば待っているのは死。
 だが、優勝を目指すにしても、ロンを打破するにしても、そのことはどうしても確認せざる得ない。
「さて、次はどの顔にしようかな?」
 もう充分時間は置いた。もうサンヨと合流しても疑われることはないだろう。
 優勝を目指す可能性がある以上、もはや鷹介の顔を借りる必要はない。
 むしろ、おぼろを殺さなければならないのなら、知り合い以外の顔で殺してやるのがせめてもの情けだ。
「……この顔にさせてもらうか」
 数十分後、シュリケンジャーはサンヨとの合流を果たす。
 サンヨはあっさりとシュリケンジャーを仲間と認め、一緒に行動することを了承した。


266:策略と疑問 ◆i1BeVxv./w
08/07/07 21:18:24 eDwjc/u70
【名前】サンヨ@獣拳戦隊ゲキレンジャー
[時間軸]:ロンと一緒
[現在地]:B-8森林 1日目 早朝
[状態]:全身打撲、無数の刺し傷
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:ロンの指示に従う。
第一行動方針:ロンの指示に従い、シュリケンジャーに協力する。
備考
・サンヨの支給品はデュエルボンドソード、マジカルチェーン@魔法戦隊マジレンジャーでした。
・制限が2時間であることを知っています。

【名前】シュリケンジャー@忍風戦隊ハリケンジャー
[時間軸]:巻之四十三後
[現在地]:B-8森林 1日目 早朝
[状態]:健康。顔は柿生太郎です
[装備]:シュリケンボール
[道具]:確認済み
[思考]
基本方針:殺し合いに乗る(一時的に保留)
第一行動方針:七海とおぼろを五体満足で帰還させる。
第二行動方針:それがだめならアレの消滅を願う。
第三行動方針:サンヨが殺せるか試す。できれば敵対する誰か。その後、方針を再決定。
備考
・シュリケンジャーは変身に制限があることに気付きましたが、具体的な時間は気づいていません。
・シュリケンジャーはロンが何らかの方法で監視していることに気づきました。

267:策略と疑問 ◆i1BeVxv./w
08/07/07 21:19:15 eDwjc/u70
【名前】サンヨ@獣拳戦隊ゲキレンジャー
[時間軸]:ロンと一緒
[現在地]:B-8森林 1日目 早朝
[状態]:全身打撲、無数の刺し傷、右腕切断。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:ロンの指示に従う。
第一行動方針:ロンの指示に従い、シュリケンジャーに協力する。
備考
・サンヨの支給品はデュエルボンドソード、マジカルチェーン@魔法戦隊マジレンジャーでした。
・制限が2時間であることを知っています。

【名前】シュリケンジャー@忍風戦隊ハリケンジャー
[時間軸]:巻之四十三後
[現在地]:B-8森林 1日目 早朝
[状態]:健康。顔は柿生太郎です
[装備]:シュリケンボール
[道具]:確認済み
[思考]
基本方針:殺し合いに乗る(一時的に保留)
第一行動方針:七海とおぼろを五体満足で帰還させる。
第二行動方針:それがだめならアレの消滅を願う。
第三行動方針:サンヨが殺せるか試す。できれば敵対する誰か。その後、方針を再決定。
備考
・シュリケンジャーは変身に制限があることに気付きましたが、具体的な時間は気づいていません。
・シュリケンジャーはロンが何らかの方法で監視していることに気づきました。


268:策略と疑問 ◆i1BeVxv./w
08/07/07 21:21:04 eDwjc/u70
投下終了。
状態表が修正前の方を参照してましたので、再度投下いたしました。
誤字、脱字、矛盾点、ご感想、他指摘事項などありましたら、宜しくお願いします。

ドギーにギャバン隊長とか言わせるため、烈堂にしようとも思ったけど、戦隊じゃないので自重。

269:名無しより愛をこめて
08/07/07 21:35:53 xLobRrct0
投下乙
シュリケンジャーの変装技能をこう活かすとは。
新たな情報を手に入れた彼はどう動くか。
GJ!

270:名無しより愛をこめて
08/07/07 22:38:52 D97MgwUOO
GJです。
ああ、なんだかサンヨが気の毒になってきたw
サンヨを上手く騙したシュリケンジャーの運命やいかに!?
重ねてGJでした。

271:名無しより愛をこめて
08/07/08 03:38:52 TFEJPoBSO
GJ!
シュリケンジャーが、まさかロンに変身するとは!
サンヨ同様すっかり騙されました。
面白かったです!


272:ミッションスタート!最高のアイテムを追え! ◆MGy4jd.pxY
08/07/09 21:45:33 pk3D7anR0
いつもながらの延長。誠に申し訳ありませんでした。
ただいまより投下します。

273:ミッションスタート!最高のアイテムを追え! ◆MGy4jd.pxY
08/07/09 21:46:58 pk3D7anR0
A―1エリア中央。そこにはメモの通り他の木と違う色、血のように赤い葉を付けた一本の木があった。
その木の下、不自然に盛られた枯葉の前で二人は顔を見合わせた。
「ここやな。ロンの姿が見当たらんけど……まさか?」
枯れ草に、とばかりに傍にあった枝で草むらを突く。
「僕が調べますよ。おぼろさんは休憩して下さい。女性にはキツいコースだったでしょう」
「そや、ほんまキッツイコースやったわ~って……。休憩やったら蒼太くんが取るべきやで。うちは、ただ乗せて貰ってただけやし」
ニコッと笑っておぼろを座らせる蒼太。その笑顔が失笑なのか、それとも微笑なのかと、少し複雑な思いが胸を突く。
確かにキツいコースだった。スーパートライアル・エンデューロ・inA―1森と呼んでもいいくらい。
ツーリングなんて生易しい物には程遠い。
見渡す限りの自然林。その中にもちろん舗装された道路など無い。
ジェットコースターさながらのアップダウンコース、振り落とされないように必死で蒼太にしがみつくのがおぼろには精一杯。
『ひゃぁ~』だの『ぎゃー』だの、女らしさ等とはかけ離れた叫び声を上げ続け、辿り着いた頃には、顔面蒼白で声を発するのもやっとだった。
我ながら百年の恋も冷めるわ、おぼろは苦笑いを浮かべる。
「帰りは飛ばす必要もありませんから、ゆっくり帰りましょう」
蒼太は山盛りの枯葉と積もる土を払いのけた。
そこには一畳程度大きさの所々錆び付いた扉があった。
「地下へ続く扉。入って来いって事ですね」
冷静でそっけない声と裏腹に、蒼太の表情は生き生きとして、まるで秘密基地へ急ぐ少年のようだった。
「この中でロンが待ってるちゅうんかな……」
蒼太はおぼろの言葉に頷き、鉄錆た円形の取手に手を掛け勢いよく引いた。
ギィーッと、錆び付いた音が鼓膜を震わせ、カビの臭いが鼻を掠める。
先を行く蒼太が、アクセルラーをライトがわりに奥を照らす。
二人は一段一段、足元を確かめ、ゆっくりと降りて行った。

十段、二十段、その先も階段は続く。
前後は闇に包まれ、閉塞感とカビの臭いで胸がいっぱいになる。
もう戻ろう、蒼太に切り出しかけた時、ライトの先で石造りの重厚な扉が二人を待ち構えていた。

「開けますよ」
蒼太が扉に手を掛け、おぼろは固唾を呑んで見守る。

274:ミッションスタート!最高のアイテムを追え! ◆MGy4jd.pxY
08/07/09 21:48:12 pk3D7anR0
この奥でロンが最高のアイテムを用意して待っている。
すぐ近くに、ロンがいる。
得体の知れないロン。殺し合いの為の最高のアイテム。
怖い。薄い胸を打つ心臓の音が速くなる。
蒼太は体重を乗せ重い扉を押し開けていく。
コゴッと重い音を立て扉が開いた。
おぼろはその先にある物を見るのが怖くて思わず目を閉じた。

扉の向こうは静寂に包まれている。
(……あれ?てっきりロンが「ようこそ」とか言うてくるかと思ったんやけど)
おぼろの耳に飛び込んだのはロンの声ではなく、蒼太の怪訝な声。
「ここは……」
ようやく、おぼろは目を開け辺りを見回す。
広い部屋、縦横の長さは有に30メートル近くある。いや、部屋と言うには奇妙な空間。
扉の前に床は四畳程しか無く、その先は切り取られたように底が見えない闇の世界が広がっている。
部屋の中央に闇の中からテーブル状に台座が伸びており、台座の上にはストーンサークルのように石柱が数十本並ぶ。
石柱は赤褐色の一本だけを除き、後は墓石のように黒く磨かれていた。
こちらの床から台座までは、30センチ四方のブロック状に形の整った石が連なる。
部屋の反対側には、こちらと同じく石造りの扉と炎の灯る燭台がある。
向こうの扉まで行くには、ブロックを連ねた石橋を渡り、石柱の間を通り抜けるしか無い。

「何でしょう、あれ」
蒼太が頭上を指した。ひらひらと一枚の紙が落ちて来る。
二人は床の端まで走り寄り、紙を掴もうとした。その時……
ゴドンッ!
背後で足元を震わす音を立て扉が閉まった。
「何!何やの!」
おぼろは悲鳴を上げた。
だが蒼太は冷静だった。手にした紙にサッと目を通しおぼろに差し出す。

275:ミッションスタート!最高のアイテムを追え! ◆MGy4jd.pxY
08/07/09 21:49:34 pk3D7anR0
「おぼろさん、これを」
そこにはメモと同じ筆跡で、こう書かれてあった。

――ようこそいらっしゃいました。ここに、あなたにふさわしい最高のアイテムをご用意しました。
私があなたの為に選んだアイテムです。
ですが、そのような素晴らしい物を、ただ渡したのではあまりにも不公平すぎると思いませんか?
最高のアイテムを手に入れるにあたり、あなたにはゲームをしていただきます。
ルールは至って簡単。あなたは駒の一つとなり、空所へ移動し他の駒を一つ飛び越し消す事が出来る。
ただし一度移動した場所へ戻る事は出来ず、後方へ移動は出来ない。
空所から通路を通り盤上を移動できるのは5秒間だけです。
5秒経って、空所中心のボタンを押さなければ、または通路にいた場合、あなたは駒と同じように盤上から消えて頂かなければなりません。
制限時間は、扉が閉まってから10分。
そしてゲームをクリアしなければ出口へは辿り着けません。
一つだけ色の違う駒、それを最後に飛び越えれば、最高のアイテムはあなたの物です――

おぼろはチェスのような盤の上に、所々乱立された駒を眺め溜息をついた。
「なぁ、蒼太くん。やっぱりやめとこ?」
怖気事いたおぼろは、精一杯可愛らしく言って見た。
「こんなもん、手詰まりになるように作ってあるに決まってる。消えて頂くやなんて、命賭けてまでやる必要ないわ。肝心のロンもおらんのやし」
蒼太は扉に手を当て、困ったような笑顔を作った。
「……残念ですけど。この扉、中からは開かないみたいです」
「え!そんならゲームをやるしかない、っちゅうわけ?」
「そうなりますね」
蒼太は手を差し出す。
「せやかて、こんな細いとこ……」
戻れないとあれば進むより他に道は無い。
ぶつくさ言いながらも、おぼろは慎重に足を進める。
おぼろの足元を気遣いながら蒼太が言った。

276:ミッションスタート!最高のアイテムを追え! ◆MGy4jd.pxY
08/07/09 21:50:59 pk3D7anR0
「だけど、消えて頂きますと言うのは脅しじゃないかな?僕とおぼろさんの二人で命を賭けて競い合うなら解りますが……
ロンの狙いは、参加者に殺し合いをさせる事です。もしかしたら、狙いは他にあるかも知れませんね」

盤全体を縁どる通路は細く幅20センチ程だが、移動する為の通路幅は1メートルある。
十字に区切られたマスの大きさは一辺1.2メートルの正方形、移動するのに与えられた5秒は充分な時間。
「よっしゃ!いくで」
まず盤の下方に点在する駒を消すべく左端の空所へ進み、中心のボタンを踏み付ける。
ガコン!何かが落ちる音はしたもの得に何も変わらない。
だが、次に進むべく通路に出た時。
ボタンから亀裂が走り、床は扉のように開き外れ落ちた。
そして、二人が渡って来たブロックも手前から一つ、同じように闇に消えて行った。
「こう言う事……」
「ですね。一個進むごとに、一個退路が塞がれる。進むしか道は無い」
「……ほんま、嫌らしい仕掛けやな」
「ですね」

一手。二手。その後も順調に進み、駒は残り10個となった。
そして駒を一つ落とす度、出口へ続くブロックが一つ押し出される。
「……結構時間はかかったけど、わりかし順調やな」
扉が閉じてから既に7.8分経過している。
「急ごか?」
駆け出そうとした足がふらつき、よろけた身体を蒼太が支えてくれた。
「大丈夫ですか?おぼろさん、随分疲れているみたいですけど……」
「うん。まぁ、それはそうやねんけど。もう時間も無いしな」
「後は僕一人でやります。おぼろさんは出口に続くブロックの上で休んでいて下さい。どこへ動けはいいか、指示して貰えれば……」
正直、息も上がっていた。蒼太の申し出は有り難かった。
駒を落とす変わりに、向こうへ伸びるブロックは、随分出来上がっていたので落ちる心配は無い。
残り時間も少ない。自分が足手まといになるよりは……
おぼろは素直に頷いた。

277:名無しより愛をこめて
08/07/09 21:51:09 7N/BVBkL0
 

278:ミッションスタート!最高のアイテムを追え! ◆MGy4jd.pxY
08/07/09 21:53:00 pk3D7anR0
「ありがとう。じゃあ、うちは少し休ませて貰うわ。次はちょうど通路の前の空いた場所へ行けばいいし」
「了解しました。では」
蒼太に手を引かれおぼろは胸の中でカウントを取りながら出口へ向かう通路へ急ぐ。
5秒、4秒、3秒。
数えた所でおぼろは通路へ足を踏み入れる。
「蒼太さん、急いで」
手を離した時、通路の中心から一本の線がツーッと走った。
「え?」
蒼太の足元の床が真っ二つに開く。
足場を失った蒼太の身体が沈む。
咄嗟に伸ばしたおぼろの右手が蒼太の袖を掴み、間一髪で蒼太が握り返し、二人の手は繋がった。
おぼろは両足で通路を挟み、左手でへりを掴み身体を支える。
「なんで?まだ5秒経ってなかったやん。うちが休もうなんて思ったばっかりに、ごめんやで」
「ルール違反は許されないか。迂闊でした」
蒼太はポケットからアクセルラーを取り出そうと身体をよじった。
少し動かれただけでも、体が持って行かれそうになり腕が軋む。
滲み出る汗で手が滑る。
おぼろは再度腕に力を篭めた。
「頑張って!」
その時、おぼろの背後で声がした。

「その手を離しなさい。そうすれば、これはあなたに差し上げます。ほら、帰り道も作ってあげましょう」
その声を合図にしたかのように、盤の上の駒が轟然と一斉に下へ落ちた。
出口まで繋がった橋を、ロンが悠々と歩いてくる。
天空の花を燭台の明かりに翳し、水晶のようにキラキラと輝く光りを楽しみながら……
「さぁ、その手を振り解きなさい。」
おぼろは答えなかった。ただ全力で、ありったけの力で蒼太を引き上げようとした。
「これは『天空の花』と言い伝えられてきた物。天空の花は10年に一度人間の愛を凍らせる秘宝。
人の心など、脆く弱い。愛を亡くした参加者たちは、我先にと殺しあうでしょう。
今、最上蒼太の手を離し、私の前で殺し合いに乗ったと証明すれば、これはあなたにお渡しします。
決心が着かないのであれば、他の誰かに渡すとしましょう。殺し合いに乗った誰かに……ね。 」

279:ミッションスタート!最高のアイテムを追え! ◆MGy4jd.pxY
08/07/09 21:54:46 pk3D7anR0
蒼太はおぼろを見つめた。
「そんな物、殺し合いに乗るようなヤツに渡しちゃダメですよ。おぼろさん……」
言い終えた蒼太は、笑いながら握っていた手を離した。
最初におぼろに向けた笑顔と同じ笑顔で、彼の姿がどこまでも続く闇に取り込まれていく。
「あかん!蒼太く……!」
蒼太の名を言い終えない内に、床が扉のように閉じられ、蒼太は視界から消えた。
おぼろは元に戻った通路に突っ伏し、そのまま、息を吐くことさえ躊躇っていた。
握っていた蒼太の手の感触がまだ右手に残っている。

「では改めて、ようこそバトルロワイヤルの宴に……」
ロンが楽しげにおぼろに語りかける。
「どうしたのです?そんな悲しい顔をして。 最高のアイテムを求めて来たのでしょう」
天空の花を、そっと握らせた。
「罠かどうか確かめに来た、とでも言いたいのですか?いいえ、あなたは心の何処かで勝ち残りたいと思っていた。
だから最高のアイテムを求めて来たのです。ここに来るのを決めた時、心の奥底であなたは殺し合いに乗ったのです」
おぼろはうつろな眼をしたまま、首を横に振り否定の意を示す。
「認めたく無い。それは解ります。でもそれがあなたの本心なのですよ。そして、最上蒼太は殺し合いに乗ったあなたに、天空の花を託し落ちた」
蒼太の名を聞いた瞬間、おぼろの瞳から大粒の涙がこぼれた。
「今だ本当の愛を掴もうとしないおぼろさん。あなたの選択は正しいのです。愛など不必要なのです。
この天空の花、これこそ、あなたにとって最高のアイテム。
あなたは愚かな参加者たちの見物を楽しんだ後、止めを刺しに行けばいい。
さぁ、日向おぼろさん。日付が変わるまでに天空の花を持ってのJ-10エリア『叫びの塔』へ行くのです」

ダンッ!
ロンの言葉を遮るように、おぼろは拳で床を叩き付けた。

280:ミッションスタート!最高のアイテムを追え! ◆MGy4jd.pxY
08/07/09 21:55:18 pk3D7anR0
自分をこんな状況へ追い込んだロンに対する怒り、蒼太を助けられなかった自分への憤りを込め叩き付けた。
「いつまで、あほな事を喋ってんねん……うちは、そんな所いかへん」

(しっかりしいや)
おぼろの後輩であるハリケンジャーたちに、何度も発破を掛けてきた。
その言葉を、今は自分の胸に刻む。
そして震える足を腕で抑え、立ち上がりロンを睨んだ。
たとえここで首輪を発動させられても、ロンに屈するのだけは嫌だった。
「首輪を外し、ここから脱出して、ロンを倒す。それが、うちらのミッション……
蒼太くんが託した最後のミッション。 うちは、うちは絶対に完了させる!」
ロンは口元に手を当て、哀れみを含んだ眼差しをおぼろに向けた。
「首輪を外す、脱出、私を倒す?クックククッ。まぁ今の所、あなたはそう思っていた方が幸せでしょうね」
「どういう、意味や?」
「時機に、わかりますよ……」
金色のもやになり、ロンは掻き消えた。

おぼろは重い足取りで扉へと向かった。
扉を押し開け、地上へ続く階段へと進む。
「蒼太くん……」
振り返り、蒼太の名を一度だけ呼んだ。
声は空しく、深淵に吸い込まれた。
惨めに泣き崩れぬうちに、おぼろは階段を駆け上がる。
必ずミッションを完了させると心に硬く誓いながら……


281:名無しより愛をこめて
08/07/09 21:55:20 7N/BVBkL0
   

282:ミッションスタート!最高のアイテムを追え! ◆MGy4jd.pxY
08/07/09 21:55:56 pk3D7anR0




「まったく、ほんまに冗談や無いでぇ!」
「落下途中でボウケンブルーに変身したんです。後はブロウナックルの風圧で落下を防いで……」
自分でもすごい剣幕だとは思う。
蒼太が困って、必死になだめようとしてくれているのも分かるが、今は止められなかった。
てっきりもうだめだと思っていたおぼろは、ひょっこり顔を出した蒼太に顎が外れるほど驚いた。
何事も無かったように、バリサンダーを走らせる蒼太の背で無事を喜び。
ほっとした後は、沸々と怒りが込み上げて来て、街の手前でバリサンダーを止めさせた。
そして今、二人は事の顛末を話しているのだ。
一頻り捲し立て、少しすっきりした所で、蒼太がバツ悪そうに切り返す。
「自分から接触して殺すつもりなら、最初からこんな殺し合いを仕組む必要はない。僕が手を離せば、あの場でおぼろさんに何かされる事は無いと確信していましたし…
ああでもしないと、ね。天空の花を殺し合いに乗るような奴には渡せないでしょう?」
「それは、そうやったかもしれんけどな」
「落ちる前に笑ってたでしょう。一応合図のつもりだったんですよ」
「合図やったら、もっと解りやすくやってもらわな」
「すみません。おぼろさん」
「もし、変身するのが間に合えへんかったらどうするつもりやったん?」
「その事で、ちょっと……」

蒼太は崖を上がる最中、後一歩の所で強制的に変身前の姿に戻ったと言う。
そして、おぼろを助けたフック型のショットアンカーを使い、何とか上って来のだと。
「変身できる時間は、およそ10分。それが解っただけでも、収穫でしたよ」
「この首輪、そんな力も制限してるってわけやな。どこまでやらしい奴やねん!」
おぼろは怒り心頭だった。
「首輪を外す、脱出、私を倒す?クックククッ。まぁ今の所、あなたはそう思っていた方が幸せでしょうね。やて。うちがこんな首輪、絶対外したる!」
「おぼろさんに、そんな事を?」
蒼太の表情が微かに翳った。
「蒼太くん?」

283:ミッションスタート!最高のアイテムを追え! ◆MGy4jd.pxY
08/07/09 21:56:58 pk3D7anR0
「いえ、なんでもありません」
そう言って、蒼太が見せたのは、悟られまいと作ったような笑顔だった。
「うちが出て行った後、なんかあったん?」
それ以上、追求して欲しくないのか、蒼太は聞こえていないようにおぼろがずっと握っていたままの天空の花に視線を移す。
「でも、信じられませんね。そんな綺麗な物が、愛を凍らせてしまうなんて」
おぼろは、改めて天空の花を良く見た。
儚い硝子細工のようで無造作にデイバックに突っ込む事が出来ず、つい包むように持っていた。
頭上に掲げクルクルと回す。月の光を反射して花びら一枚一枚が青く煌いた。
「J-10エリアの『叫びの塔』へ持って行けやて。愛を凍らせる、か。信じられないちゅうより信じたくないな」
フーッと長いため息を落とした。
その後ろで。
「信じられねぇ……信じたくねぇよな」
何者かの声が聞こえ、おぼろは蒼太と共にハッとそちらを振り返った。
「よぉ、ボウケンジャー」
蒼太は、何者だという不審に眉をひそめ身構えた。
「そんなに、苦労して手に入れた天空の花を、俺に奪われちまうなんてよ!」
ドン!地響きと共に振動波が地を走る。
「グッ!」
「うわっ!」
二人左右に弾かれた。
「くっそ!痛ってぇな~」
痛いのはこっちや!と思いながら、おぼろは衝撃で飛ばされてしまった天空の花に手を伸ばす。
その男は蒼太の後ろにあるバリサンダーを見やりチッと舌打ちした。
蒼太はスコープショットを構える。
「悪いな。今は相手にしてやれねえんだよ!愛を凍らせた後で、ゆっくり遊んでやるぜ」

284:名無しより愛をこめて
08/07/09 21:57:38 7N/BVBkL0
   

285:名無しより愛をこめて
08/07/09 21:59:31 7N/BVBkL0
      

286: ◆MGy4jd.pxY
08/07/09 22:18:13 NPqd0F2vO
さるさん規制のため、残りはしたらばに投下致しました。

287:ミッションスタート!最高のアイテムを追え!代理投下
08/07/09 22:23:16 7N/BVBkL0
ドン!もう一度クエイクハンマーを地に叩きつけた。
衝撃に二人は再度弾かれる。
天空の花を手に、その男は都市の方向へ駆けて行った。

どこかへ身を隠したか、遠くへ行ってしまったか?
二人は男の姿を見失ってしまった。
「あいつ、クエイクハンマー使った後、痛いって言っとったな」
「クエイクハンマー?」
「そう、あれは吼太の武器や。その後、痛いって言ってたやろ?」
その言葉に頷いて、悔しげに男の消えた方を見ながら蒼太は言った。
「えぇ、今は相手にしてやれないとも……。それに、僕がボウケンジャーと知っていましたね」
蒼太は名簿を取り出す。広間で自分の名を呼ばれるまでに、参加者ほとんどの名前と顔を記憶したらしい。
「最初の方で、名前を呼ばれていた。これだ!」
指した名は、クエスター・ガイ。蒼太には心当たりがないようだった。
「蒼太くんのことを知ってるヤツ。あれが変身した姿なんか、あのままの姿かどうかは、わからんけど……」
おぼろは考えを整理するため、一呼吸置いた。
「見るからに粗野で好戦的なヤツ。なのに、戦わず逃げた。おそらく、ごっつい傷を負うてるんやわ」
次の言葉を蒼太が繋ぐ。
「戦える状態であれば、天空の花を奪うついでに、僕らを倒してバリサンダーを奪うはずだ」
「そうや。そんな手負いの状態なら、J-10エリアまで行くのもしんどいんちゃう?だから焦らんでも良いと思う。先回りして、二人であいつから天空の花を取り戻そ!」
「……おぼろさん?」
俄然やる気を出したおぼろに、蒼太が戸惑う。
おぼろはキリッと、ひどく厳しい顔を作った。
「そう、うちも蒼太くんをサポートする。この、一鍬ちゃんのイカヅチ丸でな。愛を凍らせるやなんて絶対に阻止したる。さぁ、ミッションスタートや!」
「了解!天空の花を回収する。ですね」
「ほな、蒼太くん行くでぇ~」

その時から、おぼろの中でイカヅチ丸が『身を守るための武装』ではなく『愛を守るための武装』となった。


288:ミッションスタート!最高のアイテムを追え!代理投下
08/07/09 22:23:59 7N/BVBkL0

【日向おぼろ@忍風戦隊ハリケンジャー】
[時間軸]:巻之三十、後
[現在地]:C-4森 1日目 黎明
[状態]:全身に軽い火傷、打撲。応急処置済み
[装備]:イカヅチ丸@忍風戦隊ハリケンジャー
[道具]:支給品一式
[思考]
基本行動方針:ミッションの達成(首輪解除・脱出・ロンの打倒)
第一行動方針:蒼太と共にJ-10エリア『叫びの塔』へ(ガイは手負いだと思っています)
第二行動方針:首輪を何とかする
※首輪の制限に気が付きました。


【最上蒼太@轟轟戦隊ボウケンジャー】
[時間軸]:Task.3、後
[現在地]:C-4森 1日目 黎明
[状態]:良好。1時間半ボウケンブルーに変身できません。
[装備]:アクセルラー@轟轟戦隊ボウケンジャー、スコープショット@轟轟戦隊ボウケンジャー、バリサンダー@忍風戦隊ハリケンジャー
[道具]:ヒュプノピアス@未来戦隊タイムレンジャー、スタッグブレイカー@忍風戦隊ハリケンジャー、支給品一式
[思考]
基本行動方針:ミッションの達成(首輪解除・脱出・ロンの打倒)
第一行動方針:おぼろと共にJ-10エリア『叫びの塔』へ(ガイは手負いだと思っています)
第二行動方針:おぼろを守る
※首輪の制限に気が付きました。



289:ミッションスタート!最高のアイテムを追え!代理投下
08/07/09 22:24:20 7N/BVBkL0


【クエスター ガイ@轟轟戦隊ボウケンジャー】
[時間軸]:Task.23以降
[現在地]:C-4森 1日目 黎明
[状態]:全身に裂傷。かなりの重症のため時間制限に関わらず戦闘不能。要回復アイテム。
    ただし、精神的には高揚感あり。戦いを心底楽しんでいます。
[装備]:グレイブラスター@轟轟戦隊ボウケンジャー、釵一本@獣拳戦隊ゲキレンジャー
[道具]:クエイクハンマー@忍風戦隊ハリケンジャー、支給品一式(麗のものは全て搾取済み) 天空の花
[思考]
基本方針:ロンやボウケンジャーを倒すついでにゲームに乗る
第一行動方針:天空の花を持って、J-10エリア『叫びの塔』へ
第二行動方針:気に入らない奴を殺す。一人殺しました。
参考:1本目のペットボトルを半分消費しました。




290:ミッションスタート!最高のアイテムを追え!代理投下
08/07/09 22:24:52 7N/BVBkL0



171 :ミッションスタート!最高のアイテムを追え! ◆MGy4jd.pxY:2008/07/09(水) 22:01:20
以上です。誤字脱字、指摘、感想等よろしくお願いします。



代理投下終了

291:名無しより愛をこめて
08/07/09 22:30:29 7N/BVBkL0
読了。
投下乙!
ロンの干渉を撥ね退けるおぼろさんと蒼太。
決意も新たにですが、クエスターガイがそうはさせない。
いいところでの引き、今後が楽しみです。GJ!

292:名無しより愛をこめて
08/07/10 01:40:02 sS0mL83A0
蒼太のアクセルラーは恐らくネオパラレルエンジンの換装が済んでないから
ガイと戦うのは辛そうですね。いくら、相手が手負いだとはいえ。
しかも時間軸的に彼はクエスターを知らない。

293:名無しより愛をこめて
08/07/10 11:38:19 lAQHBLJrO
投下&代理投下GJです。
手負いの身で、おぼろさん達から天空の花を奪うとは、流石クエスター。
考えがあったとはいえ、自ら蒼太が手を離す時や、おぼろさんがロンに誘惑された時は、ハラハラしました。
おぼろさんの決意をせせら笑うロンの言葉に、これからのロワの行方が気にかかりました。
相変わらず心理描写がお見事です。GJ!

294:名無しより愛をこめて
08/07/12 21:04:37 mrgJGRVGO
まとめ更新乙です。いつもありがとうごさいます。

295:名無しより愛をこめて
08/07/16 08:16:10 u5Wb0E3sO
保守です

296:名無しより愛をこめて
08/07/17 01:59:26 T/g6x+l20
もう終わりかね

297: ◆Z5wk4/jklI
08/07/17 02:44:51 l276KCGdO
保守がてら、進行報告を。
9割書き上がりました。
明日の夜には、投下できると思います。

298:名無しより愛をこめて
08/07/17 09:34:20 4a/hTks/0
>>297
了解。楽しみにしています

299:名無しより愛をこめて
08/07/17 10:38:39 25K9MbGN0
>>297
楽しみにしております。

300: ◆Z5wk4/jklI
08/07/17 17:22:02 Bfm2oN6d0
すみません。もう、午前まわっていましたね。
本日の夜に投下いたします。
まぎらわしくて申し訳ありません。


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