08/06/14 00:05:23 Q/3sMbKy0
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「お前の名はマーフィと言うのか」
やっと支給品の詳細に目を通し、マーフィを従えたティターンは、採石場の方向へ足を進めた。
数十メートル切り出された岩肌と切り出した山積みの岩とが強固な城のようにそびえている。
城下町の如く点在した炭坑夫たちの休憩所も見える。
その横にもいくつか小屋があり、身を隠すに適当な、とりあえずの安息の場としては充分な地形だった。
そのうちの一つを目指し歩きながら、ティターンは胸の中でひとりごちた。
(あの人間はどうしただろう。もう一人の男の手当が間に合えばよいが……)
ティターンの思考はマーフィの唸り声で中断された。
何事かとマーフィをみやったティターンの足元が陰った。
「貴様……人の姿をしているが、人ではあるまい」
その声の主は闇を従え瓦礫の上を闊歩する。
威風堂々たるその姿は、冥府神さながらの威厳とカリスマを備えていた。
この男とやり合えば、どちらも無事ではすまない。タゴン、いやイフリートにも匹敵するとティターンは判断した。