08/06/04 00:41:11 TQjSMP470
「なんだ無愛想な奴だな」
「大丈夫、照れてるだけですよ」
「そうか」
何にせよ、他の参加者との合流は恭介にとって休憩のチャンス。
恭介は情報交換という名目の元、休憩をとるよう皆に勧めた。
▽
(借りを返し損なったか)
グレイは懐から煙草を取り出すと、ライターとなっている人差し指で、それに火を点けた。
恭介とさくらの姿はかなり早い内から捕捉していた。それこそ、相手が何者かを分析できるほどに。
恭介はそれなりに辺りを警戒してはいるものの要所要所で粗が目立った。
戦闘経験はあるのかも知れないが、錆びついているか、さもなくば慣れていないか。
どちらにせよ大したことはない。
一方のさくらはかなり洗練された動きをしていた。
決して隙を見せず、近場から遠方まで気を配っている。しっかりと戦闘訓練を受けた者の動きだ。
ジェットマンのように変身すれば、それなりの好敵手になるかも知れない。
そして、出会って間もないのだろう二人の間にはたどたどしさがあった。
互いに相手の隙を窺っていないにも関わらずだ。二人とも殺し合いには乗っていない証だろう。
そこまで分析をしながらも、本来ならグレイはその存在をシオンたちに知らせるつもりはなかった。
戦士として、グレイが借りを返す最も適切な方法は戦い。
殺し合いに乗っているのなら、数減らしにも意味があるが、殺し合いに乗っていない人間を殺したところで借りを返したことにならない。
しかし、ドギーを守る仲間が欲しいことがシオンの願いなら、交渉にも価値があるかと接触を試みた。
結局、成果とはいえない有様だが。
(やはり戦士とは戦いでこそ、借りを返すもの)
そのとき、グレイの願いが天に通じたかのように、狂気に満ち溢れた声が響き渡る。
「メガブルウゥゥゥゥッ~!どこにいるんだ?早く出て来いよ~」