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・福岡県築上町で、県道拡幅に伴って町集会所が解体された際、県が町に支払う補償費約6000万円の
うち約3200万円を、集会所に無料で入居していた「部落解放同盟豊前築上地区協議会」が受け取る
ことが24日、分かった。この配分は町議会も承認したが、公共施設の入居者に行政が移転補償
するのは極めてまれで、県や識者から疑問の声が出ている。
集会所は国の同和対策事業の一環で1971年に建設された。鉄筋コンクリート2階建て、延べ床面積は
約260平方メートル。協議会が1階に入居し、2階を地域の集会所として同和教育などを行ってきた。
1月に解体され、協議会は約5キロ離れた別の町所有の集会所に移転した。
県や町によると、解体に先立って県豊前土木事務所が土地や建物の買い取り価格として5400万円の
補償費を町に提示。その後、町と協議会が2006年9月から計6回にわたり補償費の配分を話し合った。
町によると、協議会から補償費増額を求める要望書が町に2回出される一方、県も補償費を3回に
分けて計約600万円上積みした。
その結果、県から町に約6000万円が支払われることになり、うち協議会が約3200万円を受け取る
ことを町議会も承認した。町は約2800万円のうち、1000万円で集会所を解体し、1800万円で木造の
集会所を建設する予定。
補償費の配分について新川久三町長は「協議会との話し合いで決定された。議会も承認しており金額は
適正と認識している」と説明。
協議会の吉元秀成書記長は「われわれの先輩が国から勝ち取った集会所で、長年協議会の施設
として使用してきた。補償費が高いとは思えない」と話している。
これに対し、県市町村支援課は「集会所は行政の財産であり、通常は賃借人に権利はない。県内で
行政が借地人に金銭を支払ったケースは聞かない」としている。
解放運動を長年研究している藤田敬一元岐阜大教授は「大阪市が市施設からの退去を解放同盟側に
求めたケースでは移転費は支払われていない。同和対策事業としての歴史があるにせよ、無料で
使用しており、補償の対象になるのか疑問だ」と指摘している。
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