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(>>1の続き)
これまで大手新聞社は「高給軍団」として大手総合商社や金融機関と同等か、もしくは
それを上回る年収を得ていた。減収が続く現在でも朝日新聞社の社員の平均年収は1329万円、
日本経済新聞社1304万円と国内の全業界でもトップレベルを保っている。読売新聞社に
ついては平均年収は非公表だが、部数では1000万部を突破し全国紙トップで、年収も
同等水準であると推測される。
だがその高給も売上や広告費が減っているなかでは保つのが難しくなってきている。
毎日新聞社や産経新聞社は社員の平均年収が1000万円を下回っており、今後も大幅に
上昇していくことは考えにくい状況だ。また朝日新聞社他、大手3社も書籍の出版部門
などを本体から次々と切り離し、子会化することで人件費の削減に取り組み、生き残り
を図っている。子会社となった部門は新しい給与体系となり、ボーナスは軒並み減額
され、また子会社に入社する新入社員にはそれまで新聞社本体が提供してきた高給や
昇給システムは採用されにくいのが現実だ。
とくに全国紙は国内に販売店を多数配置しているため販売コストが非常に高いのにも
かかわらず、売上減少に対応できずにいる。以前から業界内でも「新聞社のビジネス
モデルはいずれ崩壊する」と将来を危惧する声も出ているが、これといって事業を回復
させる明るい材料もなく苦しんでいる。新たな戦略が打ち出せないまま各社が取り組み
始めたのが「コスト削減」だ。大手マスコミといえば経費を贅沢に使えるイメージも
あるが、10年前に約2000億円あった広告収入がほぼ半減してしまった朝日新聞社では
タクシーチケットの撤廃や出張費、記者クラブ費などの取材費の一部カット、夜食の
運用の見直しや社内行事の中止などで200億円のコスト削減を目標にしているといわれる。
売上が減る中で、事業を維持するため経営陣も必死だが、コスト削減とともに既存の
ビジネスモデルを脱却しないことには、状況を打破するのは困難な状況だ。
(おわり)