09/02/13 18:08:34 0
・最近、ネット上の表現をめぐる事件が相次いでいる。2月5日、お笑いタレントのブログに「殺すぞ」
などと書き込んだ19人が検挙された。これはブログの「炎上」が刑事事件に発展した初のケースだが、
掲示板では同様の事件が多発している。警察庁によると、2007年のウェブ上の名誉棄損や中傷などの
被害相談は、8871件と過去最高を記録した。大麻所持のような「被害者なき犯罪」の摘発には
熱心な警察が、多くの被害者を出しているネット犯罪に及び腰なのは不可解だ。
何かとネット上の犯罪で話題になることの多い、匿名掲示板「2ちゃんねる」の管理人である
西村ひろゆき氏は、多くの名誉毀損訴訟で敗訴しても賠償金を払わず、差し押さえを逃れる
ために掲示板を海外の会社に売却したそうだ。このような白昼堂々の脱法行為を、警察が
黙認しているのは奇妙だ。ある警察 OBによれば、「2ちゃんねるは犯罪情報の宝庫なので、
潰すと情報収集がむずかしくなる」というのが1つの理由だそうだが、これでは警察の捜査
コスト削減のために多くの人々が犠牲になっているようなものだ。
このコラムの第2回でも書いたように、こうした匿名の中傷が日本のウェブ上の言論を萎縮させている。
私は、こうした状況を変えようと、先月「アゴラ」というオピニオンサイトを開設した。このサイトは
コメントもトラックバックもなしだが、掲示板や「はてなブックマーク」による中傷はどうにも
ならない。
ウェブ上の表現の自由はむずかしい問題だが、基本的には公権力が介入しないで当事者同士の
紛争処理で解決すべきだ。しかし匿名の名誉毀損の場合は、そういう紛争解決そのものが
不可能だ。したがって匿名の場合には警察が摘発し、実名の場合には民事にまかせたほうが
いいのではないか。
もう1つ注目すべき判決が、1月28日に出た。「はてな」のブログで住所をさらされたウェブサイトの
管理者が、相手の発信者情報の開示を請求し、はてなが拒否したため訴訟を起こした事件で、
裁判所が発信者情報の開示を認めたのだ。(>>2-10につづく)
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