09/02/10 12:45:14 0
(>>1のつづき)
警察庁によると、ネット上の名誉棄損や中傷の相談は、07年は過去最多の8871件で03年の
3・4倍。08年上半期は前年同期比1280件増の5482件に上る。
検挙も増加傾向で、名誉棄損は07年は79件(前年比26件増)、脅迫は59件(同18件増)。
ただし、トラブルは個人間が中心で不特定多数による攻撃の摘発は異例だ。匿名であっても
書き込み主の特定は可能で、今回は凶暴化するネット暴力に歯止めをかける狙いもあるとみられる。
一方で、ネット世界の中傷被害は表現の自由の問題と絡み、刑事責任追及には難しい側面もはらむ。
そのため警察庁は「すべてを取り締まるたぐいの犯罪ではなく、適切に判断する」と慎重な姿勢も見せる。
「ほかの人のネットの書き込みを信用した」。中野署が脅迫や名誉棄損の容疑で摘発する川崎市の
会社員の女(29)らは、調べに対し、スマイリーキクチさんが女子高校生コンクリート詰め殺人事件の
「犯人」だと決めつけた理由についてそう答えたという。
本人が否定しているにもかかわらず、当時の事件関係者に確認をするなど十分な裏付けをしないまま
真実だと信じて書き込んだ。ネット上の誤った情報がさらに別の人によって広められるという「誤情報の
再生産」は、何の落ち度もないキクチさんを深く傷付けた。こうした被害は後を絶たない。
一方、憲法が保障する表現の自由は当然、ネットにも及ぶ。ラーメン店を展開する東京都内の企業が
宗教団体と関係があるかのような内容を自分のホームページに書き込んだ男性会社員(37)が
名誉棄損罪に問われた事件で東京地裁は昨年2月、男性に無罪を言い渡した。
個人によるネット上の情報については「信頼性は低い」とし、被害者側による反論が可能であることなども
考慮した。最高裁が示した「誤信したことに相当の理由があるときは成立しない」という名誉棄損罪の
基準を緩く解釈し、表現の自由に配慮したものとも受け取られた。
しかし、東京高裁は今年1月に「基準緩和は賛同できない」と1審判決を破棄し、罰金30万円の
有罪判決を出した。(>>3-10につづく)