09/02/01 15:32:11 93nN2jiSO
日米共同コミュニケによつて、現憲法の維持は、国際的国内的に新たなメリットを得たのである。
すなはち国内的には、今後も穏和な左翼勢力に平和現憲法の飴玉をしやぶらせつづけて面子を立ててやる一方、過激派には現憲法にもこれだけの危機収集能力のあることを思ひ知らせ、
国際的には、無制限にアメリカの全アジア軍事戦略体制にコミットさせられる危険に対して、平和憲法を格好の歯止めに使ひ、一方では安保体制堅持を謳いながら、一方では平和憲法護持を受け身のナショナリズムの根拠にするといふメリットが生じたのである。
これはいはば吉田茂方式の継承であり、早急な改憲は、現憲法がアメリカによつて強ひられた憲法であるより以上に、さらにアメリカの軍事的要請に沿うた憲法を招来するにすぎないといふ恫喝ほど、効き目のあるものはあるまい。
改憲サボタージュは、完全に自民党の体質になつた。
三島由紀夫
「『変革の思想』とは―道理の実現」より