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(>>1のつづき)
では、問題のTBS記者の行動を検証していこう。事件発生から数日後、現場近くの聞き込みで
「裸の女の子を肩に担いだ男が歩いていた」「女の子を追いかけ回す男がいる」という不審者情報を
つかみ、挙動不審に見えた勝木容疑者にアタックを始める。それはとても取材とはいえない手法だった。
まずカラオケ店に勝木容疑者と同行、彼がアニメソングなどを歌うシーンを撮影。屋外でインタビュー
するときもカメラを堂々と回し、事件のことを知っているかと繰り返し聞くと、にやついた勝木容疑者が
「いやぁ、知らないです」と答える。勝木容疑者の、こうした、尋常とは思われにくい表情ばかりを放映
すれば、知的障害者への偏見が助長されるのも当然だろう。
問題のシーンはこればかりではない。逮捕目前の12月6日午前1時前、「重要参考人が浮上」と
大手通信社が特ダネ記事を配信。同社では、参考人が自分のことであると気がつくと、逃亡したり、
自殺することも考えられるので、勝木容疑者に取材はかけていなかった。だが、TBS記者は、この記事
配信から約1時間後、つまり5時間後に任意同行されることになる勝木容疑者に直接電話をかけるという
禁じ手を犯していたのだ。
取材という名のカラオケデートからすでに2カ月。TBS記者が「その後、あの事件もどうなったかなと
思って」と切り出すと、「まだわからないみたいだね」と答える勝木容疑者。TBS記者は、配信記事の
中にある匿名の「重要参考人」が勝木容疑者本人を指すのかどうか確かめようと、焦って「警察の人に
話聞かれた?」と被疑者になっていることを感づかせる質問を向けてしまったのだ。
「この電話の中で、『諒君は犯人じゃないよね』と何度も問い掛けたせいで、勝木容疑者は逮捕直後の
調べに『逮捕されるとは思わなかった』と供述するなど、自分は容疑者ではないという"刷り込み"効果が
表れ、真相解明の障害になっています」(地元記者)
知的障害者がかかわる事件は捜査も難しく、過去のえん罪を反省に、報道にも細心の注意を払う
必要があるといわれる。それでもTBSは弁護団のクレームを受けた後も映像を流し続けているため、
弁護団は告発の動きを進めているという。