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★[高校生の経済学] サンクコスト 【総務省の課長補佐のための】
池田信夫 blog 2009-01-25 / Economics
J-CASTニュースによれば、周波数オークションについて「総務省の課長補佐」が
次のようにコメントしたそうだ:
電波は公共財なので、普通の商品とは違います。どんな事業者でもいいわけでは
ありません。オークションには、 デメリットがあり、コストが当然料金に転嫁されることに
なります。事業者が投資分を回収できず倒産すれば、その電波が無駄になってしまう
恐れもあります。
このコメントは論理的に矛盾している。免許のコストを通話料金に転嫁できるのなら、
事業者が「投資分を回収できない」ということはありえない。欧州で携帯事業者の経営が
破綻したことは事実だが、それは免許料を料金に転嫁できなかったからなのだ。当ブログで
何度も説明したように、免許費用はサンクコストなので、それを転嫁することは合理的
ではなく、不可能だ。同じことを何度も書くのは面倒なので、前の記事を再掲しよう:
オークションで払う免許料は、マンション業者の買う土地のようなものだ。どんなに高い
土地を買っても、その地価が家賃に転嫁されることはありえない。相場より高い家賃を
つけても、借り手がつかないだけだ。逆に、その土地を(相続などで)無料で仕入れたら、
不動産業者は家賃を安くするだろうか。業者は相場と同じ家賃を取り、地価はまるまる
彼の利益になるだろう。つまり料金は市場で決まるので、免許料は業者の利益に
影響を与えるだけなのだ。
これは経済学を知らない高校生でもわかるはずだ。「課長補佐」氏は一応、公務員試験を
通ったはずだから、この程度のロジックを理解できないことはあるまい。「事業者が投資分を
回収できず倒産」するかどうかなんて、余計なお世話だ。業者はもうけようと思って応札
するのだから、その思わくがはずれて倒産するのは自己責任である。問題は免許が
使われないことだが、これは第二市場で転売すればよい。
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/280d04378568412f21701b79ef742edc