09/01/13 11:47:07 0
記者の目:日本の食料自給率を上げる前に=行友弥
石破茂農相が先月、食料自給率(カロリーベース)を
50%に回復させるための工程表を発表した。食料の供給基盤を強化することに異存はない。
だが、数値目標を掲げる前に、まず日本の食の「ゆがみ」を明らかにし、
正すことが必要だと思う。それは行政や生産者だけでなく、消費者が
自分自身の問題として取り組むべきことだと考えている。
昨年、企画記事「食料小国ニッポン」を経済面で2部にわたって連載した。
自給率が06年度に39%まで落ち込んだ背景や回復の可能性などを探ったが、
その間に07年度の自給率が40%を回復したという発表があった。
小麦価格の高騰で相対的に安くなった国産米の消費が増えたことなどが原因だが、
その後、小麦相場は金融危機などを背景に反転し、昨年2月のピークから半値以下に下がった。
国民の関心も食の問題から、強まる不況風に移っている。
だが「のど元過ぎれば熱さを忘れる」でいいはずはない。
今世紀半ばに90億人を突破すると予想される世界人口の増加、
新興国の「爆食」、農地や水資源の限界……。
これらを考えれば、長期的には食料不足は避けがたい。
先進国がカネの力で食料を買い集めれば、しわ寄せは貧しい国に行く。
基礎的な食料を自給することは先進国の義務でもある。
「自給にこだわると食の選択肢が狭められ、豊かさが失われる」と主張する識者もいる。
本当にそうだろうか。私はむしろ、「食のグローバル化」が真の豊かさを失わせてきたと考えている。
続きます