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(>>1のつづき)
差別は所得や教育の格差も生み出す。
道が06年に行ったアイヌの生活実態調査によると、道内に住むアイヌ約2万4000人の
生活保護受給率はアイヌ居住地域の住民平均の1・6倍に当たる3・8%に上った。大学
進学率は平均の半分以下の17・4%。北海道ウタリ協会の加藤忠理事長は政府の「アイヌ
政策のあり方に関する有識者懇談会」で進学率の低さを取り上げ「親の世代が受けた
民族差別に貧困なども含めた複合的な要素が絡んでいる」と指摘した。
道はアイヌを対象とした高校・大学の奨学金や住宅新築・改築の補助などの制度を設けている
ものの、胆振管内の生活相談員は「『アイヌであることを隠したい』と申請しない家庭も多い」と
明かす。有識者懇談会では生活支援策を道内だけでなく全国に広げる議論も行われているが、
実現しても「アイヌの血」を表に出せない人々には支援が届かない可能性もある。
白老町の生活相談員、竹田博光さん(59)は「求めているのは定額給付金のような
『ばらまき政策』ではない。アイヌであることを誇りに思える社会をつくらなくてはいけない」
と訴える。言い換えれば、民族の違いを越えて互いを尊重する「共生」の実現。日本社会
全体が問われている。
■ことば
◇道のアイヌ生活実態調査
道がアイヌ施策のあり方を検討するため、アイヌ民族の血を受け継いでいるとみられる人と
その家族を対象に72年から6、7年ごとに実施している。最新の06年調査によると、アイヌは
道内72市町村に8274世帯2万3782人が住み、うち6割が日高、胆振支庁管内に集中。
1次、2次産業の従事者の割合がアイヌ居住地域の平均を30ポイント以上上回る56・3%に
達した。ただし、アイヌであることを否定している場合は調査対象外で、識者などから「現状を
正確に反映していない」とも指摘されている。