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部落差別の問題を世に問う小説「太郎が恋をする頃までには…」(幻冬舎)が昨年の秋、刊行された。
書いたのは恋愛ドラマを手掛けてきたフジテレビプロデューサーで作家の栗原美和子さん(43)=
福岡県直方市出身。被差別部落出身である、夫の猿回し師、村崎太郎さん(47)=山口県出身=
との結婚に際しての出来事を基につづった私小説だ。幸せそうな結婚写真を表紙にした本に込めた
メッセージが話題を集める一方、栗原さんはいま、部落差別の根深さや理不尽さと闘っている。
■根深さ、理不尽さ、出版後実感 昔話と言えるよう
現実を色濃く投影した私小説だが、結末は異なる。部落差別は過去の話ではなく、現在進行形だと
伝えるため、ハッピーエンドにはしなかった。
出版から2カ月。差別への憤りや励ましなど好意的な反響が多くの読者や知人から届いている。
その一方で、「冷たい逆風」にもさらされている。出版後、態度が変わった知人がいる。
「読んだよ」と言ってくれる人もひそひそ声だ。
高校まで過ごした福岡では、早くから同和教育を受けた。ドラマプロデューサーとして、業界では
タブー視されていた知的障害者や在日韓国人を主人公にしたドラマなどを手掛け、社会に問題提起
もしてきた。だが、部落差別がこれほど根深いとは想像していなかった。最近、夫にこう話した。
「生まれて初めて、差別される側の気持ちが分かったような気がします」と。
今はまだ、小説を「書いてよかった」と簡単には言えない。でも世に問い掛けた以上、励ましの声を
支えに、夫婦で乗り越えていくつもりだ。
「『昔は部落差別があったから悲しい物語が作れたよね』と言える日が、早く来てほしい」(一部略)
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