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★子どもをたくさん作る男はカッコいい
・「母親がうるさいんですよ。男の子が欲しいから子どもをもう1人作れって言うんです。うちは
娘2人で楽しく暮らしていますし、ずっと共働きで子育てをしていたのですが、下の子がこの春で
小学校で少し手が離れるので、妻も仕事を増やしたいと張り切っています。3人目の子どもは
正直言って負担です。そもそも、妻も今年で40歳ですし」
そう語る彼は、40代前半のサラリーマン。若いころはさぞ美少年だっただろうと思わせる色白で
整った顔立ち。さらに一流国立大卒一流企業勤務、この若さで部長職にあるエリートだ。
母親が溺愛して育てたという割には、自分の母親を客観視することもできる精神的にも成熟した
ナイス・ミドルだといえる。この完璧な息子を産み育てた母親からすれば、優秀な遺伝子を、
なんとか子孫として残したい。つまり、男の孫が欲しいと思う気持ちも分からないではない。
「母は、やっぱり『跡継ぎ』が必要だからと言いますが、うちの家系は別に名家でも資産家でも
ありません。残すほどの名前でもないですからねえ。それに、自慢じゃないですが、妻は僕より
ずっと優秀で、最初の子どもができたときも、僕が産休を取って彼女には十分に仕事をして
もらおうと思ったくらいですから。取引先のメーカーに勤めているのですが、入社2年目で
経営企画室に抜擢されたくらいなんです。美人だし仕事もできてカッコいい女性なんです。
最初のデートのときは、本当に嬉しくて舞い上がっちゃいました」と、ここからしばらく妻の自慢話が続く。
いまどき珍しいほどうまくいっている夫婦である。そして、そんな優秀な妻だからこそ、仕事を
頑張ることのできる環境を作ってやりたいと彼は思うわけである。
さて、少子化が問題視される昨今だが、多くの人には誤解があるようだ。環境さえ整えば人は
子どもを作る、という誤解である。だから、自治体は第三子出産に補助金を出したり、有識者は
保育所や産休制度の充実を叫ぶ。しかし、人は環境で子どもを産むわけではなく、文化で
産むのである。(>>2-10につづく)
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