09/01/10 01:21:34 0
― …まあ、そういうことになりますね。
神野
それからさ、「財政再建のための増税に応じる」と言う人も多い。財政再建なんだから、サービスは増えませんよね。
つまり、「サービスが減るか、同じだったら負担増に応じてもいいけど、サービスを増やすのは嫌だ」と言っていることになる。
こういう考え方は普通あり得ない(笑)。どうなっているのか分からない。端的に言ってしまえば、民主主義が機能していない。
― なぜ、国民は論理的に考えることができないのでしょう?
神野
分からない。ただ、スウェーデンのケースから考えられるのは、公共サービスが中産階級の生活を支えているかどうか、
それが国民が納得できるかどうかのポイントなんだと思う。
国民の多くが公共サービスを体感していない
政府を信用していないのは何も日本だけの話ではありません。スウェーデン人も政府を信用していないし、非効率だと思っている。
ただ、「あなたは医療を充実させるために、増税に応じますか」と聞くと、「イエス」と皆が答える。
「保育を充実させるために増税に応じますか」という質問に対しても「イエス」。養老サービスもイエスなんです。
ただし、「ノー」と答える場合が2つある。それは、生活保護と住宅手当。簡単に言ってしまえば、
貧しい人に限定されるサービスに税金を使うのはスウェーデン人もノーなんだよ。つまり、増税に応じるか否かは、
それによって行われる福祉というサービスが中産階級を支えるかどうか。日本はサービスが中産階級を支えないから増税に応じない。
― 要するに、多くの国民が公共サービスをサービスとして感じていないということですね。
神野
この間、うちの大学が総力を挙げて納税意識調査をやったんだ。「あなたは高福祉であれば負担が高くても応じますか。
それとも、税金が安ければ、低福祉でもいいと考えますか」という問いに対して、回答者の6割は
「福祉がよければ負担が高くても構わない」と答えている。この率は、年々増えているんですよ。
ただ、中身を見てみると、やっぱり訳の分からないことになっている。男女別に見ると、男性は7割が高福祉高負担に賛成。
でも、女性がダメなんだよ。女性は福祉の恩恵に浴するはずなのに、低福祉低負担を望む率が半分。それで、平均すると6割になる。
続く