09/01/10 01:21:15 0
― スウェーデンに関して言うと、あの国は結構、簡単に労働者を解雇しますよね。それも、セーフティーネットがあるからこそなんでしょうか。
神野
オランダもそうだけど、スウェーデンは労働市場が弾力的です。簡単に言ってしまえば、解雇がしやすい。
もっとも、解雇はしやすいんだけど、その代わり、社会保障を企業が引き受ける。労働市場のフレキシビリティーは
企業による社会保障とセットになっている。
それに対して日本はどうか。日本企業は景気が悪くなると、雇用と社会保障の両方とも放棄してしまう。これが困るんだよね。
1990年代、企業はフレキシビリティーのために非正規従業員と言われている人々を生み出してきた。
でも、現実にはその人々は社会保障の蚊帳の外に置かれている。
(中略)
「サービスを減らせば増税に応じる」という国民の不可解
― シュンペーター的ワークフェア国家は様々なセーフティーネットを張り巡らし、福祉を就労に結びつけていく国家。
それによって、国民一人ひとりの能力を高めていく国家ですよね。当然ですが、国民負担は増えますが、それについてはどうお考えですか。
神野
福祉や医療、教育のことをソーシャルサービスと言いますが、スウェーデン語では「オムソーリ」と言うんですね。
これは、「悲しみの分かち合い」という意味です。スウェーデン人が税を納めるのは悲しみを分かち合うため。
悲しみを分かち合うことがウェルフェア(幸福)につながると考えている。
もちろん、国民負担は上げなくちゃいけないけど、税負担が上がっても、安心できるセーフティーネットが構築できれば、
全体としてはいい。好循環で回っていくリズムが生み出せれば、そんなに恐れることはありませんよ。
― 国と国民の信頼関係が失われている日本は悪循環に陥っていますね。
神野
正直なところ、今の国民が言っていることはよく分からない。メディアを含めて、「増税をするなら歳出を削減しろ」と言う。
普通、公共サービスは国民の生活を支えるのに必要なものでしょう。そう考えると、
多くの人は「必要な公共サービスを減らしてくれれば、負担増に応じる」と言っていることになる。
続く