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東京・築地市場で5日にあったマグロの初競りで、963万円の最高値が付いた
青森県大間産のクロマグロは、実は中国人のすしチェーン経営者と銀座の
有名すし店の主人による共同購入だった。「大金で買う中国」と「すし発祥国日本のメンツ」。
激烈な争奪戦も予想されたが、最後は両者の顔を立てた形に。最高級マグロは
半分に解体され、日中それぞれの店頭に上った。
「板前寿司」の店名で香港やマカオに20店を展開する鄭威濤さん(41)。
昨年の築地初競りで、中国人として初めて約600万円の高値でマグロを競り落とし、
市場関係者に衝撃を与えた。「おいしいマグロは中国でも大人気」と話し、
今年も高級マグロを手に入れようと予算千数百万円で築地に乗り込んできた。
対する日本の代表は銀座の高級店「久兵衛」の主人、今田洋輔さん(63)。
昨年、最高値のマグロを海外に持って行かれ「日本のすし屋として沽券(こけん)にかかわる。
今年は赤字も覚悟で、何としても競り落とす」と気合が入った。
困ったのが、二人から「なんとか競り落としてくれ」と懇願された仲卸業者の
山口幸隆さん(46)だった。久兵衛とは長い付き合い。
一方で昨年からは鄭さんの仕入れも手助けしていて、ともに大切なお得意さんだ。
悩んだ末に初競りの前夜、日本橋のホテルのバーに2人を呼び
「魚も金も半分ずつでどうだ」と持ち掛けた。「無駄な戦いはしたくない」と久兵衛の今田さん。
昨年の買いっぷりに「金に物を言わせている」と
陰口をたたかれた鄭さん側にとっても、共同購入は妙案だった。
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