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元日からの連載「平成20歳」は、人物を取り上げながら平成がどんな時代なのかを問いかけている。
読者の皆さんにとって この20年はどのようなものだったろうか。
「十年一昔」という言葉が死語と思えるほど、何事もスピーディーに移り変わる時代。
「一人一人がちょっと立ち止まって見つめ直すことで今や将来を考えるきっかけになれば」。
連載には、記者のそんな思いが込められている。
昭和の終わりから平成の初めにかけて、記者としての初任地を静岡支局で送った私にとって、
見つめ直す作業は支局時代の思い出と重なる。
今も昔も支局は市中心部の繁華街の同じ場所にあるが、ビル3階にある今と違い、当時は旧ビル1階にあった。
誰でも容易に入れる構造で、 取材先だけでなく他社の記者まで出入りした。
支局に1000円札を投げ入れて姿を消す「千円おじさん」と我々が名付けた中年男性もいた。
原稿用紙にペンを走らせていた時代だ。支局に戻って原稿を書いたり、写真を現像したりしていた。
携帯電話・パソコン・デジカメを使い どこにいても原稿や写真を処理できる今とは違う。
選挙で当選した候補者が万歳した時の写真処理が締め切り時間に間に合わない場合に備え、
前日までに候補者を回って万歳してもらい写真撮影していた。
落選が予想される候補でも万歳写真を撮っていた。
今ならヤラセとの批判も免れないだろう。
何ともおおらかだった。それに比べ今は世の中全体がギスギスしていないだろうか。連載で取り上げているように、さまざまなデータは
20年の変化を物語る。背景には、医療や技術の進歩、制度変更などがある。しかし、最も変わったのは「人の心」ではないかと思う。
心はデータでは表せない。景気悪化で明るさの見えない年の初めだ。
少しゆったりとした気分で日常を送ってみるのもいい。【静岡支局長・照山哲史】