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★性風俗店で働く主婦◇でも、居場所は家庭 「家政婦」以外の世界を求め
・帰宅すると、会社員の夫は冷め切って脂が浮く肉じゃがのラップをはがし、無言で白飯とともに
かきこんだ。「今、チンするからね」。言いかけた言葉を、妻(43)はのみ込んだ。
「うまい」とねぎらってほしいのに、温めることすらしない。切ないが、慣れてしまった。
収入に不満はなく、東京郊外にあるマンションで主婦業に専念する。まじめな夫を友人は
うらやむが、退屈さとの境はかすんでしまった。
高校生の娘は小学生のころ、発熱を伴う自家中毒と診断された。「あなたは過保護すぎる」。
小児科医に指摘され、はっとした。
家族の世話を焼くことが生活のすべて。床に落ちている髪の毛一本を見逃さず、おやつは手作りにこだわった。
家事に力を入れるほど、自分が家政婦のように思えてきた。
感謝の気持ちが薄い家族に腹が立ち、2年前、一晩家を飛び出した。「私は何のためにいるの」。
友人に愚痴をぶちまけた。帰宅すると、何かが吹っ切れていた。
「人妻があなたをお待ちしています」。歯科医院の待合室で手にとった男性向け週刊誌に、
性風俗店の広告を見つけた。とっさに電話番号をメモした。家族への依存を断ち、想像もつかない世界に
飛び込んでみたいという思いが背中を押した。
髪形を変えても気付かない夫は派遣会社で働いているといううそを信じ込んでいる。「パートに出ることは
恥ずかしいから誰にも言うな」と条件を付けた。「好きなことをすればいいよ」と気遣ってくれれば、思い
とどまったかもしれないのに。
昼過ぎまでに家事を済ませ、サンダルをハイヒールに履き替える。指名を受けると客の待つホテルを訪ねる。
独身時代には軽蔑していた職業だが、ロングヘアを褒められる度に女として見られる喜びを思い返した。
客に別の名前で呼ばれる時、どちらが本当の自分なのか一瞬見えなくなる。「でも、家族がいることで
私は守られている」。店からもらう給料には手を付けない。
帰り道、スーパー入り口に張られた安売りチラシを確認。冷蔵庫の中身が自然と思い浮かぶ時、家族の
中の自分に戻っている。(一部略)
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