09/01/05 12:14:21 0
・歴史に残る恐慌へと進むのだろうか。専門家の予測や各種の調査は、暗い予感を振りまいている。
しかし、不安にとらわれてはいけない。
「我々が唯一恐れるべきは恐れそのものだ」。1933年、米大統領に就任したフランクリン・
ルーズベルトは、就任演説で訴えた。
「後退を前進に変えるのに必要な努力をまひさせる根拠なき恐怖」。
幸い、当時は存在しなかった手立てを私たちは持っている。国際協調の枠組みだ。
75年前には、G8もG20もWTOもなかった。大恐慌などの反省から築き上げた、この国際協調の
枠組みを活用しない手はない。
ところが、現実は逆方向へと動きつつある。世界銀行の予測によれば、今年の世界の貿易量は
1982年以来初めて、前年を下回りそうだ。
昨年11月に開かれたG20金融サミットで、首脳らは「協調」を高らかにうたった。
08年内にWTOの自由化交渉で大枠合意をめざすこと、少なくとも1年間、新たな貿易障壁を
築かないことを誓った。だが参加国のロシアとインドは、たちまち関税の一部引き上げを決め、
インドネシアやアルゼンチンも輸入制限に動いた。
WTO交渉は合意のための閣僚会合さえ開けなかった。G20は早くも期待を裏切った。
米大手自動車メーカーへの米政府支援も国内企業に対する補助金の役割を果たす。
こうした支援策は他国の対抗策を招き、保護主義を加速させかねない。
恐怖にかられ、市場を閉ざすことや通貨を切り下げることによって国内の雇用を守ろうとした
保護主義は、かつて恐慌を一層深刻化、長期化させた。
他国の犠牲のもと優位に立とうとする近隣窮乏化政策はナショナリズムと共鳴した。
同じ道をたどることのないよう、日本は開かれた市場の維持と景気対策での国際協調を
ねばり強く他国に働きかけねばならない。
自由貿易の恩恵を最も受けてきた国の一つとしての責務でもある。
保護主義を排除する努力に加え、日本自らが国内にとどまらない景気刺激策を打ち出すべきだ。
「内需拡大」が叫ばれているが、国内の消費や投資を喚起する策だけでは不十分である。
(>>2-10につづく)
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