09/01/02 01:29:57 0
(>>1の続き)
08年8月の北京オリンピック中継は、その典型だった。地上波ではNHKが約200時間、民放5局も計170時間の中継を行ったが、
結果はNHKの圧勝に終わった。平均世帯視聴率(関東、ビデオリサーチ調べ、以下同)の首位は、NHKの「ソフトボール決勝」(30.6%)。
2位には「陸上女子マラソン」(28.1%)で日テレが食いこんだものの、NHKがベスト10のうち九つを占めた。
NHKは勝因について「競技を過不足なく伝えたまで」(報道局幹部)と語る。要は「スタジオでのトークよりも
世界の一流選手たちの躍動と日本選手の奮闘ぶりを生々しく伝えるというスポーツ中継の基本に徹したに過ぎない。
裏返すと、地上波民放の心得違いが浮き彫りになる。SMAPの中居正広(TBS)、水泳金メダリストの岩崎恭子(同)、
元プロテニス選手の松岡修造(テレ朝)、元ヤクルト監督の古田敦也(フジ)、元フィギュアスケート金メダリストの
荒川静香(テレ東)などの有名人の解説やスタジオでのトークを織り込み、バラエティー番組風に派手に
盛り上げる作戦だったが、視聴者は食いつかなかった。誰もが芸能人や門外漢のスポーツ選手の怪しげな分析や
空虚な激励よりも、世界のトップ選手たちの生の競技風景を見たかったのだ。
この傾向は北京五輪に限らない。今年度上期(4~9月)のゴールデンタイム(午後7~10時)の平均視聴率でも、
NHK(13.6%)が初めて全地上波民放を上回った。2位のフジテレビは13.2%。日本放送史に残る「快挙」である。
「ニュース7」が安定した視聴率を稼ぐほか、大河ドラマ「篤姫」も 20%台半ばと好調だった。
ある在京キー局首脳は「我々民放は視聴者ニーズの変化に鈍感になっている」と反省するが、
視聴者は低劣番組に飽き飽きしており、もう手遅れではないか。
致命的なのは団塊世代だけでなく、若年層の関心もNHKに向かい始めていることだ。インターネットには若者の感想が飛び交う。
「民放は見るものがない。じゃあとNHKを見てみると、結構面白い」「タレントの出番を今の半分に減らして、
その分のギャラを良質な番組づくりに使えば視聴率は上がるはず」と辛辣きわまりない。
さらに、NHKと地上波民放の視聴率逆転についても「NHKの視聴率は横ばい。民放が落ちただけ」と一刀両断だ。
(続く)