08/12/25 10:48:18 0
同じ頃、弟と同学年だった親友が自分同様に派遣契約を打ち切られた。連絡が取れずに実家に電話をする
「死んだ」と聞かされた。理由を聞くと、遺族は泣き出した。心にぽっかり穴が開いた。
就職について地元の市役所などに相談したが、「本気で仕事を探しているのか」とあしらわれた。
誰も親身に話を聞いてくれない―。言いようのない絶望感に包まれた。「死んだ方が楽かもしれない」。
自殺者が多いと聞いていた東尋坊が頭に浮かび、足が向かった。
長い列車の移動中に遺書を書いた。所持していた紙は白紙の履歴書しかなかった。その裏にこう書いた。
「おやじ、おふくろ、本当にゴメン。最後の最後までめいわくをかけるけど、これが本当に最後だから。
いろいろやってみたし、仕事もさがしたけど何をやってもうまくいかなかった。これ以上は無理。……」
今年6月、東京・秋葉原の連続殺傷事件の現場に偶然、居合わせた。走り込んできたトラックに目の前の男性がはね飛ばされたのを見て、
119番通報した。逮捕された容疑者が派遣社員だったとニュースで知った。
「自暴自棄になっていたのは同じ。一歩間違えば、彼になっていたかもしれない。
最低限でも生活が得られるような、人を追い込まない社会であってほしい」。男性はそう話した。
県警坂井西署の統計では、東尋坊で年間25人前後が自殺している。派遣労働者への契約解除が全国で広がりを見せた11月、
茂さんらNPOが保護したのは例年の3人前後を上回る6人。うち4人が職を失った派遣労働者だった。
茂さんらは、地元の坂井市などに、東尋坊周辺のパトロールの強化や、保護者の生活支援を要望している。
女性スタッフから「来年はいい年にしないとね」と声をかけられた男性は、「はい」と小さな声で答えた。しばらく福井に滞在し、仕事を探すつもりだ。(田中章博)
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