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★<江ノ電>早世の少年に運転士「辞令」 没後10年夢かなう
・朋(とも)君、天国で思いっきり走ってください--。
江ノ島電鉄(神奈川県藤沢市)は22日、「運転士になりたい」という夢を持ちながら10年前、
難病で亡くなった少年(当時16歳)に運転士の辞令を発令する。少年は亡くなる4日前、
運転席に試乗してハンドルを握る夢をかなえたが、毎日新聞神奈川県内版で当時のいきさつを
知った深谷研二社長が「ぜひ夢の続きを」と、本物と同じ辞令書を少年の父親に手渡すことにした。
少年は東京都大田区の会社員、新田和久さん(56)の一人息子で、先天性心疾患「拡張型
心筋症」だった朋宏さん。4歳の時に母親を同じ病気で失い、約11年間、同県茅ケ崎市の施設で
育った。見舞いに来る和久さんとよく江ノ電に乗り、「大きくなったら江ノ電の運転士になるんだ」と
語っていた。
試乗は容体が悪化した98年11月11日、江ノ電の全面協力で実現した。制服、制帽姿で運転席に
乗り込み、運転士の後ろで全線の旅。その後、検車区で「タンコロ」の愛称で知られる108型車両の
ハンドルを握り、運転士と一緒に動かした。当初は反対していた関東運輸局(横浜市)も「聞かなかった
ことにする」と黙認したという。
10年後の今年10月、和久さんの知人で東京都品川区の塾経営、石井彰英さん(53)が感謝の
気持ちを込めて江ノ電の精巧な模型を同社に寄贈。これを報じた12月3日付の記事を読んだ
深谷社長が「他の仕事を休んででも、早く朋宏さんに夢の続きを」と職員に指示した。22日は、
江ノ島駅(藤沢市)で辞令を交付した後、利用客のボタン操作で動くように改良した模型電車の
出発式もある。
和久さんは「ここまでしてくれた江ノ電を(将来の夢に)選んだ朋宏を褒めてあげたい」と
感激している。
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