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「地方への1兆円」は首相が与党案をのむ形で決着した。しかし、使途を公共事業に
縛った交付金は、首相が当初、思い描いたものとはほど遠く、首相の指導力の低下を
印象づける結果となった。
首相は地方への1兆円について「地方が自由に使えるカネ」と繰り返し、一時は
使途に制限のない「地方交付税にする」と踏み込んだ。だが、道路族の猛反発で、
交付税は引っ込め、具体案づくりを党側に委ねた。首相の顔を立てるために別枠で
検討している地方交付税増額に触れ、党側に「交付税はできるだけ増やしてほしい」と
注文をつけるのがやっとだった。
案づくりは道路族が主導し、交付金の使途は公共事業に絞りこんだ。とはいえ、
道路整備予算の確保を強く求める地方自治体の首長らは不満を募らせ、一方で
自民党内からは「あいまい決着」に批判も出ている。
2日、東京・日比谷公会堂。自治体や関係業界による「道路整備の促進を求める
全国大会」が開かれた。奈良県十津川村の更谷慈禧(よしき)村長は
「(交付金は)さっぱり訳がわからない。道路に限定されない交付金捻出(ねんしゅつ)のために
道路予算を圧縮することは絶対にやめていただきたい」。佐々木雄三・島根県議も
「自民党に結集する都道府県議は、決着の仕方によっては逆噴射とまでは言わないが、
力が入らなくなる」と総選挙での協力を盾に揺さぶった。
与党内からも異論が噴出する。自民党各派の若手議員らは2日、「道路特定財源
一般財源化を抜本的に進める会」を発足。呼びかけ人の鈴木馨祐衆院議員は
「景気を口実に無駄な道路を造り、一般財源化を骨抜きにしてはいけない」と語気を強めた。(中略)
公共事業限定の交付金だけでは「地方が自由に使える」という首相の意向に反するため、
自民党は道路特定財源から回す分とは別に、地方交付税の増額を検討中。
その場合、国の歳出は増え、赤字国債の新規発行を増やさざるを得ない。
財務省幹部は「地方の公共事業や交付税が増える一方、国の借金が増えるのでは、
何のための一般財源化なのか」とため息をつく。