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元厚生事務次官宅連続襲撃事件が起きた時、最初に考えたのは、年金問題をめぐって厚生労働省を
再三、批判してきた私たちメディアの報道が、結果的にこうした許しがたい行為をあおってしまったので
はないか、ということだった。
小泉毅容疑者の動機など、まだ、はっきりしない点が多い。だが、この事件にも東京・秋葉原での無差
別殺人事件と共通する「自分の人生はこんなはずではなかった」「それもこれも社会が悪い」といった
短絡思考が背景にある気がする。「悪い社会」「悪い官僚」という口実をメディアは彼らに与えてしまった
のかもしれないと思うのだ。
無論、私たちは批判すべき点は言論で批判する仕事をやめるわけにはいかない。でも、「人を殺しては
いけない」という当たり前の話が通じない時代が来ていることも残念ながら認めなくてはならないのだろう。
求められているのは、感情的にあおり立てるだけではない、冷静で理性的な批判であり、言論なのだと
思う。社会に不満があるのなら、言葉の力で変えていく、選挙での投票を通じて変えていくのが民主主義
だ。それを私は繰り返し、言い続けていくしかないと考えている。
インターネットには今回の犯行を称賛するかのような意見も見受けられる。書き込むのは少数の人だと
思うし、本気で書いているとも信じたくない。
勝手気ままに話すのが「言論の自由」ではないのだ。無責任な発言ばかりになれば、かえって時の権力者
により、言論は制限されていくだろう。その点も含めて、民主主義が危機にあることを、私たちは今一度、
確認しておく必要がある
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