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・霊視や前世占い、占星術といった「スピリチュアル(精神的な、霊的な)世界」がブームだ。
それらを扱うテレビ番組は軒並み高視聴率を獲得し、ベストセラーになる出版物も多い。
だが、中には疑似科学やオカルト現象を妄信し、だまされて被害にあう人もいる。科学の視点で
批判してきた立命館大学国際平和ミュージアム名誉館長の安斎育郎さんは「『思い込み』と
『欲得ずく』が錯誤への落とし穴」と注意を呼びかける。
今月中旬に大阪市内で行われた関西消費者協会の講演会。安斎さんは趣味の手品を生かしながら
超能力やオカルト現象のトリックを暴いていく。
例えば、スプーン曲げ。丈夫な金属のスプーンを指で軽くさすっているうちに、ぐにゃりと曲がり、
客席からは驚きの声が上がる。だが、これは支点、力点、作用点をうまく利用しただけ。
要領さえつかめば簡単に曲がるという。
「目の前で自分の理解を超えたことが起こったとき、超能力と思わずに、なぜ、こんなことが
起きるのか、と考えてほしい」と安斎さん。「人間は、だまされやすい」ということを肝に銘じるのが
大切であって、一番危ないのは「私だけは、だまされない」という「思い込み」と指摘する。
「あの人の言うことだから、本当だろう」という主体性の放棄も、自らの心をだます行為だ。
「自分の目でしっかり確かめ、自分の頭で判断する習慣を」と呼びかける。
不幸に陥ると、その原因を霊に求める人がいる。問題の根本的な解決にはならなくても、
「悪霊のたたり」などのせいにした方が心の平安を得られやすいからだ、と安斎さん。
「霊は、人の不幸の消しゴム係」と絶妙の表現をする。(>>2-10につづく)
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