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鉄鋼生産の現場では減産の嵐が吹き荒れている。
「フル操業を続けていた自動車用鋼板は、“トヨタ・ショック”で、生産量がじわじわ
と落ちてきた」
広島県福山市と岡山県倉敷市の2カ所にまたがるJFEスチール西日本製鉄所の安岡
秀憲副所長は表情を曇らせる。JFEスチールでは、今年度下期に上期生産量の約3%
に相当する50万トンの減産を計画している。
しかし、今期の営業利益予想を当初より1兆円引き下げたトヨタ自動車などの不振
で、減産幅はさらに拡大する見通しだ。
同製鉄所の福山地区にある連続焼鈍ラインは、軽くて強い自動車の生産に欠かせない
「超高張力(ハイテン)鋼板」などを製造する自慢の設備だ。世界中の自動車メーカー
から高い評価を受け、注文が殺到していたが、担当者は「来月から減産します」と寂し
げに話した。
倉敷地区内にあるグループ会社の水島鋼板工業では近隣に工場を持つ三菱自動車など
主要自動車メーカー向けに特殊溶接したドア用鋼板などを納めているが、「9月をピー
クに10、11月と月ごとに注文が減少している」(幹部)という。
福山と倉敷を合わせた従業員は協力会社を含め約1万6000人に上る。野村寛所長
は「この程度の減産では、人を減らす必要はない。毎年250人を予定している採用計
画も見直さない」と、雇用を守るのに懸命だ。
鉄鋼業界は、昨年度に粗鋼生産量が過去最高を記録するなど、「30年ぶりの春」
(大手首脳)を謳歌(おうか)してきたが、9月の米国発の金融危機を契機に状況が一
転した。
鉄鋼各社は先行きについて、「金融が落ち着けば、おのずと需要も平静を取り戻す」
(宗岡正二・新日鉄社長)と期待を寄せるが、かつての鉄冷え不況再来の懸念はぬぐえ
ない。(吉村英輝)
産経ニュース:URLリンク(sankei.jp.msn.com)