08/11/15 11:40:42 tvw8qW3w0
『最強ウイルス』は手元にあったので、ちょっと読んでみました。
>>258の「毒性の高い部分と細胞に侵入する部分とが離れたところに」という文は、
毒性の高い部分=PBとNS、細胞に侵入する部分=HA と解釈されて書かれているのでしょうか?
PB(実際にはPB2と呼ばれる)と書かれているタンパク質は、ウイルス遺伝子が細胞内で増幅する際に働きます。
NS遺伝子にコードされているNS1タンパク質は、細胞の持つ抗ウイルス作用(抗体など、いわゆる免疫とは違います)
を弱める働きをします。
どちらの機能も、HA亜型に関わらず全てのA型インフルエンザウイルスに共通していて、
両タンパク質の機能解析自体、主にH1亜型で進められてきました。
近年の流行に伴い、世界中の研究者が、これまでH1亜型で得られてきた知見が、
H5亜型にも当てはまるか否かを検証している…というのが、現在の研究の流れです。
近年ヒトから分離されているH5亜型ウイルスの中には、(鳥ではなく)ヒト細胞内での増殖に適した
PB2およびNS1のタンパク質を発現する(=病原性も高くなる)ものもすでに見つかっていて、
同時にヒト細胞に接着しやすい構造のHAを持ったウイルスまで方向されていますが、
どういうわけかヒト-ヒト感染には至っていない、というのが現状です。