08/11/01 00:40:43 JJcumQWo0
石原莞爾という軍人がいました。この人は日蓮宗に(それもほとんど異端に近いような一派)に入れ込みました。
彼が何を信じようが、勝手といえば勝手なのですが、問題は参謀本部の作戦課長まで勤めた男だと言う点です。
彼は東亜の大同、ようするに大アジア主義とともに日蓮心酔を隠そうとしませんでしたが、
これを本業の作戦論の解釈の中にねじこんでいたと皆が知ったときの驚きたるや。
満州事変の立役者として私淑していた少壮軍人連中も百年の恋が一夜でさめた、というところでした。
かれの刊行物(「最終戦総論」「戦争史大観」)はいずれも本流を干されて以後のものですが、
左遷にせよ、日本海を睨む重要軍港地帯の陸軍司令官(舞鶴要塞司令官)があの調子の電波ではさすがに納税者も君主も不安を覚えるはずです。
結果、彼は早々に予備役になりました。ただ、開戦当時もう無役だったおかげで巣鴨で処刑されずにはすみました。
今回の論文、どういう趣旨なのかいささか最初解釈に悩みました。政治的信条発露にしては論立てが乱暴すぎる。
歴史論にしては、資料批判も何もあったものではない。ましてや、陰謀論をひっぱってくるとか。
ただ、空幕長のような特別公務員には、政治的思想表現の公表の自由というものについて、やはり制限は必要でしょう。
特に今回のような電波発信でなくとも、たちえば、職務上知りえた機密事項に準拠している公算もあり、
文脈からその部分を仮想敵国に類推されたら大変です。より慎重になるべき立場のはずでした。