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一方、日中関係に関する世論調査を見てみると、私は、若干の不安を感じざるを得ません。
日中両国とも、互いに多少なりとも肯定的な感情を持っている人は、
それぞれ3割にも満たないということであります。
たとえ見解が異なっていても、相手が何を考えているかくらいは、常に正確に理解しておきたいものです。
大事なことは、あらゆる層で対話と交流が積み重ねられ、相互理解が社会の広い面で深まることです。
特に、青少年交流の重要性は論をまちません。
「日本は軍国主義化していると聞いていたが、滞在中、軍服を着た人に一人も会わなかった。」
「中国では反日感情が強いと聞いていたが、実際は親切な人ばかりだった。」
参加した日中の高校生から、こんな率直な感想を聞くたびに、私は、日中間の相互理解には、
大海原のような潜在性がまだあると、つくづく感じております。
若者は皆、柔軟で鋭敏な感性を、そして無限の可能性を持っていると存じます。
私は、日中関係について、「過去」を謙虚に振り返り、共に「未来」を築いていくことこそ、
「現在」を生きる私たちの次の世代への使命である、そのように考えております。
世界は今、極めて見通しをつけにくい時期に、差し掛かっています。
米欧の金融システムに生じている危機は、まさに国境を越えて、
各国の実体経済にも影響を及ぼさんとしております。
現下の情勢を克服し、世界経済の安定と繁栄を取り戻すためには、
国際社会が協調して行動していくことが不可欠であります。
先ほども胡錦濤国家主席、そして温家宝総理との間で、こうした国際的な取り組みに対して、
日中両国として貢献していくことを確認させていただきました。
環境や省エネルギーといった問題から、国連改革に至るまで、日中両国が協力して取り組み、
アジアから積極的に世界に発信していくべき課題が、山積しています。
こうした状況で大事なことは、首脳同士が、何かあればすぐにでも電話で意思疎通を図る、
そういう関係を培うことであります。
日中関係の発展の先にこそ、アジア、ひいては世界の安定と繁栄があります。
その意味で、私たちは、同じ未来を見据えています。日中関係の「底力」に、日中協力の可能性に、
私たちはもっと自信を持っていい、私はそう思います。