08/10/20 09:56:17 LH68IDw10
(社説)橋下TV発言 弁護士資格を返上しては
2008.10.03 朝日新聞 東京朝刊 3頁 3総合 (全1,055字)
歯切れのよさで人気のある橋下徹・大阪府知事のタレント弁護士時代の発言に、
「弁護士失格」といわんばかりの厳しい判決が言い渡された。
山口県光市の母子殺害事件をめぐり、橋下氏は昨春、民放のテレビ番組で、少年
だった被告の弁護団を批判し、「弁護団を許せないと思うんだったら懲戒請求をかけて
もらいたい」と視聴者に呼びかけた。
その発言をきっかけに大量の懲戒請求を受けた弁護団が損害賠償を求めた裁判で、
広島地裁は橋下氏に総額800万円の支払いを命じた。判決で「少数派の基本的人権を
保護する弁護士の使命や職責を正しく理解していない」とまで言われたのだから、
橋下氏は深く恥じなければならない。
この事件では、少年は一、二審で起訴事実を認め、無期懲役の判決を受けた。だが、
差し戻しの控訴審で殺意や強姦(ごうかん)目的を否認した。
少年の新たな主張について、橋下氏は大阪の読売テレビ制作の番組で、弁護団が
組み立てたとしか考えられないと批判した。弁護団の懲戒を弁護士会に請求するよう
呼びかけ、「一斉にかけてくださったら弁護士会も処分出さないわけにはいかない」と続けた。
こうした橋下氏の発言について、広島地裁は次のように判断した。刑事事件で被告が
主張を変えることはしばしばある。その主張を弁護団が創作したかどうかは、橋下氏が
弁護士であれば速断を避けるべきだった。発言は根拠がなく、名誉棄損にあたる--。
きわめて常識的な判断だ。
(つづく)