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・総務省の「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会(デジコン委員会)」は
9月26日、地上デジタル放送のB-CASを見直すことを決めた。第5次答申では「消費者や権利者の
立場からB-CASについてさまざまな指摘が行なわれた」ことを理由に廃止の方向を打ち出している。
放送局も反対していないので、B-CASの廃止が事実上決まった。
B-CASがなくなると、ダビング10の信号は受信機で無視できるようになるので、これをどうするかが
焦点だ。デジコン委員会の村井純主査(慶應義塾大学教授)は「技術と契約」で対応する方針を
示した。しかし、法律で強制しない限り、ダビング10に対応するかどうかは受信機メーカーの自由だ。
国内メーカーが(放送局の圧力を恐れて)ダビング10を採用しても、海外メーカーが「ダビング10なし」を
売り物にして乗り込んでくる。ダビング10も実質的に廃止(任意の規格)にするしかないだろう、
というのが関係者の見方だ。
デジコン委員会では、これまで一貫して放送局・権利者団体の意向にそって審議が実施されてきたが、
ウェブではB-CASに反対の意見が圧倒的だった。これを受けて公正取引委員会が、独占禁止法違反の
容疑でB-CAS社などの事情聴取に乗り出したことが流れを決めた。結果的には、ウェブの世論が
総務省の「業者行政」を押し切ったわけだ。
他方、9月18日に開かれた文化庁の小委員会では、著作権の保護期間を作者の死後50年から
70年に延長することについて「十分な合意が得られた状況ではない」と結論付け、見送る中間
答申をまとめた。
2年前にこの話が出た時、延長問題を考える非営利組織が結成されるなど、反対運動が広がった。
延長すべきだという三田誠広氏や松本零士氏などの主張は説得力がなく、ブログなどで激しい批判を
浴びた。しかし大手メディアはこの問題をほとんど報道しなかった。彼らも著作権の強化を主張する
権利者団体の一員だからである。
文化庁は、当初「国際協調」を理由にして強行突破しようとしたが、こうした消費者の声に押され、
さらに小委員会の中心である中山信弘氏が反対の方針を明確にしたため、延長案は
葬られたのである。(>>2-10につづく)
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