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「(c) 被害児の投棄場所
被告人が,被害児の投棄場所として指定した場所は,平成15年4月14日に被告人が引き当てして
以降,変遷はなく,別紙図面3の「車両停止地点」と記載の場所である。
この位置は,被告人の検挙前に捜査機関が海上保安庁などの協力を得てシミュレーションにより
割り出していた漂流開始地点よりも約200メートル東方の場所であったことが認められるが,
原審証人Xの供述等によれば,被告人が投棄した場所から被害児が漂流を開始したと考えても,
シミュレーションによる予測と矛盾するものではないことが認められ,被告人の自白内容は
客観的事実に矛盾しないといってよい。
(d) 被害児の遺体の状況について
被害児の遺体の鑑定書(原審甲6)等によれば,被害児の死因は溺水吸引で,遺体の頭部,顔面,
頸部,左右上肢に浅く鈍な皮膚損傷があり,このうち頭部の皮膚損傷に対応しては,頭皮下に出血が
みられるものの,その余はいずれも米粒,粟粒大等の微少な損傷であって,成傷器は明らかではない。
被害児の遺体の創傷がごく浅く小さいもので,着衣にも乱れがなかったことによれば,被害児が
生前に暴行などを加えられた蓋然性は低い。
被告人の自白では,被害児を北側岸壁の縁に立たせ,その背部に両手を当てて突き押す,
あるいは「バスケットボールを投げるように」海中に投棄して殺害したというのであるが,
犯行時間帯は干潮時で,北側岸壁の直下には幅2メートル余(最大約2.6メートル)の
捨て石があるため,被告人が自白するような態様で被害児を投棄した場合,この捨て石と
被害児とが接触する可能性があるかが原審以来争点となっている。
北側岸壁の実況見分調書(原審甲13)や三河湾の潮位に関する捜査報告書(原審甲14)等に
よれば,犯行当日の平成14年7月28日には,最も干潮となる午前2時時点においても,北側岸壁の
捨て石は海面下約45センチメートルないし約60センチメートルの水中に没していたことが認められ,
そうすると被告人の自白での犯行時間帯である午前1時40分ころには捨て石までの水の深さは
もう少し深かったものと考えられる。そして,上記各証拠によれば,北側岸壁から直下の水面までの
高さは約3メートルほどであったことが認められる。」(控訴審判決)