08/10/02 16:21:04 p0Ty94yB0
>>458の続き
「そこで,被告人の捜査段階の自白について検討するに,被告人の捜査段階の自白は任意に
なされたものであり,いわゆる「半割れ」状態の自白であって,細部及び動機の説明中には
虚偽が含まれている蓋然性があるとはいえ,その根幹部分,すなわち,被告人の各犯行の
犯人性や大まかな犯行の態様については,十分に信用できるものである。
他方,それ以外の情況事実について目を向けてみると,被告人が2つの犯行現場のいずれとも
密接な関連性を有していることや,事件発生の直後から弁解を転々と変えており,そのいずれもが
虚偽と目されることは被告人の犯人性を裏付ける事情になる。逆に,被告人の犯人性についての
消極的な情況事実としては,動機の自白が全面的に信用できず,明らかといえない点を挙げ得る
ものの決定的な要素とはいえず,その他には被告人が犯人ではないことを指し示す事情は
見当たらないといってよい。
これらを総合すると,被告人が本件各犯行の犯人である旨の捜査段階の自白は,その根幹部分に
おいて十分な信用性が認められるのみならず,かつ,この自白の真実性を担保するとともに,
それ自体独立して被告人の犯人性を指し示す補強証拠もあり,他方,被告人が犯人であるとの認定に
合理的な疑いを差し挟むべき事情はないのであって,被告人が各公訴事実の犯人であることの
証明は十分である。」(控訴審判決)