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郵便配達現場「崩壊」の悲鳴 郵政民営化きょう1年
郵政民営化から1日で1年。郵政事業の根幹となる郵便配達の現場で、ほころびが目立っている。
配達員にアルバイトやパートなど非正規社員の比重が増加し、辞める正社員も多い。
配達業務の足腰にも影響が出ており、現場からは「崩壊寸前」との声も上がる。
「出勤直前、超過勤務を言われる。突然の残業は日常茶飯事。休日出勤も」。
郵便事業会社東海支社の名古屋市のある支店の集配課員(59)はそう嘆いた。
郵便の種類も増え、配達は1日平均2000通。残業は毎日という。
この支店では正社員と非正規社員各6、7人が1班を編成。同じ業務を担う。
正社員の「穴埋め」で雇われた非正規社員の中には、突然辞める人も後を絶たない。
逆に「仕事の負担がまだ少ない」と、年配の社員が非正規に転じる例も珍しくはない。
支社管内の支店は128あるが、別の正社員(57)は「多かれ少なかれ、事情は同じ」。
現在、支社の正社員は9700人。郵政公社時代から正社員を削減、
非正規雇用は1万8600人と正社員を上回る。「欠員が出ても人が集まらず、年中、アルバイトの募集をかけている。
補充が不可能な支店は、支社から配達経験のある社員の派遣でしのいでいる」と話す。
非正規社員が「ゆうメイト」と呼ばれた公社時代から、西三河の支店で働く男性(40)は
「現場は体力的につらい。入れ替わりが激しく、遅配も誤配も起こる」とこぼす。
集配現場の組合員が多い郵政産業労組東海地方本部の藤森茂里夫執行委員長は
「会社は人員削減で黒字を出す算段だが、人材確保を安上がりにしたツケが回っている」と指摘する。
支社も「人に依存する現場。深刻にとらえている」と、ひずみを認める。
「非正規ばかりでは厳しい。配達の熟練の技術が伝えられない」と、
最大労組の日本郵政グループ労組も危惧(きぐ)。郵便事業会社は本年度、正規と非正規の比率を改善するため、
全国で2000人を正社員に登用の方針だ。
中日新聞 2008年10月1日 夕刊
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