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★区画整理事業:計画段階で提訴可能 最高裁が判例変更
自治体の土地区画整理事業がどの段階まで進めば行政訴訟で取り消しを求めら
れるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・島田仁郎長官)は
10日、「事業計画の段階では行政訴訟を起こせない」とする判例を42年ぶりに
変更し、原告住民側の提訴を認めた。その上で、訴えを不適法として却下した1、2審
判決を破棄し、事業の妥当性を審理させるため静岡地裁に差し戻した。
従来の判例では、区画整理後の各宅地の位置や範囲を決める「仮換地指定」の段階に
進まなければ訴訟を起こせず、「訴える権利を不当に制限する」と批判が高まっていた。
大法廷は、より早い段階で事業の違法性を争うことを認め、行政訴訟の門戸を広げた。
問題となったのは、遠州鉄道上島(かみじま)駅(浜松市)の高架化に伴う土地区画
整理事業。市が03年に決定した事業計画に反対する地権者約30人が、取り消しを
求めて提訴していた。
同様訴訟での66年の最高裁判決は「事業計画は土地区画整理の『青写真』に過ぎず、
特定の個人への具体的処分ではなく、取り消しを求められる行政処分に当たらない」と
判断。1、2審はこの判例に従い、実質審理に入らずに訴えを門前払いしていた。
これに対し大法廷は「事業計画決定により、地権者は宅地を再配置する換地処分を
当然に受けることになり、建築も制限され、法的地位に直接的な影響が生じる」と
指摘。さらに「工事が進んでから計画の違法性が認められても、公共の福祉を理由に
救済されない可能性が相当あり、実効的な救済を図るには事業計画段階で提訴を
認めるのが合理的だ」と判断した。
原告・弁護団は会見し「国民の批判を受け入れ、最高裁自らかじを切った画期的な
判決。同種訴訟への影響も大きい」と評価した。鈴木康友浜松市長は「判決の内容を
精査し関係機関とも協議した上で、今後の対応を決めたい」とのコメントを出した。
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