08/09/06 00:52:25 0
(>>3のつづき)
竹中 よい例が、「自動車の販売台数」です。ここ数年間で、新車、中古車とも目に見えて販売数が
落ちて来ています。それに伴い、自動車雑誌も売れなくなりました。これは人口減少や都心回帰の
影響もありますが、ミニマム世代の消費動向も少なからず反映されているはずです。
自動車だけでなく、消費者がお酒を買えば行政の収入になる「酒税」も、この5年間で2割近く、
15%も減少しています。もちろん、発泡酒などの税金が安いお酒の需要が増えている影響も
ありますが、やはりミニマムライフ世代の影響は無視できないでしょう。
上田 確かにすごい消費の落ち込み方ですね。
竹中 それに加えて、最もわかりやすいのが「消費性向」、つまり所得が100あれば、それをどれだけ
使っているかという目安になる指標です。
男性を見ると、1970年前後は所得の9割を消費に回していましたが、現在は7割強しか使っていません。
女性のトレンドは男性と少し違いますが、やはりバブル以降は下降トレンドにあります。
上田 燃料高の影響もあったとはいえ、今年はお盆の海外旅行客も少なかったようですね。
こういう若者がプラス思考に転じて、景気を盛り上げてくれる可能性はないんでしょうか?
竹中 そこで私が声を大にして言いたいことは、こういったミニマム世代の若者に「サクセスストーリーを
ぜひとも経験してもらいたい」ということです。
上田 サクセスストーリーとは、どういうことですか?
竹中 先ほど言ったように、この世代が小学生のときにバブルが崩壊して、大学の就職活動の
時期には超就職氷河期でした。本当に「受難の世代」であったことは事実です。
そのため、将来に対するリスクを過大に見積もる傾向がある。これは特に主観的なリスクなので、
消費を抑えて将来に備えて貯蓄しようという動きが出てきます。
でも、イケイケドンドンとは行かないまでも、やはりいくつかの成功体験を積み重ねて行くうちに、
「自分はもっと行けるはずだ」「自分はもっと色々なことができるはずだ」という気持ちになれるはず。
そうなると、消費に対して前向きな思考が出て来ます。
ミニマム世代の人たちは、これまでの人生でそういう経験がなかったんですね。(>>3-10につづく)